概要情報
事件名 |
積水化学工業 |
事件番号 |
兵庫地労委昭和43年(不)第2号
兵庫地労委昭和43年(不)第3号
兵庫地労委昭和43年(不)第4号
兵庫地労委昭和43年(不)第5号
兵庫地労委昭和43年(不)第6号
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申立人 |
X1 外 12名 |
被申立人 |
積水化学工業 株式会社 |
命令年月日 |
昭和46年 1月26日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が組合員に対し、夜勤時の仮眠、入浴の差別、配転、懲戒処分等を行なった事件で、差別取扱いの禁止、原職復帰、懲戒処分の取消、バックペイおよびポストノーティス等を命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人積水化学工業株式会社は、 (1) 申立人X1、同X2、同X3、同X4、同X5、同X6、同X7、同X8、同X9に対し、後夜勤時の仮眠時間、前夜勤時の入浴時刻等について不当差別取扱いをしてはならない。 (2) 申立人X10に対し、草むしり、窓ふき、仕事を与えない等の不当差別取扱いをしてはならない。 (3) 昭和43年4月23日付申立人X109に対する出勤停止1日(昭和43年4月24日)の処分を取消し、その間支払われるべき賃金相当額を支払わなければならない。 (4) 申立人X11に対する昭和43年4月21日付の、及び同X12に対する同年同月11日付の、各テープ課製糊係への配転命令を取消し、同人らをそれぞれ原職に復帰させなければならない。 (5) 昭和43年3月9日付で行なった申立人X13に対する3日間の出勤停止の懲戒処分を取消し、その間に支払われるべき賃金相当額を支払わなければならない。 (6) 申立人X13の昭和43年度賃上げ及び同年夏季一時金にかかる人事考課率を是正し、その差額を支払わなければならない。 2 被申立人積水化学工業株式会社は、本命令交付後7日以内に、縦1メートル、横2メートルの白色木板に主文第1項の命令があった旨を墨書した掲示板を、工場正門附近の見易い場所に立て、少なくとも14日間これを存置しなければならない。 3 申立人X1のその余の申立ては棄却する。 |
判定の要旨 |
0211 その他の組合活動
組合員X2が、職場班長の就業時間中の組合脱退勧誘に抗議した行為は、特に険悪な状態でなく、つるし上げとはいえず、さらに就業時間外の出来事であって、職場秩序を乱したことにもならず正当な組合活動である。
1202 考課査定による差別
会社が、ビラの配布を目して業務上の重大な秘密を漏らしたとしてX13を懲戒処分に付したことに理由がない以上、これを理由として人事考課率を零にしたことは、結局当時組合副支部長であり、上部団体脱退反対派の中心人物であったMの組合活動を嫌悪してなされた不当労働行為である。
1300 転勤・配転
会社が、その理由も必要性も認められない配転を命じたことは、従来からの慣行を無視して他労組の意見を聞き強行したこと、配転後作業上の差別取扱いをしたこと、ならびにその背景にあった両組合と会社との関係等を総合すると、この配転は組合の代表的活動家であることの故をもってなされた不当労働行為である。
1302 就業上の差別
組合員X10に対して、従う必要のない業務命令に従わなかったことを理由に仕事を与えなかったことは明らかな不利益取扱いである。
1401 労務の受領拒否
会社が、組合員X10を人事メモ記入のための面接に従わず、仕事の範囲に関するレポートの提出命令を拒否したことを理由に出勤停止処分に付したのは、メモ記入に他の方法があり、したがってレポート提出の必要がないことからみて、「職務上の指示命令に従わず職場の秩序を乱した」というには当らない。
1601 福利厚生上の差別
夜勤時の休憩時間、入浴時間等の取扱いについて、これを末端職制らの裁量に委ねていたからといって、就業規則の原則に戻すとか、裁量の範囲に属する問題であるとかを理由に支部組合員のみに不利益な取扱いをしてよいということにはならない。
3410 職制上の地位にある者の言動
直接差別扱いの行為をしたのは末端職制であるが、会社から委ねられた職務権限の行使としてこれらの取扱いをしたものであること、Y1課長がそれを肯認していること、会社の支援を背景にした旧労と新労との抗争が頂点に達した時にあったことからみて、会社の意を体してなしたものといえるので、これを会社の行為と認めるのが相当である。
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業種・規模 |
プラスチック製品製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集44集43頁 |
評釈等情報 |
 
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