労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  宇部交通 
事件番号  山口地労委昭和44年(不)第7号 
申立人  宇部自動車交通労働組合 
申立人  全国自動車交通労働組合山口地方連合会 
被申立人  宇部交通 株式会社 
命令年月日  昭和45年 9月14日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  労働基準法違反事実の申告を理由とする差別ダイヤの実施と、新ダイヤでの就労延引をめぐる事件で、新ダイヤと差別ダイヤの差額の支給を命じ、ポストノーティスは棄却した。 
命令主文  主       文
1 被申立人は、別紙2の申立人組合員各人に対し、同人等が昭和44年11月2日以降乗務した勤務ダイヤ(以下「新ダイヤ」という。)に同人等が同年9月1日に遡って乗務していたら得たであろう諸給与相当額を下記により支給しなければならない。
              記
(1) 昭和44年9月1日より3日まで、および9月5日より24日までの23日間、申立人組合員各人が新ダイヤによって乗務していたら得たであろう諸給与相当額から同人等が9月分諸給与として受領済みの金額を差し引いた額。ただし、申立人組合員のうち9月1日から3日までの間乗務しなかった者については、乗務しなかった日数を前記日数から除外すること。
(2) 10月3日より同31日いたるまでの間のうち、10月19日を除いた28日間申立人組合員が新ダイヤによって乗務していたら得たであろう諸給与相当額。
 以上の申立人組合員が新ダイヤに乗務していたら得たであろう諸給与相当額の計算基礎額は、被申立人が昭和44年11月分給与として申立人組合員各人に支給した金額とし、家族手当および精勤手当を除いて日割計算するものとする。
ただし、9・10月分の家族手当については、全額支給するものとする。
2 申立人のその余の申立てを棄却する。 
判定の要旨  1302 就業上の差別
労働基準法違反事実の申告という正当な組合活動を理由に、別組合に実施した新ダイヤに比して、賃金面で不利益な差別ダイヤを実施したことは、申立組合の正当な組合活動を敵視し、報復的になした不利益取扱いおよび組合の運営に対する支配介入行為であると判断する。

2901 組合無視
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
申立組合の新ダイヤでの就労要求に対し、会社が次々と就労条件を提案し、組合が不当な就労条件を了承しないことに藉口して、差別ダイヤでの就労を強制し、新ダイヤによる就労を延引させた行為は、経済的打撃を与えることによって組織の弱体化をはかった支配介入行為と判断せざるを得ない。

4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
差別ダイヤの実施と就労拒否は、会社の不当労働行為であるから、その間のバックペイに関しては被救済利益はあるが、不当な措置の撤回を求めてストを行なうか否かは組合の自由であるし、スト中の賃金を失なうことは本件と関係なく、したがってスト期間中の賃金については被救済利益はない。

業種・規模  道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) 
掲載文献  不当労働行為事件命令集43集266頁 
評釈等情報  労働判例 1970年12月 1日  112号 28頁 

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