概要情報
事件名 |
福島製作所 |
事件番号 |
東京地労委昭和44年(不)第76号
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申立人 |
全国金属労働組合東京地方本部福島製作所支部 |
被申立人 |
有限会社 福島製作所 |
命令年月日 |
昭和45年12月24日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
賃上げ、一時金等の団交申入れに対して、業務多忙を理由に団交を拒否したほか、支部組合員に対して残業をさせず、退職を勧奨したという事件で、 団交応諾、残業を命じないことや、退職を勧奨すること等による支配介入の禁止、誓約文の掲示を命じた。 |
命令主文 |
主 文 1 被申立人有限会社福島製作所は、申立人全国金属労働組合東京地方本部福島製作所支部からの昭和44年7月28日付 (すでに協定を締結した事項を除く) 、同年11月1日付および昭和45年3月31日付要求に関する団体交渉に誠意をもって応じなければならない。 2 被申立人会社は、申立人支部の組合員に退職を勧奨したり、従業員に残業を命ずる必要がある場合に同組合員のみには残業を命ぜず動揺を与える方法によって、同支部の運営に支配介入してはならない。 3 被申立人会社は、横 120センチメートル、縦80センチメートルの木板に、下記のとおり読み易く墨書し、本命令交付の日から10日以内に被申立人会社の第一工場構内の従業員の見易い場所に10日間掲示しなければならない。 記 当社が貴支部組合員に対し退職を勧奨したり、従業員に残業を命ずる必要がある場合に貴支部組合員のみには残業を命ぜず動揺を与えたことは、不当労働行為であると東京都地方労働委員会において認定されました。今後、このような方法で貴支部の運営に支配介入いたしません。 右同委員会の命令により掲示いたします。 昭和 年 月 日 有限会社 福島製作所 代表取締役 Y1 全国金属労働組合東京地方本部福島製作所支部 委員長 X1 殿 (注、年月日は掲示した日を記載すること) 4 被申立人会社は、第1・3項の命令を履行したときは、その履行の状況を遅滞なく、文書で、当委員会に報告しなければならない。 |
判定の要旨 |
2245 引き延ばし
2249 その他使用者の態度
支部結成以来、数回団交が行なわれているが、支部要求に対して会社が回答らしい回答をしたのは1回のみで、その後は誠意ある団交を行なったとは認められず、また、業務多忙も、団交日時を変更する理由とはなりえても、団交に応じない正当な理由とはならない。
1302 就業上の差別
2900 非組合員の優遇
支部組合員と同じ仕事をしている本社工場従業員や請負工が連日深夜まで残業をしていることからみて、支部組合員に残業をさせるほどの仕事量がないとする会社主張は認め難く、一方、支部組合員の賃金のうち残業手当が1/3ないし1/2を占めている事情を考えると、会社の措置は支部組合員に動揺を与えるためになした支配介入行為である。
2613 使用者と取引関係者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3421 使用者と取引関係者の言動
3500 処分の時期
支部結成以来、労使紛争が続いている時期に、会社の労災関係事務を代行しているX2が突然支部書記長X3と接触をはかり、X3の恩師とともに同人を他の会社に就職させようとしたことは不自然であり、X2らが会社の依頼を受けて行動したものと認めるのが相当である。
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業種・規模 |
一般機械器具製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集43集532頁 |
評釈等情報 |
労働判例 1971年3月15日 119号 60頁 
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