概要情報
事件名 |
七十七銀行 |
事件番号 |
宮城地労委昭和36年(不)第5号
宮城地労委昭和37年(不)第2号
宮城地労委昭和37年(不)第5号
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申立人 |
七十七銀行従業員組合 |
被申立人 |
株式会社 七十七銀行 |
命令年月日 |
昭和45年 7月28日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
組合分裂直後の銀行の新労援助、旧労に対する組合脱退勧奨、団交拒否、その他かずかずの組合間の差別扱いをめぐる事件で、支配介入と団交拒否の禁止、陳謝文の手交を命じ、 新労との協約破棄、ポストノーティス等については棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、その職制を通じて申立人組合の組合員に対して申立人組合を脱退して七十七銀行労働組合に加入するようにすすめ、七十七銀行労働組合に経理上の援助を与えて、申立人組合に対し支配介入を行なってはならない。また、被申立人は、年次有給休暇において従組員と労組員との間に差別扱いを行ない、組合専従の取扱いにおいて労組と差別して職場復帰を求めず、さらに労働委員会に出頭する証人の取扱いについて、申立人組合の申請であるという理由にもとづき労組との間に差別扱いを行ない、よって、申立人組合の運営に対し支配介入を行なってはならない。 2 被申立人は、申立人組合が少数組合であること、あるいは申立人組合の委任をうけた第三者が団体交渉に参加していることを理由として、申立人組合との団体交渉を拒否してはならない。 3 被申立人は、本命令交付の日から7日以内に、下記事項を記載した陳謝文を申立人組合に手交しなければならない。 陳 謝 文 当銀行が貴組合の組合員に対し、貴組合から脱退して七十七銀行労働組合に加入するようにすすめ、七十七銀行労働組合に経理上の援助を行なうことにより支配介入し、正当な理由がないのに団体交渉を拒否し, さらに年次有給休暇、組合専従の人事異動および労働委員会に出頭する証人の取扱いについて七十七銀行労働組合またはその所属組合員との間に差別扱いをしたことについて陳謝するとともに、今後このような行為をくり返さないことを誓約する。 年 月 日 株式会社 七十七銀行 代表取締役 Y1 七十七銀行従業員組合 中央執行委員長 X1 殿 4 申立人のその余の申立は、これを棄却する。 5 被申立人は、第1項ないし第3項の命令を履行した後は、履行した旨すみやかに当委員会に報告しなければならない。 |
判定の要旨 |
2123 その他交渉出席者
過去の団交中の不穏当な言動を理由に、上部団体役員の交渉参加を拒否したことは、組合分裂という異常事態のなかで発生したことであり、この一事をとらえて上部団体役員の交渉不参加を団交開催の要件としたことには正当理由がない。
2110 少数組合
労組法第17条の規定の効果をもって、少数労働者の組織する組合との団交を拒否する正当の理由ありとすることはできない。
2245 引き延ばし
組合分裂後、銀行は旧労からの団交申入れに対し、業務多忙あるいは交渉メンバー不在等を理由にこれを拒否しているが、業務多忙であるなら別の日を提案するなど、団交がもてるよう努力すべきなのに、そのあともないことからみて、団交を拒否するに正当な理由があったとは認められない。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
( 岩沼支店 )支店長の女子組合員宅訪問は、縁談をすすめに行ったというが、従前の交際からみて極めて不自然であり、組合分裂に際して新労へ加入させる意図で組合関係の話をしたものと認められる。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
( 江名支店 )結婚披露後、帰宅途中の車中において、支店長が旧労組員に組合脱退をすすめたことは、披露宴でかなりの酒量を過ごして開放感をもった人間の言動としてやむを得ない面もあり、支配介入行為とまで断定することは早計である。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
( 東京支店 )職制である調査役が、支店長代理の旧労組員に対する組合脱退勧奨の席に同席していたことからみて、就業時間中のこのような行為を容認したものというべく、支配介入行為であるとみるのが相当である。
2500 別組合の結成・援助
( 盛岡支店 )支店長宅の異常な電話使用状況からみて、反執行部派の会合に支店長宅が使用されたと認められ、このような便宜供与は旧労に対する支配介入行為となる。
2500 別組合の結成・援助
( 盛岡支店 )組合分裂直後、新労組合員が使用した旅館代を銀行が支払ったことは、支店長が事情を知りながら支払ったものと認められるから、新労に経理上の援助をして旧労に支配介入したものと認められる。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
( 中村支店 )支店次長が、就業時間中に旧労組員に対し組合脱退をすすめたことは,極めて配慮に欠ける行為であるが、支店長が承認したとする疎明がなく、支配介入行為と断定することはできない。
2500 別組合の結成・援助
組合分裂後、新労に対してのみ秘扱いの新規採用予定者名簿を貸与したことは、慎重を欠く行為であるが、両組合から同時期に貸与の申出があったのに、新労に対してのみ貸与したのであれば格別、本件は新労から申出があっただけであるから、不当労働行為と断ずるわけにはいかない。
3020 組合活動への制約
労働委員会に証人として出頭することは、申請者の如何を問わず労働基準法にいう公の職務の執行にあたるから、組合申請証人に対してのみ、これを不利益に扱うことは、組合に対する支配介入行為となる。
2900 非組合員の優遇
旧労組員にのみ年休を承認しなかったことは、たとえ争議中であっても、争議行為に使う目的で請求したのならともかく、そうでないことが明白な場合は、組合間の差別取扱いとして、旧労に対する支配介入行為といわざる得ない。
2900 非組合員の優遇
( 岩沼支店 )支店長が、旧労組員にのみお歳暮を贈らなかったことは、一部感違いによるものもあり、もともとこの種のことは私的な立場において行なわれるものであることから、これを組合間の差別扱いとまで言うことはできない。
2900 非組合員の優遇
( 東京支店 )労働基準法が、労働者の健康で文化的生活を保障するため使用者が時間外労働をさせることに制限を設けている趣旨からみて、特に不利益を課したとの立証がない限り、旧労組員のみ時間外労働をさせなかったことをもって、旧労の弱体化を意図したものと断ずることはできない。
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
旧労の組合専従者に対する職場復帰の発令を拒否したことは、新労に対する取扱いからみて、旧労に対する支配介入行為といわなければならない。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
( 中村支店 )支店次長が、旧労組員に対し組合脱退をすすめたことは、はじめ支店長も同席していたことからみて、銀行の責任である。
2611 その他の従業員の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
( 岩沼支店 )支店長代理が、旧労組員に組合脱退を勧奨する手紙を出したことは、手紙の内容からみて銀行の経営を考慮してなされた疑いもあるが、同人の職制上の地位からみて、新労組員としての行為とみるほかない。
2611 その他の従業員の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3411 その他の従業員の言動
( 相馬原支店 )支店次長が、市内料亭に旧労組員を招き、支店長の意を受けていることを示して組合脱退をすすめたことは、その場の発言のなかには信用できないものもあり、支店長はこれを否定していることからみて、新労組員としての言動と認めるにとどめるべきである。
4600 対抗的団体に対する措置(解散・団交禁止・協定破棄・経費援助の停止等)に触れた例
新労は、その結成過程で銀行側の援助を受けた事実はあるが、御用組合であるとまで認定することはできないから、新労と銀行との間で締結されたユニオン・ショップ条項の破棄を求める旧労の主張は容認できない。
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業種・規模 |
金融業、保険業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集43集77頁 |
評釈等情報 |
 
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