労働委員会裁判例データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  令和7年(行ウ)第114 号
行政(不当労働行為救済申立を棄却)命令取消請求事件 
原告  X組合(「組合」)
 
被告  愛知県(処分行政庁 愛知県労働委員会(「愛知県労委」)
 
被告補助参加人  Z会社(「会社」) 
判決年月日  令和8年6月8日 
判決区分  棄却 
重要度   
事件概要  1 本件は、会社による団体交渉(「団交」)中の退席や組合執行委員長Aに対する解雇の通告等が不当労働行為に該当するとして、救済手続(「本件救済手続」)の申立てがなされた事案である。

2 愛知県労委は、組合の申立てを棄却した(「本件命令」)。

3 組合は、これを不服として、名古屋地裁に行政訴訟を提起したところ、同地裁は、組合の請求を棄却した。
 
判決主文  1 原告の請求を棄却する。

2 訴訟費用は原告の負担とする。

 
判決の要旨  1 争点1(会社代表取締役BがAに対し令和5年4月末での解雇を告げたことは、労組法7条1号の不当労働行為に該当するか。)について

 組合は、Aが会社から不当な解雇を受けた旨主張する。しかし、本件救済手続において会社が提出した陳述書には、Bが、令和5年3月23日に移動中の自動車内で、同乗していたAに対し同年4月末日で会社を辞めてもらうとの話をした旨が記載されているところ、Aは、審問において、上記出来事の存在を否定した上、解雇を通告された時期ははっきり覚えていない、来なくていいと言われたが解雇なのかどうかはっきり分からないなどと述べている。そうすると、BがAに解雇を告げたという事実自体を認定することができないから、解雇を告げたことが労組法7条1号の不当労働行為に該当する旨の組合の主張はその前提を欠くものであって採用できず、これと同旨の本件命令に誤りはない。

2 争点2(令和5年3月31日にBとAが行った面談(「本件二者面談」)が団交といえるか。団交といえる場合、Bが机を蹴った後に退室して団交を終了させたことは、労組法7条2号及び3号の不当労働行為に該当するか。)について

 組合は、本件二者面談が団交であると主張する。しかし、組合が令和5年3月22日に本件会社に送信した「団体交渉の開催申入書」と題する文書には、団交の開催日時として同31日は挙げられていないことや、Bが本件二者面談のやりとりの冒頭において「これ何、聞いていないですよ。」と発言していることに照らすと、少なくともBは本件二者面談を団交とは認識していなかったことがうかがわれる。また、本件二者面談では、Aが、会社の維持発展のために経営者がすべきことや会社の社会的な責任に関して自身の意見を述べてその活動の必要性を主張し、これに対しBが反発したというにとどまり、上記文書に議題として挙げられていた事項についての協議は行われていない。
 上記の事情を踏まえると、本件二者面談は、労働者の待遇又は労使関係上のルールについて合意を達成することを主たる目的として行った交渉であるとは認められないから、団交に当たるとはいえず、組合の上記主張は採用できない。
 本件二者面談が団交とはいえない以上、本件二者面談でのBの対応が不当労働行為に該当する旨の組合の主張はその前提を欠き採用できないから、これと同旨の本件命令に誤りはない。

3 争点3(本件救済手続において本件命令を取り消すべき手続の違法があるか。)について

⑴ 組合は、本件命令の命令書交付の際、手続教示の説明書が交付されなかったと主張するが、同事実を認めるに足りる証拠はない。なお、仮に同事実があったとしても、そのことのみをもって直ちに本件救済手続が違法性を帯びるということもできない。

⑵ 組合は、本件救済手続の審理中に忌避の申立てを行ったがそのまま手続が進められた旨や、公益委員に除斥が成立した旨を主張するが、本件救済手続の調査期日及び審問期日の記録に、上記主張に係る、組合から忌避の申立てがされたとの事実や除斥が成立したとの事実に関する記載はなく、他に同事実を認めるに足りる証拠はないから、組合の上記主張は採用できない。

⑶ 組合は、本件会社側が出席していない本件救済手続の調査期日において、組合側にのみ和解を勧めることは、組合に対する取下げの強要といえる旨主張する。確かに、第2回調査期日、第3回調査期日及び第7回調査期日においては、 組合側(A)のみが出席し、会社側は欠席している。また、上記のうち第7回調査期日においてAが第6回調査期日後に成立した別件民事訴訟における和解について説明を行っていることからすると、審査委員がAとの間で和解について意見交換をした可能性も考えられる。
 しかし、そもそも組合としても、組合側のみが出席する期日で和解を勧められたと主張するにとどまり、現に取下げを強要されたとは主張しておらず、上記各調査期日の記録によっても、審査委員が組合に対し手続を取り下げるよう要求するなどしたとはうかがわれないのであって、上記の各調査期日の後も、調査期日及び審問期日が重ねられるなど本件救済手続が続行されて最終的に本件命令に至っていることも踏まえれば、組合側のみが出席する期日においても手続上特段の問題はなかったものと認めるのが相当であり、組合の上記主張は採用できない。

⑷ 組合は、愛知県労委に対し会社を訪問して現地確認をするよう要望したが、愛知県労委は現場訪問を拒んだと主張する。この点に関し、調査期日等の場において、組合から、会社の実態は会社に行けば分かる旨の発言があったこと及び本件救済手続において現地調査は実施されなかったことについては、当事者間に争いがない。
 しかし、労働委員会による不当労働行為の救済手続においては、会長、審査委員又は審査委員長が、調査及び審問を含む審査を指揮するところ(労働委員会規則35条2項、37条1、2項)、調査においては、審問の準備として、書証その他の証拠物件の提出を受けるとともに、審問において尋問すべき証人、当事者を決定することが想定されており、現地調査を行うことは手続として想定されていないといえる(同規則第5章第2節参照)。
 そうすると、審査委員が会社を訪問して現地調査を行わなかったことをもって手続に違法があるということはできないから、この点に関する組合の主張は採用できない。

4 以上のほか組合は種々主張するが、いずれも、同主張に係る事実を認めるに足る証拠がないか、本件命令の違法性を根拠付けるに足るものとはいえず、採用できない。

5 結論
 以上によれば、組合の申立てを棄却した本件命令に違法はなく、組合の請求は理由がない。 
その他   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
愛知県労委令和5年(不)第5号 棄却 令和7年11月28日
 
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