概要情報
事件名 |
さくらハイヤー |
事件番号 |
高知地労委昭和43年(不)第11号
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申立人 |
高知県ハイヤータクシー労働組合 |
被申立人 |
有限会社さくらハイヤー |
命令年月日 |
昭和45年 3月30日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
身元保証書不提出等を理由に分会書記長を予告解雇の上さらに暴行を理由に懲戒解雇し、組合の就労希望にもかかわらずロックアウトし、年末一時金について非組合員と差別し、その他新車の取扱い等が問題となった事件で、予告解雇の取消、ロックアウト中の賃金の支払い、一時金について協定違反の欠勤控除の禁止を命じ、他は棄却した。 |
命令主文 |
被申立人は、 1. 申立組合員X1に対する昭和43年12月23日付の予告解雇を取消し、 2. 申立組合さくら分会員に対し、同年11月27日から同年12月28日までの間、ロックアウトがなかったら支給すべきであった賃金相当額を支払わなければならない。 3. 昭和43年度年末一時金については、年間臨時給与に関する協定に違反する欠勤控除をしてはならない。 4. 申立組合に対し、上記1項・2項および 3項のようなことをして、支配介入をしてはならない。 5. 申立人のその余の請求は棄却する。 |
判定の要旨 |
0419 ロックアウトとの関連
本件ロックアウトの開始時点において、組合は無線拒否、順法闘争の争議行為を行なっている以上たといその間団交が重ねられていたとしても、本件ロックアウトは直ちに先制的、攻撃的なものとみるわけにいかず、その開始は適法なものと判断せざるをえない。
1401 労務の受領拒否
3102 争議対抗手段
会社が組合の就労要求を無視してロックアウトを継続したことはもはや適法な使用者の対抗手段としてのものでなく、むしろ長期にわたる組合の争議行為に対する報復的な、しかも組合を弾圧しその弱体化を図る意図を持ってした法7条1, 3号にあたる行為である。
0600 暴力行為
本件懲戒解雇は予告解雇の理由とされている事実に暴力事件を起し訴追されている事実を附加してなされたものであるが、別組合員 2名に 2週間ないし1カ月以上の傷害を与えたことは犯情が重いものであって解雇の理由としてはこれだけでも相当と考えられ、不当労働行為とみることはできない。
0500 勤務成績不良
0700 職場規律違反
3500 処分の時期
3601 処分の程度
身元保証書の不提出、勤務怠慢等を理由とする分会書記長X1の予告解雇は、あまりに過酷な処分であること、従来の慣行と異なる処分の仕方をしていること、組合が争議行為を開始した直後に処分していること等をあわせ考えると、組合弱体化を意図した不当労働行為である。
0411 怠業
1203 その他給与決定上の取扱い
1204 スト・カット
年末一時金の支給にあたり、組合員に対して怠業中の23日を欠勤扱いとして全額控除しているが、ある程度の労務提供をしていること、欠勤控除協定を上回る控除率であること等からして不当であり、正当な組合活動に対してなされた不利益扱いである。
2900 非組合員の優遇
新車を非組合員に配車したのは、予定されたX2が負傷欠勤したため臨時の措置として行なったもので、特に会社が組合員を差別し、組合の弱体化を図るためになした不当労働行為とは認められない。
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業種・規模 |
道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集42集191頁 |
評釈等情報 |
労働判例 1970年 6月 1日 100号 30頁 
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