平成15年4月15日 |
中央労働委員会事務局審査室
審査室長 熊谷 正博
Tel 03−5403−2169
Fax 03−5403−2250
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神戸相互タクシー不当労働行為再審査事件
(平成12年(不再)第16号)命令書交付について
中央労働委員会(会長 山口 浩一郎)は、平成15年4月15日、標記事件に係る命令書を関係当事者に交付したので、お知らせします。
命令の概要等は、次のとおりです。
I 当事者
再審査申立人 | 神戸相互タクシー株式会社(兵庫県神戸市) 従業員469名(平成11年11月17日現在) |
再審査被申立人 | 神戸相互タクシー乗務員組合 組合員12名(平成13年3月6日現在) |
II 事案の概要
1 | 本件は、会社が、(1)神戸相互タクシー乗務員組合(以下「乗務員組合」という。)が結成直後に申し入れた団体交渉及びその後3度にわたり申し入れた団体交渉を拒否したこと、(2)乗務員組合の執行委員長であるTに対し出庫時刻の変更を命じ、その旨の告示を掲示したこと、(3)乗務員組合の組合員が役員を務めるクラブに対しクラブ活動に対する助成を拒否し、助成金の申請手続について別組合の承認を必要とするよう変更したこと、(4)夜勤車乗務員の出庫時刻後1時間30分の間休憩所を閉鎖することとしたことがいずれも不当労働行為に当たるとして、申立てのあった事件である。 |
2 | 初審兵庫県地方労働委員会は、会社に対して、○@乗務員組合との団体交渉に速やかに応ずること並びに○A前記(1)及び(3)について文書手交を命じ、乗務員組合のその余の申立て(前記(2)及び(4))を棄却したところ、会社はこれを不服として、再審査を申し立てたものである。 |
III 命令の概要
2 | 判断の要旨
(1) |
イ | ユニオン・ショップ協定を締結している労働組合と締結していない労働組合とが併存している場合においても、各労働組合の団結権は等しく尊重されなければならず、使用者は、何れの労働組合との関係においても誠実に団体交渉を行わなければならない義務を負う。そして、ユニオン・ショップ協定は、協定を締結している労働組合以外の他の労働組合に加入している者及び当該労働組 合から脱退し、他の労働組合に加入し又は新たな労働組合を結成した者については効力を及ぼすものではなく、したがって、別組合とのユニオン・ショップ協定の存在が乗務員組合との団体交渉を拒否する正当な理由とはなりえない。 |
ロ | 乗務員組合が労働組合として存在していることは明らかであり、また、組合員が別組合に比して極めて少なく、別組合を脱退した者によって結成されたものであることによって、その団結権を否定され、あるいは、団結権に制限を受けなければならない理由は存しない。 |
ハ | 会社は乗務員組合が申し入れた団体交渉を正当な理由なく拒否しているから、この会社の行為は労組法第7条第2号の禁ずる団体交渉拒否に当たり、さらに、このような会社の姿勢は、各労働組合に対し、中立的態度を保持し、その団結権を平等に承認、尊重すべき使用者の義務にも反するものであり、また乗務員組合の存在を否認するに等しいものといわなければならず、労組法第7条第3号の禁ずる支配介入にも該当する。 |
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(2) | 会社が、乗務員組合の組合員が役員を務めるクラブの助成申請を拒否したこと及び助成申請手続を変更したことに正当あるいは合理的な理由は認められず、乗務員組合に対する会社の態度を考え併せれば、会社は、クラブ活動に対する助成について、乗務員組合の組合員が役員を務めるクラブについては、これを行わないことによって、乗務員組合の組合員が別組合の組合員に比べて不利に取り扱われることを乗務員組合の組合員を含む会社の従業員に示し、もって、乗務員組合の運営に支配介入したものということができる。 |
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【参考】
1 | 本件審査の概要
初審救済申立日 | 平成10年6月16日(兵庫地労委平成10年(不)第7号) |
初審命令交付日 | 平成12年3月10日 |
再審査申立日 | 平成12年3月24日(使) |
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2 | 初審命令主文要旨
(1) | 会社は、組合が申し入れた団体交渉に速やかに応じなければならない。 |
(2) | 上記(1)及びクラブ活動助成金申請手続において別組合より不利益に扱ったことにつき文書手交 |
(3) | その余の申立ては棄却 |
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