平成16年2月24日 |
中央労働委員会事務局審査第二課
審査第二課長 高梨 和夫
Tel 03−5403−2159
Fax 03−5403−2250
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金沢市(環境部)不当労働行為再審査事件(平成14年(不再)第23号)
命令書交付について
中央労働委員会(会長 山口 浩一郎)は、平成16年2月24日、標記事件に係る命令書を関係当事者に交付したので、お知らせします。
命令の概要等は、次のとおりです。
I | 当事者
再審査申立人 | 自治労連・金沢市清掃臨時職員労働組合 組合員5名(平成15年7月8日現在) |
再審査被申立人 | 金沢市 職員約3,680名(平成15年7月8日現在) |
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II | 事案の概要
1 | 本件は、再審査被申立人金沢市(以下「金沢市」という。)が、「早朝ごみ収集非常勤パート職員」(以下「臨時職員」という。)に対し、平成11年度から早朝ごみ収集作業の一部を廃止することに伴い、週6日の勤務を週4日にすると説明したにもかかわらず、実際は週1日の勤務にしているとして、再審査申立人自治労連・金沢市清掃臨時職員労働組合(以下「組合」という。)が、週4日の勤務に戻すよう求め団体交渉を行ったところ、同市が週4日の勤務に戻すことはしないとの回答を繰り返したことが労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であるとして、平成13年11月26日、石川県地方労働委員会(以下「石川地労委」という。)に救済申立てがあった事件である。 |
2 | 初審石川地労委は、組合の申立ては不当労働行為を構成する具体的事実の記載を欠いているとして、組合に対し、拒否されたと主張する団体交渉の申入れの日、内容及び金沢市が行った行為等を具体的に主張するよう、申立ての補正を勧告した。しかしながら、組合から申立ての補正がされなかったとの理由で、石川地労委は、平成14年4月19日、本件申立てを却下した。
組合は、これを不服として、同年5月2日に再審査を申し立てた。 |
3 | 組合は、初審時において、平成11年9月22日、同12年3月27日、同年11月22日、同年12月26日及び同13年7月25日の5回の団体交渉時における金沢市の「週4日に戻すことは考えていない」との回答を団体交渉拒否であると主張している。 |
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III | 命令の概要
1 | 主文
本件初審決定を変更し、再審査申立人の救済申立てのうち、平成11年9月22日、同12年3月27日及び同年11月22日の団体交渉に係る部分については却下し、同年12月26日及び同13年7月25日の団体交渉に係る部分については棄却する。 |
2 | 判断の要旨
(1) | 組合は、初審時においては、救済追加申立書などによれば、平成11年9月22日、同12年3月27日、同年11月22日、同年12月26日及び同13年7月25日の5回の団体交渉時における金沢市の「週4日に戻すことは考えていない」との回答を団体交渉拒否であると主張していることが認められることから、再審査においては、金沢市のこの拒否回答が不当労働行為に当たるか否かを判断せざるを得ない。 |
(2) | 平成11年9月22日、同12年3月27日及び同年11月22日に開催された団体交渉については、初審石川地労委に対する不当労働行為救済申立てが、いずれも団体交渉日から1年以上を経過した同13年11月26日になされているため、却下する。 |
(3) | 平成12年12月26日に開催された団体交渉については、週4日勤務に戻すこと等についての団体交渉が行われてはいるが、金沢市の回答の不当性に対する組合の疎明がなされておらず、金沢市の対応が不当労働行為に該当するとの判断はできない。 |
(4) | 平成13年7月25日の団体交渉について
ア | 組合は「週4日に戻すことは考えていない」との金沢市の回答そのものを団体交渉拒否であると主張するが、組合が要求するとおりの回答を金沢市が行わなかったとしても、それだけで団体交渉拒否となるものではない。 |
イ | 金沢市の団体交渉における対応
(ア) | ごみ収集方式の見直しと職員に対する説明の経緯
金沢市が平成11年度から早朝ごみ収集を廃止し、ステーション方式に移行した経緯及び移行の手続きについては、特段の不合理は認められない。この方式への移行に伴い、早朝ごみ収集量が減少し、臨時職員の勤務日数が減少したことにはやむを得ないものがあると思料される。
また、金沢市はごみのステーション方式の導入に当たり、臨時職員全員に対し、勤務日数が週6日から週4日になること等を説明していることが認められる。さらに平成11年7月以降の収集については、ごみの収集量からみて週1日ないし2日の勤務日数となることを臨時職員全員に説明していることが認められる。 |
(イ) | 平成13年7月25日以前の団体交渉の経緯
金沢市は、組合結成後から、組合からの「勤務日数を週4日に戻すこと」を求める一連の団体交渉に環境部長らが出席し、繰り返し見直し後の状況及び早朝ごみ収集の現状等についての説明と早朝ごみ収集量からみて勤務日数を週4日に戻すことはできない旨の回答をしていることが認められる。
これに対して組合は、団体交渉において、同市が再三見直し後の状況及び早朝ごみ収集の現状等について説明し回答したにもかかわらず、毎回「勤務日数を週4日に戻すこと」を繰り返し要求していたことが認められる。 |
(ウ) | 平成13年7月25日の団体交渉
金沢市側は、環境部長、担当課長らが出席し、臨時職員の勤務日数を「週4日に戻すこと」との要求を含め7項目にわたる要求事項について、田中委員長らと約2時間にわたって団体交渉を行っている。この団体交渉においても金沢市は、早朝ごみ収集見直しの経緯、見直し後の状況及び早朝ごみ収集の現状について説明した上、「就労日を週4日に戻すことは考えていない」と回答している。
この団体交渉には金沢市側はごみ収集についての責任者である環境部長が出席し、7項目の要求事項について文書で回答するとともに、それぞれ一定の対応をしていることが認められ、「週4日に戻すこと」以外の要求事項については不誠実な団体交渉であったとの疎明も一切なされてない。 |
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よって、早朝ごみ収集の廃止に伴う臨時職員の勤務日数の変更の経緯及び一連の団体交渉の経緯を踏まえて平成13年7月25日の団体交渉の状況を見た場合、金沢市の対応は誠実な団体交渉を行っていたと言うことができる。 |
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【参考】
1 | 本件審査の概要
初審救済申立日 | 平成13年11月26日(石川地労委平成13年(不)第2号) |
初審決定交付日 | 平成14年4月19日 |
再審査申立日 | 平成14年5月2日(労) |
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2 | 初審決定 本件申し立てを却下する。 |