事件名 |
北錦会ほか3者 |
事件番号 |
大阪地裁平成14年(行ウ)第18号
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原告 |
全国金属機械労働組合港合同 |
被告 |
大阪府地方労働委員会 |
被告参加人 |
Y1 |
被告参加人 |
Y2 |
被告参加人 |
Y3 |
被告参加人 |
医療法人北錦会 |
判決年月日 |
平成15年 2月26日 |
判決区分 |
請求の棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、医療法人北錦会(以下、北錦会)及び申立外Y4死亡後にそ
の相続人であるY1ら3名が、(1)Y4個人が経営していた安田病院及び北錦会が経営していた円生病院及び大和川病院(以
下、安田病院等三病院)に勤務していた組合員の解雇問題や未払賃金問題に係る団体交渉に応じなかったこと、(2)安田病院等
三病院の非組合員に対して支払った金銭を組合員に支払わなかったこと、(3)安田病院等三病院の元従業員に対して交付した金
製の箸等に相当する金銭を組合員に支払わなかったことが不当労働行為であるとして申立てのあった事件であり、大阪地労委は、
(1)Y1ら3名に対する申立ては却下、(2)北錦会に対する金製の箸等に相当する金銭の支払、解雇問題・未払賃金に関する
団交応諾に係る申立ては却下、(3)北錦会に対する金銭の支払に係る申立てを棄却したところ、これを不服として組合が行政訴
訟を提起したが、請求は棄却された。 |
判決主文 |
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。 |
判決の要旨 |
5147 その他
北錦会に対して組合員の解雇時期の設定及び確認、賃金及び退職金、解雇及び退職時の支払諸条件並びに未払賃金を取り決めるた
めの団交応諾を命じることを求める申立て内容は、既に平成九年申立事件において申し立てた内容と同じであり、地労委は同事件
において、北錦会に団交応諾義務を認めて平成11年命令を発したこと、北錦会は、同命令に対し行政訴訟を提起したが請求棄却
の判決があり、同判決は確定しているから、本件申立てのうち上記申立事項を再度の救済申立てであるとして却下した地労委の判
断に違法はないとされた例。
2130 雇用主でないことを理由
4910 事業廃止に伴う新経営者
Y4の死亡後、安田病院は開設許可を取り消されたため、三病院の病院事業は事実上廃業状態となったこと、他方、Y1らの相続
人は病院事業を経営する意思がないことから、組合員らの労使関係はY1らに承継されておらず、使用者であったy4とY1らの
相続人が組合員らの使用者として団交に応じるべき地位にあるということはできないとされた例。
4000 退職金等の受領
4413 給与上の不利益の場合
北錦会らは退職金を支払う意思のもとに組合員以外の従業員に金員を支払っているが、組合員や安田病院等三病院の従業員のうち
退職金請求訴訟を提起している者に対して支払うことが切り崩しとなって不当であるとして支払わなかったものであることから、
当該金員の交付をもって組合の組織の動揺や弱体化を生じさせる意図に基づいてされたとはいえないとされた例。
1201 支払い遅延・給付差別
1601 福利厚生上の差別
1602 精神・生活上の不利益
金製の箸等は、病院事務長がY4の形見の品として同人の依頼により配ったものであり、また、病院事務長が退職金との名目の金
員を支払ったヘルパーのうち金製の箸等の交付を受けたのは2名だけで、金員の交付を受けながら金製の箸等の交付を受けなかっ
た者もいるのであるから、金製の箸等の交付が組合の組織の動揺や弱体化を生じさせる意図に基づいてされたとは認められないと
された例。
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業種・規模 |
医療業 |
掲載文献 |
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評釈等情報 |
中央労働時報 2003年8月10日 1016号 36頁
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