労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  積水化学工業京都工場 
事件番号  京都地労委昭和43年(不)第13号 
申立人  合成化学産業労働組合連合積水化学労働組合京都支部 
申立人  合成化学産業労働組合連合積水化学労働組合 
被申立人  積水化学工業 株式会社京都工場 
被申立人  積水化学工業 株式会社 
命令年月日  昭和45年 1月12日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  組合員に対する組合脱退勧奨、苦役の強制、下級職制の監視、いやがらせ、別組合と差別して組合事務所、掲示板の不提供、作業体制変更問題に関する団交拒否、組合幹部の配転強行等がなされた事件で、支配介入の禁止、被配転者の原職復帰及びバックペイ、ポストノーティス等を命じた。 
命令主文  主     文
1. 被申立人積水化学工業株式会社は、X1、X2を昭和43年6月21日付け配置転換前の原職に、およびX3を昭和43年11月21日付け配置転換前の原職にそれぞれ復帰させるとともに、X1、X2については、昭和43年6月21日から原職復帰に至までの間に同人らが受けるべきはずの諸給与相当額を支払わなければならない。
2. 被申立人らは、製造課、同課整備係第2作業、検査課、同課加工研究班の合理化等、労働条件に影響する事項につき、申立人らとの団体交渉に誠意をもって応じなければならない。
3. 被申立人らは、申立人組合に組合事務所と掲示板の提供を拒否して積水化学労働組合と差別し、組合の運営に支配介入してはならない。
4. 被申立人らは、会社職制等をして申立人らの組合員に本務以外の労働を強制する等のいやがらせをさせたり、申立人らからの脱退、積水化学労働組合への加入を勧誘させたりして、申立人組合の運営に支配介入してはならない。
5. 被申立人らは、下記内容の文書を横1.5 メートル、縦1メートルの大きさの模造紙に墨書し、命令書交付の日から10日間、京都工場内の従業員の見易い場所に掲示しなければならない。
             記
 会社および京都工場長は、貴組合を嫌悪して、団体交渉を拒否したり、会社職制をして貴組合員に本務以外の労働を強制する等のいやがらせをさせたり、貴組合からの脱退、積水化学労働組合への加入を勧誘させたりしたことが、また、会社は、貴組合の組合員であるX1、X2およびX3に配置転換を命じたことが、いずれも不当労働行為であったことを認め、今後かかる行為はいたしません。
 以上、京都府地方労働委員会の命令により誓約いたします。
   昭和  年  月  日
 合成化学産業労働組合連合積水化学労働組合
    中央執行委員長 X4 殿
  合成化学産業労働組合連合積水化学労働組合京都支部
    支部長     X5 殿
         積水化学工業株式会社
               代表取締役 Y1
         積水化学工業株式会社京都工場
                 工場長 Y1 
判定の要旨  1302 就業上の差別
1602 精神・生活上の不利益
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
会社が、申立人組合の組合員に対し、本来の業務でない雑作業の苦役を強要し、これを別組合の組合員である下級職制が監視して回り、中傷、誹謗等のいやがらせを行なって組合脱退を強要したことは、下級職制が会社の意を体してなした行為と推認される以上、いかに両組合間にあつれきがあっても、不当労働行為といえる。

1300 転勤・配転
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
3900 「不利益の範囲」
申立人組合の活動家3名を、組織がない営業所や、少数の組合員しかいない工場へ一方的に配転せしめたことは、上記 3名に精神的苦痛を与え、組合活動を封じる不利益扱いであり、かつ 3名の所属組合支部の弱体化および 3名の組合脱退を狙った支配介入である。

2304 経営事項
作業体制変更に関する事項は、会社の経営権に属する事柄とはいえ、その結果がひいては組合員の労働条件に影響を及ぼすものであるから、その限りにおいて団交の対象となり得るから、経営権に属するとして団交を拒否することは許されない。

2800 各種便宜供与の廃止・拒否
2901 組合無視
会社が、組合事務所、掲示板を別組合には貸与しながら、申立人組合には提供しないことは、その合理的理由がないことからして明らかな差別扱いである。

0300 争議行為の範囲
0413 ストライキ(含部分・指名スト)
1204 スト・カット
1401 労務の受領拒否
4413 給与上の不利益の場合
配転が不当労働行為である以上、会社が原職場での就労を拒否している事情のもとで行った指名ストは、就労し得ない状態のもとで行ったものであり、実質的にストライキとは評価し得るものではなく、したがってその期間中の諸給与相当額を支払うのが相当である。

4820 単一組織の支部・分会等
単一組合の支部であっても独自の規約を有し、代表者を定め、決議機関、執行機関等労働組合法上具備すべき要件を満たしていることに徴すれば、活動面において多少親組合の統制に服する面はあっても、当事者として適格である。

4905 経営補助者
本件工場長は、労働者との対向関係にあって、平常使用者のために行為する権限を有する者であるから、不当労働行為の態様中、団交拒否、支配介入のうちの単なる事実行為である場合には、被申立人となりうる。

業種・規模  化学工業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集42集27頁 
評釈等情報   

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