10/07/27 第5回障がい者制度改革推進会議総合福祉部会議事録       障がい者制度改革推進会議総合福祉部会(第5回)議事録  日  時:平成22年7月27日(火)13:01〜17:59  場  所:厚生労働省 低層棟2階講堂  出席委員:佐藤部会長、尾上副部会長、茨木副部会長、荒井委員(代理出席)、       朝比奈委員、伊澤委員、石橋委員、伊東委員、氏田委員、大久保委員、       大濱委員、岡部委員、小澤委員、小田島委員、小野委員、柏女委員、       河崎委員、川崎委員、門屋委員、北浦委員、北野委員、君塚委員、       倉田委員(代理出席)、近藤委員、斎藤委員、坂本委員(代理出席)、       佐野委員、清水委員、末光委員、竹端委員、田中(伸)委員、       田中(正)委員、中西委員、中原委員、奈良崎委員、西滝委員、       野原委員、橋本委員、東川委員、広田委員、福井委員、藤井委員、       藤岡委員、増田委員、三浦委員、光増委員、三田委員、宮田委員、       森委員、山本委員、渡井委員 ※会議の模様は、YouTubeの厚生労働省動画チャンネルにて動画配信していますので、  併せてご確認ください。 (URL:http://www.youtube.com/watch?v=yEcF3OhEdgk) ○佐藤部会長  定刻になりましたので、ただ今から障がい者制度改革推進会議総合福祉部会を開会いた します。  部会長の佐藤でございます。  本日の会議は、報道関係者及び関係者の方に傍聴していただいております。ムービーカ メラが会議全体を通して撮影可能な状態になっておりますので、カメラに写りたくないと いう方がいらっしゃいましたら、挙手もしくはほかの方法でお知らせくださいますようお 願いいたします。  本日は、山井政務官においでいただいております。まず、政務官にご挨拶をお願いいた します。 ○山井政務官  皆さん、こんにちは。特に今日は東京は暑い日となっております。そんな中を本当に全 国から多くの方々、車いすの方も含めてお集まりをいただきまして誠にありがとうござい ます。本日で第5回目の総合福祉部会となりますが、皆さんの一番ご関心に思っておられ ますこの障害者自立支援法廃止、このことに向けて私たち厚生労働省としても方針は全く 変わっておりませんので、今までから申し上げておりますスケジュール感、法案の提出に 向けて取り組んでいきたいと思いますし、また、本日その中身の論点のA、B、Cについ て活発な議論をしていただきたいというふうに思っております。  少しこの間、参議院選挙等もありましたので、最新の状況等を申し上げたいと思ってお ります。国会もねじれ国会ということになりまして、今まで以上に丁寧に法案の審議など をするということになると思っております。しかし、私はつくづく思いますが、特に障害 者福祉のような人権に関わる問題については、党派を超えて一致できる点が多々あるので はないかというふうに思っておりますので、今回ねじれ国会ということになりましたが、 それをマイナスととらえるのではなくプラスととらえて、障害者福祉に関しては党派を超 えて皆さんとともに一緒に取り組んでいきたいなというふうに思っております。  少し私ごとになりますが、私も少し福祉をやりたいということで政治の世界に入ったわ けですけれども、そのときもどの党がいいということで政治を志したわけではなくて、と にかく福祉をよくしたいと、そういう思いでこの世界に入ったわけであります。ここにい らっしゃっている皆さんも全く同じ思いだと思います。これからも今回のねじれ国会によ って障害者福祉をよくするというスピードが鈍ることがないように、逆に加速するように 皆さんとともに頑張っていきたいと思っております。  また、今日はこの後、首相官邸で閣議がありまして、来年度の概算要求基準というもの が決まる予定になっております。この中では厚生労働省も含め、各役所全て1割カットと いうことであります。その意味では、予算を当然私たちは増やしたいわけですけれども、 増やしたいと思っているところに各役所1割カットという重い重い課題が突きつけられて います。その理由は今回の選挙でも消費税アップを議論する前に、まずやることがあるだ ろうと。とにかく無駄な部分を削れということが国民の皆さんからの民意であり、おしか りであったのではないかと思いますけれども、そういう意味でも、今まで政権交代後、厚 生労働省でも蓮舫さんを中心とした事業仕分け、さらに省内事業仕分けというものをほか の省庁はやっていないんですけれども、厚生労働省は率先してやりまして、それによって 様々な無駄を今なくしてきているわけであります。そういう意味では、無駄なものや天下 りは徹底的にカットしていくと。しかし、障害者福祉を初めとする最も重要な部分に関し ては、とにかく予算が減ることがないように少しでも増えるように頑張らねばならないと 思っています。  最近の国会を見ていて、皆さんからも無駄削減とかそういうことばかりやっているじゃ ないかというふうに思われるかもしれませんが、とにかく長妻大臣にしても私にしても、 なぜ必死になって厚生労働省の職員の方と一体になって無駄の削減をやっているかという と、それを少しでもやはり福祉のほうに回すことができるんではないかと、そういう思い を込めて厚生労働省一丸となってやっております。  そういう意味では、本当にこれからの無駄の削減の努力、どんどん続けていかねばなら ないというふうに思っています。この中で様々なこれから議論がされますけれども、今も う一つ閣議でも問題になっておりますのが、厚生労働省だけが1兆3,000億円社会保障費、 医療、介護、福祉などが1.3兆円、高齢化などの理由によって自然に増えていくんです。別 にこの政策をどう変えたというんではなくて、高齢化が進展するなどの理由で何もしなく ても自動的に1.3兆円増えていっていると。このことが今回それについては財務省も来年度 の概算要求で認めていこうという方針になっています。これは過去において社会保障費の 伸びを2,200億円削ったことが非常に多くの方々を苦しめたという反省の中で、この1.3兆 円の自然増だけは幾ら財政が厳しくても守っていこうということになっています。しかし その反面、政府の中からは逆に厚生労働省だけ恵まれ過ぎているんじゃないかと。ほかの 省庁が削るだけでひいひい言っているときに1.3兆円も厚生労働省の医療、介護、福祉の予 算が増えていくと、そういうことに関して批判をいただいている部分もあるんです。しか し、だからこそ私たちはその批判にこたえられるように、先頭に立って天下りをなくして いく、また、無駄な分をカットしていくという取組をしています。  昨年9月に政権交代して以降、1.2兆円の予算のカット、基金のカットというのを行いま した。一般会計、特別会計、そして今まで積んであった独立行政法人などの基金の取り崩 しを通じて1兆2,000億円削りました。本当に私もつくづく思いますが、厚生労働省の政務 官になった割には、やっていることは日々無駄のカットばかり、なかなかこれは本当に大 変な仕事だなと思いますが、このことについてもご理解いただきたいのは、とにかく何の ために無駄をカットしているのかというと、そのことを通じて、さっきも言ったように、 ただでさえ1.3兆円増えていく中で、かつ、そう簡単に増税の論議もできない中で、やはり 無駄を削ることを通じてしか新しい、いい予算というものがなかなかつけていくことがで きない、こういう非常に厳しい状況であります。  このような総合福祉部会ということで、本当にお忙しい中、また暑い中、また体調がお 悪い方もおられるんではないかと思いますが、多くの皆さん集まっていただいて貴重な意 見を述べていただいているわけですから、少しでもその意見が形となって制度改正につな がっていくように、私たちも全力で取り組ませていただきたいというふうに思っておりま す。  誠にすみませんが、会議が重なっておりまして、また途中で失礼をいたしますが、どう か本日もよろしくお願いします。ありがとうございます。(拍手) ○佐藤部会長  ありがとうございました。  山井政務官は公務のため退席されます。               〔山井政務官退席〕 ○佐藤部会長  これ以降はスチールカメラの方は退室されます。ムービーカメラの方はそのままです。  委員の出欠状況と資料の確認について、事務局よりお願いいたします。 ○東室長  こんにちは。担当室の東です。  今日ご欠席の委員は3名の方です。野澤委員、平野委員、福島委員です。  また、奈良県知事の荒井委員の代理として杉田健康福祉部長に、箕面市市長、倉田委員 の代理として栗原市長政策室参与に、南部町長、坂本委員の代理として牧田主任にご出席 いただいております。岡部委員、小澤委員、東川委員、駒村委員は若干遅れて、もしくは 早退されるご予定です。  次に、門川委員の後任といたしまして、社会福祉法人全国盲ろう者協会評議員、渡井秀 匡委員をご紹介いたしたいと思います。できればご自身より簡潔に自己紹介をお願いした いと思いますが、いかがでしょうか。 ○渡井委員  全国盲ろう者協会の門川に代わりまして、このたび委員になりました渡井秀匡と申しま す。これからいろいろと勉強をしなければならないんですが、よろしくお願いします。 (拍手) ○東室長  どうもありがとうございます。今後ともよろしくお願いします。  続きまして、資料の確認をさせていただきます。  会議次第、配席図がございますが、会議次第の下のほうに今日の配布資料の一覧が記載 されております。資料としては1から5まで、追加資料が1から13までありますが、うち 冊子がございます。本人支援計画に基づく地域での総合的な支援体制整備のための調査研 究報告書というのがあります。これは資料番号が打ってありませんが、資料の11というこ とでご理解ください。それと資料番号がない当日配布資料として2通ございます。東京都 から提出された文書、A4・1枚物があるかと思います。それに対して「障がい者総合福 祉法(仮称)の制定以前に早急に対応を要する課題の整理(当面の課題)」の一部訂正に ついてという文書が1枚あるかと思います。この2枚の資料につきましては、資料番号を つけておりませんのでご了解ください。  資料確認としては以上でございます。 ○佐藤部会長  本日の会議は17時までを予定しております。  なお、ご発言に際してのお願いがございます。発言されたい方は挙手もしくはその他の 方法でお知らせいただいた上で、指名を受けて、その後お名前を述べられてからご発言い ただきたいと考えております。発言は時間がない中ではありますが、情報保障という観点 から、なるべく簡潔にゆっくりとお願いしたいと考えております。  それでは、議事に入らせていただきます。  まず、前回に引き続きまして、基礎的な文書についてのミニ学習会の2回目でございま す。障害者権利条約について、この取組をずっとなさってこられました森委員から説明を お願いしたいと思います。  資料としては、事前に皆さんに今日持参してくださるようお願いしておりました第2回 の部会で配られた参考資料の3というところを見ていただければと思います。  それでは、森委員、お願いいたします。 ○森委員  日身連の常務理事、森でございます。  今日は日本障害フォーラムの政策委員長という形の立場からご説明申し上げたいと思い ます。といいますのは、権利条約ができるまで8回、ニューヨーク・国連で会議が行われ たわけでございますが、日本障害フォーラムでは、挙げてこの会議に参画したという経緯 がございます。それで本日は、権利条約の中で骨格をあらわしている規定につきまして、 簡単ではございますが、お話したいと思います。  骨格を表している規定、それは条約第19条でございます。この19条につきましては、実 は国連における特別委員会で議長をなさっておりましたドン・マッケイ氏という方がおら れるのですが、このマッケイ氏が、第19条というのは、障害者が保護の客体から権利の主 体へというパラダイムシフトの基礎となる条項であると、このようなお話をされました。 私も確かにそうだなという考えでございまして、本日は、皆様に19条を中心にいたしまし てお話ししたいと思っておるわけです。  19条につきましては、柱書きとあと(a)、(b)、(c)という項目でなっておりま す。読んでおられる方があろうと思いますので、時間の都合上簡単にご説明申し上げます と、柱書きのところでは、1つは、全ての障害者が他の者と平等の選択の自由をもって地 域社会で生活する平等の権利を承認すると、こういう短い文章の中で大変重みのある中身 が入っておるわけでございます。2つ目は、社会への完全かつ効果的なインクルージョン と参加を容易にする効果的な措置という形でございます。  なお、私が読んでいる条文は、民間訳の長瀬・川島訳を使わせていただいております。  (a)項目では、他の者と平等にだれとどこで生活するかを選択する権利というものが 規定されております。また、特定の生活様式での生活の義務付けられていないこと、義務 付けられないことです。そして、(b)項におきましては、地域生活支援と孤立防止のた めのパーソナルアシスタントを含む必要なサービス。ここでも大変ユニークなものが出て きていると思います。(c)は、地域社会サービスが全ての障害者がアクセスでき、障害 者のニーズに応ずることと、このような形で規定されています。  実は、この規定ができた経過がちょっとございますので、簡単ですが、ご説明したいと 思います。2003年6月に開かれましたバンコクでの国連ESCAP専門家会議で、障害者 団体より、地域生活の権利が提案されました。同年10月のバンコク草案などを経まして、 2004年の国連作業部会草案で自立生活条項が新たにできました。これが19条の基になって いるわけでございます。  そこで、この19条につきまして、どういう意味があるのかなという私なりにまとめてみ ました。1つは地域での自立生活の権利を定めたと。このことで、地域移行を目的とする ものという形が出ておるわけです。これはどういうことか、何が含まれておるかといいま すと、1つはやはり障害者が保護の客体から権利の主体として位置付けられたと。2つ目 に、医学モデルから社会モデルへの転換が図られてきていると。そして3番目に、先ほど お話しいたしましたけれども、障害者団体よりすごい提案をされたと言いましたが、実は 日本の自立生活運動の成果の一部ではないかという読み方をしております。  意義の2番目といたしましては、地域の国際人権条約に新しい概念を導入された、それ は19条の自立という言葉でございます。全てを一人で行うことではなくて、自己決定の意 味をすると。1つは自立というこの「立つ」のほうに「律」という形に文章が変わってい ると思いますけれども、そして12条に法律の前における平等な承認などで、自己決定を支 援する政策が求められており、自己決定に必要な支援を受けながらするものということで、 いわゆる自分一人ではなくて自己決定する場合において、やはりその支援というのはあっ ても、これは自立という考えでございます。そういうような観点から、やはり個々に応じ た合理的配慮という観点もこの中に含まれていると私は思っております。  そして、意義の3番目でございますが、権利条約第3条というのは条約の一般原則をう たっているわけでございますが、この一般原則を、地域生活という局面における具体的規 定としてあらわしたのが19条であろうということでございます。  さて、4番目は、文言で言いますと、この中で特定の生活様式ということが出ておりま すが、これにつきましては入所施設あるいは病院などを指していると理解しております。 条文の解釈といたしまして政府の政策を施設入所から在宅や住宅、住居、地域生活支援サ ービスへと転換することを要求したものということが読み取れるんではないかと。どこで だれと住むかを障害者が決定する権利があることを承認していると。そして、脱施設だけ では自立生活という目的達成するために十分ではないと。したがって、最低限の社会サー ビス、健康や住居、雇用サービスが要求されるという形になっております。つまり自立生 活の原則がいわゆる法的権利として確立された立法的な枠が必要であり、それは政府やサ ービス提供者に対する義務付けとなっていると思います。  5番目は、国家の義務、地域移行へは基本的には社会的権利として漸進的に達成するも の、しかし地域移行が後退してしまうような措置はとってはならないというような読み方 ができます。脱施設・地域移行施策は地域で障害者を孤立させないことや、完全かつ効果 的な社会参加のための資源整備とセットで行われなければならない。しかし、精神障害者 の社会的入院などは、一部は人権的違反あるいは社会権中核的義務違反に当たるような可 能性もある。この場合はすぐに是正しなければならないというふうに読み取れるのではな いかというようなことでございます。そういう面から、もう一つ、この中でパーソナルア シスタントという言葉も新しい概念として入っているのではないかと思っております。  ともかくこの19条を中心と捉え、地域で障害者が生活する権利をということを整理して いかなければならない。したがいまして、障害者基本法を改正する中において、まずこの ことが中心になっていくんではないかなと思っております。  大変雑駁ではございますが、以上でございます。ありがとうございました。 ○佐藤部会長  ありがとうございました。  いろんな質問をされたい方もいるかもしれませんけれども、時間もありませんので、休 憩の時間などに森委員に聞いていただければと思います。  それで、今日のメーンな議題は、新しい総合福祉法をつくるに当たって論点AからCに ついて議論をすると。できるだけ共通理解を深めるということがポイントです。