労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  七十七銀行 
事件番号  宮城地労委昭和37年(不)第6号 
申立人  七十七銀行従業員組合 
被申立人  株式会社 七十七銀行 
命令年月日  昭和45年 3月31日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  安保反対国民会議主催の政暴法反対統一行動参加の過程で組合が分裂し、組織防衛闘争を行なったところ、使用者は違法な政治ストを行ない、また闘争中違法な行為があったとして、組合三役ら7名を懲戒解雇、他の役員8名を降格、減給、昇給停止等の処分に付した事件で、処分の取消し、原職復帰、バックペイを命じ、他は棄却した。 
命令主文  1. 被申立人は、X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7およびX8に対する懲戒解雇および降格について、それぞれ原職に復帰させ、原職復帰後満1カ年を経過した日以後の直近の人事異動において、それぞれ懲戒解雇又は降格がなかったとしたならば得られたであろう待遇の職席に復帰させるとともにX8を除く7名に対し、懲戒解雇の日から原職に復帰するまでの間受けるはずであった賃金相当額を支払わなければならない。
2. 被申立人は、X9、X10、X11、X12、X13、X8( 降格処分を除く) 、X14( 旧姓名X14) およびX15に対する処分については、その処分がなかった状態に戻し、それぞれの処分によって各人が失った賃金相当額を支払わなければならない。
3. 申立人のその余の申立てを棄却する。
4. 被申立人は、第1項および第2項の命令を、この命令書受領の日から2週間以内に履行し、かつ履行の内容を文書をもってすみやかに当委員会に報告しなければならない。 
判定の要旨  0200 宣伝活動
組合分裂に関連した教宣ビラの内容中、第二組合と銀行が結びついている事実として指摘したことに多少の事実誤認の部分があっても、当時の状況、内容に誤りがあることを発見すれば組合員自ら直ちに訂正する方針をとっていたことなどからみて、宣伝活動の限界を逸脱したものとは認め難い。

0200 宣伝活動
争議中に制服警官が支店に入り込んだことについて、銀行が組合員の動向を警察に報告していると報道したことは、組合の分裂、銀行の組合切崩し等々当時の組合がおかれていた状況からみて、このような見方をしたのは止むを得ないものと認められる。

0200 宣伝活動
銀行が第二組合の活動に便宜を与えているとのビラは、それが事実を指摘したものと認められる以上、不当ということはできない。

0200 宣伝活動
新聞折込み等による組合教宣ビラの配布は、その内容が不当でない以上、配布枚数が多いからといって正当な組合活動を逸脱したものとはいえない。

0202 会社施設の利用
会社は、職場集会のための会議室使用を拒否しているが、組合分裂以前には使用させており、かつ、業務上の支障もなかったのであり、他労組員の参加についても前例があることなどからみて、本件職場集会をもって不当なものとは言い難い。

0203 職場闘争と業務妨害
他労組員入店禁止の措置に対する抗議交渉をみるに、抗議に参加した他労組員は支店長らに挨拶して入店しており、定められた応接室で抗議し、その間支店業務に支障を与えるほど喧噪にわたったという事実もないから、これをもって不当視すべきいわれがない。

0203 職場闘争と業務妨害
0421 幹部責任
争議中に支店に掲示した他労組員の入店を禁ずる旨の貼紙を分会長が撤去したのは、好ましくはないが前後の事情からみて個人的行為であり、問責に価するものでもなく、会社も該分会長を問責していないのであるから、これを闘争速報で報道したからといって、組合中執の処分理由とすることは肯けない。

0421 幹部責任
組合支部長が他労組役員とともに支店長に抗議を行なったのは、支部長の責任で行なわれたものであり、かつ、その内容も業務妨害とか吊るし上げという程のものでなく、これをもって組合中執の機関責任を問うことは肯けない。

0410 目的・手続き
政暴法反対は、組合として当然取組むべき経済的要求を主とする争議行為の一部に組み入れられていたものと認められるから、本件争議行為をもって正当な組合活動の範囲を逸脱したものとは認め難い。

0417 法令・協約・信義則違反
労働協約に経営協議会において 3週間以内に解決が得られない場合でなくては争議行為を行なわない旨の定めがあっても、銀行側の交渉拒否により交渉ができない場合は、交渉要求後 3週間を経ていれば、当該争議行為をもって協約違反ということはできない。

0417 法令・協約・信義則違反
組織防衛のための争議行為の場合は、たとえ形式的に事前交渉の協約条項に違反するとしても、実質的には違反していないと認めるべきである。

業種・規模  金融業、保険業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集42集200頁 
評釈等情報  労働判例 1970年 9月15日  107号 27頁?29頁 
労働判例 1970年10月 1日  108号 58頁 

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