概要情報
事件名 |
苫小牧道蓮タクシー |
事件番号 |
北海道地労委昭和45年(不)第5号
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申立人 |
X1 |
申立人 |
道蓮タクシー労働組合 |
被申立人 |
苫小牧道蓮タクシー 株式会社 |
命令年月日 |
昭和45年10月17日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
組合の解散工作や御用化を画策するなど組合運営に介入し、また組合の再建を企図した組合員を突然解雇した事件で、原職復帰、バックペイ、支配介入の禁止およびポストノーティスを命じた。 |
命令主文 |
主 文 1 被申立人は、申立人X1に対し、昭和45年1月28日付けをもってなした解雇を撤回し、原職に復帰させるとともに、解雇から原職に復帰するまでの間同人が受けるはずであった賃金相当額を支払わなければならない。 2 被申立人は、申立人の組合員に対し、組合の解散工作をしたり、組合の御用化を要求するなどして組合の運営に支配介入してはならない。 3 被申立人は、下記陳謝文を横2メートル、縦1メートルの木製厚板に楷書をもって墨書し、命令交付の日から2日以内に会社事務所入口の見易い場所に1週間にわたって掲示しなければならない。 記 陳 謝 文 会社は、貴組合の組合員X1に対し、昭和45年1月28日付けをもってなした解雇およびX1ら組合員に対してなした組合解散工作、組合御用化勧奨などの行為は、いずれも労働組合法第7条第1号および第3号に該当する不当労働行為であったことを北海道地方労働委員会の命令により認め、ここに深く陳謝の意を表し、今後再びこのような行為をくり返さないことを誓います。 昭和 年 月 日(命令交付日) 道蓮タクシー労働組合 執行委員長 X1 殿 苫小牧道蓮タクシー株式会社 代表取締役 Y1 |
判定の要旨 |
1107 その他
3601 処分の程度
3700 使用者の認識・嫌悪
かりに処分理由とされた不穏当な発言(会社がつぶれてもよいという趣旨の発言)があったとしても、組合の存続についてX1から一言の弁明も徴することをしないで社長が解雇を決定し、翌日解雇の申渡しをなさしめたのは、X1の組合存続活動を嫌悪したことによるものと判断される。
1107 その他
組合が社長の組合嫌悪を知っていて会社の妨害、切り崩しをひどく警戒し続けていたことを考慮すると、組合が解散したと社長に通告し、組合存続の運動を開始したからといって、申立人の言動に表裏があるとして解雇処分に相当する不当な行為だとすることはできない。
2610 職制上の地位にある者の言動
2801 団体運営に関する補助金支給
社長が他企業の組合のない労使関係に強い関心をあらわしていることを考えると、社長が組合の存在を嫌悪し、組合のない労使関係の回復を願望して、X1に利をもって解散工作を求め、相手がこれに応ぜぬとみてその御用化を求めたものと推認できる。
3106 その他の行為
組合大会への社長の出席については前もって三役が了承していることであり、別に介入行為ではない。
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業種・規模 |
道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集43集356頁 |
評釈等情報 |
労働判例 1971年1月15日 115号 60頁 
労働判例 1971年2月1日 116号 91頁 
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