それで、 早速それに入りたいところなんですけれども、それに入る前に今後の全体的なスケジュー ルがどうなっているかということについて、ある程度見通しを持ってからでないと、なか なか落ちついて各論に入っていけないという方もおられると思いますので、資料4を見て いただきたいと思います。今後のスケジュールについて図を含めて紹介をしております。 これについて茨木副部会長より説明をしていただきたいと思います。 ○茨木副部会長  副部会長の茨木です。  それでは、資料の4の説明をさせていただきます。  3枚つづりになっておりまして、最後の3枚目に説明の図式化したものが書いてありま すので、そちらを見たほうが理解しやすい方はそちらをどうぞご覧いただきながら説明を 聞いてください。  1つ目ですが、この部会全体の今後のスケジュールということですが、2010年から2011 年8月までを大きく想定しています。開催予定日は、基本的に毎月1回開催ということで 決定しております。原則として第4火曜日、もしくは会場の都合で第3火曜日になる場合 があります。しかし、このいずれかの月1回というペースで進めさせていただきます。  この部会の全体会の目的なんですけれども、大きく2010年、先月になりますが6月から 9月まで4回については、この新しい(仮称)障害者総合福祉法の論点について全体で共 通理解を深めるということを目的に、前回皆さんにご承認いただきました論点表に基づい てAから順番に議論を進めさせていただくという形にします。  次いで、2010年10月から12月までの3カ月の3回に関してですけれども、ここから55名 という大変大きな人数でこのまま議論を進めていっても、一つ一つの議論が深まらないで すし月1回というペースがもう決定しております。そこで部会を作業チームという形で小 グループに分けさせていただきながら、後で2のところで説明しますが、この課題別の作 業チームを走らせながら、一方で全体会も併せて行うという2階建ての部会で進めさせて いただくということにします。この会場にまず集まっていただいて部会全体で一定の話合 いをした後で、今度は作業チームに分かれていただいて、それぞれ課題別の作業の検討課 題についてミーティングをしていただくという流れになっていきます。それで第1期とし ては大きく、後で説明しますが3つぐらいのグループ、さらにその中で細かく分かれる可 能性がありますが、その作業チームごとにとりあえず検討していただいた案を、また部会 に持ち寄っていただいて、全体の情報共有と合意形成を図っていくという流れで進めてい きたいと思います。  次いで、2011年1月から3月までの3回、これは論点の今度は後半部分について作業チ ームを新たにまたつくらせていただいて、そして3回の部会の中で全体会と作業チームの 検討ということで同じような形で小さなグループで検討案を出していただいて、その案に ついて部会全体で情報共有と合意形成をしていくという大きな流れで、3回ぐらいずつで 論点をさらに集中して議論していただくという形をとりたいと思っています。ちょっとこ こら辺の時期はもしかしたら作業の流れによってずれていくかもしれませんけれども、 2011年度になりますが、その4月から7月までの4回ぐらいはこういった作業や検討を受 けて、全体で再び新法の骨格整理検討を行っていって、そして2011年8月にこの部会とし て新法の骨格の提言をしっかりとしていくという、そういう流れでスケジュールを立てさ せていただいています。  それで、気になる課題別作業チームということですが、部会の第2部として基本的には 部会開催の日の後半の2時間から3時間という形で開催させていただきます。ですから、 原則開催日は部会同日ということになっています。そうなんですけれども、恐らくそれだ けでは時間が足りないとか情報交換するには不足しているということがあると思いますの で、その他ミーティングやメールの交換等ということは自主的にやっていただくというこ とにしたいと思っています。これはすみませんが、事務局から会場費とか交通費の問題で ぜひそうしていただきたいということです。  そして、その課題別作業チームの目的なんですが、新法策定に当たり、より詰めた議論 や検討が必要な課題について課題別作業チームを部会委員で編成し、全体会議に諮る検討 案を作成するということが作業チームの課題ということになります。それで、進め方なん ですが、さっき申し上げましたように、2回に分けて55名の方がチームに所属していただ いて作業チームとして検討していただくということを考えています。2010年10月から12月 までを第1期と考えて、大きく論点表の分野AからDに関わる中で検討チームをつくって 議論すべき課題ということで分けさせていただこうということを考えています。今のとこ ろの案としては、第1グループとして、法の理念や目的を検討する作業チーム、第2グル ープとして、障害の範囲や選択と決定・支給プロセスなどを検討するチーム、それから3 つ目は、支援体系を検討するチームということで、この中でも訪問系のサービスを検討す るチームや日中活動や住まい方を検討するチーム、地域の暮らしと自治体の役割などを検 討するチームなど、もしかしたらさらにサブグループに分かれてということになるかもし れませんが、とにかく現段階では大きく3つぐらいの検討チームが必要なのではないかな というふうに考えています。今後、具体的なチーム編成については来月に向けて会場確保 など、事務局とのすり合わせも含めて検討していきたいと思っています。  次のページですけれども、今度2011年1月から3月までの第2期では、残りの論点Eか らIに関わる利用者負担や報酬体系、施設・病院からの地域移行について、また地域生活 資源整備などのテーマが考えられますけれども、これについては第1期の議論の進展状況 を見ながら、年末に再びこの検討チームの編成については提案するという形にしたいと考 えています。  これらの作業チームのほかに、これは今までも皆様から出ていたことですけれども、こ の総合福祉部会を超えて議論しなければいけない問題、広く新法を超えた課題を含んでい る分野というのがあります。今のところ児童・障害児の問題です。それから就労の問題、 それから医療の分野、この3つは新法を超えて議論が必要な課題でありますので、これに ついては3つ目として、障がい者制度改革推進会議(親会議)との合同作業チームを検討 して、そこで広く本法とそして他の法律とのはざまを生まない仕組みなども考えながら検 討していくべきではないかということで、合同チームを提案したいと思っています。ただ これは部会で決定できる問題ではありませんので、今日もし皆様から賛同が得られれば、 次回の推進会議に提案を部会長からしていただいて決定していくというプロセスを経て、 この合同作業チームというものを立ち上げていきたいと思っています。これについても10 月からということで、単独の部会の検討チームと同じような形で検討を進めさせていただ くというようなロードマップを考えています。  以上です。 ○佐藤部会長  ありがとうございました。  これからのスケジュールの大まかな半年先くらいまでの計画と、特にその中で部会と作 業チーム、合同作業チームを並行して詰めた議論もできるようにしていくと。作業チーム のほうでは第1期と2期に分けて、1期で理念だとか支援の種類だとかそういうものを決 めた上で、第2期のほうで利用者負担だとか、そうしたものの資源整備の在り方だとかを 検討していくという大まかなスケジュールが示されたと思いますけれども、こういう委員 の皆さんからの提言も概ねこういうものが多かったと思いますけれども、こういう方向で 進めていきたいと思いますが、特にご意見があるでしょうか。  山本委員。 ○山本委員  8にちょっと進め方で意見を出しましたけれども、私この部会に入ったのは総合福祉法 (仮称)をつくるものだとばかり思っていたら、前回法律ではないと。骨格というのはそ もそもどういう意味なのかというのが。つまりどこまでが、つまり条文案まではつくらな いということなのか要綱案までつくるのか、骨格というのは何なのかというのがよく分か らない。私は起草委員会を並行してつくって条文づくりをもう始めるべきではないかとい う意見を書きました。  それからもう一つですけれども、作業チームに分かれてメールのやりとりをするのであ れば、それは公開してほしい。つまり、メーリングリストをつくって投稿はできないけれ ども、全ての人がアクセスしてそのメールが読めるシステムの中で議論していただきたい と思います。そうでないと、議論の公開性の保障というのが非常に難しいと思います。だ から、当然ここで集まったときは公開されるわけですよね、傍聴者もいて。しかし、メー ルのやりとりで、それがほぼ固まる前のプロセスも私は公開すべきだというふうに考えま す。  以上です。 ○佐藤部会長  もう一方、西滝委員、手が挙がっていたと思います。 ○西滝委員  はい。 ○佐藤部会長  その後、野原委員と中西委員、続けてお願いします。 ○西滝委員  全日本ろうあ連盟、西滝です。  考え方のスケジュールの説明があったんですが、ろうあ連盟は人間生活の基本にあるの はコミュニケーションであると考えております。ちょうど個人情報保護法があるように情 報保障法が基本的に必要と考えています。それは、先ほど佐藤座長が児童あるいは就労、 医療などの具体的な提案がありましたが、今申し上げたことも含め、コミュニケーション が必要、それだけではなく司法、立法、全てにおいてコミュニケーション必要になるわけ ですから、コミュニケーションというものは基本にあると私どもは考えております。  その上に立って、福祉の制度、新しい法律をつくっていけると、そういう見地が必要で あると思います。そのためにも合同部会についてコミュニケーションという内容も入れて いただきたいという提案です。 ○佐藤部会長  野原委員、簡潔にお願いします。 ○野原委員  日本難病・疾病団体協議会の野原です。  全体のロードマップは概ねこういうことになるのかなということで頭に入りましたけれ ども、ちょっと質問を兼ねて意見を伺います。難病の場合には医療分野の拡充イコール福 祉の前進というふうな、言ってみれば医療問題そのものが非常に大きなウエートを持って いる分野です。そこで新法を超えた分野という表現がされましたけれども、そういう表現 が果たして適切なのかどうなのかということがよく分かりませんけれども、質問としては、 このいわゆる個別的な作業チーム、テーマごとの作業チームと同時に分野ごとの合同作業 チームの編成ということで、これはいわゆる推進会議と現在の部会委員がそれぞれ手分け をして合同部会に構成員として入っていってやるという考え方だろうと思うんです。私た ちのほうは医療分野もかなり重要だし就労も児童も非常に深刻な問題をそれぞれ抱えてい ます。現在推進会議にも人が(難病関係者)入っていないし、部会に2人入っているだけ だと、難病の直接の当事者が、それぞれについてしかるべき意見を当事者としても述べた いということがあるんですけれども、こういう問題にはどういうふうに対応したらいいの かということを、ちょっと考え方としてお聞きしておきたいということです。  以上です。 ○佐藤部会長  まとめてご意見、質問を受けたいと思います。  中西委員、お願いします。 ○中西委員  全国自立生活センター協議会、中西です。  作業チームの委員選考については我々のほうで希望する委員会に出られるのか、また、 2つの委員会にまたがって出たいという希望はかなえられるのかが第1点。  それから、親会議のほうとの合同部会でカバーし切れない手法とか政治参加とか問題が あるわけですけれども、これは親会議の基本法の議論と併せて、そこでなされるので問題 はないというふうに考えたらいいのか、その2点を伺いたいと思います。 ○佐藤部会長  何点か質問、意見が出されました。三役のほうでも十分詰め切れていないものもあって、 今後お諮りしながら進めていくようなこともあろうかと思いますけれども、起草委員会と いうことが山本委員から出されましたけれども、恐らくその作業チームの中で起草委員会 的な役割を相当意識しながら作業していくという、そういうことになるのではないかと思 います。起草委員会が文章をつくって、その内容を作業チームがまた別にやるということ は余り現実的でないので、かつ医学モデル、社会モデルとかいろんな言葉が出てきている けれども、やっぱり法律の文章に近いものを用意することによって、共通理解がきちんと 定義もなされるというふうなことになっていくのだろうと思いますので、当初、部会長と してその法律案までつくるのは難しいというふうに思っていたんですけれども、その後い ろんな委員からの意見を受ける中で、できるだけ内閣法制局にお任せでない、それに近い もの、完成版に近いようなものを部会としても用意したほうがいいのではないかというふ うに今は思っていますので、そんなスタンスで作業チームが仕事をしていただければいい のではないかというふうに思います。  それと…… ○山本委員  骨格というのはそういう意味ですか、骨格というのは。 ○佐藤部会長  そうですね。単なる抽象的な理論ではなくというふうに考えております。  それで、情報の公開、メールの公開ということについてできるだけ情報公開をしなけれ ばいけないと思っていますので、事実的に詰めさせていただければと思います。  それから、西滝委員が提起されたコミュニケーションの重要性を含めるということで、 法の枠ですね。先ほどの作業部会では一番目の部会で検討することになるのではないかと 思いますけれども、ぜひ情報保障の在り方、コミュニケーションというのを重視しながら、 場合によるとサービス・支援の内容というところでも絡むのかもしれませんけれども、重 視しながら取り組んでいくということかと思います。  それで、いろんなものに関係があるので、それぞれ入りたい。しかし、難病関係の委員 が少ないのでどうしたものかという意見と、それから2つ入れるのか、所属の希望ができ るのかという中西委員の意見がありました。全部並行して走らせると1つしか所属できな いということになるので、その点を緩和するためにも第1期と2期に分けるというのも一 つの分けることの理由の一つはそういう点だったのですけれども、しかし、実際上、同じ 日に並行してやるということになるので、第1期の幾つかは同じ時間帯ということになる ので、所属は限られるのではないかと思います。  それで、各作業チームの世話人が1人になるのか複数になるのかも含めてまだ検討中で すけれども、その世話人になっていただく方は三役のほうから適任者を選ばせていただい て、お願いをするという形にはしなければいけないと思いますけれども、あとメンバーに ついて全て希望でいくのかどうなのか、それで人数のバランスだとかいろんなことを考え ないといけませんので、その辺はちょっとその所属の選択希望なのか、ある程度三役のほ うでも調整をさせていただくのか、そういうことはまたもうちょっと先に行ってから検討 させていただければと思います。  中西さんの最後は司法とかいろんなほかの分野のことですか。いずれにしろ、この総合 福祉部会で検討する内容というのは、総合福祉法がカバーする内容は何かということを基 本にしながら、しかし、その自立支援法にあって総合福祉法には入らないようなものとい う部分が出てくる可能性もありますので…… ○中西委員  今、質問したのは、合同作業チームで3つの分野しかカバーしないんですけれども、そ れ以外のものについてはもう推進会議、親会に任せてしまうのか、我々のほうで関与をし 得るのかということを聞いたんですけれども、分かりました。 ○佐藤部会長  そんなところで、まだいろんな運営の仕方については意見があろうかと思いますけれど も、これまだ作業チームの持ち方とか固まっているわけではありませんので、ぜひ文書で 三役のほうに出していただくか、休憩のときに言っていただくということにして…… ○斎藤委員  文書で出していることに対する回答を求めたいので。これ、文書で要望書で出したんで すけれども、それについて何も触れられていないのでそれについて聞きたい。いいですか。 ○佐藤部会長  はい、どうぞ。 ○斎藤委員  共同連の斎藤です。  文書で参考資料で出ておりますけれども、4で出ておりますが、1つは今ミニ学習会を 今日もやっていただきましたけれども、我々が新しい福祉法をつくろうということであれ ば、各国、世界の先進的な福祉国家といわれる国の福祉法がどのように構成されているの かという、そういう基本的な学習会を全員でやったほうがいいんではないかというふうに 思いまして、それについて提案をさせていただいておりますが、というのは、この日本国 憲法がつくられたときに、これGHQが原案を用意してきたわけですけれども、その10人 ぐらいのメンバーが世界の10カ国ぐらいの憲法を徹底して調べ尽くして、その結果、日本 国憲法原案というのをつくり上げたという話であります。やっぱりいいものをつくろうと 思えば、そういうきちっとした学習に基づいた取組が必要だと思いますので、この個別の 論点についてチームに分かれて議論するのは大いに結構なんですけれども、やっぱりそれ を共通するような基本的学習が必要だというふうに思うんですけれども、それについては 何も触れられていなかったのでお聞きしたいということと、もう一点、これは3つ目に書 きましたが、やはり政策提言をしていくわけですから、それに必要な調査や情報収集とい うのを早くやっておかないと途中からこれが必要だなんていってやり出しても、このタイ ムスケジュールで間に合わなくなってくるので、それは早くにそれを提起すべきだという ふうにこれまでも申し上げてきましたし、会長もそういうのはやりますと2回ほど言われ たと思うんですけれども、全くそれがまだ触れられていないので、どうなっているのかお 聞きしたい。 ○佐藤部会長  1点目の学習会に世界の障害者法制ということが出たんですけれども、本当にコンパク トに日本の参考になるようなものがきちんとできていれば一番いいんですけれども、なか なかそういう資料、講師などの確保というのは非常に難しいですので、委員の皆さんの中 からその情報提供を参考資料のような形で出していただくということしか今のところでき ないのかなというふうに思っております。  それと、いろんな調査が新しい法律づくりには必要だということが、ずっと4月から出 されております。そういうことを含めてこれからの調査活動をどうするのかということに ついて、今日の一番後のほうで厚生労働省のほうからの説明もありますので、それを参考 にしていただければと思います。  そんなところで、申しわけないんですけれども、あと進め方についてのご意見などきち んと三役のほうでも検討しますので、文書などでいただければありがたいなというふうに 思います。  それでよろしいでしょうか、とりあえずこの今、茨木副部会長が報告をしてくださいま した資料4のスケジュールを基本としながら進めていくと。第2期の作業チームの持ち方 などについては、またさらに進行を見ながら工夫をしていくということ。とりあえず、資 料4にあります3つの作業チームを設けるということと、3つの合同作業チームを推進会 議のほうに要望をするということで進めてまいりたいと思います。  それで、今作業チームの世話人になっていただく方のお願いなどを三役のほうからさせ ていただいて、部会で確認をしていただくということで、10月から始めるということでな くて、準備を進めていきたいというふうに思っております。  そうしましたら、今日のメーンテーマですけれども、論点分野Aについての意見の調整 を図っていただくようにしたいと思います。  まず、討議の進め方なんですけれども、委員の皆さんから提出された意見の概要を5分 程度で私のほうから説明をし整理をし、そしてこの分野Aについて、こういう点について 今日この場でご議論をいただきたいというポイントを幾つか提示させていただきまして、 その後、厚生労働省から資料3に基づいて5分程度でその分野に関する現在の制度の状況 について説明をしていただくと、現状とかその背景についての共通理解、事実の確認をし た上で議論をしていただくためにもこういう事務局の説明というのが必要ではないのかと いうふうに考えております。そして、残りどのくらい時間がとれるか、30分、40分程度で 私が提起させていただいた論点、ポイントについて議論をしていただくということにでき ればというふうに思います。意見の相違がある部分を主に討議のポイントとして提起させ ていただきます。大体議論するまでもなく共通理解になっていることについては取り上げ ないということで、意見の相違の理由、根拠、背景は何なのか、意見の相違を解決するた めには何が必要なのかをおぼろげなりとも明らかにして共通理解を得るということを目的 にできればと思います。今日の部会ではその解決、決着をすぐつけるということはできな いと思いますけれども、どのように意見が違うのか、それぞれの委員はなぜそういうふう に考えているのか、今後特に作業チームの中で意見の一致を見るためにどんな検討が必要 なのか、できれば見通しを得られればというふうに思ってのセッションとしたいと思いま す。  ということで、休憩に入る時間なんですけれども、時間の関係もありますので、私のほ うの説明とそれから厚生労働省の説明のところまでをあと10分くらいでやらせていただい て、その後15分間の休憩というふうに進めていければと思います。 ○斎藤委員  すみません。 ○佐藤部会長  斎藤委員、それから藤岡さんも、じゃ続けてお願いします。 ○斎藤委員  斎藤です。  この議論に入る前にちょっと聞いておきたいんですけれども、この間の閣議決定があり まして、推進会議の第1次意見書に沿ったものが発表されましたけれども、この部会の当 面の対応する課題という、早急に対応する課題、当面の課題というまとめたものは、あれ の扱いというのはどのようになったのかということがよく分からないので、その辺を教え ていただきたいのですが。 ○佐藤部会長  それは後の報告事項で取り上げていますので、それをお聞きいただければと思います。 ○斎藤委員  ああそうですか。 ○佐藤部会長  藤岡委員、何か。 ○藤岡委員  すみません、ちょっと話の腰を折っちゃうんで、前回の補足意見ということで、参考資 料7−2というやつを読み上げだけさせていただきます。  第4回総合福祉部会において、私は厚生労働大臣が調印している以上、基本合意文書は、 国会、国会議員が契約上の効果として直接拘束されるのだと主張いたしました。これは個 人的見解ですが、厳密には正確さを欠く発言でした。  個人的見解として、議院内閣制の下、国民代表たる国会議員は、障害当事者の声を聞い て、今後の障害施策の立案・実施をするという基本合意の理念を尊重するべきとの主張に 訂正いたします。  総合福祉部会の構成員という公の立場において、不正確な発言をしたことをここに謹ん でお詫びし、これを訂正する次第です。  以上です。 ○佐藤部会長  ありがとうございました。  そうしましたら早速、論点Aについて皆さんのほうから出された意見のポイントはどう いうものか、資料1に論点表が今日載っていますので、それを見ながら聞いていただけれ ばと思います。  まず、論点の分野のAというのは法の理念・目的・範囲という枠になっているわけです けれども、そのうちの最初の項目が、法の名称ということです。多くの人の意見が障害者 総合福祉法でよいのではないかと、「害」を平仮名にする場合も含めてそういう意見でし た。そのほか障害という名前を使わない法律にするべきではないかという意見も見られま した。  それから、福祉という言葉を使わないで生活支援法とか地域生活支援法とか、そういう 表現にするという意見もありました。中身の議論をきちんとした上で、法律の名称は後の ほうで議論したほうがよいという意見も見られました。  それから、項目の2番目は、誰の何のためという枠ですけれども、障害者のためだとい うのが多数の意見でした。しかし、同時にその障害者のためのものをつくることによって、 国民一般のためにもなるんだというような意見、あるいは障害者の権利条約の第19条、先 ほどの森委員が紹介した19条の実現が目的であるというような意見も見られました。それ で、憲法や障害者基本法との整合性は非常に大事だという意見が多くの委員から出されま した。  3番目の項目、A−3の理念規定については、保護の客体から権利の主体へ、医学モデ ルから社会モデルへの展開を踏まえた理念についてということで、そうした理念を明確化 すべきだという意見が見られました。同時に、理念は障害者基本法で盛り込んで、より具 体的な表現を総合福祉法の中に位置付けるというような意見も見られました。保護の客体 から権利の主体へというのは基本的にいいんだけれども、それだけだと欠落してしまう危 険性があることがあるので、例えば保護の客体から権利を尊重した支援を受ける主体への 転換というような用心深い表現がいいのではないかという意見も見られました。  それから、これまでの医療モデル偏重から社会モデルへの転換を明記すべきという多数 の意見がありましたけれども、一方では医学モデル、社会モデルという言葉の解釈に幅が あるので、注意してこれらの用語を使うべきではないかという意見も見られました。  それから、地域で生活する権利の明記については、多くの人がこれはきちんと法律に明 記すべきだという意見を述べておられました。同時に支援が十分ない中で地域にほうり出 されるというふうなことがあってはならないということから、生命に対する権利というこ ともきちんと位置付けるべきではないかという意見も見られました。  それから、自立の概念については、支援を受けながらの自立という考え方が多くの委員 から出されました。そして、選択権を前提とした受給権の保障ということについても、多 くの委員がこれを明記するべきであるということを述べておられました。一方、何人かの 委員からは、そうしたその選択権に基づく受給権というようなものが十分な資源の整備が ない中で本当に可能なのかと、そういうことを法律に書き込むことができるのかどうなの かということも提出されておりました。  それから、特定の生活様式を義務付けられないということについて、A−4−2の論点 ですけれども、こういう権利条約の規定を踏まえた規定を法律に盛り込むべきかどうかと いう論点については、それを盛り込むべきだという多数の意見が出されていたわけですけ れども、同時に生存権保障のために施設入所も選択肢として残すべきだと、不可欠だとい うような意見も出されました。  それから、法律の守備範囲ということで、当然障害者の福祉サービスが中心だという多 数の意見とともに、医療や労働、コミュニケーションは障害者の福祉サービスが中心だと いうことで、したがって、医療や労働、コミュニケーションは別建ての法律にすべきだと いう意見が多く出されたわけですけれども、同時にこの福祉の法律の中に例えば総合福祉 労働法として労働分野は包含するべきであるとか、支えるための医療というのは含み込む べきではないかとか、あるいは福祉に重点を置くということではあっても、就労だとか就 学だとか入院時の介助については福祉サービスとしてきちんと提供するべきだというよう な意見とか、この総合福祉法が担当するべき範囲、ほかの領域との関連についてはいろん な意見が出されていたと。  それから、既存の身体障害者福祉法など機能障害別の福祉法の在り方、手帳制度をどう するかというようなことについては、障害者総合福祉法に縦割りの障害者福祉の法律を全 部統合してしまうべきだという意見とか、それぞれの障害特性に基づく支援体系があるの で、これらは残すべきだという意見だとかいろいろ分かれていました。特に精神医療分野 の扱いについてはいろんな意見があるということかと思います。  手帳の制度についても、手帳の制度はちょっと待ってください。Bの領域ですね。失礼 しました。  そんな幾つかの点がAの分野での主な意見かなというふうに思います。そういう意見を 踏まえた上で、この後、厚労省の説明に引き続いて今日この部会で検討していただきたい 点として3点ほど考えがあるので、提案をさせていただきたいのですが、1つは、障害者 総合福祉法、この法律の名称はどうするかというのはまた最終的に議論するとして、これ から部会で検討する上で、この総合ということの意味は何なのかということについて考え てみると、今まで推進会議でも十分な検討もなされないまま来て今に至っています。この 法律を利用する対象というか主体というか、そちらの総合なのか、つまり全ての障害者と いうような意味での総合という意味なのか、あるいは支援サービスの総合なのか、つまり 福祉以外の種類も含めた総合的な支援を提供する法律を構想するのか、その両方なのか。 対象者、利用主体の総合という場合でも、全ての障害者なのか障害のない人も含めた総合 なのかというようなことについて、十分な共通理解がないまま今いると思いますので、そ の辺についてのご意見をお伺いできればというのがポイントの一つです。  2番目のポイントとしては、選択権を前提とした受給権という明記が必要だという意見 が多かったんですけれども、本当にそういうことを法律に書き込むことができるんだろう かと。この権利があるといっても、その地域にサービスがないというようなことでは困る わけで、権利があるというふうに法律に書き込むことができないのではないかというよう な意見です。その点についてのご意見をお伺いしたいというのが2番目のポイントです。  3番目のポイントは、特定の生活様式を義務付けられないということを明記することに ついてなんですけれども、こういうそのことを法律に明記するということと、それから選 択肢の一つとして入所施設があるということとは矛盾するのかどうなのか、選択肢の一つ としての入所施設という考え方は、特定の生活様式を義務付けられないという権利条約の 指摘と整合性を持てるのかどうなのかという非常に重要な問題で、結論は出ないにしても 皆さんの意見を今日聞いておければというふうに思います。  なお、その第1番目のポイントの総合ということの中では、総合福祉法がどの範囲まで 含めるのかという法律、来年8月には骨格、できたら条文をつくりたい総合福祉法の提案 の中に福祉だけなのか、ほかのものを入れるのかということも含めてご議論をいただけれ ばというふうに思います。  ちょっと長く、5分ではおさまらなかったかもしれませんけれども、そんな3点のご意 見を休憩の後でいただければと思います。  それでは、続きですので、藤井課長のほうからお願いいたします。 ○藤井課長  それでは、厚生労働省の企画課長の藤井でございます。  お手元の資料3に基づきまして、本日の論点に関わります現在の制度の状況等につきま して、できるだけ簡単に要点のみ申し上げたいと思います。  まず、最初のセッションAのところですが、この資料で申しますと2ページから10ペー ジまで、そのAに係る論点が記してございます。初めに2ページでございます。法の名称 でございます。これも現在の制度の状況という意味では、まさしく現在施行されている法 律の名称は障害者自立支援法でございますけれども、その下の丸のところにもございます ように、法律の名称は、この法律の目的なり内容をあらわすために、こういった名称とさ れたという経緯ではございますが、参考までに、2ページの一番下の丸のところをご覧い ただきますと、これ実は私どもが一般的に法律・法令をつくって内閣法制局なんかの審査 に持ち込みますときに、よく参考にしておりますワークブック法制執務というようなもの がございますけれども、そこから抜粋をしたわけですが、これをご覧いただきますと、法 令の題名につきましては、法制的にはそこにございますように、それがその法令に固有の ものであることからくる呼びやすさという要請と、その題名から内容を一応推察させ、あ るいは少なくとも内容を誤解させず、他との紛れも生じさせないようにしなければならな いという要請があるというふうに、非常に一般的な言い方でありますけれども、そういう ふうに記されてございます。  それから、3ページ、A−2、誰の何のためというところでございますけれども、ここ は現在の制度の状況といたしまして、自立支援法の目的につきましては、そこにございま す第1条のとおりに規定されてございます。また、他の法律との関係という面につきまし ては、自立支援法第1条では、障害者基本法の基本理念にのっとり、身体障害者福祉法等 々、その他障害者及び障害児の福祉に関する法律と相まってこの法律に基づく給付等を行 うというふうに規定をされております。  それから、4ページ、A−3、理念規定でございますけれども、現行の自立支援法には 市町村の責務といったような規定はございますんですけれども、この4ページの一番下の 丸にございますように、自立支援法では、障害者の自立及び社会参加支援等のための施策 に関する基本的理念を定める障害者基本法にのっとるということをうたっておりまして、 基本的理念の定めを同法に、障害者基本法にゆだねている形になってございます。そうい う意味では逆に申し上げれば、自立支援法には基本的理念に関する規定は置いていないと いうような、そういう整理になっております。  それから、5ページはもうとばさせていただきまして、6ページのA−4の3)ですが、 障害者の福祉支援提供に係る国と地方公共団体の役割をどう考えるかということにつきま しては、現行の自立支援法におきましては、まず(1)にございますように、市町村は障害福 祉サービス、自立支援医療、補装具等に関する給付を行う。すなわち給付の実施主体を市 町村というふうに定めておりまして、その自立支援給付等の費用の4分の1を負担すると いうような役割になってございます。それから(2)に、都道府県は市町村に対する援助等々 を行いますとともに、この自立支援給付等の費用の4分の1を負担するというような役割 になってございます。そして(3)に、国は市町村及び都道府県に対する援助等々を行うとと もに、その自立支援給付等の費用の2分の1を負担する、こういった整理になってござい ます。  それから、8ページ、A−5、法の守備範囲でございます。この現在の制度の状況のと ころに幾つか書いてございます。一番上の丸で障害者自立支援法は障害者に対する障害福 祉サービス、自立支援医療、それから補装具等に係る給付、それから地域生活支援事業等 を規定をしてございます。一方で2つ目に医療につきましては、これは自立支援医療につ いて規定をしてございまして、ここは障害者の医療に係る自己負担の軽減を図るという、 そういう仕組みが入ってございます。ただその一方で、その次の丸、労働とか雇用につき ましては、これはご案内のように障害者の雇用の促進等に関する法律等に基づき行われて ございまして、自立支援法には直接には規定をされてございません。  また、障害児につきましては、障害児のその福祉に係る支援につきましては児童福祉の 一部といたしまして、原則として児童福祉法に規定をされておるわけですが、ただしその 障害者と共通の支援につきましては、自立支援法に規定をされているといったような、そ ういった整理になってございます。  それから、その次の高齢の要介護状態等の方に対する給付につきまして、少しややこし いような書き方になってございますが、介護保険法の規定による介護サービスに係る給付 等を受けることができるときは、障害者自立支援法による同種の給付については介護保険 法による給付が行われる限度において行われない。介護保険法に相当するのがない障害福 祉サービス固有のものと認められるものを利用する場合や、市町村が適当と認める支給量 が介護保険法に基づくサービスのみでは確保できない場合等につきましては、自立支援法 に基づく給付が行われる、こういった現行制度間の整理になってございます。  