事件名 |
帝京学園 |
事件番号 |
東京地裁平成10年(行ク)第50号
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申立人 |
中央労働委員会 |
被申立人 |
学校法人帝京学園 |
申立人参加人 |
帝京中高等学校教職員組合 |
判決年月日 |
平成13年 7月19日 |
判決区分 |
全部認容 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、学園が春闘要求書に関する団体交渉に、実質的な交渉権限の
ない者を出席させ、学園が主張する根拠についての具体的な説明や資料の提示をしなかったことが争われた事件で、東京地裁は、
中労委命令(7不再26、10・12・16決定)に基づく緊急命令申立てを認容し、誠実に団交に応じること、文書掲示等を命
じた。 |
判決主文 |
被申立人は、被申立人を原告、申立人を被告とする当庁平成10年
(行ウ)第75号不当労働行為救済命令取消請求事件の判決の確定に至るまで、東京地方労働委員会が東京地労委平成4年(不)
第69号事件について、平成7年5月23日付けでした命令(申立人が中労委平成7年(不再)第26号事件について、平成10
年3月18日付けでした命令によって支持されたもの)の主文第1項に従い、申立人補助参加人が申し入れた平成4年4月15日
付け要求書に関する団体交渉に、権限のある交渉員を出席させ、また、申立人補助参加人の要求事項に対して、資料を提示し、被
申立人の主張の根拠を明らかにするなど誠意をもって応じなければならない。 |
判決の要旨 |
7321 全部認容された例
本件団体交渉における学園側の出席者であるY1及びY2理事は、実質的な交渉権限を有していたとはいえず、Y1及びY2理事
らの学園側は、組合との団体交渉で確認していたモデル賃金表を提出せず、現行の賃金体系についての客観的根拠を示してはいな
かったことからすれば、学園が誠実に本件団体交渉にあたったということはできず、労働組合法七条二号の不当労働行為が成立す
るとした本件命令に違法はないとされた例。
6140 訴の利益
本件命令時及び発令後の団体交渉においても、学園は、現行の賃金体系の合理性を具体的資料を提示するなどして説得しようとし
ているところがなく、また、組合と合意達成の可能性を模索する態度を示していたとはいえず、組合の救済利益は、本件命令発令
時にも、発令後も存在するというべきであるから、本件命令発令後の団体交渉の経緯を理由に、本件命令がその発令根拠を失った
とすることはできないとされた例。
7230 必要性の審査
7321 全部認容された例
学園は、本件命令を任意に履行していないところ、学園のした不当労働行為の内容、程度からすれば、組合と学園の健全な労使関
係の運営と憲法二八条で保障された団結権の侵害に対する回復を図るためには、本件命令で支持された本件初審命令主文第1項を
直ちに履行させることを要するというべきであるから、緊急命令を発する必要性も肯定することができるとされた例。
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業種・規模 |
教育(自動車教習所を含む) |
掲載文献 |
労働委員会関係裁判例集36集1071頁 |
評釈等情報 |
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