概要情報
事件名 |
埼新印刷 |
事件番号 |
埼玉地労委昭和45年(不)第4号
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申立人 |
埼玉新聞労働組合 |
被申立人 |
埼新印刷 株式会社 |
命令年月日 |
昭和46年 2月10日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
争議行為に対抗して会社が組合員に対し、時間外労働を拒否した事件で、差別待遇の禁止、得べかりし時間外労働手当相当額の支払い、誓約書の交付を命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人会社は、申立人組合の組合員が正当な争議行為を行なったことを理由に、同人らの時間外労働につき非組合員と差別待遇をしてはならない。 2 被申立人会社は、申立人組合の組合員各人に対し、同人らが昭和45年3月27日から同年4月13日までの間に時間外労働をした場合に得たであろう時間外労働手当相当額を支払わなければならない。 3 被申立人会社は、申立人組合に対し、下記誓約書を日本工業規格B列4番の用紙に墨書し、署名または記名押印して、この命令書交付の日から5日以内に、交付しなければならない。 記 誓 約 書 当社が、昭和45年3月27日から同年4月13日までの間、貴組合の組合員に対して、貴組合の正当な争議行為を理由に時間外労働をさせなかったことは、労働組合法第7条第1号および第3号に該当する不当労働行為であったことを認め、ここに陳謝の意を表し、今後、かかる違法行為を行なわないことを誓います。 埼玉県地方労働委員会の命令により、この誓約書を差入れます。 昭和 年 月 日 埼新印刷株式会社 代表取締役 Y1 埼玉新聞労働組合 執行委員長 X1殿 4 申立人のその余の申立ては棄却する。 |
判定の要旨 |
0417 法令・協約・信義則違反
スト予告義務が、労働協約上、慣行上、いずれも存在しない以上、抜打ストの非難は正当でなく、それにより作業計画に支障をきたしたという非難も、憲法第28条の争議権の保障を看過したもので正当ではない。
0419 ロックアウトとの関連
1302 就業上の差別
組合の抜打ストに対抗して会社が組合員に対し、慣行化している時間外労働を拒否したことは、使用者の争議手段としてのロックアウトの要件を具備せず、報復的な抑圧手段で不当労働行為である。
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
争議中、会社が組合役員2名に対し電報により出社命令をしたことは労務管理上の当否は別として組合活動に介入した不当労働行為であると断定できない。また臨時社員採用は会社の業務上の必要性により行ったもので組合活動に介入した不当労働行為であると認めることはできない。
4413 給与上の不利益の場合
5008 その他
時間外労働に相当する手当の支払いを、私法上の賃金請求権の問題としてみれば、労働委員会で判断すべきものでなくなるが、団結権侵害の結果生じた不利益取扱いの是正という意味において、当該手当相当額の支払いを命じうることは当然である。
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業種・規模 |
出版・印刷・同関連産業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集44集82頁 |
評釈等情報 |
労働経済判例速報 S-46-7-30 751号(22巻21号) 22頁 
労働判例 1971年4月15日 121号 61頁 
労働判例 1971年5月1日 122号 63頁 
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