労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  大阪赤十字病院 
事件番号  大阪地労委昭和45年(不)第16号 
申立人  日本赤十字労働組合 
被申立人  大阪赤十字病院 
命令年月日  昭和46年 1月30日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  病院が組合指令書を剥ぎ取ったり、組合員に脱退勧奨したり、また、組合の宿日直拒否闘争を非難する文書を配付した事件で、陳謝文の手交を命じ、ポストノーティス、新聞広告等については棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、申立人に対し、本件命令交付の日から2週間以内に、下記陳謝文を手交しなければならない。
               記
 日本赤十字労働組合           年  月  日
  執行委員長 X1殿
              大阪赤十字病院
                 院長 Y1
             陳 謝 文
  当病院は、下記の行為を行なったことは、労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為であったことを認め、ここに陳謝します。
               記
 1  昭和44年12日13日、貴組合の指令書をはがし、組合活動を妨害した行為。
 1  昭和44年12月15日、同月23日、同月26日および昭和45年1月10日、外科部副部長X2氏、同X3氏、同X4氏に対し、暗に組合脱退を慫慂した行為。
 1  昭和44年12月27日および昭和45年2月2日、「お知らせ」と題する文書を病院の従業員に配付し、組合活動に介入した行為。
以上、大阪府地方労働委員会の命令により手交します。
2 申立人のその他の申立ては、これを棄却する。 
判定の要旨  0410 目的・手続き
0413 ストライキ(含部分・指名スト)
組合が、本社との賃上げ交渉中、所定の手続きを経たうえで、本社の支部医療施設である病院勤務の組合員に争議行為を指令したことは当然のことであり、病院と団交を行なっていないことをもって抜打ちストであるとはいえない。

2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
3410 職制上の地位にある者の言動
組合員であることが正当とされる直轄組合員が組合の指令によって宿日直拒否闘争に入ったことについて、病院側が、直轄組合員が管理職であるとして争議行為の不当性を主張する文書を配布したことは、本来組合が自主的に決定すべき組織形態に対する内部干渉に当り、不当といわざるをえない。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
副部長をやめたらどうか、嘱託になったらどうか等といい、あるいは副部長が一職員のいずれかになって行動することを文書で勧告した行為は、副部長の組合加入を嫌悪し、副部長職にあることを口実として組合を脱退させて組合員の団結破壊と組合弱体化を図った不当労働行為である。

2610 職制上の地位にある者の言動
2622 組合員調査
職制が、その地位を利用して、組合員に組合加入の動機等を詮索し、組合組織形態を非合法とのべたことは調査目的を越えているが、組合の争議行為を目前にして、その解決のため調査を急務としていた点を考慮すれば、これをもって直ちに組合員の動揺、組合弱体化を意図していたものとはいえない。

2610 職制上の地位にある者の言動
3410 職制上の地位にある者の言動
職制が黒板から組合指令書を組合に無断で剥ぎとった行為は、傍にいた組合員が特に発言しなかったからといって、当該行為を組合が了承したものとはいえず、また、病院が調査のため必要であったとの合理的理由もない以上、不当労働行為といわざるを得ない。

4615 P.Nを認めないことに理由を付した例
申立人は、使用者の文書勧告の取消し、謝罪文の掲示、新聞広告を求めているが、主文救済により救済の実を果たし得ると考えられるので、このような救済を付加する必要は認められない。

業種・規模  医療業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集44集58頁 
評釈等情報  労働判例 1971年4月15日  121号 59頁 

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