労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  ことぶきタクシー 
事件番号  徳島地労委昭和44年(不)第19号 
申立人  徳島県自動車交通労働組合 
被申立人  有限会社 ことぶきタクシー 
命令年月日  昭和45年10月21日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  組合を結成したところ、慣行となっていた賃金前払い制を停止したり車両割当てにおいて組合員を差別し、また団交の場として会社施設の利用を拒み、さらに組合分会長を交通事故の不申告などを理由に解雇した事件で、原職復帰、バックペイおよび陳謝文の手交を命じ、他は棄却した。 
命令主文  主         文
1 被申立人は、申立人組合員X1の解雇を取消し、原職に復帰させ、解雇の日から原職に復帰するまでの間に、同人が受けるはずであった諸給与相当額の金員を支払わなければならない。
2 被申立人は、申立人に対し、本命令交付の日から15日以内に、下記陳謝文を手交しなければならない。
3 申立人の本件申立て中、被申立人の会社閉鎖に関する発言当時の状況ならびに賃金前借りに関する部分は、これを却下する。
4 申立人のその余の申立ては、これを棄却する。
              記
                     年  月  日
 徳島県自動車交通労働組合
  執行委員長 X2  殿
                有限会社ことぶきタクシー
                 代表取締役 Y1
 会社は、団体交渉場所として、会社施設の使用を正当な理由もなく拒否したり、昭和45年のいわゆる春闘における賃上げ交渉において、他の組合を利用して貴組合を牽制すること等の方法によって、貴組合の運営に支配介入したことを認め、ここに陳謝します。 
判定の要旨  0700 職場規律違反
交通事故の不申告というX1の行為は非難さるべきものであるが、事故発生後20日余の間、X2の処分については、何ら意思表示しておらず、積極的な事実調査を行なった疎明もなく、X2がかかる事態を招来したことについては情状酌量されてしかるべきものがあるにもかかわらず、極刑にもひとしい解雇としたことは当を得ない。

1302 就業上の差別
2900 非組合員の優遇
新車割当に関しては、前記認定のような慣行が存在しこれによって会社の秩序が形成されている以上、これを変更するにはそれ相応の合理的理由がなければなし得ないものと解すべきところ、当時の会社にはかかる事情は認められない。

1302 就業上の差別
2900 非組合員の優遇
事故処理の実態を知るのは組合員の将来にとって有益であり、またこの間組合員は非組合員の事故についても自発的に会社に協力していることからみて、会社が事故処理について申立人組合員らをもってこれにあたらせたことが、差別扱いする意図を有していたとは断定しえない。

2800 各種便宜供与の廃止・拒否
3106 その他の行為
団交に伴う経費負担方法や団交場所について非常識な提案をなして組合員を物心両面にわたって圧迫し、一方別組合とは会社構内で交渉をもっており、これらの会社の行為は申立人組合に対する支配介入行為である。

3104 別組合利用・別組合員宅訪問
団交前日に要求も出していない別組合にみずから賃上げ額を提案して外見上の協定を結び、申立人組合の賃上げ交渉を圧迫する行為は、別組合を利用して申立人組合の要求に対し牽制を行なったものであり支配介入行為にあたる。

4100 退職届けの提出
4302 組合員資格喪失者(含組合脱退・死亡)
申立人組合としては、X3が会社に退職願を提出したことを知りながら黙視していたのであるから、組合活動としてこれに取り組む意思を放棄していたものと認めざるを得ないので、本件はその余のことを論ずるまでもなく救済の必要がない。

4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
会社はその後これを反省し、差別扱いもすでに慣行どおりに回復しており、将来かかる事態が再発するおそれもないと考えられるので、これについての救済は必要がない。

4825 その他
前記認定事実は申立人組合結成以前に行なわれたものであって、申立人組合に対してなされたものでないことが明らかであるから、申立人組合は当事者適格を有しない。

業種・規模  道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) 
掲載文献  不当労働行為事件命令集43集367頁 
評釈等情報  労働判例 1971年1月15日  115号 61頁 

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