平成16年3月8日 |
中央労働委員会事務局審査第二課
課長 高梨 和夫
Tel 03-5403-2157
Fax 03-5403-2250
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サクション瓦斯機関製作所不当労働行為再審査事件
〔平成13年(不再)第15号・第16号〕命令書交付について
中央労働委員会(会長 山口浩一郎)は、平成16年3月8日、標記事件に係る命令書を関係当事者に交付したので、お知らせします。
命令の概要等は、次のとおりです。
I 当事者
・ | 平成13年(不再)第15号事件再審査申立人・同第16号事件再審査被申立人
株式会社サクション瓦斯機関製作所(東京都江東区)
従業員48名(平成11年7月現在) |
・ | 平成13年(不再)第16号事件再審査申立人・同第15号事件再審査被申立人
産業別労働組合ジェイ・エイ・エム東京
組合員4,000名(平成11年7月現在) |
・ | 平成13年(不再)第16号事件再審査申立人・同第15号事件再審査被申立人
産業別労働組合ジェイエイエムサクション瓦斯機関製作所労働組合
組合員25名(平成11年7月現在) |
II 事案の概要
1 | 当事者の略称
株式会社サクション瓦斯機関製作所:「会社」
産業別労働組合ジェイ・エイ・エム東京:「地本」
産業別労働組合ジェイエイエムサクション瓦斯機関製作所労働組合:「支部」
地本と支部と合わせて:「組合」 |
2 | 支部委員長のO及びSが昭和57年に締結された労働協約(「57年協約」)所定の組合業務で欠勤したところ、会社が、(1)当該欠勤は同協約中の「争議状態」下の欠勤に該当するとして、当該欠勤分の月例賃金カット及び賞与をカットし、(2)この賃金等カット問題を議題とする団体交渉に応じなかったことがそれぞれ不当労働行為であるとして、申立てがあった事件である。 |
3 | 初審都労委は、次のとおり命令したところ、これを不服として、会社及び組合は再審査を申し立てた。
(1) | Oに対して、平成10年夏季賞与からの欠勤控除及び不支給の皆勤手当を支払うこと |
(2) | Sに対して、平成10年年末賞与からの欠勤控除及び不支給の皆勤手当を支払うこと |
(3) | Sに対して、平成11年年末賞与からの欠勤控除及び不支給の皆勤手当を支払うこと |
(4) | 57年協約第8条の解釈適用を含む同協約の運用について、組合からの団交申入れに応じること |
(5) | 上記(1)ないし(4)に係る文書交付 |
(6) | 文書による履行状況報告 |
(7) | その余の申立てを棄却 |
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III 命令の要旨
1 | 主文の要旨
(1) | 初審命令第2項(前記II3(2))に、Sに対し平成10年11月分給与からの賃金カット分の支払を追加。 |
(2) | 同第4項(II3(4))を、57年協約の解釈運用において従前と異なる取扱いをした理由等について、組合からの団交申入れに応じることに変更。 |
(3) | 同第5項(II3(5))の交付文書に、上記(1)を追加。 |
(4) | 会社の本件再審査申立てを棄却。 |
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2 | 判断の要旨
(1) | 月例賃金のカットについて
会社が、Sの欠勤した平成10年11月4日は、争議状態下にあったものとして同人に対する月例賃金をカットしたことは、本件労使関係の状況に鑑みると、57年協約の趣旨を尊重することなく、就業時間内組合活動を制限する目的で行われたものといわざるをえず、支部の運営に対する支配介入であり、労働組合法第7条第3号に該当するので、初審判断は取り消さざるをえない。 |
(2) | 賞与の欠勤控除及び皆勤手当の不支給について
57年協約の「有給」、「無給」及び「賃金カット」の対象は、もっぱら毎月支払われる給与に関する取扱いを指すものであることは明らかであり、第8条における「有給」の意義についても、これと異なる解釈をすべき理由は見出しがたい。また、会社は、組合業務による欠勤で、本件までの4回の事例においては、月例賃金をカットしたが、賞与の欠勤控除を行わず、また皆勤手当も支給してきたのであり、その旨会社も理解していたというべきである。
以上によれば、会社がO及びSがそれぞれ欠勤したことに対し、賞与の欠勤控除をし、皆勤手当を支給しなかったことは、就業時間内の組合活動を制限する目的で行われた組合及び支部の運営に対する支配介入であるといわざるを得ない。 |
(3) | 賃金等カット問題に係る団体交渉について
本件団体交渉の議題である賃金等カット問題は、単に個人の問題ではなく、賃金等の取扱いなど労働条件に関する問題及び支部の組合活動に対する便宜供与に関する問題であることは明白であるから、団体交渉に誠実応諾の義務があることは当然である。 |
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【参考】
1 | 本件審査の概要
初審救済申立日 | 平成11年7月2日、平成12年1月17日(追加申立て) |
初審命令交付日 | 平成13年3月29日 |
再審査申立日 | 平成13年4月2日(会社)、同年4月9日(組合) |
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