それから、8ページの一番下のこれは留意すべき事項といたしまして、平成20年7月に 障害児支援の見直し検討会の報告が出されてございますけれども、この報告書の中では、 障害児についてはなるべく児童福祉法に位置付けることを基本とすべきと考えられるとい うふうな報告をいただいております。  それから、9ページ、法の守備範囲の中でも、2)他の既存の法律のあり方との関係と いったような、そういった論点でございますが、まず障害者自立支援法は、障害種別に関 わりない共通の給付等に関する事項について規定をする法律でございます。その一方で、 2つ目の丸、身体障害者福祉法、それから知的障害者福祉法、それから一番下のほう3つ 目の丸、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律、こういった個別の法律につきまして は、まさにそれぞれの障害種別に応じた様々な措置を定めているといったような、こうい う構成になってございます。  10ページ、児童福祉法につきましても記してございますけれども、当然、児童福祉法全 体は障害児を含めた児童に対する福祉等を定めたものでございますけれども、まさに障害 児固有の様々な措置につきまして定めておるところでございます。  以上でございます。 ○佐藤部会長  ありがとうございました。  そうしましたら、今2時20分ちょっと過ぎているところですので、2時35分まで休憩を させていただいて、先ほどの3つのポイントに基づいて意見交換を図りたいと思います。               〔休憩 14時21分〕               〔再開 14時36分〕 ○佐藤部会長  それでは、再開いたします。  話合いのポイントを3点紹介しました。1点目は、総合ということの意味で、2点目は、 選択権を前提とした受給権というのが法律に書き込めるのかということ、それから3番目 に、選択肢の一つとして入所施設というのはあり得るのか、特定の生活様式を義務付けら れないということと両立することなのかということで、先ほどそういう論点を示すのであ れば、言葉で言うだけでなくて紙に書いて議論しやすいような条件整備をというふうにお しかりをいただきました。次回8月、9月にはもうちょっと改善をしたいと思いますので、 ご了解をいただきたいと思います。  それでは、どなたからでも結構ですので、まず1番目のポイント、総合ということの意 味はどうあるべきかということについてご意見があれば。  発言時間は3分とさせていただいて、2分目でランプとブザーが鳴ると、3分でもう一 回鳴るということにしたいと思います。  それでは、末光委員お願いします。 ○末光委員  日本重症児福祉協会の末光です。  総合という点で、障害のすき間をなくということは多分どの方も同じご意見だろうと思 います。それに加えて我々重症心身障害児者につきましては、先ほど難病の団体の代表の 方からもご挨拶ございましたように、医療が不可欠であります。そういう意味で、医療・ 福祉を一体的にということを昭和42年以来、保障していただいたおかげで重症心身障害児 の命と生活の質が守られてきたわけであります。そういう意味で、医療・福祉を一体的に ということを総合の中に期待したいと思います。  それともう一点は、児童から成人になった後、18歳以上あるいは20歳以降は大人である という考え方は当然あり得るわけでありますけれども、重症心身障害児のようにトータル な発達の未熟な人につきましては、「児者一貫」での支援をしていただいております。18 歳で生活年齢によって分断されるということでなくて、一貫性を持って支援を続けていた だいた、その結果が今日の状況までに成熟してきたわけであります。その点3点をぜひ総 合の中に組み込んでいただくことを期待したいと思います。 ○佐藤部会長  それでは、栗原さん。 ○倉田委員(代理:栗原)  委員である箕面市の倉田市長の代理で、箕面市の参与をしております栗原と申します。  まず、この総合ということについての意見ですけれども、少数意見だと思うのですが、 箕面市の意見としては、法の名称も総合福祉労働法ということを提案させていただいてい ます。その視点から申し上げます。  その視点からの総合ということの意味ですが、私どもはやはり現在の福祉と労働、旧労 働省と旧厚生省の制度が非常に、やはりばらばらというんですか、スタンドアローン、独 立してそれぞれが立っている状況を、やはりこの機会に何とか変えていただかなきゃなら ないと思っています。その理由を大きく2つ言います。  1つは、今般閣議決定もされた今後の方針の中に福祉的就労への労働法規の適用という ものがあります。しかし、一方で雇用促進法があり、一方で総合福祉法がある中では、福 祉的就労の労働法規の適用もごく一部のこととしてしか実現しないのではないかという危 惧を抱いております。  もう一点、これは訓練のことです。障害者雇用促進法、労働行政の施設で訓練をすれば 訓練手当というものが当事者に出ます。一方、自立支援法で就労移行支援事業で訓練をす る障害者には手当が出るどころか、皆さんご承知のとおりお金を取られるわけです。だれ が考えてもおかしいことがまかり通っているのはなぜか。これは率直に申し上げて、労働 行政と福祉行政がそれぞれ独立しているからであります。ですから、この機会に労働と福 祉というものを総合する、そうした視点で非常にこれは大変な道のりだと思いますが、総 合福祉労働法ということを提案させていただきました。以上が箕面市としての意見です。  以上です。 ○佐藤部会長  できましたら、議論がかみ合うといいと思うんですけれども、今の労働と福祉とかとい うことに関連した、つながった発言の方から進められればと思いますけれども、いかがで しょうか。  どうぞ、近藤委員。 ○近藤委員  全国社会就労センター協議会の近藤です。  今の箕面市からの発言と同様ですが、福祉的就労で10数万人の方が働いているという現 状、また、障害者について制度の谷間のないとらえ方をすることを考えれば、「総合」は やはり福祉サービスに係ると考えます。その中にぜひ就労についても織り込んでいただき たいと思っております。 ○佐藤部会長  福祉と労働が一緒になっているから労働基本権とか守られないんだと、むしろ分けるべ きだというような意見を書いている方もいるかなと思うんですけれども、そういう方の意 見はどうでしょうか。  どうぞ、増田委員。 ○増田委員  増田です。  私は総合福祉法の中に労働を含むべきではないというふうに書きました。多分目指すと ころは倉田市長のお考えと同じで、その福祉的就労や幅広くその障害者施設で働いている 方々にもその労働施策が適用するべきだというところでは、恐らく一致すると思うんです けれども、多分現状が労政局での議論になってしまうと、私たちの影響力も及ばないとい うところから、この総合福祉法に提案をされてきているんだと思います。  ですから、本来どうあるべきなのかということをもう一度明らかにしながら、この後に 用意される部会の中でさらに詰めた議論をして、ここで結論を出すのは大変に難しいかな というふうに思います。 ○佐藤部会長  斎藤委員、お願いします。 ○斎藤委員  まず、会長からの質問事項が総合というのは何なのかということで、いろんな対象者を いろんな人を含めるという意味での総合なのか、サービスの総合なのかというお話だった わけですけれども、例えば今切り捨てられているような人も含めた幅広い法律だという意 味においたら、例えばそれは全障害者福祉法でいいわけであって、総合というのはちょっ と意味が違うと思うんです。総合というのはやっぱりそういう意味では、福祉サービスと いうものを総合的に展開する。例えばさっき医療との関連だったり労働との関連だったり いろんなことのつながりも含めて、福祉サービスを総合的に組み立てるという意味だと私 は最初から思っていたし、そうでないと言葉の使い方としてもおかしいだろうと思うんで す。  ただそこで、労働の問題だけに関して言えば、本来は労働の話は労働のほうでやるべき なので福祉の話じゃないというふうに言われれば、全くそのとおりなんですけれども、と ころが現在今、近藤さんも言われたように17万から20万といった人々が福祉サービスの中 で働いているという現実があるわけで、その福祉サービスで働いていても雇用関係を結ん でいるという、そういう人もいるわけですよね。それから、福祉から雇用へ移るためのも のを福祉サービスとして受けている人もいるわけですから、労働の問題で本来的なことは 語るべきなのだけれども、今の福祉の中におかれている20万というのはすごい数ですから、 この問題をどうするかというのは、ここの福祉サービスの問題としてやっぱりちゃんと語 るべきだろうというふうに思っています。 ○佐藤部会長  野原委員。 ○野原委員  日本難病・疾病団体協議会の野原です。  私どもは資料2−1の23ページに総合とは何かということを問いかける意見を提出して います。考え方としては大体先ほど来言われているような意見、様々な生活保障・福祉を 含めた保健、医療、薬事、教育、就労、介護、年金、それらをやっぱり包括して扱うべき ものではないかという考え方です。ただ、当然だからといって、それぞれの個別法がこれ で全て解消するということはもう不可能だし、現実にも合わないということだろうと思い ます。  したがって、総合福祉法は法の何ていいますか、在り方に基本的に関わってくると思う んですが、先ほども言われたみたいに総合的に組み立てるといいますか、全体を組み立て て調整をすると、こういうふうな機能を持った総合福祉法で、それぞれは当然医療もある いは保健、その他の生活保障を含めて個別法では別々に対応すると、それを調整機能を持 つ、そういうような法律にするというふうなことが適切なんではないだろうかと思います。 全てを一つの総合福祉法の中に包括して実定法として動かすということは、これはもう不 可能に近いことなんだろうと、ただ私たちの方でもちょっと論議したんですけれども、資 料2−2の50ページにやはり同じような問題があるんですけれども、ちょっと論議をして みると、これがなかなかまとまらないんです。論議も十分尽くされていないという問題も あるんですけれども、やはり問題は谷間のない総合的な福祉ということになれば、それこ そ障害福祉、保健、医療に関わる、就労も含めた、そういう問題がこれは包括的に含まれ るべきものでないといけないんだろうというふうに考えています。障害者基本法の関連だ とかその他の問題というのも当然出てくるだろうと思うんですが、もともと総合というふ うな考え方についていうと、そういうものではないんだろうかというふうに思います。  以上です。 ○佐藤部会長  小野委員、お願いします。初めての方を優先して。 ○小野委員  すみません、小野です。  先ほどの労働と福祉に関連して、その総合の意味合いについてなんですが、箕面市のご 指摘したことと増田委員の意見に即して申し上げたいと思いますが、基本は、やはり障害 のある人のその労働権を保障するという法律がないことが不幸の始まりだというふうに思 います。障害者雇用促進法そのものがそういった法律になっていない。ヨーロッパのよう な法雇用制度を、この制度改革という全般の国内法全部を見直すというチャンスに私たち はやっぱり期待をしていますので、この第1次意見では、雇用促進法の改正まで踏み込ん だものにはなっていませんでしたが、その障害のある人の労働権保障ということを視野に 入れると、それを法的に整備するということを視野に入れると、福祉と就労は分けていく べきだろうと。ただし、福祉の分野においても日中活動で重い障害の労働になじまない人、 すぐさま労働になじまない人の日中活動の場というサービスはあり得ると、なければなら ないと考えています。  総合の意味合いでいうと、やはり発達障害や高次脳機能障害や難病など、これまでやは り縦割りの障害別の制度で虐げられて除外されてきた、そういった人たちを含めて、先ほ ど森さんが紹介をされた権利条約の他の者との平等という観点から、障害のない人との平 等を保障する福祉の法律という点での総合性という意味合いをやっぱり今回の総合福祉法 には期待をしたいと思います。 ○佐藤部会長  じゃ、山本委員、お願いします。簡潔にお願いします。 ○山本委員  総合の意味ですが、私が誰のためにというところにも入れた。それから最後のその他の ところでも入れましたけれども、1つは、第1次意見書でも国民という言葉は使われてい ないです。ですから、この国籍の問題、障害者自立支援法は国民という言葉を使っていま すね。だから、全ての障害者という意味では国籍の問題、それから矯正施設にいる人も含 めるというこの問題、入管も含めて、60ページに私は詳しいことを書きました。これをど こにいる障害者であろうと、どのような障害を持とうとという意味で、総合ということは 受刑者の法律、入管法も含めて調整することを皆さん念頭に置いていただきたいと思いま す。今精神障害者病院から外国人からの助けてコールが私のところにたくさん来ます。 ○佐藤部会長  ありがとうございました。  田中委員、お願いします。  イエローカードが出ていますよね。  ちょっと田中さん、お待ちください。  奈良崎委員、何でしょうか。 ○奈良崎委員  すみません、奈良崎です。  矯正って意味が分からなかったので、今イエローカードを出しました。 ○佐藤部会長  山本さん、お願いします。 ○山本委員  失礼しました。刑務所、だから悪いこと、別に障害者でも悪いことする人はいますので、 刑務所に入れられたり警察につかまったりする場合があります。それから、外国人で障害 者で施設に入れられる人もいます。そういう人たちも含めた総合サービス、福祉であって ほしいという意味です。 ○佐藤部会長  奈良崎さん、よろしいですか。  そうしましたら、田中さん、お願いします。 ○田中(伸)委員  日本盲人会連合の田中です。  総合という意味につきまして少し申し上げます。  まず、何が総合かという点につきましては、少数意見かもしれませんが、障害者の基本 的人権の保障を総合的に行うという意味合いをどうしても看過してはならないと私は考え ております。先ほど来、障害者権利条約が大変重要だということがありました。しかし、 何といっても国内の最高法規は憲法であります。憲法が1階にあって2階に障害者権利条 約があり3階に障害者基本法があり、そして4階に総合福祉法があると、こういう法構造 が明らかになった上で、我々は議論をすべきであるというふうに思うわけです。ですから、 4階にある障害者総合福祉法は、1階にある憲法の基本的人権規定というものを保障する という意味合いをどうしても忘れてはなりません。  具体的に申し上げますと、冒頭、西滝委員から情報保障法の話がありましたが、例えば コミュニケーション支援ということを考えます。このコミュニケーションというものは具 体的にいえば情報の発信、それから情報の入手、そして同時にそれが行われる会話の場面 等々考えられます。これらは明らかに憲法21条が保障する表現の自由を具体化するもので す。しかし我々障害者は、情報を発信することや入手すること、あるいは会話に加わるこ とというものを行うときには、どうしても支援が必要なんです。したがって、この支援と いうものは、私たち障害者が表現の自由を行使するために必要な支援なんです。障害者が 基本的人権、つまり表現の自由というものを行使するものを支えるものとしての支援なん です。  したがって、これはなぜこういうことを明らかにしたいかというと、これは必ず障害者 総合福祉法をつくる場合に財源論というのが問題になってきます。もし福祉とか支援とい うものが与えられるものだという考え方が前提だと、財源が少ないということでどんどん と削られていってしまう。しかし、これは与えられるものではない。障害者の基本的人権 を保障する重要な権利を保障するために必要なものだということをしっかりと財源論に対 する対抗軸として打ち立てておかなければ、これはどんどんと削られていってしまいます。 財源が少なくても守り抜くべき人権は守り抜くということを明らかにするためにも、総合 という意味についてはこれは基本的人権の保障なんだ、障害者が基本的人権を行使するた めに必要な支援なんだという点をぜひ明らかにしておきたいと、そのように思います。  以上です。 ○佐藤部会長  ありがとうございました。  まだまだ意見があるかと思いますけれども、追加的な意見については文書で出していた だいて、全員に行き渡ると、作業チームの中でもきちんと発言として検討していただくよ うにしたいと思いますので、次のポイントの選択に基づく受給権というのが、この資源が 少ない中で本当に法律に書き込めるのかというポイントについて、皆さんの意見をお聞き できればと思いますが、いかがでしょうか。  西滝委員、それから小田島委員、お願いします。 ○西滝委員  全日本ろうあ連盟の西滝です。  サービスの選択権について意見を言います。  今の手話通訳の制度は一定のレベルで資格あるいは試験の制度が国の制度としてやって います。これに見合ったコーディネーターもいて、各派遣事業所はろうあ者からの依頼に 応じて通訳を出すというシステムになっております。これにサービスの選択権を認めると、 それは今までの方法をがらっと変えて自分で通訳を選ぶことになると大きな混乱の元にな ります。ですから、手話通訳の制度の現状についてはサービスの選択権は必要ないと考え ています。ろうあ連盟は30年間、手話通訳の養成、また試験のシステムをつくってきまし た。これはこれからも守っていきたいと考えています。  以上です。 ○佐藤部会長  小田島委員。 ○小田島委員  小田島です。  僕もケアマネをとったんですけれども、それを今のサービスに使えたらいいなと思うの は、支援者が今足りないんで、その中にケアマネを入れてもらいたいなと僕は思っていま す。