労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  井上油圧機械製作所 
事件番号  京都地労委昭和44年(不)第23号 
申立人  総評全国金属労働組合京滋地方本部 
被申立人  株式会社 井上油圧機械製作所 
命令年月日  昭和46年 2月 5日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  会社が組合結成の前後に支部委員長らを解雇等した事件で、原職復帰、バックペイおよびポストノーティスを命じ配置換、組合結成前の解雇については棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、X1を解雇時の原職に復帰させるとともに、昭和44年12月17日から原職復帰に至るまでの間に同人が受けるべきはずの諸給与相当額を支払わなければならない。ただし、昭和44年の年末一時金ならびに解雇予告手当として支払った金額を控除するものとする。
2 被申立人は、下記の文章を縦1メートル、横1.5 メートルの大きさの模造紙に墨書し、被申立人会社工場内の従業員が出退社のさいに見易い場所に10日間掲示しなければならない。
               記
 会社は、貴組合の支部組合員X1に対し、地本加入の意思の有無をを問い質したり、支部結成後の朝礼時にX1に対し支部員の氏名の発表を強要したり、従業員に対し組合の存在についての賛否の意思表示を求めたり、組合のようなものはない方がよいとか、会社が気にいらなければやめたらよいなどと言ったことは貴組合に対する支配介入であったことを認め、今後かかる行為はいたしません。
 以上、京都府地方労働委員会の命令により誓約します。
   昭和 年 月 日
  総評全国金属労働組合京滋地方本部
   執行委員長 X2殿
              株式会社 井上油圧機械製作所
                 代表取締役 Y1
3 申立人のその余の請求を棄却する。 
判定の要旨  0700 職場規律違反
3800 行為の結果・その他
就業規則違反を理由に解雇されたX3が、社長等に班の人員増等の要求をしたことは、下級職制の立場から班の要望を代弁したもので、組合結成についても具体的行動には至っておらず、秘密裡になされた地本加入の勧誘も、これを会社が察知したと認められず、申立ては理由がない。

1103 背信行為
3500 処分の時期
会社が、故意に機械の精度を狂わせたこと等を理由にX1を解雇したことは、そのことについて注意もしなかったこと、組合結成の矢先に行なわれた会社職制の反組合的言動、解雇がその直後行なわれたことからみて組合結成の中心人物の解雇により支部を壊滅させようとしたものと推認される。

1300 転勤・配転
単に受持機械の変更にすぎないX1の配置換えは、労働条件についても不利にならず、また、これにより同人の支部結成活動等に支障を与えたとは認められないから、不当労働行為ではない。

2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
3410 職制上の地位にある者の言動
Y2部長ら会社職制らの言動は、ビラの内容やX3の解雇撤回要求によって地本加入を察知し、X1をその同調者とみて、同人の地本加入をけんせいする意味でなされた行為であり、また、朝礼時のY2部長の言動は、結成間もない支部に威圧を加え、組合活動を妨げようとしたもので明らかに支配介入である。

業種・規模  一般機械器具製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集44集73頁 
評釈等情報  労働判例 1971年5月15日  123号 60頁 

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