平成16年3月26日 |
中央労働委員会事務局審査第三課
審査第三課長 青山 平八
Tel 03−5403−2162
Fax 03−5403−2250
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千葉観光不当労働行為再審査事件(平成14年(不再)第63号)
決定書交付について
中央労働委員会(会長 山口浩一郎)は、平成16年3月26日、標記事件に係る決定書を関係当事者に交付しましたので、お知らせします。
決定の概要等は、次のとおりです。
I | 当事者
再審査申立人 | 全日本建設運輸連帯労働組合(千代田区) 組合員数約5000名(15年10月20日現在) |
再審査被申立人 | 破産者千葉観光株式会社 破産管財人 A |
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II | 事案の概要
本件は、会社の破産管財人Aが、組合が申し入れた(1)残業手当等の未払労働債権の損害の回復、従業員寮明渡しの強制執行による損害の回復等に関する団体交渉に、破産管財人は会社とは別個の人格の機関であるとして団体交渉に応じなかったこと、(2)解雇予告手当の支払に関する団体交渉に応じないまま同手当の一部を支払ったことが不当労働行為であるとして、申し立てられた事件である。
14年12月16日、宮城地労委は、Aは労働組合法第7条の「使用者」に当たると解されると判断したが、(1)Aは、団体交渉の名を冠することには応じなかったものの、組合との話合いにできる限り応じており、今後話合いを重ねても行き詰まりが打開される可能性はなく、Aが話合いを拒否していることについて正当な理由がないとはいえない、(2)解雇予告手当は裁判所の許可を得て組合員、非組合員の区別なく支払ったものであるとして、組合の申立てを棄却した。組合は、これを不服として再審査を申し立てた。 |
III | 命令の概要
1 | 主文
本件再審査申立てを却下する。
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2 | 判断の要旨等
(1) | 本件再審査における状況
Aが提出した書証等によると、破産財団の収支決算の残高は0円であり、財団債権の状況から破産財団をもって今後の破産手続の費用を償うに足りないと認められることを理由として、15年10月15日、仙台地裁は、破産の廃止を決定した。
破産廃止決定は、11月12日に確定し、会社の登記簿は11月19日に閉鎖された。 |
(2) | 破産廃止決定が確定した事情の下におけるAの地位と再審査申立てについて
再審査中に破産廃止決定が確定し、破産管財人の任務が存続しているとの特段の事由の存在もうかがえないことから、Aは破産管財人としての任務を終了し、既にその地位を失っており、被申立人の地位にもないといわざるを得ない。
よって、本件再審査の手続を進めるに由なくなったというべきであり、再審査申立ては却下を免れない。 |
(3) | 組合が主張するAの被申立人適格等について
イ | 「審査終結時点(破産廃止決定の確定前)では、Aは被申立人適格を有していたことを前提に判断すべき。」との主張について
審査終結後に破産廃止決定が明らかになった以上、被申立人適格に関して、当該事実を基に判断するのは当然のことである。 |
ロ | 「労働委員会に本件事件が係属している以上、会社の法人格は消滅せず、Aには残務整理義務がある。」との主張について
労働委員会に係属しているからといって、会社が清算法人として存続するものでない。 |
ハ | 「Aは任務終了後においても緊急処分(破産法第169条)に関して管財事務を行う義務がある。」との主張について
破産財団に属する財産の管理・処分に関し、緊急処分を必要とする事情があるとの疎明もなく、再審査手続自体も同条の要件に該当しない。 |
ニ | 「通常の任務は終了しても自ら行った不当労働行為に関する再審査手続の限度で任務を終了していない。」との主張について
Aは、破産廃止決定の確定等により任務を終了し、その地位を失っているので、現時点においては再審査被申立人たる地位にはないといわざるを得ない。 |
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【参考】
1 | 本件審査の経過
初審救済申立日 | 12年10月10日 (宮城地労委 12年(不)第5号) |
初審命令交付日 | 14年12月16日 |
再審査申立て | 14年12月24日 |
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