労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  聯合紙器 
事件番号  大阪地労委昭和43年(不)第12号 
申立人  聯合紙器労働組合 
被申立人  聯合紙器 株式会社 
命令年月日  昭和45年 8月28日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  会社が、職制を通じて各営業所の組合役員、組合員に聯労脱退を勧奨、支部長X1に長期出張・配転を命じ、支部執行委員X2を製造課から倉庫課に配転し、「屑係」と明記した腕章の着用を強要したことをめぐる事件で、X2の配転取消し・原職復帰、ポストノーティスを命じ、陳謝文の新聞掲載については棄却した。 
命令主文  主        文
1 被申立人は、X2に対する昭和42年12月 1日づけ製造課仕上受取係への配転転換および昭和44年 2月 1日づけ倉庫課加工屑締係への配置転換を取消し原職の製造課貼合元番係に復帰させなければならない。
2 被申立人は縦3メートル、横2メートルの白色木板に、下記のとおり墨書して、被申立人会社本社および長野、前橋、名古屋、小倉各営業所正門付近の従業員の見やすい場所に、1週間掲示しなければならない。
               記
                 昭和  年  月  日
聯合紙器労働組合
 中央執行委員長 X3 殿
              聯合紙器株式会社
               代表取締役 Y1
 当社は、下記の行為を行なったことは、労働組合法第7条第1号および第3号に該当する不当労働行為であったことを認め、ここに陳謝するとともに、今後このような行為を繰返さないことを誓約します。
 1 長野営業所において、聯合紙器労働組合長野支部長X1氏に組合脱退を勧奨し、長期間の出張を命じ、かつ配置転換した行為。
 1 前橋営業所において、聯合紙器労働組合前橋支部組合員X4氏に、組合脱退を勧奨した行為。
 1 名古屋営業所において、聯合紙器労働組合名古屋支部組合員X5氏に、組合脱退を勧奨した行為。
 1 小倉営業所において、聯合紙器労働組合小倉支部組合員X1氏に、組合脱退を勧奨した行為および同支部執行委員X2氏を配置転換し、かつ「屑係」と明記した腕章の着用を強要した行為。
以上大阪府地方労働委員会の命令により掲示します。
3 申立人のその他の申立ては、これを棄却する。 
判定の要旨  1300 転勤・配転
会社が、技術を必要とせず、かつ減収を伴う仕上受取係へ配転を命じたことは、聯労支部役員としての積極的な活動を嫌悪して、新鋭機導入に伴う異動に便乗してなした不利益扱いであると言わざるを得ない。

1300 転勤・配転
3500 処分の時期
会社が、聯労支部役員X2を配転後2ヵ月たらずで加工屑締係に再配転を命じたことは、会社聯労間の対立が尖鋭化している時期になされていること、同係には聯労支部長が配転されていることなどからみて、省力化投資に伴う異動に便乗して、聯労の弱体化を目的としてなした不利益扱いと判断される。

2620 反組合的言動
2803 その他
会社がタクシーチケットを副組長Y2に手渡し、Y2が聯労組合員X3に聯労脱退を勧奨したのち、X3にチケットを与えている一連の事実からみて、Y2のX3に対する言動は会社の意を受けてなされたもので、チケットはY2の聯労組合員に対する脱退工作を容易ならしめるために便宜を与えたものと推認される。

1300 転勤・配転
1302 就業上の差別
1302 就業上の差別
3500 処分の時期
支部長X1に長期出張を命じ、帰任後直ちに営業所外の倉庫係に配転を命じた行為は、当時聯労分裂の動きが活発化し、同支部でも微妙な情勢にあったことからみて、支部の中心人物である同人を、組合員から隔離することで同人の組合活動を制限し、支部組織の弱体化を意図した支配介入行為である。

1602 精神・生活上の不利益
会社が、X2の屑締係就労に際し、所属係名「屑係」と略称し、これを明記した腕章の着用を執ように強制した行為は、腕章着用の必要性が認められず、かつ前例のないことを考えあわせると同人の組合活動を嫌悪し、みせしめないしは嫌がらせの意図をもってなされたと推認せざるを得ない。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
Y3課長が、新労を脱退し聯労に復帰したX4と酒食をともにした際に、1年間配転しないことを条件に新労復帰を求めた行為は、激減した聯労組合員が増加に転じた時期であることからみて、聯労組織の回復を妨げるためになされたと推認され、職制の立場を利用した支配介入といわざるを得ない。

2610 職制上の地位にある者の言動
3411 その他の従業員の言動
休暇中の副組長が、就業中の聯労組合員X5を呼び出し、新労加入を勧めた言動は、X5の上司と連絡の上行なっていること、処分が聯労の抗議によってなされたことなどからみて、両組長が会社の意を体してなした支配介入行為と言わざるを得ない。

2613 使用者と取引関係者の言動
2620 反組合的言動
3421 使用者と取引関係者の言動
新労を脱退し聯労に復帰したに対し、同人の従兄にあたり、M営業所の下請企業であるM工業社長が、新労復帰を要望した言動は、Y4所長が聯労弱体化を企図し、社長を通じて聯労脱退の説得を行なったものというべきで、不当労働行為に該当する。

業種・規模  パルプ・紙・紙加工品製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集43集206頁 
評釈等情報  労働判例 1970年10月15日  109号 30頁 

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