概要情報
事件名 |
京都ホテル |
事件番号 |
京都地労委昭和44年(不)第3号
|
申立人 |
総評全国一般労働組合京都地方本部京都ホテル自動車労働組合 |
申立人 |
X1 |
被申立人 |
株式会社 京都ホテル |
命令年月日 |
昭和45年 2月13日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
|
事件概要 |
活発な組合活動を行なっていた申立人から、主要な業務を徐々に取り上げて行き、ついには極めて環境の悪い職場に配転した事件で、原職復帰、差別扱いの禁止、昇給差額の支給及びポストノーティスを命じ、他は棄却した。 |
命令主文 |
1. 被申立人は、申立人X1を昭和42年8月16日の職務換え前の原職に復帰させなければならない。 2. 被申立人は、申立人X1に対し、諸給与、宿直勤務その他の労働条件に関し、他の被申立人会社自動車部従業員と差別扱いしてはならない。 3. 被申立人は、申立人X1に対し、昭和43年6月度にさかのぼって他の被申立人会社自動車部従業員と差別扱いのない昇給をさせ、既払い諸給与との差額をただちに支払わなければならない。 4. 被申立人は、つぎの文書を申立人組合に提出するとともに、同内容の文章を縦1メートル、横1.5 メートルの大きさの模造紙に墨書きし、被申立人会社内の自動車部従業員の見やすい場所に10日間掲示しなければならない。 記 会社は、貴組合員X1に対し、諸給与、宿直勤務その他の労働条件について他の自動車部職員と差別扱いし、とりわけ昭和43年9月15日以降、自動車部事務所から離れた高速自動車株式会社の京都ホテル内営業所である同ホテル地下カフェテラス横の物置を改造した場所に同人のみ 1人勤務させたことは、同人にたいする不利益扱いであるとともに、貴組合に対する支配介入の不当労働行為であることを認め、今後かかる行為はいたしません。 以上、京都府地方労働委員会の命令により誓約いたします。 年 月 日 総評全国一般労働組合京都地方本部 京都ホテル自動車労働組合 組合長 X2 殿 株式会社 京都ホテル 代表取締役 Y1 5. 申立人らのその余の請求を棄却する。 |
判定の要旨 |
1302 就業上の差別
接客態度の悪いことを理由として、申立人を宿直勤務から除外し、相当多額な手当を失わしめた会社の行為は、接客態度について一度も申立人に注意したことがなく、かつ、職務換え後の申立人の職務は他ならぬ接客業務であることを思えば、理由がない。
1201 支払い遅延・給付差別
1300 転勤・配転
1302 就業上の差別
1602 精神・生活上の不利益
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
3700 使用者の認識・嫌悪
本件X1に対する職務上の差別あるいは昇給差別等々一連の不利益処遇は自動車労組結成に対する会社の態度、特にX1を除き同労組の組合員をすべて解雇したことからみて、同労組を嫌悪した会社が、唯一の組合員であるX1をして自ら退職の道を選ばしめる意図の下にとられたものと認められる。また、これらのX1に対する不利益処遇は、組合に対する支配介入である。
4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
個々の不利益処遇について、解雇されることをおそれて会社に対し不承知の意思を表示することができなかった場合には、たとえその都度何等の異議が述べられたことがなくとも本人の暗黙の了解があったとはいえない。
5201 継続する行為
申立人に対して順次加えられた不利益処遇は、外形的表面的には数個の行為であっても、会社の単一の不当労働行為意思に基づくものとして、法27条2項の「継続する行為」とみることができる。
|
業種・規模 |
旅館、その他の宿泊所 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集42集67頁 |
評釈等情報 |
労働判例 1970年 5月15日 99号 27頁 
|