そしてみんな障害者も使えるようなケアマネをもっと入れたほうがいいかなと、僕は もう5年かな、前にこのケアマネをとりました。それでも今は使えない、何もないケアマ ネをまたどうやって生かすのかなと、5年で入れたほうがいいのかなと、ちょっとそこの ところがちょっと自分にも分からないんですけれども、ほかのケアマネは使えるんだけれ ども、障害者のケアマネが全然入っていない。それを何とかサービスの中で入れて使って いけばいいかなと思います。  それだけです。 ○佐藤部会長  自分でサービスを選んで計画的に使うためにケアマネさんの助けが必要だと思うんだけ れども、使いやすいというか使えるケアマネさんが身近にいない…… ○小田島委員  いやいや、障害者のケアマネが使えない。だから使えるようにしてほしい、逆に。 ○尾上副部会長  小田島さんは東京都のケアマネ研修を受けられていて、研修を受けているのに、そのこ とを自分でサービスを使ったりほかの仲間の支援のときに使えないという、そのことを言 っておられるんです。だれかほかの人のケアマネというよりは…… ○小田島委員  うん、それで、外出分も使えていないし、どこかへ行くときにも使えていないし、外で もいろんなケアマネとった人が案外いるんで、それもちょっと考えてほしいなと。すみま せん。 ○尾上副部会長  当事者でケアマネ研修なんかも受けてきた人たちが、そういういろんなところで活躍で きるということを考えてほしいということですね。 ○佐藤部会長  ありがとうございました。  それと西滝さんの先ほどの発言は、手話通訳については選択権というのは特に要らない と、どこでも同じような水準のサービスが保障されるので。しかし、その総合福祉法全体 についてのサービスの選択権は要らないと言っているわけではない。手話通訳以外の支援 についての…… ○西滝委員  はい、通訳の範囲での意見です。 ○佐藤部会長  はい、ありがとうございました。  福井委員、お願いします。 ○福井委員  日本てんかん協会の福井です。  部会長が今3つに分けられたので、どこで言おうかと思って最後に手を挙げたら下げら れたんですが、私全部の委員の意見も読ませていただいたんですが、やっぱりさっき藤井 課長がこれに関連をするということで、厚労省の藤井課長がおっしゃったように、やっぱ り私たちがこれを議論するに当たって、先ほどもどなたかおっしゃったけれども、やっぱ り憲法とか国連の権利条約にしっかりと立脚をしていくということから考えると180度の転 換なわけですから、そこから発せられるいろんな選択肢とか、それからいろんな総合的な 福祉ということをしっかりと私たちが認識していかなきゃいけないというふうに思うんで すよ。  それで、立ちましたのは、私4月27日のこの会議で、てんかんの7割は治る病気と言っ たんですけれども、それを聞いていた協会の人から、もっと詳しく言わなければ駄目だと 指摘も受けたので立ち上がったんですけれども、やっぱりてんかんの患者というのは、そ の症状からいって患者性と障害者性の2つの側面があるんです。ですから言ってみれば重 複的な障害なんですよ。全国で100万人いるんですけれども、ですからやっぱり専門医療へ の期待とともに、社会的な側面から生活保障とか相談体制とか、そういう複合的な配慮が 物すごく重要なんです。ですから、特別なといいますか、いろいろと医学的なもの、医学 モデルと社会モデルとまさに一緒にしていろいろな選択肢が十分にないと、やっぱり社会 の中で生きていけないということがたくさんありまして、私たちてんかん協会もそのこと にずっともう創立三十四、五年です、取り組んでいるという実態なので、この総合福祉法 の中では、ぜひ全国100万人の患者が地域の中で様々なサービスが受けられるようにという ことで、私も全力を挙げていきたいと思っています。ちょっと時間が長くなってすみませ ん。  以上です。 ○佐藤部会長  小澤委員、お願いします。 ○小澤委員  東洋大学の小澤です。  これは受給権ということで発言なんですけれども、私、この総合福祉法に余りにも多く のことを盛り込むということにはちょっと疑問があって、先ほど田中委員がおっしゃった ような意見に賛成なんですけれども、基本的にはやっぱり憲法と権利条約と基本法、そし て多分この受給権をめぐっては差別禁止法の問題も出てくるわけです。要するにこの総合 福祉法で課題が発生したとしても、ほかの法律等に基づいて異議申し立てをするなりある いは訴訟するなり、そのことによってこの総合福祉法というのはやっぱり福祉という名前 がついているんですから、その範囲内の法律にせざるを得ないんじゃないかなというふう に思います。  あと他領域、さっきの総合の話にもひっかけますと、他領域の話に関しましては野原委 員がおっしゃったように、その調整という部分に関しての記載がやっぱり必要になるだろ うと、そういうふうに思います。  以上です。 ○佐藤部会長  北野委員、お願いします。 ○北野委員  今、小澤委員とか田中委員がおっしゃってもらったことと関連するんですけれども、サ ービスの受給権というときに、例えば厚生労働省のほうのつくってくださっている資料の 5ページのところで、いわゆる受給権の保護ということで自立支援給付に関わる受ける権 利という表現が入ってきております。このサービスを受ける権利というものがどこまで保 障されてきたかというところで、いわゆる自立支援訴訟などが起こってきたわけでありま すけれども、私たちがここで求めているものというのは、全く要件がないということはあ りませんので、一定の要件、エリジビリティーは要ると思うんですけれども、そのエリジ ビリティーを満たせば財政上の制約を越えたサービスを受給する権利、つまりエンタイト ルメントとして保障されなければ今回は新しい法律をつくる意味がないんです。ですから、 今回に関してはアメリカのメディケイドのように一定の要件を満たせば、例えば財政上の 制約を越えて必ずこれについて予算が出てくると、そういう医療的サービスであるとか福 祉サービスを、つまりアメリカの場合、所得要件がありますので、所得要件も除いていた だいて、基本的に財政制約を越えて福祉サービスが必ず受けられる、サービスを受給でき る権利としてのエンタイトルメントとしての受給権というものを明確にしていただきたい というのが1つ目です。  2つ目は、やっぱりサービスの選択権なんですけれども、これはまさに田中委員おっし ゃったように表現の自由であるとか、あるいは居住の自由、移動の自由、言論の自由を含 めた、つまり地域で当たり前に暮らす権利としての自由権を行使するために必要な社会権 として存在していると。そのために選択権が存在するのであるから、財政的制約をやっぱ り越えた仕組みとしてこれを整理し、保障としてエンタイトルメントとして、選択権をふ まえた受給権があるんだということを明確にしていただきたいと思います。  以上です。 ○佐藤部会長  奈良崎さん、何でしょうか、イエローカードの理由は。 ○奈良崎委員  すみませんが、先ほど北野さんが言った言葉が急に英語になったので、それを日本語に 訳してください。お願いします。 ○北野委員  はい。そう言われると思ったんですけれども、たまたまそのエンタイトルメントという 言葉を使ったのは、サービスの受給権がいわゆる財政上の制約を越えた財政、つまりこの 方にこれだけの支援が要るんだけれども、財政的に困難だからこれはサービスをしません と、そういうことを一切許さないという、そういうことを越えて必ず必要なサービス、予 算の限度に関係なく出せる仕組みとしてのサービス受給権ということをエンタイトルメン トとアメリカでおっしゃっていますので、それでそういう表現をすみません、つけ足した のでありまして、奈良崎さん、分かっていただけましたでしょうか、そういうことなんで すけれども、別にエンタイトルメントなんて言わなくてもよかったんですね、すみません。  あと何かほかにもし分かりにくいところがありましたら。 ○奈良崎委員  すみません、先ほど言った何とか…… ○小田島委員  すみません、あのね。 ○佐藤部会長  はい、小田島さんのほうからもどうぞ。 ○小田島委員  事務局にはっきり言ってもらいたい。英語とかちょっと分からないんで、分かりやすく 言ってほしいと思います。 ○北野委員  すみません、申しわけありません。  あと恐らく、メディケイドなんていう言葉も使ってしまったので、それも恐らくひっか かってしまったんですけれども、これはメディケイドとしか言いようがなかったものです から、アメリカの制度の仕組みでありますので、ほかに表現のしようがないんであります けれども、これがなくても説明ができましたので、申しわけございません。 ○佐藤部会長  そうしましたら三浦委員、光増委員の順番でお願いいたします。 ○三浦委員  この件につきまして、まず法に規定してから社会資源を整備していくのかということを お尋ねしたいんです。要は今いかなる地域にあってもサービスの選択を可能とするための サービスの基盤の整備、サービス事業所の量とか質でありますとか運営条件の確保などが 必要です。それから、必要なだけのサービスを受給できるような財政の基盤整備が必ず不 可欠であると思います。この法に規定するのであれば、並行してその社会資源の整備計画、 数値と期限を決めたもの、そして財政的な裏付けとなるものを明示すべきだと思います。 そこまで具体化していないと本当に権利が示されてもだれがどのように選択肢を準備する のかというのが、サービス提供や制度上の大きな課題になると思います。同じような立場 でこれらの問題を考える方々もたくさんいらっしゃると思うんですけれども、そのことを 危惧いたします。 ○佐藤部会長  光増委員、お願いします。 ○光増委員  光増です。  選択権と受給権はぜひ法に盛り込むべきものだと思います。それは支援費制度が始まっ たときに、契約制度だとか使えるサービスを選ぶということを多くの障害のある方に理念 的にはすばらしく説明したんですけれども、現実にふたをあけてみると知的障害領域でも 例えば全国的にホームヘルプの使える市町村が50%もなかっただとか、そういう問題があ ります。自立支援法になっても一部は義務的経費になりましたけれども、市町村が十分そ ういうサービスを事業者が育っていなくて用意していないという問題もあります。あとは 地域生活支援事業でも、これは市町村の責任においてやるものだけれども、例えば日中一 時支援とかガイドヘルプも含めて全ての市町村がやっているわけではないです。ですから、 選択の自由を保障しながら受給権も保障していくようにしなければ、結局市町村格差だと かお金があるところはサービスが選択できていっぱい受給できるけれども、お金がないと ころは何もサービスがないということはぜひ今度の法律には、そういうことのないように 明文化すべきだと思います。  以上です。 ○佐藤部会長  ありがとうございました。  藤井委員、それから中西委員、野原委員という順番でお願いいたします。 ○藤井委員  私も今のご意見に賛成なんですが、自立支援法のときにその法の基本に何を置くべきか という議論があったときに、一つは義務的経費ということ、これを中心に置こうと。やは り今度の新法が何を今回置くのかという、この制度の思想性といいますか。私は厳しい道 のりだけれども、やっぱり今言っていた選択権、受給権、私はもっと進んで個別請求権と いうことを提唱したいんです。それはどこに住んでいても、またどういう障害を持ってい ても、またどういう財政状況にあっても一定のレベルは受けられる、その権利を行使でき ると。ですから、生活支援に関する権利として考えたとき、やはりそういう点でいうと、 個別の請求権を付与すると。今の民法では例えば不服請求権なんかはありますけれども、 生活支援に関する権利性は乏しいわけです。これをやはり今回ぜひ今度の法の一番の根本 として、大変道は険しいけれども、探求できないかなというのが1つで。  おっしゃるとおり社会資源が乏しいということはもう自明なわけです。でもしかし、そ れは社会資源が厳しいから受給権とか請求権を抜かしていったんじゃ事は進んでいかない。 やはり権利から先行していって、それを根拠に社会資源を増やす、こういう点でいくのが 基本であって、ぜひこれに関しては大変、今言った道のりは厳しいけれども、みんなで考 え合って、この法律の根幹に据えるようなぜひ探求をしていけないかなということを考え ています。 ○佐藤部会長  中西さん、いかがでしょうか。 ○中西委員  自立支援法の条文の第1条に、障害者が有する能力及び適性に応じて自立生活、社会生 活を営むことができるよという、そこの能力、適性において限定されて自立支援、社会生 活を許されるというふうな条文があることを我々は今まで指摘してきたわけですけれども、 やはりここに我々選択権が与えられていないんだなというふうに感じてきたわけです。で すから、まずこれをきちんと今度の総合福祉法のほうでは書き上げていく。そして社会資 源が十分じゃないから選択権を保障できないんだという言いわけは、やっぱり制度の組み 方に問題があったんだと思うんです。我々は制度の組み方についても議論しなければ駄目 だということを、2003年の支援費から自立支援法に変わるときに思い知らされたわけです。 やはりここに我々は関与しなきゃいけない。  そのためにはやはり1日8時間以上の長時間の利用については市町村の負担になるわけ ですから、そこはもう国がきちんと保障してやるということで、財政の持ち方をきちんと 議論していけば、そんなに大変なことではないんだなと。だから我々はそこまで関与しな いと国の今の制度というのを追認していくだけでは駄目なんだということで、この会議を 開いたつもりなので、これをきちんと保障できるようなシステムまで我々は関与してつく っていきたいというのが、この選択権を前提にした受給権の明記という裏にあるというこ とを皆さんに知っていただきたいと思います。 ○佐藤部会長  野原委員、簡潔にお願いします。 ○野原委員  日本難病・疾病団体協議会の野原です。  まず最初に、選択権と受給権の問題は明確に権利として保障されるということはぜひ賛 成したいしお願いしたいと思います。ただ多くの難病患者にとってみると、この選択権だ とか受給権の問題は現状でいうとちょっと何ていいますか、雲の上の論議みたいに感じる 場合が少なくありません。恐らくほかの分野でも同じような問題があると思うんですけれ ども、例えばこれは今直接私たちが取り組んでいる問題なんですが、父親がパーキンソン 病のY5で寝たきりになっちゃって癌を併発したという事例です。障害者手帳は2級を持っ ていると。しかし、現実にはそれを受け入れる介護事業所もなければレスパイト入院を保 障する病院もないということで、しっかりした娘さんの在宅介護ですがちょっとアルコー ルを飲み始めた、止まらなくなりアル中になり、そしてもうどうにもならなくなっちゃっ たという状態です。癌が発見され、先が見えるようになってホッとしたいう何とも残酷な ことが現実に起こっています。  したがって、先ほどもどなたかがおっしゃっていたように、そういう人たちを含めて医 療を含めた社会的な支える基盤整備という問題が伴わなければ、やっぱり選択権とか受給 権とかといってもやっぱり画餅になってしまうというふうなことがあるんで、幸いにして この総合福祉部会は障害の概念の中に難病を明確に位置付けるという点では、基本的には 合意されてきているということで、私たちは大いに歓迎もするし、ぜひ皆さんにお力添え を得たいと思うんですが、その辺のところも含めてぜひ明確に権利、明文化していなけれ ば今は、したからといって簡単にそこへ接近できるというふうには思えませんけれども、 そこをやっぱり明確に着実に近づいていくという、やっぱりこういう目標ははっきり法律 の中に位置付けるべきだというふうに思います。そういう意味でぜひ促進したいし大賛成 だということです。 以上です。 ○佐藤部会長  ありがとうございました。  3番目のポイントはいかがでしょうか。特定の生活様式を義務付けられないという権利 条約の規定を書き込んだほうがいいという意見が多いわけですけれども、入所施設の選択 肢の一つとしての入所施設というのはあり得るのかどうなのかということですけれども、 いかがでしょうか。  末光委員、それから川崎委員、お願いします。 ○末光委員  日本重症児福祉協会の末光です。  まず、狭義の入所施設であります重症心身障害児施設そのものと、もう一つは在宅重症 児にとっての重症児施設の役割についてご説明をさせていただきたいと思います。  先ほど「障害者権利条約」の第19条、自立した生活及び地域生活への包含につきまして、 森委員から詳しくご説明いただいたわけであります。大変重要な規定でありますけれども、 この権利条約の中には、ほかにも第10条の生命に関する権利、第25条の健康を享受する権 利、第26条、リハビリテーション、ハビリテーションのそれぞれ規定があるわけでありま す。それらを総合的に判断して施設の在り方、役割についてもご認識をいただきたいと思 います。その結果を40ページに書かせていただいております。  これに関連しまして、ある国際的な立場でご活躍の方のコメントをご紹介させていただ きます。以前国連で障害問題を担当され、現在国連ニューヨーク本部において国際開発協 力政策を担当している長田こずえさんが、我が国の重症心身障害児施設びわこ学園を見学 され、次のようなコメントを残して帰られました。「重症心身障害児にとって施設がとて も重要な役割を果たしていることがよく分かった。他の諸外国では失われていると思われ る多くの命がここでは大切に守られている。施設が人権侵害とは思えない。命や健康やリ ハビリテーションも権利条約では基本的な人権として規定している。日本の文化の中で重 症児施設が大切な役割を果たしていると思う。