労働委員会関係裁判例データベース

[判 例一覧に戻る]
概要情報
事件名  九州旅客鉄道(大分不採用)(第十四事件) 
事件番号  東京地裁平成 7年(行ウ)第217号 
原告  国鉄労働組合 
原告  国鉄労働組合大分地方本部 
被告  中央労働委員会 
判決年月日  平成10年 5月28日 
判決区分  訴えの却下 
重要度   
事件概要  本件は、国鉄改革の際に、国労組合員が採用を希望した九州旅客鉄道 株式会社の会社設立にあたり、職員として採用されなかったことは不当労働行為であり、その責任は会社が負うべきであるとし て、申し立てた事件で、初審地労委は、会社に不当労働行為の責任があるとしたうえで、本件国労組合員を会社の職員に採用しな かったことが不当労働行為に当たると判断し、会社に対して、(1)昭和62年4月1日以降会社の職員として取り扱うこと、 (2)就労すべき職場、職種等について、組合と協議すること、(3)バックペイ及び(4)文書手交・掲示を命じたところ、会 社はこれを不服として再審査を申し立てた。中労委は、不採用に関して不当労働行為が成立する場合には、会社がその責任を負わ なければならないとして初審命令の判断を結論において支持し、本件国労組合員の不採用に関しては、少なくとも一部につき不当 労働行為が成立すると判断し、これに基づき初審命令の救済内容を変更した。なお、命令は、本件国労組合員のうち、平成元年4 月1日付で貨物会社に追加採用された者及び再審査被申立人が救済対象者から削除する旨申し出た者は、救済対象者から除外して いる。組合はこれを不服として、東京地裁に行政訴訟を提起していたが、同地裁は、組合の訴えを却下した。 
判決主文  1 被告がした別紙命令一覧表記載の各命令のうち、いずれも主文Ⅰ 項の1ないし5及びⅡ項を取り消す。
2 第3、第4、第7、第8、第11、第12及び第14事件各原告の訴えをいずれも却下する。
3 訴訟費用は、第1ないし第14事件を通じてこれを10分し、その9を被告の負担とし、その余を第3、第4、第7、第8、 第11、第12及び第14事件各原告の負担とし、補助参加によって生じた費用は各補助参加人の負担とする。
判決の要旨  6140 訴の利益
本件採用について会社が労組法7条の使用者として不当労働行為責任を負わないことを理由に中労委命令が取り消されて判決が確 定したときは、中労委命令は当然にその効力を失うので、組合が中労委命令の取消しを求めることによる回復すべき権利又は法律 上の利益があるということはできず、原告の組合に訴えの利益がないことに帰着し、訴えを却下すべきであるとされた例。

業種・規模  鉄道業 
掲載文献  労働委員会関係裁判例集33集367頁 
評釈等情報  中央労働時報 1998年6月 939号 27頁 
中央労働時報 野川忍 1999年7月 955号 2頁 

[先頭に戻る]