平成15年9月25日
中央労働委員会事務局審査第二課
課長    高梨 和夫
TEL 03−5403−2157
FAX 03−5403−2250

中央倉庫不当労働行為再審査事件
(中労委平成10年(不再)第41号)命令書交付について

 中央労働委員会(会長 山口浩一郎)は、平成15年9月24日、標記事件に係る命令書を関係当事者に交付したので、お知らせします。
 命令の概要等は、次のとおりです。

I 当事者
   再審査申立人 京都−滋賀地域合同労働組合
 (京都市伏見区小栗栖北後藤町1府営北後藤団地3棟301号)組合員数 5名
   再審査被申立人 株式会社中央倉庫(京都市下京区朱雀内畑町41) 従業員数約400名

II 事案の概要
 1 再審査申立人京都−滋賀地域合同労働組合(以下「組合」という。)は、再審査被申立人株式会社中央倉庫(以下「会社」という。)に対して、会社が運送を委託している京明運輸株式会社(以下「京明運輸」という。)の従業員が伏見織物加工株式会社(以下「伏見織物」という。)において出荷作業中に被災したと主張する労働災害事故に関して団体交渉を申し入れた。しかし、会社は、基本的に同社が係わることではないとして、これに応じなかった。
 本件は、上記の会社の行為が不当労働行為であるとして、平成10年5月11日、京都府地方労働委員会(以下「京都地労委」という。)に救済申立てのあった事件である。
 2 初審京都地労委は、平成10年11月19日、本件で組合が主張する事実は不当労働行為に該当しないことが明らかであるとして、組合の救済申立てを却下したところ、組合は、これを不服として再審査を申し立てた。

III 命令の概要
 1 主文
 本件再審査申立てを棄却する。
 2 判断の要旨
(1) 組合は、会社は労働組合法第7条第2号の使用者として、本件団体交渉申入れに応ずるべきであると主張する。
 しかし、本件リフト事故の被害者とされるKは組合の組合員ではなく、しかも、会社及び京明運輸の従業員の中には、組合の組合員はいないことが認められる。これらの点については、本件の初審及び再審査においても争いのないところである。
 そうすると、組合の構成員には会社及び京明運輸の従業員は含まれていないのであるから、会社及び京明運輸における労働条件については、会社と組合との間に労働組合法が助成しようとする団体交渉関係は存在しない。よって、組合は、会社及び京明運輸に対する関係においては、団体交渉の当事者とは認められないものといわざるを得ない。
 したがって、会社が組合との本件リフト事故の被害者並びに会社及び京明運輸の従業員に関する事項に係る団体交渉を拒否したことは、不当労働行為に当たらないことは明らかである。
(2) 次に、組合は、会社が本件リフト事故に係る労災隠しを通して伏見織物にいる組合の組合員の安全を脅かし続けている旨主張する。
 仮に、上記主張のとおり伏見織物の従業員の中に組合の組合員が存在するとしても、会社と伏見織物の間には運送を主体とした取引関係があるにすぎず、両者間には資本及び人的関係は存在しない。また、その他に、会社が労災隠しなど伏見織物の従業員の労働条件について関与していたことを認めるに足る疎明はない。
 これらの点からすると、会社は、伏見織物の従業員の労働契約上の雇用主ではなく、また、伏見織物の従業員の労働条件について現実的かつ具体的な支配力を有する立場にあるとはいえない。よって、会社は、伏見織物の従業員に対する関係において、労働組合法第7条第2号の使用者には該当しない。
 したがって、会社が組合との伏見織物の労働者に関する事項に係る団体交渉を拒否したことは、不当労働行為に当たらないことは明らかである。
 3 結論
 上記判断のとおり、会社が本件団体交渉申入れを拒否したことは、不当労働行為に当たらないことは明らかであり、そうである以上、これが組合に対する支配介入の不当労働行為に当たらないことも明らかである。
 したがって、本件救済申立ては不当労働行為に該当しないことが明らかであるとしてこれを却下した初審決定は相当である。

【 参考 】
 1 本件審査の概要
  初審救済申立日 平成10年 5月11日(京都府地労委平成10年(不)第3号)
  初審命令交付日 平成10年11月19日
  再審査申立日 平成10年12月 4日
 2 初審命令主文要旨
  本件申立てを却下する。



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