労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名  藤田運輸 
事件番号  東京高裁平成11年(行コ)第66号 
控訴人  株式会社藤田運輸 
被控訴人  千葉県地方労働委員会 
判決年月日  平成11年 8月19日 
判決区分  控訴の棄却 
重要度   
事件概要  本件は、組合員X1及びX2に対する懲戒解雇が争われた事件で、千葉地労委の一部救済(9・8・7決定)を千葉地裁が支持した(11・2・8判決)ため、これを不服として会社は控訴したが、東京高裁は控訴を棄却した。 
判決主文  本件控訴を棄却する。 
判決の要旨  6140 訴の利益
会社とX1との間において、会社が懲戒解雇の意思表示を撤回し、X1が同日付けで退職して原職復帰、賃金等金員の請求をせず、相互に債権債務のない旨確認して和解し、X1は現在別会社で稼動しているので、X1に対する原職復帰・バックペイを命じる本件救済命令は、この和解によってその基礎を欠くことになり、会社に対する拘束力を失ったというべきで、会社にはこれを取り消すことで回復されるべき実質的な利益がないので、取消請求は訴えの利益を欠くものとして却下した原判決が維持された例。

6140 訴の利益
X2に対する原職復帰・バックペイを命じる本件救済命令の被救済利益はX2が組合専従になっていることにより失われたとの会社主張について、X2が会社に対する請求を放棄したり、会社との間で命令履行を求めない旨の合意がなされた事実は認められないので会社の主張は理由がないとした原判決が維持された例。

3700 使用者の認識・嫌悪
不当労働行為意思の存否について、使用者である取締役職務代行者に不当労働行為意思は認められないとしても、取締役職務代行者らは懲戒委員会の答申内容を重視し、これに沿う形でX1・X2両名を懲戒解雇することを決定しており、答申と懲戒解雇との間には相当因果関係の存在が認められ、懲戒委員会を構成する幹部職員らに不当労働行為意思が明白に認められる以上、使用者等の不当労働行為性を肯定することができるとした原判決が維持された例。

0700 職場規律違反
取引先の業務命令に従わなかったこと、取引先の管理職職員に対する不相当な言動を行ったことを理由として行われた懲戒解雇は、懲戒委員会による申立人に対する偏見に基づいたものであり、不当労働行為であるとした原判決が維持された例。

業種・規模  道路貨物運送業 
掲載文献  労働委員会関係裁判例集34集499頁 
評釈等情報  中央労働時報 1999年11月10日 959号 52頁 

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