概要情報
事件名 |
同和火災海上保険 |
事件番号 |
新潟地労委昭和42年(不)第5号
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申立人 |
全日本損害保険労働組合新潟地方協議会 |
申立人 |
X1 |
申立人 |
全日本損害保険労働組合同和支部新潟分会 |
被申立人 |
同和火災海上保険 株式会社 |
命令年月日 |
昭和45年 3月26日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
大半の従業員が上部団体を脱退したことを機に上部組合の分会との団交を拒否し、脱退勧奨を行ない、分会委員長を配転した事件で、原職復帰、脱退勧奨の禁止、確約書の交付を命じ、団交拒否等については棄却した。 |
命令主文 |
1. 被申立人は、会社職制をして申立人らの組合員に申立人組合からの脱退を勧奨をして、申立人組合の運営に支配介入してはならない。 2. 被申立人は、申立人X1に対する昭和42年4月1日付け転勤命令を取消し同人を原職に復帰させなければならない。 3. 被申立人は、申立人全日本損害保険労働組合同和支部新潟分会に対して、下記の確約書をこの命令書交付の日から14日以内に交付しなければならない。 記 確 約 書 会社は、貴組合の存在を認め、今後正当な理由なくして団体を拒否しないことを確約いたします。 昭和 年 月 日 同和火災海上保険株式会社 取締役社長 Y1 全日本損害保険労働組合同和支部新潟分会 分会委員長 X1 殿 4. 申立人のその余の申立ては棄却する。 |
判定の要旨 |
1300 転勤・配転
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
3700 使用者の認識・嫌悪
本件分会委員長の配転は、会社が分会の存在を否定し、脱退勧奨を行なっていること、配転の団交を拒否していること、配転により組合活動が困難になったこと等を考えあわせると、7条1, 3号にあたる行為である。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
上部団体脱退をめぐり組合の中で紛議の最中、会社職制が上部団体脱退について組合員の両親に説得したことは支配介入である。
1201 支払い遅延・給付差別
4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
3月臨時給与を支払わないのは組合活動の故だと主張するが、未払分は本件救済申立後とはいえ、法務局に供託されていることが認められるので、不当労働行為かどうか判断するまでもなく被救済利益はないものと考える。
4300 労組法7条2号(団交拒否)の場合
分会が存在している以上、団交を行なわないのは不当労働行為となるが、X1の配転問題の団交拒否については、配転を本命令で取消し原職復帰を命じたので、その限度で被救済利益を失う。
4820 単一組織の支部・分会等
単一組織組合の下部組織が労働組合として認められるか否かはその組織の実態に即して判断すべきであり、当分会および地協が全損保の統制を受けるとしても、労組法上の要件をそなえているので、当事者適格に欠けるところはない。
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業種・規模 |
金融業、保険業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集42集182頁 |
評釈等情報 |
労働判例 1970年 6月 1日 100号 29頁 
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