労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  富山相互銀行 
事件番号  中労委昭和41年(不再)第3号 
中労委昭和41年(不再)第4号 
再審査申立人  富山相互銀行従業員組合 
再審査申立人  株式会社 富山相互銀行 
再審査被申立人  株式会社 富山相互銀行 
再審査被申立人  富山相互銀行従業員組合 
命令年月日  昭和45年12月 2日 
命令区分  再審査棄却(初審命令をそのまま維持) 
重要度   
事件概要  新労結成会場に会社重役宅を提供、社長名の旧労非難、新労歓迎の文書送付、銀行施設利用禁止の通達、賃金カット通達、支店長らの組合脱退、新労加入の言動、その間における女子行員自殺等をめぐる事件で、初審救済命令を支持し、再審査申立てを棄却した。 
命令主文  本件各再審査申立人の申立を棄却する。 
判定の要旨  2500 別組合の結成・援助
2501 親睦団体の利用
常務らの従組批判派の会合への出席、新労結成の会場として常務宅提供、新労結成日にユ・シ条項を含む労働協約の締結、従組脱退者の身分を保証した旨の会社情報の配布等の一連の行為は、新労結成に助勢し、その勢力の拡大を図り、従組の弱体化を企図した支配介入行為である。

2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
3500 処分の時期
従組分裂直後の時期に、従組を非難し新労結成を歓迎していること、および従組員の父兄に新労加入説得を訴えていることが読みとれるような内容を含む社長名の文書を従業員父兄に送付したことは、支配介入行為である。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
3500 処分の時期
支店長らが組合員やその父兄に新労加入も勧誘したり、そのような席に同席したこと、また、新労結成式に出席したこと等の行為が、従組員の組合所属の帰すうが流動的であった組合分裂直後の時期になされていることからみて、支配介入行為である。

2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
従組分裂直後の時期に、支店長が新入行員の父親に対して従組に加入しないことの書面の提出を求め、また、常務が、新入行員研修の席上、従組への加入をすすめられたことの有無を確認した上、従組を批判したことは支配介入行為である。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
2700 威嚇・暴力行為
3500 処分の時期
従組の組合員に対する切崩し工作が行なわれていた時期におけるY1常務の女子行員X1に対する言動は不謹慎のそしりを免れないが、X1の自殺の原因および従組脱退、労組加入がY1常務の言動に起因するものとは認められない。

2621 個別的示唆・説得・非難等
課長らが従業員に対し、タクシーのチケットを与えることは、日常起りうることであり、また、同人らがチケットを渡す際別に組合問題にふれていないのであるから、これをもって不当労働行為とは認め難い。

2900 非組合員の優遇
3020 組合活動への制約
3500 処分の時期
銀行施設利用禁止の通達は、新労が結成され、常務の社宅が新労本部として提供されていたこと、分裂直後、新労が従組に比して劣勢にあったこと等の情況下に出され、強行していること、銀行が新労の勢力拡大を企図していたこと等からみて、従組の活動をけん制しようとしたものである。

1204 スト・カット
3102 争議対抗手段
賃金カットの対象時間調査の通達が、慣行に反して、従組の賃上げ闘争体制強化の時期に発せられたとしても、就業時間中の組合活動について見解が対立していることからみて、会社が事務処理上、その資料を予め募集することを責めることはできない。

4615 P.Nを認めないことに理由を付した例
4617 その他
従組は、本件事件の救済として誓約文の掲示および新聞掲載を求めているが、本件初審命令に加えてこれらを命じなければならないほどの特段の事情は見出し難い。

2801 団体運営に関する補助金支給
4820 単一組織の支部・分会等
本件初審および当委員会における資格審査において、従組は労組法第2条、第5条第2項の各要件に適合するものと認定されているのであるから、救済申立適格を欠くとの会社主張は採用できない。

業種・規模  金融業、保険業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集43集661頁 
評釈等情報  労働判例 1971年3月1日  118号 59頁 
中央労働時報 昭和46年3月10日  510号 21頁 

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