労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  福井放送 
事件番号  福井地労委昭和44年(不)第6号 
申立人  福井放送労働組合 
被申立人  福井放送 株式会社 
命令年月日  昭和46年 3月 5日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  会社監査役から争議解決の依頼を受けた第三者が、組合員宅を個別に訪問したり、暴行を加えたりして退職を慫慂した事件で、組合の運営に対する支配介入の禁止、ポストノーティスを命じた。 
命令主文  1 被申立人は、申立人組合員を被申立人会社から退職させる目的をもって、被申立人会社自らまたは第三者をして組合員宅等を個別に訪問しあるいは暴行等の方法により組合員に退職を慫慂しもしくは強要して、申立人組合の運営に支配介入してはならない。
2 被申立人は、下記陳謝文を縦1メートル、横1.5 メートルの白紙いっぱいに墨書し、本命令交付後3日以内に被申立人会社入口の見やすい場所に5日間掲示しなければならない。
               記
             陳 謝 文
 昭和44年1月頃、会社監査役の1人が第三者に貴組合の組合員を会社から退職させることを依頼したところ、第三者が組合員に対し退社するよう個別訪問して説得し、これに失敗した第三者等が同年4月20日、組合員X1氏に対し傷害事件を発生させるなど貴組合の団結を破壊するような不当労働行為のあったことは誠に遺憾であり、陳謝します。
 以上、福井地方労働委員会の命令によって掲示します。
   昭和 年 月 日
               福井放送株式会社
                代表取締役 Y1
  福井放送労働組合
   執行委員長 X2殿
  同
   組 合 員 X1殿
3 申立人のその余の請求は棄却する。 
判定の要旨  2700 威嚇・暴力行為
3422 その他の者の言動
暴力団による傷害事件は、会社監査役の依頼に端を発していること、証拠物のいくつかが組合切崩しの目的で会社内部で作成されたと認められること等から会社が暴力行為まで予測し得なかったとしても第三者が会社の不当労働行為意思を汲んで同事件に至ったものとして会社の支配介入である。

3410 職制上の地位にある者の言動
監査役の行為は、個人的立場でなされたことに疑う余地のない特殊な事情の存しない限り会社の行為とみなされるべきである。

2621 個別的示唆・説得・非難等
3422 その他の者の言動
会社監査役に依頼を受けた第三者が、組合員個々の自宅をまわり有利な条件で退職を勧奨したことは明らかに組合員を買収して退職させようとするもので組合脱退工作と認められる。

4616 社内報等への掲載を認めた例
組合は、陳謝文を日刊紙に掲載することを求めているが、不当労働行為の救済は社会的制裁を目的とするものではないので、この請求は棄却する。

業種・規模  放送業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集44集133頁 
評釈等情報  労働判例 1971年5月15日  123号 53頁 

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