概要情報
事件名 |
聯合紙器清水工場 |
事件番号 |
静岡地労委昭和43年(不)第11号
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申立人 |
聯合紙器労働組合 |
被申立人 |
聯合紙器 株式会社 |
命令年月日 |
昭和45年 8月28日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
組合支部長X1に対する一方的な職種変更・配転、職場委員長X2に対する下請会社への出向命令、外部支援団体員の入門阻止、ビラ配布場所の変更申入れ、争議中のハガキによる組合幹部批判、外部からの組合支部に対する電話取りつぎの禁止等をめぐる事件で、X1の原職復帰、支配介入の禁止、ポストノーティスを命じ、ビラ配布場所の変更、ハガキによる組合幹部批判、外部からの電話取りつぎについては棄却した。 |
命令主文 |
主 文 1 被申立人は、X1を施設電気係の原職に復帰させなければならない。 2 被申立人は、聯合紙器労働組合の行なう組合活動を不当に制約し、組合の運営に支配介入してはならない。 3 被申立人は、この命令書交付の日から15日以内に、縦90センチメートル、横 150センチメートル以上の木板に次の文書を楷書で墨書し、これを被申立人の清水工場の従業員の見やすい場所に7日間以上掲示しなければならない。 誓 約 書 会社は、聯合紙器労働組合に対してとった会社の措置のうち、次のような行為が聯合紙器労働組合ならびに聯合紙器労働組合清水支部に対する支配介入であり、法の禁止する不当労働行為であったことを認める。 (1) 聯合紙器労働組合組合員X2を草薙段ボール株式会社に出向させたこと、聯合紙器労働組合組合員X1を倉庫課発送係へ配転し、さらに施設係スノコ直し作業へ配転したこと。 (2) 上部団体役員などの組合集会への出席を禁止したこと。 今後、会社は、かかる支配介入は一切行なわれないことを誓約いたします。 昭和 年 月 日 聯合紙器株式会社代表取締役名 聯合紙器株式会社清水工場長名 聯合紙器労働組合 中央執行委員長 X3 殿 聯合紙器労働組合清水支部 支部長 X1 殿 4 被申立人は、上記命令履行後、すみやかにその履行状況を当委員会に報告しなければならない。 5 申立人のその余の申立を棄却する。 |
判定の要旨 |
1300 転勤・配転
1302 就業上の差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
X1が再配転を命じられた施設係での職務は、屋外でスノコを修繕する全く単純な作業で、入社13年の経歴をもつ正規従業員の仕事ではなく、組合支部長であるX1を従業員から孤立させ、劣悪な労働環境におくことで、同人の退職を期待した不利益扱いであり、組合に対する支配介入であると判断する。
2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
社長名で従業員宛に郵送したハガキの内容に、多少穏当を欠く点は認められるが、26波にわたるストライキの最中に、実力行使の中止を要請したものであることを考慮すれば、この程度の内容が、直ちに組合活動を阻害する働きをもつものとは考えられず、不当労働行為の成立は認められない。
1302 就業上の差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
入社以来一貫して作業職として勤務してきたX1を、一方的に事務職に職種変更し、倉庫課に配転を命じたことは、当時支部長として組合活動の指導者であった同人を、組合員との接触、連絡がほとんど不可能な職場に配転し、同人の組合活動を妨げるためになしたものと判断せざるを得ない。
1302 就業上の差別
1603 組合活動上の不利益
X2の出向先での職務は、会社の技術指導ないし多能工として出向を命じたとの理由に相反するものであり、反面、当時X2がS営業所で職場委員長として組合活動を活発に行なっていたことからみて、会社が同人を組合員から切り離すことによって組合を切り崩すために出向を命じたものと認められる。
3020 組合活動への制約
組合大会の会場である食堂は、事業所から離れた位置に所在する独立した建物であり、正門の近くにあることから、盗難その他の事故防止、企業機密保持を理由に、組合大会に参加する支援団体員の入門を阻止することは、組合活動を制約する支配介入行為である。
3020 組合活動への制約
ビラ配布場所について、会社が、交通安全確保の面からタイムカード室前から正門外に変更申入れを行なったとしても、ビラ配布について特に不都合になる事情が認められない以上、会社のとった行為は不当労働行為を構成するものとはいえない。
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業種・規模 |
パルプ・紙・紙加工品製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集43集223頁 |
評釈等情報 |
労働判例 1970年10月15日 109号 29頁 
労働判例 1970年11月 1日 110号 54頁 
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