概要情報
事件名 |
社会保険診療報酬支払基金 |
事件番号 |
大阪地労委昭和42年(不)第28号
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申立人 |
全国社会保険診療報酬支払基金労働組合大阪支部 |
被申立人 |
社会保険診療報酬支払基金 |
被申立人 |
大阪府社会保険診療報酬支払基金 |
命令年月日 |
昭和45年 3月13日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
活発な組合活動家を勤務態度が著しく不良、かつ、上司に対して反抗的であるとして、また組合支部長及び書記長を組合が許可を得ずして事務室内に於いて勤務時間外に組合日刊紙を印刷したとして懲戒処分した事件で、処分の取消し、日刊紙印刷妨害の禁止を命じ、ポストノーティスについては棄却した。 |
命令主文 |
1. 被申立人社会保険診療報酬支払基金は、昭和41年12月23日づけで行なった、X1およびX2に対する各5日間の停職処分とこれに伴う3カ月の昇給延伸措置ならびにX3に対する2日間の停職処分とこれに伴う3カ月の昇給延伸措置を取り消し、上記の各処分・措置がなかったと同様の状態に回復させなければならない。 2. 被申立人らは、申立人組合の組合員が、組合日刊紙「鉄筆の仲間たち」を従前と同様の方法により、午前8時ごろから午前8時55分間での時間または正午から午後 1時までの時間に印刷することを、基金事務所等管理規程による使用許可申請手続をしないことを理由に妨害してはならない。 3. 申立人のその他の申立ては棄却する。 |
判定の要旨 |
0200 宣伝活動
0202 会社施設の利用
主として就業前あるいは休憩時間等労働者の自由に利用できる勤務時間外に組合日刊紙を印刷することにより、基金の施設管理上支障をきたすわけでもなく、組合事務用の机一つ置かれていない現状よりみれば、その程度の日刊紙印刷行為は基金としても受忍すべき範囲の正当な組合活動といわざるを得ない。
3020 組合活動への制約
日刊紙印刷妨害事件発生直前に行なわれた共済会の労働者委員の選挙において、組合代表が予想外の大量票を獲得し、これには日刊紙による教宣活動が大きく寄与していると推認されることを考えると、当該妨害行為は、組合の勢力伸長を嫌った基金側が管理規程の手続違反に名をかりて行なった支配介入行為である。
1201 支払い遅延・給付差別
1400 制裁処分
組合役員X1及びX2に対する懲戒処分としてなされた5日間の停職処分並びにこれに伴う3カ月の昇給延伸措置は、組合日刊紙を印刷し、又は組合員をして印刷させたことを理由とするものであるから、正当な組合活動に対してなされた法7条1号の不当労働行為である。
0201 就業時間中の組合活動(含職場離脱)
5002 不作為命令または不確定な内容の請求
休息時間は、勤務時間外と事実上同様と考えられる出勤猶予時間や昼の休憩時間と同一視し難く、むしろいわゆる一服の時間であることを考えると、休息時間中の組合日刊紙の印刷行為について直ちに休憩時間と同様にこれに対する妨害禁止を認めることはできない。
1201 支払い遅延・給付差別
1400 制裁処分
3601 処分の程度
X3が組合の執行委員であることを考えれば、日に平均2、3回の私用電話といわれるものの中には組合の用務も含まれており、この点を考慮するとX3がY1課長の私用電話についての注意に対して反論した程度のことをもって直ちに停職等の懲戒処分の理由とすることは当を得ない。また、X3の上司に対して反ぱつする発言や、出勤簿押印に関して上司を侮辱した非違行為等を懲戒処分の理由とすることは当を得ない。
0700 職場規律違反
1400 制裁処分
3700 使用者の認識・嫌悪
X3の職場規律違反に対する注意の仕方をみると、職制数人が同席してメモをとり、あるいは、テープレコーダーを作動させる等異常なやり方であり、組合支部長らと同時に処分されていることを考えると、同人に対する停職処分は、活発な組合活動を嫌悪した不当労動行為といわざるを得ない。
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業種・規模 |
社会保険、社会福祉 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集42集149頁 |
評釈等情報 |
労働判例 1970年 5月15日 99号 28頁 
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