労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  名士バス 
事件番号  北海道地労委昭和44年(不)第18号 
申立人  私鉄総連北海道地方労働組合名士バス支部 
被申立人  名士バス 株式会社 
命令年月日  昭和45年 4月28日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  休憩室貸与、担当車および勤務割当てにおいて別組合と差別し、団交を拒否し、さらに組合執行委員、青年部長をつとめる運転手X1に下車勤務を命じた事件で、差別扱いの禁止、X1に対する下車勤務中失なった賃金相当額の支払い、同人に対する担当車割当てを命じ、団交については棄却した。 
命令主文  1. 被申立会社は、すみやかに、申立組合運転手のため別に休憩室を設けるか、または二室ある女子車掌用休憩室を一室にするなどして申立組合員と名士バス新労働組合員とを公平に扱わなければならない。
2. 被申立会社は、貸切り旅客運送に勤務する運転手の配置について申立組合員を差別扱いしてはならない。
3. 被申立会社は、申立組合員X1運転手が下車勤務中失なった賃金相当額を同人に支払い、同人に担当車を割当てなければならない。
4. その余の申立を棄却する。 
判定の要旨  1302 就業上の差別
貸切り運送に関する乗務割当てについて組合間に差異が生じたのは、申立人組合員が事故をおこしたとか、新労の要望で両組合員がペアで乗務することを避けたことによるというが、いずれも首肯するにたらず、貸切り運送が運転手の栄誉であるばかりでなく増収にもなることからみて、不当労働行為といわざるをえない。

1302 就業上の差別
組合役員X1の下車勤務命令は、その原因である車両故障が同人のみの責任とはいい切れず、また、故障の際のX1の措置が不適切で再教育の必要もあったというが、実際には除雪作業に従事させており、いずれからみても合理性に欠け、同人の組合活動を嫌悪してなしたものといわざるをえない。

2212 交渉の場所・時間
団体交渉の当事者である会社常務が健康をそこねているため、会社が夜間の団交を拒否したことは正当であって不当労働行為とはいえない。

2900 非組合員の優遇
車掌、運転手の休憩室について、組合分裂後女子のみ組合別に分離したことは、両組合の勢力関係が女子は申立人組合が、男子は新労が大多数であること、対立関係をみても、男子の方がより根強い組合対立があったことなどからみて、両組織に対する公平を欠いた差別扱いである。

3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
3411 その他の従業員の言動
本件X1の下車勤務は別組合員である下級職制の決定したことで、組合間の対抗関係にでたものともみられるが、仮りにそうであっても、会社の移譲した権限に基づく以上、会社の責任と認めざるをえない。

業種・規模  道路旅客運送業(バス専業) 
掲載文献  不当労働行為事件命令集42集293頁 
評釈等情報  労働判例 1970年 7月 1日  102号 28頁 
労働判例 1970年 7月15日  103号 58頁 

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