概要情報
事件名 |
ます美書房 |
事件番号 |
東京地労委昭和44年(不)第81号
|
申立人 |
ます美書房労働組合 |
被申立人 |
株式会社 ます美書房 |
命令年月日 |
昭和46年 1月 5日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
|
事件概要 |
会社の協定不履行に対して抗議行動した者を、出勤停止等の処分に付した事件で、処分の取消し、団交開始および支配介入の禁止を命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人は、昭和44年12月8日付で行なったX1、X2に対する7日間の、同月13日付で行なったX3、X4、X5、X6、X7、X8に対する7日間の、および同月17日付で行なったX9、X1、X2に対する10日間の出勤停止処分をそれぞれ取消し、同人らがその間に受けるはずであった賃金相当額を支払わなければならない。 2 被申立人は、昭和44年12月8日付で行なったX3、X4、X5、X6、X7、X8に対する譴責処分を取消さなければならない。 3 被申立人は申立人組合との間に、つぎの事項等につき、誠意をもって団体交渉をしなければならない。 (1) 昭和44年11月15日付協定書の遵守の件 (2) 5階職場強行移転の件 (3) 昭和44年年末一時金の件 (4) 不当処分撤回の件 4 被申立人は、申立人組合の組合員を、合理的理由なくして、出勤停止処分に付し、賃金カットを行ない、あるいは団体交渉を拒否し、協定書を無視するなどして、申立人組合の運営に支配介入してはならない。 |
判定の要旨 |
1400 制裁処分
出向命令の拒否、ステッカー貼り、ビラ貼り、器物損壊を理由とする出勤停止処分は、組合の行動が会社の組合壊滅を企図した一連の行為に対する抗議であってみれば、権衡上これを正当な組合活動を理由とする不利益処遇であるといわざるを得ない。
2244 特定条件の固執
団交中の感情的発言をとらえ、これを取消さない限り団交に応じられないとの態度を固執し、実質的問題についての団交を拒否することは、誠意ある態度とはいえず、これをもって団交拒否の正当な理由とするわけにはいかない。
2902 労組法7条2号(団交拒否)と競合
懲戒処分、団交拒否等が、会社の反組合的態度の具現であり、これらの手段を通じて組合壊滅を企図したものといえるから、これらの行為は全体として組合運営に対する支配介入といえる。
4300 労組法7条2号(団交拒否)の場合
4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
解散に伴う解雇関係の問題は当委員会に別件係属中であるから、解散決議前の不当処分の問題や団交拒否問題をとりあげることは無意味でなく、別件の判断がなされるまでは、本件救済命令は十分実効あるものと考えられる。
|
業種・規模 |
出版・印刷・同関連産業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集44集29頁 |
評釈等情報 |
労働判例 1971年4月1日 120号 61頁 
労働判例 1971年5月1日 122号 68頁 
|