概要情報
事件名 |
積水化学工業東京工場 |
事件番号 |
埼玉地労委昭和44年(不)第7号
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申立人 |
合成化学産業労働組合連合積水化学労働組合東京工場支部 |
被申立人 |
積水化学工業 株式会社 |
命令年月日 |
昭和45年 3月 7日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
労使の意見の一致がみられぬまま会社は一方的に合理化案を強行し、それに伴う配転において不利益な部署には第1組合員のみを配置し、また、下級職制を通じて第1組合の切り崩しを行なった事件で、支配介入の禁止及びポストノーティスを命じ、他は棄却した。 |
命令主文 |
1. 被申立人積水化学工業株式会社は、会社職制等によって申立人組合の組合員に対し、申立人組合からの脱退又は企業内の積水化学労働組合への加入を慫慂することにより、申立人組合の運営に支配介入してはならない。 2. 被申立人積水化学工業株式会社は、横約50センチメートル、縦約40センチメートルの白紙に、下記のとおり楷書で墨書し、この命令交付の日から 5日以内に、東京工場内の従業員の見易い場所に 7日間掲示しなければならない。 記 当会社東京工場係長らの職制が、昭和44年2月上旬頃、当時の貴支部組合員X1、X2、X3、X4らに対し退社、又は貴組合からの脱退、積水化学労働組合への加入等を強要又は慫慂したこと。 昭和44年2月10日東京工場における塩化ビニール製造部門の合理化に伴ない課長付に配転された者のうちX5外9名の貴支部組合員のみを工場内の雑役に従事させ積水化学労働組合の組合員と差別取扱いをしたこと。 以上の会社の行為は労働組合法第7条第1号及び同条第3号に該当する不当労働行為であると埼玉県地方労働委員会において認定されました。 ここに陳謝するとともに今後このような行為を繰返さないことを誓います。 昭和 年 月 日 積水化学工業株式会社 代表取締役社長 Y1 合成化学産業労働組合連合 積水化学労働組合東京工場支部 支部長 X6 殿 3. 申立人のその余の申立てはこれを棄却する。 |
判定の要旨 |
1300 転勤・配転
1302 就業上の差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
特定部門の合理化に伴う業務改善実施の必要性は認られるが、人選に当って一方組合員のみを余剰人員として配転し、雑役に従事させたことは、別組合と差別した不利益扱いであり、組合の運営への支配介入である。
1300 転勤・配転
4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
組合員に対する配転が組合に対する不当労働行為に該当するとしても、その後全員が原職と同等と見るべき定常業務に復しているときは、原職復帰を内容とする救済命令を発する必要を認めない。
2621 個別的示唆・説得・非難等
職制が、会社の意をうけて組合員に対し、組合からの脱退を、又は退社を若しくは別組合への加入を強くそそのかした行為は、会社が組合の弱体化を企図して行なった法 7条 3号に該当する不当労働行為である。
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業種・規模 |
化学工業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集42集119頁 |
評釈等情報 |
 
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