労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  日本クロス工業 
事件番号  中労委昭和42年(不再)第65号 
中労委昭和42年(不再)第66号 
再審査申立人  X1 
再審査申立人  日本クロス工業 株式会社 
再審査被申立人  X1 
再審査被申立人  日本クロス工業 株式会社 
命令年月日  昭和45年12月16日 
命令区分  再審査棄却(初審命令をそのまま維持) 
重要度   
事件概要  元組合長の復職後の配転および身体的故障を理由とする解雇、社長名のビラ配布等による組合長選挙への干渉等の事件で、初審救済命令を支持して再審査申立てを棄却した。 
命令主文  各審査申立人の申立てを棄却する。 
判定の要旨  1107 その他
申立人が身体的故障によって業務に堪えられない健康状態であったとは認められず、会社には他に同人を勤務させるに適当な職場がなかったものとは認められないので、本件解雇は、医者の証言を奇貨としてなした不当労働行為である。

1300 転勤・配転
2624 組合人事への干渉
3500 処分の時期
本件配転は、業務上の必要性、緊急性に極めて乏しく、その人選も妥当なものとは認められず、同人の組合長在職中に、しかも、次期組合長選挙が行なわれる直前に、組合員が1人もいない職場に配転を強行したことは、人員補充に藉口してなした不当労働行為である。

2610 職制上の地位にある者の言動
2624 組合人事への干渉
3410 職制上の地位にある者の言動
3500 処分の時期
社長名のビラの配布は、組合の内部抗争が組合長選挙に際して最高潮に達していた時期になされていることからみて、本件ビラは、社長の単なる所信表明ではなく、会社の方針として、反申立人派候補を支持する意思を全従業員に伝達した支配介入行為である。

2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
2624 組合人事への干渉
3410 職制上の地位にある者の言動
組合長選挙当日における係長らによる反申立人派候補者支持等のビラ配布は、下級職制が、社長名のビラの趣旨をうけて、組合員の意思に影響を与える意図のもとになしたものとみられ、会社に帰責されるべき支配介入行為である。

2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
2624 組合人事への干渉
3410 職制上の地位にある者の言動
係長らが係員に伝達した組合長選挙についての社長見解の内容は、反申立人派候補者の当選を期待している旨の意思を表明したもので、組合長選挙にあたって、会社が下級職制を通じて、組合員の意思に影響を与える意図のもとになした支配介入行為である。

0600 暴力行為
1400 制裁処分
3600 処分の差別
同僚に対する暴行は、同僚から執ように侮辱的言動をうけたことによるもので、すでに当事者間で和解していること、この種の事件は不問に付されているものも多いこと等の事情を考慮することなくなされた第2次懲戒解雇は、暴行事件を奇貨としてなした不当労働行為である。

5002 不作為命令または不確定な内容の請求
申立人は、本件に関して申立てをしたことの故をもって、不利益な取扱いをしてはならないとの命令を求めているが、このような抽象的な不作為命令は、本件救済としては適当でない。

4811 労組法7条3号(個人申立)の場合
申立人は、本件支配介入行為の利害関係者であること、同人が組合から除名される以前の支配介入行為であること、同人が組合除名処分を不当として、今後とも争う意思を表明していること等からみて、本件支配介入についての救済申立権はあるものと認められる。

業種・規模  衣服・その他の繊維製品製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集43集673頁 
評釈等情報  労働法律旬報 吉原稔 昭和46年3月15日  769 770号  (別冊) 
中央労働時報 昭和46年3月10日  510号 16頁 

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