労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名 郵政省小石川郵便局等
事件番号 東京地裁平成16年(行ウ)第534号
原告 日本郵政公社
被告 中央労働委員会
被告補助参加人 郵政産業労働組合
郵政産業労働組合東京地方本部
郵政産業労働組合小石川支部
郵政産業労働組合石神井支部
判決年月日 平成19年3月1日
判決区分 棄却
重要度  
事件概要  本件は、当局が、小石川郵便局及び石神井郵便局において、他組合には組合事務室を貸与する一方で、郵政産業労働組合の各支部に対しては組合事務室を貸与しないことが不当労働行為であるとして、申立てのあった事件である。中労委は日本郵政公社に対し、郵産労各支部への組合事務室の貸与を命じた。公社は、これを不服として東京地裁に行政訴訟を提起したが、同地裁は、公社の請求を棄却した。
判決主文 1.原告の請求を棄却する。
2.訴訟費用(参加の費用を含む。)は原告の負担とする。
判決の要旨 争点1(参加人組合各支部に対し組合事務室を貸与しないことによる支配介入の当否)について
① 使用者が、一方の組合に対して組合事務室を貸与しておきながら、他方の組合に対して一切貸与を拒否することは、合理的な理由が存在しない限り、労組法7条3号の不当労働行為に該当し、この合理的な理由の在否については、施設の空間的余裕や利用状況の客観的な事情、将来の見通しのほか、一方の組合に貸与されるに至った経緯や貸与拒否が組合に及ぼす影響等諸般の事情を総合的に勘案し判断すべきであり、とくに、一方の組合に貸与した時期と、他方組合に貸与を拒否した時期の施設の余裕等だけではなく、一方の組合に貸与した時期の施設の余裕等との間で違いがあるかが検討されなければならず、他方の組合に対する対する貸与拒否が長期にわたって繰り返されている場合には、貸与拒否が継続されている期間を通じて施設状況の変化、貸与の余地が全くなかったかどうかを検討して判断しなければならないとされた例。
② 右記合理的な理由の在否を判断するに当たって、原告と民間企業との間で差違はないというべきとされた例。
(1)小石川郵便局について
① 昭和51年現局舎を新築するについて申立外Z1組合総分会及び同Z2組合支部に組合事務室として貸与すべきスペースを確保した上で設計、建築をし、貸与したことが推認されること、昭和51年当時と昭和59年(組合結成)当時を比較すると局舎状況に大幅な差違が生じたとは認められないこと、昭和59年当時、区切られた部屋としてのスペースはなかったと認められるが、そうだとしても工夫をしてスペースを捻出し、あるいは直ちに貸与をすることが困難であっても、部屋の用途の廃止やレイアウト変更が行われる際などに、スペースを確保して参加人小石川支部に組合事務室を貸与するようにしなければ、現局舎新設と同時に組合事務室を貸与した他組合との公平、中立は保たれないというべきであるとされた例。
② 参加人小石川支部が原告の諸施策に反対し、対立してきたこと、年末年始繁忙期を含めても、なおある程度の余裕があると認められること、小石川支部が組合事務室を貸与されないことで組合活動に影響が出ていること等の事実に照らすと、原告は、昭和59年以降一貫して組合事務室として貸与すべきスペースを確保することが全く出来なかったわけではないにもかかわらず、小石川支部に組合事務室を貸与しないことについて合理的な理由があったと評価することは困難であると言わざるを得ないとされた例。
③ 本件命令時である平成16年において、不使用または遊休施設が存在せず、あるいは容易に(工夫、やり繰りをしないで)スペースを捻出することは難しいとしても、そのことから、貸与しないことに合理的な理由があるということはできないとされた例。
(2)石神井郵便局について
① 右記小石川郵便局と同旨であり、石神井郵便局における局舎状況は小石川郵便局における局舎状況よりも余裕があると認められるとされた例。
 争点2(救済方法相当性)について
   本件命令は、原告に対し、組合事務室貸与を命じるとともに、組合事務室の広さ、場所等の貸与の具体的条件については、当事者間で協議し、具体的な取決めをしなければならないとするものであるから、労働委員会が命ずることができる救済の限界を超えるものではなく、また、原告の経営権を侵害するものではないから、労働委員会が救済命令を発出するについて、裁量の逸脱、濫用はないとされた例。
(3) 右のとおり、参加人各支部に対し組合事務室の貸与をしなかったことが不当労働行為であるとした本件命令は適法であり、原告の請求は理由がないことから、原告の請求を棄却することとされた例。

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委平成10年(不)第5号 一部救済 平成16年11月4日
東京高裁平成19年(行コ)102号 棄却 平成19年9月26日
 
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