平成15年5月7日
中央労働委員会事務局審査室
 室長  熊谷正博
 TEL  03−5403−2169
 FAX  03−5403−2250

日本鉄道建設公団不当労働行為再審査事件
(中労委平成13年(不再)第23号)命令書交付について

 中央労働委員会(会長 山口浩一郎)は、平成15年4月25日、標記事件に係る命令書を関係当事者に交付したので、お知らせします。
 命令の概要等は、次のとおりです。

I 当事者
  再審査申立人 おんな労働組合(関西)(大阪市北区)
 組合員70名(平成13年12月13日現在)
  再審査被申立人 日本鉄道建設公団
 従業員2,550名(平成13年12月13日現在)

II 事案の概要
 1 本件は、おんな労働組合(関西)が、日本国有鉄道の分割民営化に伴って設立された日本国有鉄道清算事業団の権利義務を承継した日本鉄道建設公団に対し、昭和58年9月30日に国鉄に雇止めされた臨時雇用員で組合員のW、Y及びNの退職手当金に関連する問題について、平成11年4月17日に申し入れた団体交渉に公団が応じなかったことが不当労働行為であるとして救済申立てのあった事件である。
 2 初審大阪府地方労働委員会は、公団が、上記団交申入れに応じなかったことをもって労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であるとは認められないとして、組合の救済申立てを棄却したところ、組合は、これを不服として再審査を申し立てたものである。

III 命令の概要
 1 主文
 本件再審査申立てを棄却する。

 2 判断の要旨
(1)
 Wの退職手当金問題についての謝罪、長期間に及ぶ経済的精神的負担・不利益に対する回復は、労働条件その他の待遇や団体的労使関係の運営に関する事項ではなく、義務的団交事項ということはできない。また、Wの退職手当金については、清算事業団から、退職手当金に係る最高裁判決に基づき、その差額が支払われており、すでに是正済みであるから、公団が、Wの退職手当金に関連する問題について、団交に応じるべき義務があるとは認められない。
 Y及びNについては、雇止めに際し退職手当金を受領しており、その後個人として平成6年に退職手当金の計算方法についての「要請書」を出したことはあるが、組合としては平成10年9月11日にはじめてY及びNの退職手当金問題について団交を申し入れたものであり、組合の団交申入れは、昭和58年の雇止めから14年11か月経過し、また、Y及びNの組合加入時から12年10か月及び5年10か月経過しており、社会通念上合理的な期間内になされたものとは解せられない。
(2) 以上を総合的に判断すると、公団が組合から申入れのあった本件団交申入れに応じなかったことをもって労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であるとは認められないとした初審判断は相当である。

【参考】
 1 本件審査の概要
  初審救済申立日 平成11年5月14日(大阪地労委平成11年(不)第40号)
  初審命令交付日 平成13年4月12日
  再審査申立日 平成13年4月23日(労)
 2 初審命令主文要旨
  本件申立てを棄却する。



トップへ