労働委員会命令データベース

[命令一覧に戻る]
概要情報
事件名  三菱重工業 
事件番号  長崎地労委昭和41年(不)第13号 
申立人  全日本造船機械労働組合三菱重工支部長崎造船分会 
被申立人  三菱重工業 株式会社 
命令年月日  昭和45年 3月10日 
命令区分  棄却(命令主文が棄却のみ又は棄却と却下) 
重要度   
事件概要  ベトナム反戦のプラカードを持って就業時間中職場を巡回した少数組の組合員を減給処分とし、組合新聞等で職制批判や会社・別組合非難等をしたことを理由として出勤停止等の処分をしたこと、処分撤回要求の団交に応じないこと等が問題となった事件で、いずれも棄却した。 
命令主文  本件申立てを棄却する。 
判定の要旨  0120 政治(党)活動
社研ニュースで会社と別組合を批判したことを理由としたX1の出勤停止処分については、同ニュースは分会の一部組合員で組織した政治組織で出しているもので労働組合の行為に該当しないことは明白であるから規則34条1項5号により却下するのが適当である。

0120 政治(党)活動
0201 就業時間中の組合活動(含職場離脱)
日韓条約批准阻止、ベトナム反戦のためのスト権確立の教宣活動を就業時間中に職場内で行なったことは、たとえ組合指令に基づくものであっても、指令そのものが合理化反対のためのスト権に基づくものであるから、その目的と手段において正当性を欠くものといわざるをえない。

0120 政治(党)活動
0203 職場闘争と業務妨害
就業時間中、作業現場をベトナム反戦等のプラカードを持って巡回すれば、おのずから周囲の注目を引くことは明白であって、上長の注意制止を無視して続行したことは安全上きわめて危険であり、かつ会社の生産を阻害するものであって、とうてい許されず、これに対する減給処分は正当である。

0200 宣伝活動
0208 暴力・不穏当な言動を伴った組合活動
1400 制裁処分
職場新聞で別組合役員が会社から金員をもらっているとの記事を事前調査もなさずに発表したことは軽卒と言うだけではすまされず、職制の注意も無視していることも考慮すると、発行責任者Uを10日間の出勤停止処分にしたことは妥当と判断される。

0208 暴力・不穏当な言動を伴った組合活動
1400 制裁処分
一時金交渉が会社と別組合とのなれあいだとの壁新聞を掲示したことを理由とした分会員6名のけん責処分は、なれあいだと主張する根拠がなくなった後も約4日間にわたって掲示したことが不当である以上、これを不当労働行為と認めることはできない。

0200 宣伝活動
0208 暴力・不穏当な言動を伴った組合活動
1400 制裁処分
職場新聞で会社職制をひぼうしたことを理由に分会員4名を出勤停止等の懲戒処分に付したことは、同記事がことさら侮べつ的な言辞を用い、会社ならびに役付工に対する不信感を煽動し、職場に無用の混乱を招くことになりかねないものと認められるので、不当労働行為ではない。

0201 就業時間中の組合活動(含職場離脱)
1400 制裁処分
組合復帰届を記入するため無断で職場を離脱したことを理由にX2ら2名をけん責処分にしても、職場を離れるについては職制の許可を要すること社会通念上当然であり、就業規則上も規定があり、日常指導していたことでもあるので、やむをえない処分と判断され、支配介入には該当しない。

2301 人事事項
懲戒処分を不当労働行為でないと判定した以上、処分撤回のための団交開催を命ずる必要はない。

業種・規模  輸送用機械器具製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集42集460頁 
評釈等情報  労働経済判例速報 昭和45年6月20日  712号(21巻16号) 8頁 
季刊労働法 竹下英男 昭和45年9月 20巻3号  151頁 

[先頭に戻る]