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入試問題に関するミス
平成13年2月実施の入試で、教科主任であり問題作成責任者であるAの不注意により、当該教科に出題ミスが発生したこと、また、当日の訂正放送にも誤りが生じたことについて、学園が、それぞれを戒告事由としたことには理由がある(組合はAの放送への関与を否認するが、Aの誤った指示に従って訂正放送が行われたと認めるのが相当)。
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教科書発注に関するミス Aは、13年5月の教科会においてX社教科書が採択されたにもかかわらず、教科書需要票に誤ってY社教科書と記入したものであり、上記ミスは学園の信用を著しく損ねたものと認められることから、Aを戒告処分に付して問責した学園の判断には理由がある(組合は、教科会においてY社教科書が採択されたと主張するが、シラバスの作成経緯等に照らせば、当該主張は採り得ない。)。
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本件戒告処分時期
入試問題のミスが約1年2か月後に処分事由とされたことについては、入試終了後に理事長らがAに注意をしており、学園がミスを不問にしていたとはいえない。本件戒告は一定の期間において、教科主任たるAが発生させた「不祥事」を併せて処分としたものであり、内容の同質性や程度等に照らし一括して処分したことが不当とはいえない。 また、教科書発注のミスを知ってから6日後に本件処分を行ったことについては、Aの発注手続の誤りが速やかに確認されたのであるから、学園の対応がことさら性急かつ杜撰であったというべき理由はない。
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本件戒告当時における労使関係等
本件処分当時は必ずしも、労使関係が安定していたとはみられないが、学園に団交を拒否しようとするまでの意思があったとみることはできず、本件戒告には相当の理由がある上、処分の程度も就業規則上は最も軽い処分である「戒告」であること等からすれば、学園がAをあえて狙い撃ちにする必要があったものとも認められない。
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結論
本件戒告は、組合活動を理由とした不利益取扱いや、組合を牽制・抑圧しようとした支配介入には該当しない。
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