労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  三立検品 
事件番号  東京地労委昭和43年(不)第19号 
東京地労委昭和44年(不)第32号 
申立人  東京出版印刷製本産業労働組合 
申立人  X1 外1名 
被申立人  三立検品 有限会社 
命令年月日  昭和45年 8月18日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  組合員2名を新設作業所へ、次いで元の職場へと次々に配転し、また両名に対し、年末一時金を支給しなかったことなどをめぐる事件で 両名の就労場所、作業内容、両名に対する年末一時金支給についての団交開催、陳謝文手交等を命じた。 
命令主文  主     文
1 被申立人三立検品有限会社は、申立人東京出版印刷製本産業労働組合と、つぎの事項について誠実に団体交渉を行なわなければならない。
               記
(1) 申立人X1および同X2両名の就労場所および作業内容について
(2) 両名に対する昭和43年年末一時金の支給について
2 被申立人会社は、申立人組合並びに申立人X1、X2の両名に対して、本命令交付の日から7日以内に、つぎの文書1通づつを内容証明郵便で送付しなければならない。
               記
 当社が、X1およびX2の両氏を含む貴組合の組合員を他の従業員から隔離して就労させたこと、両氏を坂下工場から志木作業所へ、ついで志木作業所から坂下工場へとつぎつぎに配置転換し、その間同氏らに通勤、労働条件で苦痛を与えたこと、志木作業所閉鎖後、両氏に自宅待機を命じたこと、両氏を坂下工場に復職させた後、再び出張作業に従事させたことおよび両氏を昭和43年年末一時金の支給について適切な処置を講じなかったことは、不当労働行為であると東京都地方労働委員会において認定されました。ここに深く陳謝の意を表するともに、今後このような行為は致しません。なお、X1、X2両氏の就労場所とおよび作業内容並びに両氏に対する昭和43年年末一時金の支給について、東京都地方労働委員会の命令により団体交渉を行ないます。
 この旨、同委員会の命令により通知します。
   昭和 年 月 日
                                                三立検品有限会社
               代表取締役  Y1
 東京都出版印刷製本産業労働組合
 執行委員長  X3殿
        X4殿
        X2殿
  (注、年月日は送付の日を記載すること)
3 被申立人会社は、前項の命令を履行したときは、遅滞なくその郵便の写を添えて履行の状況を文書で当委員会に報告しなければならない。 
判定の要旨  1201 支払い遅延・給付差別
申立人らは、特段の事情がなければ従来の慣行からみて、年末一時金を受けることができるのに、同人らに対して支給されていないことは、労組法第7条に該当する。

1302 就業上の差別
組合残留者2名を新設作業所へ配転して他の従業員から隔離したことは、作業所新設の必要性があったとは認められないことからみて、他の従業員と切り離し、労働条件等で苦痛を与えることにより自発退職に追いやろうとしたものと認められる。

4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
会社は、被配転者を原職に戻したから、事件は解決したと主張するが、原職に戻す前に非組合員である他の従業員全員を業務とともに別会社に委譲しており、したがって、同人らは就労できずにいるから、原職に戻したとの会社主張は採用できない。

4420 団交を命じた例
不利益取扱いに対する救済方法として、会社の実情を考えれば、不利益の是正についての団交開催を命ずることを妥当とする。

業種・規模  出版・印刷・同関連産業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集43集172頁 
評釈等情報   

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