ただ、施設が閉鎖的でなくコミュニティー に対してオープンであり、障害者の自己決定を促す必要はある。この施設機能とバランス よく地域支援機能を組み合わせていくのが日本の文化の特性を生かした支援だと思う」と 言ってくださっております。  このご指摘の後半でありますけれども、在宅重症児は現在2万5千人〜3万人おられる と推計されております。その方々に対して重症児通園、短期入所、訪問看護は不可欠な支 えであります。そのうちの短期入所につきましては公法人立121カ所、国立74カ所、約1万 9,000ベッドでありますけれども、その中で公法人立121カ所では昨年度1年間でショート を7,252人、14万2,600日利用しておられます。お1人が約20日近くであります。国立を合 わせますと多分1万2,000人、20万日がショートを利用されることによって在宅を続けるこ とができているわけであります。その意味で、在宅の方々にとっても重症児施設は不可欠 であります。そのことをぜひご認識いただきたいと思います。  以上です。 ○佐藤部会長  川崎委員、お願いします。 ○川崎委員  精神障害者の家族会の川崎でございます。  この文言は私は必要だと思っておりますが、実はその前提といたしまして、やはり社会 資源の充実といいますか、地域生活する上での住宅の保障、所得保障がこれはあっての上 でのことだと思っております。精神障害者の場合を考えますと、現在入院した人が退院す る退院先が家族の元、これは本人が望まないにも関わらず家族の元にしか戻れないとか、 また受け皿がないがために入院を続けなくてはいけないとか、このようなことはやはり絶 対にあってはならないことと私は思っておりますので、やはり先ほど来からも言っており ますように、社会資源の充実ですけれども、地域生活をする上でのやはり住宅の保障とそ れから生活する、特に精神の人は無年金の方が多いので、やはり生活するための保障、生 活資金の保障、それがこれからはぜひともやっていただきたいことだと思っております。  以上です。 ○佐藤部会長  清水委員、お願いします。 ○清水委員  西宮の青葉園の清水です。  今、重心のことでちょっとお話がありましたけれども、私も基本的に末光先生のおっし ゃったことで・・・。そう思うんです、ですから、実際要するに問題は、例えば西宮のほ うでも重症心身障害施設がありますので、そこで一緒に連携し合いながら重症心身障害施 設の機能も使いながらショートですとか外来ですとか、その中で逆に今度重症心身障害施 設にいらっしゃる方がちょっと違う生き方をしてみようと、こんなこともできるかもしれ へんなというのであれば、それはそれで一緒になって。要するに重症心身障害の方が地域 生活を展開していける、選択肢を持って自分の人生を生きていける状況を一緒につくって いきましょうという話をしているわけで。そのことの重要な役割を今の重症心身障害施設 が持っているということは、そうだと思うんです。ですから、もっと重症心身障害児施設 が、何ていうか、もっと機能拡大をして、現に先ほどお話にありましたびわこ学園でも既 にその機能拡大で、ご本人のもうちょっとこうしてみたいということにこたえていきなが ら、具体的には重症心身障害の人のケアホームの模索ですとか、いろんな地域生活へ向け ての多様な主体者としての生き方を進めていこうとされているわけですから。ですからそ のことはそれでそのとおりだと思うんです。  ですから、特定の生活を義務付けられないようにせねばいかんというような、それはそ うであって、現にみんなそう向かっていると思うし、重心の地域自立生活の中でもそんな 話で、みんな主体者として自分の人生を生きていこうとされているので、それは重心のベ ッドの上にいらっしゃる方も、地域で今学校を卒業しようとされる方も、みんなそうなん で。そのことを進めていきましょうということをきちっとうたい上げればええことであっ てね。ですから、この規定は絶対にそこは要るもんやと思うんですよね。要するに、よう 分からんのですけれども、今すぐでけへんことは書いたらあかんのですかねいうか。でき るようにしたらええわけでしょう。そういうことやと思うんで。そやから、その重心の方 と、みんなで一緒になってそこをそれぞれの立場から本人と一緒に立ち上がっていくとい うことが大切じゃないかなと私は思いますけれども。 ○佐藤部会長  奈良崎さん、それから竹端さん、氏田さんという順番で、それから広田さん、それから 三田さん、宮田さんの順番で。  もう休憩をしなければいけない時間になりつつありますので、とりあえずそこまでとい うことにできればと思いますが、お願いします。 ○奈良崎委員  ありがとうございます。奈良崎です。  まず、私の中で施設はすごく大切だと思うんですが、でも施設の中の日中がもうちょっ と工夫してほしいなと思います。というのは、やっぱり重度と軽度の子たちのやり方がも うちょっと考えてほしいなと思います。  それともう一つ、今私の中で施設の中で同じ施設の人がグループホームとかケアホーム をつくってほしくないなと思います。それはどうしてというんですが、人数が施設と同じ ように30人、40人、中ぐらいな施設ぐらいな人数でつくっちゃうから全く同じものをつく るのはよくないと思うので、それよりはほかの方がグループホームをつくってほしいなと 思いました。  あともう一つ、ごめんなさい、先ほど藤井さんに質問をしたんですが、イエローカード が見えていなかったみたいで、今質問します。個別請求権を教えてほしいなと思いました。 すみません、おそくなって。  以上です。 ○佐藤部会長  そうしたら、藤井さん、お願いします。個別請求権というのをもうちょっと詳しくと。 ○藤井委員  いや、それは私もそれほど詳しくはないんですが、大事なことはその個人個人が個人と して奈良崎さんにしても私、藤井にしてもこのことを例えばホームヘルパーがほしいとい うときに、いや、財政事情でもう駄目ですよとか、うちの市町村はうちのまちはとてもそ ういう基準がありませんということじゃなくて、日本人が、いや、ごめんなさい、日本国 にいる障害者がだれでもどこでもそれを請求できる、そのことを求めることができる、そ れがちゃんと権利というふうな意味であるというふうに思っているんです。  だから、大事なことはさっきも言ったように、どこに住んでいようが精神科病院にいよ うがどんなにまちが財政が厳しいけれども、ある程度のレベルの生活支援に関するそうい うサービスは受けられる、こういう共通性を持っているのが請求権の中身だと思っていま す。まだもう少し詳しく勉強してまた方向付けをします。 ○佐藤部会長  ありがとうございました。  竹端さん、お願いします。 ○竹端委員  山梨学院大学の竹端です。  先ほどの論点と今回の論点をまとめてお話しさせていただきます。  まず、三浦委員がおっしゃられたようにサービスの基盤整備というのがなかったら、基 本的にサービスがその地域にたくさんなかったら選ぶということができないという前提が あると思います。そして、選ぶということができない中で、実質的にあるところにしか利 用契約ができないという現状にある方はたくさんおられると思います。幾ら措置から契約 制度になっても、実質的にそこしか選べなかったら、それは特定の生活、これは小澤委員 なんかは特定の生活施設と政府訳を言っているのと生活様式が違うからどうだというふう に書いておられるんですが、それが生活様式であろうと特定の生活施設であろうと、いわ ゆるサービスがその地域にないがゆえに、そこしかないというような状態があるというこ と自体がまず基本的に問題だと思います。  そういう意味でいうと、ここの論点でいいますと、結局それをしないためには、まずや っぱり例えば高齢者がゴールドプランだとか新ゴールドプランというのをやられたような 基盤整備というのがあって、その上で特定の生活様式を、その上で本人が選べるとかいう のは大事なんですが、これは命を守るというところにおいても、まず命を地域で守る資源 がちゃんと配備された上での選択であるというふうに私は考えます。  以上です。 ○佐藤部会長  氏田さん、お願いします。 ○氏田委員  ありがとうございます。  日本発達障害ネットワークの氏田です。  私自身も自閉症の息子がおりますが、特定の生活様式を義務付けられないということは やっぱり明記すべきだと思っているんですけれども、その根底には「地域に生きるという ことはだれにも保障される」ということがあった上で、実は自閉症の人の中に強度の行動 障害を起こされていらっしゃる方がいます。そういう方たちを、ではどこで誰が、その方 の地域生活を継続するために支援をしていくのかというふうに考えるときには、専門性の あるスタッフと環境が必要だと考えています。その方を混乱している環境から抜きだして、 その方の状態像や必要とされる支援ニーズをきちんとアセスメントして、その方が地域で 暮らして行かれるように支援をしていく手だてが必要だというふうに考えています。そう いう意味で、入所施設が良いか悪いかということではなく、きちんとその機能を持った専 門性のあるところが選択肢の一つとして入ることが必要だというふうに思っています。  また、そのまま決められた生活様式の中で生きるということではなく、そこから地域で の普通の暮らしに戻り、自分が住みたいところにだれと住むのかということが実現できる と思います。必要に応じたサービス、いろんな支援が当然用意されるべきだというふうに 考えています。 ○佐藤部会長  広田委員、お願いします。 ○広田委員  広田です。  さっき川崎委員がお話しされたんですけれど、32万3,000人が昨年12月現在入院していて、 そのうちの約20万人ぐらいが入院治療が必要ではないのに、退院先のない社会的入院だと いうふうに私は思っています。その人たちの救出なくして私は死ねないと思ってここに出 ていますけれど、やはり川崎委員がおっしゃったように、住宅の確保、私も5月6日に引 っ越しましたけれど、本当に天国の階段というふうな感じで上っていって寝室に入ってい ますが、幸せな生活をしています。  そういう意味で、日本という国は障害者だけではなくて、住宅に対して貧困なんですけ れど、厚生労働省とか内閣府という問題だけではなくて、国土交通省を巻き込むぐらいダ イナミックに住宅の保障、そして、これは総合福祉法とは違うかもしれませんけれども、 所得の保障ということがとても大事だと思うんです。それと、私も本当にイエローカード を出したいぐらい難しい話が続きますのと、質問もとても難しかったんです、事前質問も。 義務教育程度で国民の分かる論議にしていただきたいと思います。  以上です。 ○佐藤部会長  三田さん、お願いします。 ○三田委員  大阪府立大学の三田と申します。  私はこの特定の生活様式あるいは生活施設をやっぱり義務付けられないということは明 記すべきだというふうに思っています。そこで例えば今地域移行ということを進めている 中で、そこの特定な生活様式という生活施設から、入所施設や精神科の病院を除くとか、 あるいはそれは選択肢の一つであるというふうなことを出してしまうと、私はどうしても 納得というか整合性がつかないんじゃないかなと思っているんです。もちろん今入所され ている方や入院されている方を、すぐにどうこうするということではなく、やっぱり目標 として日本においても、生活施設で長く長くいなければいけないという現状を変えない限 り、法律が変わったということになるのかというふうに思います。在宅が進まないという のも、つまりはっきりと明確に入所施設にずっといるということはどうなのかということ を議論しなければ、在宅に十分なお金は回ってこないです。たくさんのお金が病院や施設 のほうに流れている現状の中で、それが選択肢の一つというふうになっていったら、やっ ぱり私は変わらないというふうに思います。  一つは、どうしてたくさんの人が施設や病院にいなければいけないのかというところを、 この法律の中でやっぱりきめ細かく検証しなければいけないのです。ずっと家族にその責 務が負わされてきたことだとか、あるいは高齢化になったらもう地域に住み続けることが できないとか、泣く泣く今までの生活を変えなければいけないということ自体が、障害の ある人が地域で暮らす権利をもつ、あるいは本当に命を保障された一人の人間として、認 められなくていいのかということになるんじゃないかと思っています。選択肢という前に、 入院・入所していた人たちともに私はやっぱりきちんと議論をすべきだというふうに思い ます。  以上です。 ○佐藤部会長  宮田委員、お願いします。 ○宮田委員  全国児童発達支援協議会の宮田でございます。  重症心身障害児施設の存在については全然否定するものではなく、通園施設としてもい ろいろお世話にもなっている訳ですけれども、問題は要るか要らないかという問題ではな いと思います。在宅で暮らしたい重症心身障害のある方たちが、本人や家族の意思と相違 して在宅生活を保障できる医療的支援がないから入所せざるを得ないという現実こそが問 題なのだと思います。命を守るために入所というのは、やっぱり特定の生活様式を義務付 けられないという点と矛盾をしています。そういった意味では、3月30日の推進会議の中 でも話されましたように、医療の定義ですとか医療行為の枠、そして実施者の拡大という 点について、医師法の改正も含めて明確に法律の中に位置付けられて考えられなければな らないということがいえると思います。  もう一つは、いわゆる重症心身障害という定義が知的障害者福祉法と身体障害者福祉法 そして児童福祉法という3つの法律にまたがって定義されるわけですけれども、日本におけ る重度の障害の定義の矛盾といいますか、あいまいさということを含み込んでいると思い ます。もし重症心身障害のある方たちを総合福祉法の中に位置付けるのであれば、しっか りした定義が必要なんではないかというふうに考えます。 ○佐藤部会長  大分時間も過ぎておりますので、さらにいろんな大事な意見があろうかと思いますけれ ども、文書で出していただいて全体で共有をするということにして、まだほかのテーマが たくさんありますので、ここで15分休憩をさせていただいて、3時55分に再開をしたいと 思います。よろしくお願いします。               〔休憩 15時41分〕               〔再開 15時56分〕 ○佐藤部会長  それでは、再開いたします。  時間が大分ずれ込んでいますので、論点の分野のBと論点分野のCについては私どもの ほうから一括して連続して報告をして、厚労省からの説明も一緒にというか前後して続け て行っていただいて、ディスカッションもBとCを続けて行うというふうにして、あと終 わりに3つほど報告事項で調査関係のものも含めて3つありますので、それほどたっぷり した時間がとれないんですけれども、できるだけ5時には終わるようにしたいと思います ので、ご協力お願いしたいと思います。  まず、皆さんからいただいたBの分野、障害の範囲、障害者の範囲についての意見の特 徴を尾上副部会長から報告をしていただきます。 ○尾上副部会長  尾上です。  B分野は、ほかのA、Cに比べると大枠での一致が多く見られるところだというふうに 拝見をいたしました。結論的に言いますと障害者権利条約が示している社会モデル、それ に立って制度の谷間をつくらない在り方という大枠の方向については一致を見ており、障 害の定義や支援の対象者については包括的な規定をベースに、これまで対象になってこな かった発達障害や高次脳機能、難病等も含まれるとの例示規定といった書き分けで、その 組み合わせでいったらどうかという意見が多かったというふうに思います。  その上で、それを踏まえつつ具体的な手続というか、もう少し具体化したところの話に なりますと、例えば手帳がもし無い場合の医師の診断書等の証明やいわゆる手帳が無い者 に代わる判断基準の明確化、あるいは各種機関の関与といった実施に当たっての具体的な 方法論やツールで多様な意見が出ているというふうに思いました。  特にその最初の社会モデルに立った制度の谷間を生まない定義については、先ほども申 しましたとおり、多くの人が社会モデルの考えを取り入れることに賛成を述べられており、 特に具体的に例えば機能的な障害があり、そこから派生をして生活の支障のある人とか、 あるいは障害とは身体・精神・知的発達の状態がその社会環境との関係において、日常生 活、または社会生活において制限され不利益を受ける個人の状態を言うというふうな例示 というか、例えばそういう文章でどうかという提案もありました。  そういう意味では、その障害者権利条約の第1条の規定をかなり意識されて意見提起さ れている人が多かったということが1つです。  もう一つは、これも複数の方から指摘があったのが、今後、推進会議で検討予定になっ ている障害者基本法の抜本改正、その中での障害の定義を踏まえて、その障害者のうちこ の法律で提供する支援が必要とする人というふうな書きぶりでどうかという、基本法との 関係で提起をされている方もおられます。  一方、例えばその社会モデルというけれども、医療モデルと社会モデルの組み合わせと いう意味で生活モデルというのもあり得るのではないのかといったようなご意見もありま したし、あるいは納税者が客観的に分かり、了解可能なものにすべきだというご意見もあ りました。  もう一つ、2つ目はその書きぶりの部分なんですけれども、包括的な規定、制度の谷間 を生まないためには、やはり包括的な規定をベースにすべきだということが多くの方のご 意見で、制限列挙でどんどん増やしていくべきだということで、その意見を述べられた方 は一人もおられませんでした。