概要情報
事件名 |
秩父乗用自動車 |
事件番号 |
埼玉地労委昭和44年(不)第11号
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申立人 |
秩父自動車交通労働組合 |
被申立人 |
秩父乗用自動車 有限会社 |
命令年月日 |
昭和45年 3月 7日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
活発な組合活動家2人を、それぞれ長期にわたる病気欠勤及び就業規則違反を理由に解雇した事件で、原職復帰、バックペイ及び誓約書の手交を命じ、誓約書の新聞掲載及びポストノーティスについては棄却した。 |
命令主文 |
1. 被申立人は、その従業員X1に対する昭和43年10月15日付け、同X2に対する昭和43年8月31日付けの各解雇を取消し、同人らを各原職に復帰させ、かつ同人らに対し、解雇の日から復職の日までに同人らが受けるはずであった賃金及び一時金の相当額を支払わなければならない。 2. 被申立人は、申立人に対し、下記誓約書を日本工業規格B列4番の用紙に墨書し、署名又は記名押印して、この命令交付の日から5日以内に申立人に交付しなければならない。 3. 申立人のその余の申立てを棄却する。 誓 約 書 当社が貴組合員で、当社の従業員であるX1及びX2に対し、就業上の不利益な取扱いをなし、かつ、同人らを解雇したことは、同人らの正当な組合活動を行なったことを理由とする労働組合法第7条第1号に該当する不当労働行為であったことを認め、ここに陳謝の意を表します。 今後はかかる違法行為を行なわないことを誓います。埼玉県地方労働委員会の命令によりこの誓約書を差入れます。 昭和 年 月 日 秩父乗用自動車有限会社 取締役社長 Y1 印 秩父自動車交通労働組合 執行委員長 X1 殿 |
判定の要旨 |
0500 勤務成績不良
1400 制裁処分
3608 動機の競合
3700 使用者の認識・嫌悪
X1に対する懲戒解雇は、長期にわたる欠勤によるものであったが、長期欠勤の理由は自動車運転手の職業病とも言われる痔疾又は安静療養を要する肝臓障害等であって、職務懈怠によるものではなく、一方、会社はX1が組合活動を始めた頃からしばしば出勤停止、休職、下車勤等の懲戒的措置をとっていたことからみて、同人の組合活動を嫌悪して解雇したものと認められる。
0700 職場規律違反
1400 制裁処分
3700 使用者の認識・嫌悪
X2に対する懲戒解雇処分は、就業規則違反を理由とするものであるが、会社は違反行為の具体的事実を明らかにせず、その疎明もしない。したがって、会社があえて就業規則違反として懲戒解雇処分に付したことは、X1の場合と同様、X2の活発な組合活動を嫌悪して行なった不利益取扱いであり法 7条 1号に該当する不当労働行為である。
4400 原職相当職への復帰を命じたもの
4406 バックペイに利子・付加金を付したもの
4421 文書掲示等を命じた例
原職復帰及びバックペイのほか、今後違法な行為を行なわない旨の誓約書を新聞紙に掲載すべき旨の命令を求めているが、諸般の事情からすれば、誓約書の交付をもって充分と考えられる。
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業種・規模 |
道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集42集126頁 |
評釈等情報 |
労働判例 1970年 5月 1日 98号 29頁 
労働判例 1970年 5月15日 99号 57頁 
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