平成17年5月17日
中央労働委員会事務局第一部会担当
審査総括官   西野 幸雄
Tel:03-5403-2157
Fax:03-5403-2250


宮崎紙業不当労働行為再審査事件〔平成16年(不再)第41号〕の
再審査命令書交付について


 中央労働委員会(会長 山口浩一郎)は、平成17年5月16日、標記事件の再審査命令書を関係当事者に交付しましたので、お知らせします。
 命令の概要等は、次のとおりです。

I 当事者
 ・再審査申立人宮崎紙業株式会社(以下「会社」という。)(大阪府八尾市所在)
  従業員数約20名(初審結審時、以下同)
 ・再審査被申立人宮崎紙業労働組合(以下「組合」という。)(大阪府八尾市所在)
  組合員数3名

II 事案の概要等
 1 本件は、平成15年度賃上げ要求に関する団交において、組合が、賃上げ回答額の根拠となる売上額等具体的な経営に関わる数値に基づく説明を求めたのに対し、会社が、経営内容に関わる数値の開示を拒否し、さらに従前は開示していた従業員の基本給平均額、平均年齢及び平均勤続年数といった人件費に関する基礎的な数値の開示についても組合員に係るもの以外は明らかにしない方針に変更するなど、団交を実質的に進展させようとしなかった対応が不当労働行為に当たるとして、誠実団交応諾及び文書掲示を求めて、平成15年7月28日、大阪府労委に救済が申し立てられたものである。
 2 大阪府労委は、16年5月28日、「会社の対応は、賃上げ回答額の根拠を組合に納得させる努力を尽くしたものとはいえない不誠実なものであるとともに、団交における実質的な協議を回避して賃上げに係る会社回答を組合に押しつけようとしたものといわざるを得ない。」とし、これは労組法第7条第2号に該当する不当労働行為であると判断した。そして、会社に対し、基本給平均額等の人件費の状況や売上額等の数値を具体的に示して説明するなどの誠実団交応諾を命じ、併せて文書手交を命じた。
 3 会社はこれを不服として、16年6月10日、再審査を申し立てた。

III 当委員会命令の概要
 1 主文
 本件再審査申立てを棄却する。
 2 判断の概要
(1) 当委員会も、次の(2)ないし(4)を付加するほかは、初審判断(前記IIの2参照)は相当であると考える。
(2) 会社は、従前開示していない売上額等の数値よりも、売上げの対前年比の増減割合を開示する方が会社の現状を正しく捉えられるものと判断したと主張する。
 しかしながら、会社が組合との平成15年度賃上げ団交において、基本給の引上げをせず生活関連手当を300円のみ引き上げるという異例の回答をしたところ、組合がその根拠について売上額等経営に関する基本数値を示して具体的説明をすることを求めているのであるから、会社は、そのような判断を含めて、組合に対し上記の回答内容となった理由を具体的に説明すべきであった。
(3) 会社は、平成16年夏季一時金団交に際し、従業員全員の平成16年度における基本給平均額を説明しており、これにより組合は平成15年度の同平均額は算出できることから、初審命令中、基本給平均額等の人件費の状況については説明済みであるとし、組合の被救済利益は既に失われているかの如く主張する。
 しかしながら、従業員全員の基本給平均額の開示は、平成15年度賃上げ団交において会社が基本給を引き上げることなく生活関連手当のみ300円を引き上げるという異例の低額回答を行ったことに対し、その根拠について具体的に説明することの一環として求められているのであるから、平成16年夏季一時金の交渉で同平均額を示したとしても、その要求に応えていることにはならない。なお、組合は、基本給平均額のみではなく、平均年齢及び平均勤続年数を含む人件費に関する基礎的な数値の開示を求めているのであることからみても、会社の主張は失当である。
(4) 今後、会社と組合が相互に信頼感を醸成し、正常な労使関係を確立するためには、組合は、会社が組合に不信感を抱くに至った経緯について思いを致した上、経営上の機密数値の漏洩が取引銀行や取引先との関係において経営に重大な支障を生じさせかねないとの会社の懸念に十分に配慮した対応をすることが望まれ、他方、会社は、本件を含めて、労働条件について従来とは異なる厳しい提案をする場合、その理由につき組合の理解を得るべく説明を尽くすことが望まれる。
 以上のとおりであるので、本件再審査には理由がない。

【参考】
   本件審査の概要
   初審救済申立日 平成15年 7月28日
   初審命令交付日 平成16年 5月28日
   再審査申立日 平成16年 6月10日
   再審査終結日 平成17年 5月16日


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