むしろ包括的な規定と、むしろこれまで入ってこなかった とされている発達障害や高次脳機能、難病等、そういう人たちが含まれるんだということ を確認する意味で、例示規定という表現をされていましたけれども、包括規定と例示規定 という考え方がいいんではないかということや、あるいは制限列挙と包括規定の組み合わ せというふうなことも提案されている方もおられました。あと手続規定については、医師 の診断書や概況調査、あるいは日常生活、社会生活を営む上での支援をある程度客観的に 証明、支援の必要性をある程度客観的に証明することが必要なのではないか。そのための 客観的な方法を定めた手続規定や、その中には例えばICFの評定尺度なんかを活用でき るのではないかというふうなご意見もありましたし、むしろそういういろんな相談の中で 必要な支援は…… ○小田島委員  すみません、そこでICF…… ○尾上副部会長  ICFですね。  ICFというのは、国際生活機能分類という名前で余計分からない名前になりますよね。 佐藤先生がご専門なので後で説明していただいたほうがいいのかも分からないんですけれ ども、国連で障害というのをどうとらえるかというのを1981年に一度決めて……WHOで すね。ごめんなさい。国連じゃなくて国際的なWHO、WHOって何かという話にまたな っていくんで……  それで、国際的な障害のとらえ方ということで、機能障害とは何かというふうなことを 国際的に決めたものですね、ICFというのは。 ○小田島委員  もっと分かりやすく…… ○尾上副部会長  分かりやすくね。私の能力の限界を超えていますので、佐藤先生にお願いします。 ○佐藤部会長  障害を持つ人も持たない人も全ての人が人間は3つの種類の生活機能を持っているとい うふうにまず考えて、医学的に目が見えるだとか、消化機能があるだとかという医学的な レベルと、それから個人としての活動の、歩くだとかしゃべるだとかというレベルと、そ れから社会的な仕事をするだとか友達とつき合うだとかという社会的な次元と、その医学 的、個人的、社会的な3つの次元をどういう人でも営んでいるというふうにまず考えて、 それが病気やけがを起こしたりする、あるいは年をとるということによって機能が落ちる ことがある。一方では、環境の障壁によって機能が落ちることがある。そういうふうに環 境との関係で人間の生活機能が環境や健康状態との関係で3つの次元の生活機能が問題を 起こした状態を障害というと、そういうような見方で、したがって、環境を変えることに よって生活機能を回復することもできるし、それから病気の予防、治療によって生活機能 を回復するということもできる、両方やることが大事だという、そういう考え方だと思い ます。 ○尾上副部会長  そういった、何かというと、その障害というのを手帳を持っていない人も含めて、これ からはこの法律の対象にするといったときに、手帳に代わる何か確認の仕組みをどうする のかといういろんな意見があったということです。  あともう一つ、手帳制度そのものについては、従来の手帳制度を見直して新しい規定に 基づいて一本化をしなければ解決をしないのではないかというご指摘や、社会参加カード といったようなことも考えられるのではないかと。一方で、現行の手帳制度の見直しに当 たっては、やっぱり十分な検討が必要なので、一足飛びというのはなかなか難しいんでは ないか。加えて手帳の要件緩和や対象拡大、そういう国際的な基準に合わせた形の見直し というのがやっぱり要るんではないか、定期的な見直しが要るんではないかというご意見 がありました。 ○佐藤部会長  それで、今副部会長が紹介したように、基本的な方向性、全ての障害者を漏れなく対象 にしようということでは、多くのというか、全員一致が見られて詳しい細かいことについ ては意見があるにしても、基本的な点では一致が見られたということで、この後のディス カッションの中では、特にこの分野Bについてこういう点でこういうポイントで議論をし てくださいということを三役のほうでは用意をしておりません。特に何か発言したいこと があれば発言をしてくださっても結構だというくらいです。  引き続いて、分野Cの「選択と決定」(支給決定)という領域については、いろんな意 見をいただいているわけですけれども、ディスカッションのポイントとしてお願いしたい ことは1点だけです。後でもうちょっと詳しく紹介しますけれども、皆さんの意見の中で は、新しい法律での選択と決定の仕組みは、個々の障害者の支援の必要性を評価するもの であるべきだという共通理解が見られたと思います。しかし、この支援の必要性の評価に 当たって、客観性だとか公平性だとか透明性だとか妥当性だとかいうことが確保されるべ きかどうか、こういうものを確保することが可能かどうかということについてのご意見を お伺いできればというふうに思っております。  一人一人の障害者の支援の必要性の評価をするようにする。そのことと、その客観性と か公平性とかということも確保したいということが両立できるのかできないのか、できる とすればどういう方法、どんな工夫が必要なのか、この辺についてのご意見を……  山本さん、イエローカード。 ○山本委員  すみません、いろんなところで言葉は見るんですが、それなりに私も分かろうとは努力 したんですが、そもそもケアマネジメントという概念がよく分からないんですが。恐らく 何かそれぞれ言っている人によって全部違うようなことを言っているような気がするんで すが。 ○佐藤部会長  どなたか詳しい人にケアマネジメントとは何か、説明してもらいたいということでしょ うか。 ○山本委員  だから、事務局から質問をした趣旨というのがよく分からなかったんです。 ○佐藤部会長  そうですね、確かに論点表の中でケアマネジメントの在り方をどう考えるかとか、幾つ かあったと思います。 ○尾上副部会長  この論点表、一つ一つの言葉について定義をしているわけではないという部分がありま す。そういう意味では、非常に不親切なところがあるということのお詫びをした上でなん ですけれども、その上で、ただそれぞれが考える例えば障害者ケアマネジメントとはこう いうものであるということの上で書いていただいていると思っているので、そういう意味 では、部会三役なり事務局からの障害のケアマネジメントというのはこう定義するという よりは、その中身をめぐってむしろ議論をいただけたらどうでしょうか。  例えば山本さんが考える障害者ケアマネジメントというのはこういうものをイメージし ていて、でもそれは要るのか要らないのかとかこうだということの上で、そういう意味で は共通理解を前提に、一定はしなきゃいけないんですけれども、その共通理解をつくって いく意味でも、それぞれの自分が考える障害者ケアマネジメントは例えばこうであり、こ ういうふうに思うみたいな議論の展開の仕方をお願いできればというふうに思います。 ○佐藤部会長  それで、皆さんの意見の論点Cに関する概要なんですけれども、まずC−1というのが 自己決定支援・相談支援という項目になっています。これについてはセルフマネジメント または支援を得ながらの自己決定を必要に応じて選べる制度が必要であると。そのために ピアカウンセラー、ピアサポーター、相談支援専門員などの養成と配置、相談支援センタ ーや権利擁護などの制度化が必要である。この過程でのエンパワメント視点が重視される といったところが、多くの人たちの意向かというふうに思います。そして事業者や行政か ら独立した相談支援機関に所属するピアカウンセラーや相談支援専門員が、本人中心の支 援をする体制が必要であるといったところが合意傾向かなというふうに思われました。  それで、項目C−2で障害程度区分の機能と問題点を伺っていて、項目C−3で新しい 選択と決定(支援決定)のプロセスとツールをどう考えるかということになっているわけ ですけれども、まずC−2のほうでは、障害程度区分についてはニーズを評価しない、サ ービス利用の制限に使われているなどの問題点の指摘が多くなされました。一方、ソーシ ャルワーク機能が未発達な我が国で客観的な基準による公平な支給決定を目指した点を評 価するという意見も見られました。障害程度区分と連動した国庫負担基準については後れ ている市町村の底上げに役に立っている。限られた予算を公平に分配するために何らかの 客観的指標は必要などの意見もありましたけれども、事実上のサービス上限に使われてい るので廃止すべきだという意見が多く見られました。国庫負担基準の考え方とは逆に一定 時間以上の介護に要する費用は基本的に国が支える制度を設けるべきとの意見も見られま した。  そして、項目C−3ですけれども、今後の在り方として障害程度区分は必要な改正を加 えて残すべきとの意見も見られたわけですけれども、これとは別の本人の希望が尊重され るような協議調整による選択と決定の仕組みをつくるべきであるという意見が多く見られ ました。協議調整モデルでも客観性、公平性、透明性や支援内容の妥当性が確保されなけ ればならないという意見が多く見られました。  もうちょっと具体的な指摘を紹介しますと、行動障害の重い人など支援のより必要な人 に人員の配置を厚くするなどの適切な支援の確保のための何らかの基準が必要だとか、障 害程度区分は入所と在宅と2つに分けて、在宅の場合は見守り待機、身体介護、家事援助 等の合計時間を調査員が判定して区分1時間から24時間の24区分とするなどの意見も出さ れました。  そうした選択と決定を進める上でのツールというか基準についての意見としては、支給 決定の客観性、公平性を担保するための全国共通の基準づくりが不可欠であるとか、支給 決定の目安となる客観的な基準、物差しが必要であるとか、その指標の基準は考え方とし ては他のものとの平等を基礎としてという権利条約の規定を踏まえて、障害のない人の実 態を基準とするということになるのではないか、あるいは実際に地域で支援している専門 家集団による支援必要度換算表の作成などが必要ではないかなどの意見が出されました。  概ねこれらのツール、基準やガイドラインを活用して、本人と支援者、相談支援専門員 が個別支援計画書を作成し、市町村などの公的機関と協議調整を経て支援内容が決められ るというような方向を考えているようにうかがわれました。  こういうものは信頼度の高いものをすぐにつくるというわけにはいかないということか ら、ある委員は、新法の完全実施までの猶予期間の間に個人中心計画、ストレングスケア マネジメント、セルフマネジメントなどの手法を対象に合わせて実施する試行事業を行い、 本当にどのようなガイドライン及びツールが必要なのか、自治体レベルでは何が必要なの かを検証するべきではないかと……  小田島さん、イエローカード。 ○小田島委員  小田島なんですけれども、今話した仮の問題とか区役所の人が調査員が来るというのは、 やっぱり愛の手帳がじゃ何であるのと僕は思うのね、いつも。そういうものを早くなくし たほうが、結局、程度に沿って介護がどのぐらいの時間に入ってくるので、どのぐらいで 介護が出ていくのということがみんな、入らなくなってくるとやっぱり落ちつかなくなっ てきたりするんで、その操作をやるのは余り僕はよくないと思っています。操作をやめて このやっぱり愛の手帳があるんだったら愛の手帳の1、2、3、4と4まであるんだから、 この中で同じようにしたほうがいいなと自分は思っています。 ○佐藤部会長  要介護認定障害程度区分の認定に反対だということで。 ○小田島委員  それは反対です。 ○佐藤部会長  はい、ありがとうございました。  そういう試みを行って評価をするような試行事業が必要だという意見が出されました。  そのほか、自治体担当者のソーシャルワーク機能について、あるいは不服審査会の在り 方について意見も出されておりました。というのがCの領域の主な意見の傾向だと思いま すけれども、議論としていただきたいのは、そういう障害程度区分を使わない選択と決定 の仕組みの中で客観性や公平性というのはどういうふうに考えられるのか、考えたらよい のかということについてのご意見を後でいただければと思います。  ここで、BとCを合わせて藤井課長のほうから現状の説明をお願いします。 ○藤井課長  それでは、資料3の11ページ以降でございますけれども、BとCにつきまして、現在の 制度の状況なりあるいはご議論いただくに当たりましての役所としての立場から見た場合 の留意点等々をかいつまんでご説明させていただきます。  まず、11ページ、Bの法の対象規定のところでございますが、現在の制度の対象がこう なっているというのがそこの真ん中のところ、障害者は(1)、(2)、(3)あるいは障害児は18歳 未満である云々かんぬんというところです、規定をしているとおりでございます。  ここで3つ目の丸、11ページの一番下のところだけご覧いただきますと、私ども役所・ 行政として見た場合の留意点といたしまして、これはぜひご議論をいただきたいところな んですが、法律に基づく給付対象につきましては、これから皆様方ご議論いただくわけで ございますが、やっぱり範囲が不明確である場合に、実際の自治体における給付の場面で なかなか対象がうまく特定されないとか、そういう恐れがあるなどの課題がございます。 大きな地域格差が生じないようにするためにも、何らかの基準等によりまして、その範囲 が明確であることが必要なんじゃないか。すなわち自治体の現場で客観的かつ公正に判断 できるような基準等を検討する必要があるのではないかというふうに考えておるところで ございます。ぜひご議論をお願いできればと思います。  それから、14ページ、手続き規定とございます。こちらも真ん中より少し下の現在の制 度の考え方、その他留意すべき事項のところをご覧いただきますと、いわゆる手帳を持た ないなどの障害者であることが確認できない者が、福祉サービス等の申請をする場合に、 自治体の現場でそのサービスを利用できる者であることを客観的かつ公正に確認できるよ うな仕組みとなっている必要があるのではないかと思いますので、こちらのほうも十分ご 議論いただければ幸いでございます。  なお、その下にございますように、現在手帳が交付されている方につきましては、各種 の税制の優遇措置ですとか、あるいは公共交通機関の運賃割引等による支援が行われてい るというところでございます。  以上がBに関するところでございまして、17ページ以降、Cでございます。  17ページ、Cのところでございますが、自己決定支援・相談支援でございます。現在の 制度の状況でございますが、相談支援につきましては、市町村は一般財源、交付税も合わ せてでございますが、一般的な相談支援を行うとともに、地域生活支援事業費補助金で機 能強化を図っているという、そういうやり方になってございます。  それから、17ページの下のほうの丸、都道府県でございますが、やはり一般財源あるい は地域生活支援事業費補助金によりまして、(1)の専門性の高い相談支援でございますとか、 (2)の広域的な支援、あるいは18ページにまいりまして、(3)の相談支援従事者の育成といっ たようなことをしております。  それから、現行法上、サービス利用計画というものがございます。市町村は障害のある 方の意向等を勘案して支給決定を行うというふうな法律上の条文になってございます。指 定相談支援事業者が支給決定を受けた障害のある方のうち、その(1)、(2)、(3)とありますこ れらの方につきまして、その意向等を勘案してサービス利用計画を作成することができる というふうにされております。  それから、20ページのエンパワメント支援についての論点でございますが、現在の制度 の状況の中では、最初の丸にございますように、相談支援を実施するに当たりまして、障 害者ケアガイドラインといったようなものを、これは私どものほうで定めておりまして、 この中でエンパワメントの視点が重要であるというふうにされております。  また2つ目の丸で、国と都道府県におきまして、このエンパワメントの視点も踏まえま して、相談支援従事者の養成のための研修を実施をしております。  それから、22ページ、ここはピアカウンセリングあるいはピアサポートに関する論点で ございます。1つ目の丸にございますように、ピアカウンセリングあるいはピアサポート は、市町村が相談支援の一つとして実施をしております。実績につきましては、そこに幾 つかの数字を掲げております。  それから、2つ目の事業で、厚生労働省といたしましては、都道府県に積んであります 基金事業の中でピアサポートセンター等設置推進事業というのがございまして、設備の整 備等々につきまして財政支援を行っております。  また、その下の「さらに」のところで、22年度予算、今年度予算からでございますけれ ども、精神障害者の関係で精神障害者地域移行・地域定着支援事業とございますが、この 中で新たなメニューとしてピアサポーターが入院患者を訪問して、退院に向けて外出等に 同行して退院準備などを支援する活動を補助の対象としております。  それから、24ページは地域移行についての幾つかの現行制度を説明をしてございます。 現在の制度の中で、サービス利用計画策定費が指定相談支援事業者に出されるですとか、 あるいは2つ目の丸で、居住サポート事業と申しまして、地域生活支援事業の中で入居支 援ですとかあるいは24時間支援等に対する補助を行っております。  それからまた、24ページの3番目の丸のところで、これは精神障害者、先ほども申し上 げましたけれども、精神障害のある方につきまして、精神障害者地域移行・地域定着支援 事業といったものもやってきております。  それから、26ページからが障害程度区分でございます。障害程度区分につきましては本 当にいろんなご批判、ご意見をいただいてきたわけでございますが、そこで現在の制度の 状況のところをご覧いただきますと、自立支援制度以前の支援費制度の下でサービスの必 要度をはかる物差しがなかったということで、地域によって個々人によってサービスの内 容とか量に格差があったということがあの当時指摘をされておりました。