労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  川崎電気 
事件番号  山形地労委昭和45年(不)第648号 
申立人  川崎電気労働組合 
被申立人  川崎電気 株式会社 
命令年月日  昭和46年 2月12日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  副委員長の解雇をはじめ、新労役員に対し、配転、譴責処分等を行なった事件で、解雇、転勤命令、懲戒処分の取消し、原職復帰、バックペイおよびポストノーティスを命じた。 
命令主文  1 被申立人会社は、申立人組合の副執行委員長X1に対する昭和45年8月5日付の解雇を取消し、同人を本社工場配電盤課に復帰させ、かつ解雇の日から前記職場に復帰させるまでの間、同人が受ける筈であった諸給与相当額を支払わなければならない。
2 被申立人会社は、申立人組合の執行委員X2に対する横浜営業所への転勤命令を取消し、同人を本社工場配電盤課に復帰させなければならない。
3 被申立人会社は、申立人組合の昭和44年度の役員X3、X1、X4、X5、X6、X7、X2、X8及びX9に対する昭和45年7月27日付の譴責処分を取消さなければならない。
4 被申立人会社は、この命令交付の日から3日以内に次のような文書を山形県地方労働委員会の命令により掲示する旨を付記し、縦1メートル、横3メートルの板面にかい書で明瞭に墨書の上、本社工場の通用門わきのみやすい場所に10日間継続して掲示しなければならない。
               記
 会社の昭和45年8月5日付のX1副執行委員長に対する解雇処分や、X2執行委員に対する転勤命令とその後の同人の処遇、さらには昭和44年度の執行部に対する譴責処分などは正当な組合活動を嫌悪し、不利益に取扱い、組合の運営に支配介入した行為であって、ここに深く陳謝し、今後このような行為をくりかえさないことを誓約する。
   年 月 日
 川崎電気労働組合
  執行委員長 X3殿
                川崎電気株式会社
                  代表取締役 Y1
  (注、年月日は掲示した日を記載すること。)
5 申立人のその余の請求はこれを棄却する。 
判定の要旨  0200 宣伝活動
1400 制裁処分
本件会社構内におけるビラの配布は、労働者が自由に利用できる就労時間外に行なわれたものであるから、会社の許可を得なかったとしても正当な組合活動であり、これに対する懲戒処分はその軽重の如何を問わず不当労働行為である。

0208 暴力・不穏当な言動を伴った組合活動
1102 業務命令違反
新労副委員長解雇の直接の契機は、朝礼における工場長の発言に対する反論と、それを理由とする始末書の提出拒否にあるが、反論の内容に穏当を欠く点があったとしても、当時の対立した労使関係の中での工場長の発言にその原因があり、正当な組合活動の範囲を逸脱しているとまではいえないから、結局、本件解雇は正当な組合活動を理由としたものと認められる。

1401 労務の受領拒否
新労役員X2に対する転勤命令については、会社は業務上の必要性を立証せず、工場長の発言などからみて不当労働行為意図によるものであったことが明らかであるから、これが拒否を理由に仕事を与えなかったことも7条1号に該当する。

3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
就業規則違反等を理由として新労幹部に対し解雇、配置転換、懲戒処分を行なった事実は、会社幹部の言動とあわせ考慮するとき、新労の運営に介入し、新労の壊滅を企図した支配介入にも該当する。

業種・規模  電気機械器具製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集44集91頁 
評釈等情報  労働判例 1971年5月1日  122号 74頁 

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