概要情報
事件名 |
聯合紙器東京第一工場 |
事件番号 |
埼玉地労委昭和44年(不)第8号
|
申立人 |
聯合紙器労働組合 |
被申立人 |
聯合紙器 株式会社 |
命令年月日 |
昭和45年12月16日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
|
事件概要 |
争議中の組合員に対して、はがき等により争議行為非難、組合脱退を示唆し、争議終了後、組合役員ら8名を譴責、減給、出勤停止等の処分に付し、さらに同人らを配転して雑役等に従事させた事件で、支配介入の禁止、懲戒処分、配転の取消し、賃金相当額の支払い、原職復帰を命じ、陳謝文の新聞掲載については棄却した。 |
命令主文 |
主 文 1 被申立人会社は、申立人組合の行なう正当な争議行為を、文書等をもって不当に制約し、組合員に対し脱退を示唆するなどして、申立人組合の運営に支配介入してはならない。 2 被申立人会社は、申立人組合の組合員に対し、以下に掲げる正当な組合活動を理由に懲戒処分を行ない、申立人組合の運営に支配介入してはならない。 (イ) 組合ニュースを配布すること。 (ロ) 団体交渉のため、上部団体役員を会社構内へ立ち入らせること (ハ) 出勤停止の処分を受けた組合員が出勤停止期間中に組合事務所へ出入するため、構内を通行すること。 (ニ) 組合の正当な緊急連絡用務のため早退すること。 3 被申立人会社は、申立人組合の役員に対し、所定の業務に従事させず除草作業を命じ、あるいは屑締室に配転する等の不利益な処遇をすることによって、申立人組合の運営に支配介入してはならない。 4 被申立人会社は、別表記載の懲戒処分および配転を取消し、出勤停止の処分を受けた者には出勤停止期間中被処分者が受けるべきはずの賃金相当額を、減給処分を受けた者には、被処分者が本来受けるべきはずの賃金相当額と既支給額との差額を支払い、かつそれぞれ原職に復帰させなければならない。 5 申立人のその余の申立てを棄却する。 別 表 1 懲戒処分 (1) X1 昭和43年11月19日付 譴 責 同 年11月20日付出勤停止5日間 同 年11月26日付出勤停止3日間 同 年12月19日付 減 給 同 年12月21日付 減 給 同 年12月24日付出勤停止3日間 (2) X2 昭和43年11月19日付 譴 責 同 年11月20日付出勤停止5日間 (3) X3 昭和43年11月20日付出勤停止5日間 2 配転 (1) X1 昭和43年7月8日付 倉庫課製品係から同課発送係へ 昭和43年11月11日付 倉庫課発送係から屑締室へ 昭和44年8月27日付 屑締室から施設室へ (2) X2 昭和43年11月18日付 倉庫課平板係から屑締室へ |
判定の要旨 |
0200 宣伝活動
1400 制裁処分
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
合理化問題に関連して、労働加重を根拠にその実施に反対している組合が、組合ニュースに、その労働加重の故に「おれたちは殺されようとしている。」と表現したとしても、その一句を採って会社を中傷誹謗したものと判断することはできず、これを理由とした懲戒処分は支配介入行為である。
0201 就業時間中の組合活動(含職場離脱)
1400 制裁処分
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
組合役員X1は、会社課長と話合いの上、団交を行なうことを約し、団交が開催されることを信じて団交要員を招集したものであり、その点を質すことなく、団交が開催されなかった結果として、団交要員を数分間職場離脱させたことを理由に懲戒処分に付したことは支配介入行為である。
0201 就業時間中の組合活動(含職場離脱)
1400 制裁処分
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
組合役員X1が、緊急な組合用務で至急本部の指示をうける必要が生じたが、会社電話の使用を拒否され、外出も認められなかったため、やむなく休暇届を出して職場を離れたもので、不法な職場離脱とみることはできず、これを理由とした懲戒処分は支配介入行為である。
1300 転勤・配転
1302 就業上の差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
申立組合役員を、組合活動が困難な職場、劣悪な作業環境の職場等へ配転し、雑役等に従事させたことは、いずれもスト終了直後の組合員と他の従業員との感情的離反を理由にしていることからみて、明らかに申立組合役員であるための不利益取扱いである。
2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
会社のはがきまたは手紙の内容には、組合要求に対する会社見解という範囲を超え、組合幹部を非難し、組合員のスト破りを示唆し、スト即ち会社をつぶすものと誇張し、上部団体加盟は組合員の意思を無視するものである等の表現がみられ、明らかに会社に許された言論の自由を超えた支配介入行為である。
1400 制裁処分
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
3020 組合活動への制約
会社が、組合の上部団体役員の会社構内入構について何らの理由も明示しないまま拒否したことは不当であり、上部団体役員の入構を援助したことを理由とした組合役員の出勤停止処分は支配介入行為である。
1400 制裁処分
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
3020 組合活動への制約
組合員が、組合事務所に出入りするために会社構内に入構することは当然認められ、会社は、特別の事情がない限りこれを拒否し得ないものであるところ、出勤停止中であることを理由に入構を拒否したことは不当であり、これを理由として、さらに出勤停止処分としたことは支配介入行為である。
4615 P.Nを認めないことに理由を付した例
申立人組合は、陳謝文の掲示ならびに新聞広告を求めているが、諸般の事情を斟酌すれば主文のとおりの救済をもって十分と考えられる。
|
業種・規模 |
パルプ・紙・紙加工品製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集43集495頁 |
評釈等情報 |
労働判例 1970年11月1日 110号 58頁 
|