労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  日の出タクシー 
事件番号  山口地労委昭和45年(不)第1号 
申立人  全国自動車交通労働組合山口地方連合会 
申立人  宇部自動車交通労働組合 
被申立人  破産者 株式会社 日の出タクシー 破産管財人 
被申立人  株式会社 日の出タクシー 
命令年月日  昭和46年 3月19日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  企業閉鎖を理由に組合員を解雇した事件で、破産管財人に破産宣告の日までの未払賃金の支払い、陳謝文の手交を命じ、別組合員X1に関する解雇撤回、原職復帰については却下した。 
命令主文  1 被申立人破産者株式会社日の出タクシー破産管財人Y1は申立人組合の組合員(別紙)に対し、昭和45年4月21日以降昭和46年1月26日までの同人らが原職にあったならば受けるはずであった諸給与相当額を支給しなければならない。
2 申立人の本件申立て中、X1の解雇撤回、原職復帰に関する部分についてはこれを却下する。
3 被申立人会社は申立人組合に対し下記文書を交付すること。
               記
                    昭和 年 月 日
全国自動車交通労働組合山口地方連合会
宇部自動車交通労働組合
執行委員長 X2 殿
                株式会社日の出タクシー
               代表取締役 Y2
 当社が貴組合員X2外16名に対し行なった昭和45年4月21日の解雇は不当労働行為であったことを認め、ここに深く陳謝します。
4 被申立人会社は、前項の文書の交付につき、この命令書を受けた日から10日以内に履行し、かつ、その履行状況を遅滞なく当委員会に報告すること。
5 申立人のその余の申立てはこれを棄却する。 
判定の要旨  1800 会社解散・事業閉鎖
団交席上での経理状況報告、交通事故の損害賠償の状況、会社名儀変更に伴う新制服の貸与、事務引継ぎ時の債権債務の状況等から、会社が事業継続不能の状況にあったとは認めがたく、本件解雇は、申立組合を嫌悪する会社が、組合壊滅を企図してなしたものであるとみるのが相当である。

2212 交渉の場所・時間
2240 説明・説得の程度
組合の団交申入れに対し、会社が交渉責任者の所在を明らかにせず、団交に応じた場合も一方的に解雇理由、企業閉鎖等についての説明に終始し、さらに、団交場所を社会通念上承服し得ない場所を指定するなどの態度から判断すると、会社は誠意ある団交を行なったとは認められない。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
営業課長らが、新入社員に第二組合加入を、組合員X3に組合脱退を慫慂し、団交席上で全自交脱退を強調し、第二組合幹部との会合に出席した言動などは、いずれも会社の申立組合を嫌悪し壊滅せしめる意図に基づいてなされたものと認められる。

2900 非組合員の優遇
賃金、労働時間等について、第二組合が優遇されていたことは認められるが労使の自主的判断によって締結された労働協約に基づいてなされたものである以上、これのみをもって、会社に申立組合を壊滅する意図があったとまでは認め得ない。

4302 組合員資格喪失者(含組合脱退・死亡)
X1については、本件解雇当時は第二組合員であったこと、同人の解雇等によって申立組合の団結権に何ら具体的な影響があるとは認めるに足りる資料がないことからみて、被救済利益はないといわざるを得ない。

4300 労組法7条2号(団交拒否)の場合
4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
請求する救済内容のうち、組合員18名の原職復帰、支配介入に関する陳謝文の掲示、団交開催要求については、被申立会社が破産宣告の決定を受けている事情を考慮して棄却する。

業種・規模  道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) 
掲載文献  不当労働行為事件命令集44集205頁 
評釈等情報  労働判例 1971年7月1日  126号 51頁 

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