そういった指摘 も踏まえまして、自立支援法を構想いたしますときに、2つ目の丸にありますように、サ ービス利用者間の公平化、あるいは市町村間のばらつきの是正を図るということで、こう いった障害程度区分といった仕組みを導入してきたというような、そういう経緯でござい ました。  したがいまして、3つ目の丸にございますように、障害程度区分は機能といたしまして は、その心身の状況に応じたサービスの必要性に関する客観的な尺度として、支給決定で その市町村がこれを勘案することで、その利用者間あるいは市町村間の公平性を保つ機能 を果たしていこうというものでございます。  ただ、しかしながら、4つ目の丸にございますように、一方で認定に当たりまして知的 障害ですとかあるいは精神障害につきましては、1次判定で低く判定される傾向がありま すとか、そういったご批判をいただきまして、私どもとしましては私どもなりに、各自治 体に対して2次判定事例を提供するなどの取組を行ってきたところではございました。そ んな経緯でございます。  それで、ここにつきましては、26ページの一番下の丸にございますように、この留意点 といたしまして、これは先ほど佐藤部会長のお話の中にもございましたが、仮にこれ区分 を廃止した場合におきまして、この区分が現在果たしている公平性とかあるいは給付費財 源の公平な配分といったような機能につきまして、どんな形で担保していったらいいのか、 この辺りをぜひご議論をいただければありがたいというふうに思います。  それから、27ページがもう少し具体的に、ここでは障害程度区分が現行制度上使われて いる3つの場面を整理をしております。1つ目が介護の必要度ということで、介護を提供 するような障害福祉サービス、すなわち重度訪問介護ですとかあるいは療養介護ですけれ ども、こういったものにつきまして、そのサービスを利用するに当たって、その内容に応 じて程度区分が一定以上であるということを要件としている、こういう使い方をしており ます。  それから2つ目に、報酬の中で介護の必要度等を考慮して障害程度区分に応じて事業所 の職員の配置基準を定めて基本報酬等を設定したりしております。  それから3つ目が、27ページの一番下ですが、いわゆる国庫負担基準でございまして、 ここは障害福祉が、そもそも地方自治体の自治事務だということもありまして、国庫負担 基準は居宅介護等の訪問系サービスにおきまして、障害福祉に係る国と自治体の間の一定 の役割分担、すなわち市町村がいわば主体的な実施主体で、国や県はその市町村に対して 必要な支援を行うといったような、そういった役割分担を前提に、限りある国費を公平に 配分するために、これは市町村に対する国庫の精算基準として設定をされているものでご ざいます。  報酬改定で上げてきたとか、そういったことが少し書いてありますが、28ページの3段 落目です。国庫負担基準の水準につきましては、実は全国の9割程度の市町村においてそ の支給実績をカバーできるように設定をするというような一定のルールになってございま すので、そういう意味では、実態としては多くの市町村において支給実績が国庫負担基準 を下回っているというのが率直なところではございます。  さらに、その下の28ページの真ん中のほうの丸で、長時間の介護を必要とする方を多く 抱えるなど、その国庫負担基準を超過してサービスの支給を行っている市町村の財政負担 を軽減するための措置として、地域生活支援事業とかあるいは、先ほどもちょっと出てき ました国が県に積んであります基金を活用した特例交付金ですとか、こういったところで 財政支援を行っているところでございます。  29ページでございますが、もともとそんなことでこれまで障害程度区分といったような ものが使われてまいりましたので、29ページ以降も今後の議論の際にご留意いただければ ありがたい点でございますが、最初の介護の必要度のところでの施設入所支援ですとかあ るいは生活介護などにつきまして財源に制約がある中で、そういったサービスを必要とす る方に的確かつ公平に提供される必要があるということで、障害程度区分が一定以上であ るということを要件としてまいりました。また、このことで安易な施設入所を防いでいる という面もあろうかと思います。  したがいまして、仮に障害程度区分を廃止した場合にありましては、こういった機能を どういった形で担保をするのかというところをぜひご議論いただければありがたいと思い ます。  それから2つ目の報酬のところなんですが、こちらもやっぱり利用者の障害の状況等に 応じてサービスの提供体制を手厚くする必要はあるのではないかなというふうに私ども思 っております。したがいまして、今障害程度区分に応じて職員の配置基準を決めたり基本 方針等を設定をしておりますんですけれども、これも仮に障害程度区分を廃止するとした 場合に当たりましては、こういった支援の体制をどんな形で担保していけばいいのかとい うところを、ぜひまたご議論いただければありがたいと思います。  それから3つ目の国庫負担基準のところでございますが、こちらも訪問系サービスにつ きましては、当時国の費用負担を義務化するということで財源の裏付けを強化して、その 一方でこの国と自治体の間の一定の役割分担を前提に、そのいわゆる国費を公平に配分す るということで、市町村に対する精算基準として定めたものでございます。こちらも仮に 障害程度区分を廃止をするという場合におきましては、国の厳しい財政状況も厳然として ございますので、これを考慮して国費を公平に配分する機能をどういった形で担保してい くのかというところは、ぜひご議論をいただきたいというふうに思います。  それから、30ページでございます。「選択と決定」(支給決定)プロセスとツールとい うところでございますけれども、現行制度につきましては、最初の丸にございますように、 市町村は障害のある方のサービスの利用に関する意向等を勘案して支給決定を行うという ことになっております。その下、幾つか書いてございます公平性の確保のために市町村は 支給決定基準による公平性を確保しなきゃいけない。あるいは透明性の確保として、第三 者委員会のチェックによる公平性の確保、こういったことをこれまで私どもも申し上げて きております。  また、念のためにまた書かせていただいていますけれども、その下の米印のところで国 庫負担基準につきましては、これは個々の利用者に対する支給量の上限では決してないと いうことで、市町村における支給決定に当たりましては、あくまで利用者一人一人の実情 を踏まえて適切な支給量が設定されるように周知を図っているところでございます。  ここの部分の論点につきまして、30ページの一番下から少し留意点として書かせていた だいていますが、制度に係る費用を負担する国民、納税者の理解を得るためにも、実際に 制度を利用する方の公平性と、それから支給決定プロセスの透明性が確保されていること がやっぱり重要なんじゃないかというふうに思っています。  したがいまして、支給決定プロセスを検討するに当たりましては、やはりこういった公 平性、透明性をどういう形で担保するのか、ぜひご議論をお願いしたいと思います。  また、支給決定プロセスの検討に当たりましては、やっぱり実際に運用する自治体にお きまして、実際にきっちり運用できるかどうかという視点もぜひご議論をいただければあ りがたいと思います。どんな制度の仕組み方をしましても、自治体が実際にそれを運用で きなければ絵にかいたもちになりかねないところもございますので、その辺りもぜひお願 いしたいと思います。  それからあと、32ページ、自治体担当者のソーシャルワーク機能でございますが、この 辺りは自治体担当職員の配置、これも自治体ごとに大きく異なっているのが実情だという ことだけ書かせていただいております。  また、33ページ、不服審査機関につきましても、現行制度を簡単に解説をさせていただ いております。  少し長くなって申しわけございませんでしたが、以上でございます。 ○佐藤部会長  そうしましたら、あと20分余りの時間になってしまったんですけれども、まず、その論 点分野のBの障害の範囲について、特に何か発言されたい方。  藤井委員と東川委員と野原委員、Cの議論のほうが、よりいろんな意見があると思いま すので、ごく簡単にお願いいたします。その3人で締めたいと思います。 ○藤井委員  私は障害の範囲に関しまして、一番この新法に期待している一つが、やはり障害の範囲 だと思うんです。谷間の障害者をなくしていくと、漏れがある障害者をなくしていくとい うことに。今出ていましたけれども、制限列挙方式、つまりずっと障害を挙げていくとい う方法もあります。さきの1993年までの障害者基本法、心身障害者対策基本法、ここでは 9つの9種類の障害者を列挙していました。列挙していっぱい見えるんだけれども、逆に 谷間がいっぱい出てくるんです。ですから、そういった轍は踏んじゃいけないと。精いっ ぱい包括的に書くべきじゃないかなという点で、同じ轍を踏んではいけないと。つまり今 後、ひきこもりのことやらユニークフェイスやら、また将来公害や薬害等で様々な障害群 が出る可能性があります。したがって、より包括的で列挙はすべきじゃないと。  それで、藤井企画課長がおっしゃるように、当然やっぱり市町村も含めて、ある程度概 念をきちんとということもあると思うんです。それは今の障害者基本法の表現、例えば継 続的に社会生活または日常生活に相当な制限を受ける者を言うというものもあれば、例え ば権利条約のA、B、C、Dの前文のE以降、障害を発展する概念であって云々と、あの 中にも入っていますし、また第1条の目的の権利条約目的の第1条、第3段落目にも入っ ています。こういったものも活用していきながら、そこはやはりおっしゃるとおり考える べきではないかと。基本的には列挙をすべきではないということと、今度の新法の最大の 眼目の一つは、全障害者を入れるということをこのメンバーで確認していく必要があると 思います。  以上です。 ○佐藤部会長  今の意見で尽きていれば東川さん、野原さん、省略をお願いしますけれども、ちょっと 一言追加があれば。 ○東川委員  藤井さんから私が言いたいことは全部言っていただいちゃったんですが、高次脳機能障 害の団体として、つい最近まで私たちはいわゆる制限列挙方式を唱えておりました。とい うのは高次脳機能障害というのは非常に長たらしく分かりにくい言葉で、どんな障害か、 まだ皆さんにもよくお分かりになっていらっしゃらない。特に診断基準ができたにも関わ らず市町村の窓口では、どんな字を書く障害ですかなどと言われて手帳が給付されなかっ たり、あるいは診断書で給付が受けられるというふうになったのに、そのことも周知され ないで困っている当事者がたくさんおりました。ですから、支援法をつくれという声がう ちの団体の中にかなりあったのです。  そういう意味で、個別制限列挙方式を希望しておりましたが、この部会が始まって、同 時に先月全国大会を行いましたときに、国としてはこの総合福祉法、新しい法をつくる方 向に流れているんだよということを力説しまして、そして同時に診断基準ができたけれど も、画像にかからない高次脳機能障害者、頭を打ったために、例えば嗅覚が駄目になった り味覚が駄目になったりという非常に分かりにくい障害者の方々、そのために調理人のお 仕事をやめざるを得なかったとか。それからあるいは、脳脊髄液減少症等で頭痛が年じゅ うするのに、サービスが受けられないというような人たちも出てきまして、マイルドTB Iと今言われておりましたが、そういう団体も出てきたんです。そういう人たちを何とか 救済するには、やはり制限列挙方式をいつまでもとっていたのでは、谷間をまた生む結果 になってしまうというふうに考えまして、制限列挙方式はやめるべきではないかと私は考 えるようになりました。そういう意味での大会アピールを採択されましたので、今後は制 限列挙方式でない全ての支援の必要な人たちを支援する、まさに総合という意味は、先ほ どは発言しませんでしたけれども、そういう意味の総合、全ての支援の必要な人たちを全 て救済できるような方向であってほしいと思っておりますので、障害の範囲を拡大してい ただきたいというふうに思っております。  そして、それをどうやって程度区分に絡む議論になっていくわけなんですが、障害の程 度をどのように判定していくかというのは大変難しい議論になると思いますけれども、よ ろしくお願いいたします。 ○佐藤部会長  野原委員、お願いします。 ○野原委員  それじゃ、少しBにも関係してくるんですけれども、まず障害の範疇の問題なんですけ れども、難病について言いますと、これから言うことに限られない様々な谷間がまだある んですけれども、かなり深刻な問題は、5,000から7,000あるという希少性疾患があるんで す。そのうちの恐らく7割から8割は病名が確定(日本では)していないと、診断基準が ないと、したがって、医療保険の対象にもなっていないと、医療費は基本的には高額医療 費を含めて多くは全部自己負担をしなければならないと、そういう中で非常にして苦しん でいる人たちがいると。こういう人たちをいわゆる病名も診断基準も確定していない人た ちの客観的な評価をどうするかという問題で、これが非常に大きな問題として浮上してこ ざるを得ません。  また同時に、既に確定している疾患であったとしても、特定疾患以外、56疾患だけが特 定疾患として医療費の公費助成を受けています。しかし、研究対象として約300疾患が今研 究対象、病名も明らかになってやられているんですけれども、56疾患以外は全部3割負担、 一般の健康保険適用(3割負担)です。こういう人たちもほとんど高額療養費のぎりぎり かオーバーして使ってやっているという状況があります。保険適用外の薬や未承認薬で数 十万(月額)を毎月負担しなければならない・・・。こういう人たちをやっぱり、これは 比較的客観的なデータに基づいて福祉対象、福祉医療の対象になるだろうと思うんですけ れども、こういう問題があるんだということを含めて、この人たちにどう客観性を持たせ て支援するのかということについて見ると、私たちは単にそういう人たちは医療の問題だ けじゃなくて、地域で生活を送る上で様々な問題、困難を抱えています。そういう問題を 含めて、私たちも今度の意見でも申し上げたんですけれども、具体的には様々な個別ニー ズに対応した個別のケアプランができるような、そういうやっぱり多様な問題、ニーズに 対応して多様に社会的な基盤ができないと、対応できる力を持った社会基盤ができないと、 恐らく困難だろうと思います。  そういう意味で、現在あるケアマネさんというか、さっきケアマネという言葉が出まし たけれども、言葉としては介護支援専門員というふうに介護保険法では言われていますけ れども、ちょっとそれとは違って、難病を含めた障害者に適切に関われるケアマネさんを 私は養成しないと、多様な問題に対応できる力というのは社会が持てないだろうと思うん です。そういうことを含めて、医者とそれから新しく養成されるケアマネさんと保健所や 保健師、当事者などによる新しい判定機関が一体化しながら客観性、公平性を持たせてい くと、こういうふうな形で進むという方向をどうしても探らざるを得ないんじゃないだろ うかというふうに思います。  時間がかなり過ぎているようですから、これ以外はまた文書で申し上げたいと思うんで すけれども、以上です。 ○佐藤部会長  ありがとうございました。  障害者手帳がない人については医師の診断書などで障害の有無が確認できるのではない かというような意見もかなり多かったわけですけれども、今のお話は医師の診断書もとれ ないような人もいる可能性があるというようなことを含めて、大事な問題提起をいただい たかと思います。  そうしましたら、もう時間がかなりなくなったんですけれども、障害程度区分を使わな い「選択と決定」(支給決定)のプロセスの中で、客観性だとか公平性だとかというのを どう考えるかということについて、二、三の方からお伺いできればと思いますけれども、 いかがでしょうか。  そうしましたら、もう本当に手短にお願いしたいんですけれども、中西さんからお願い します。 ○中西委員  自立支援法以前には支援費制度で、そのときは7項目の勘案事項で市町村は判定できた わけです。ですから、市町村の現場というのは、障害者の身近にいるわけですから、本人 の生活環境の中でどういう生活をしているのか、そして周りの人からその人の障害につい ての意見も聞けるわけですし、状況調査はちゃんとできるんであれば、公平、公明な判定 というのは医療の証明がなくても生活実態からの証明というのは十分可能だと思うんです。 これは諸外国においても長時間介助についてのところで食事や着がえができるかトイレが できるかというふうな4項目程度の項目だけを調べて、それで8時間以上の支給決定とい うベースに上れるようにしているというだけで、入り口は非常に緩くとるというのが原則 なんで、これをやっていくことによって、その谷間をなくしていくということは十分可能 だろうというふうに思っています。  それから、ごめんなさい、もう一個、今日お配りしたものの中に10カ年戦略としての今 後の地域での施設がなき後、受け皿となるようなサービスシステム、人材の育成等につい て記した部分があります。これをぜひ政策提言として今後の議論に活用していただければ よいと思います。特にこの当事者組織の育成、専門職としての当事者性を持った人たちの 育成、それから総合的な相談支援体制、これを身体・知的・精神統合した中できちんとで きるように、それからショートステイ、それから精神・知的・重心、それから医療が必要 な人たちの一時ステイ、こういうものがあれば施設に入らなくてもよかったという声をベ ースにつくったサービスのモデルです。個別介助サービス体制の確立とか、地域の権利擁 護センターの確立まで含めて、これがなければ全てそろわないと地域支援というのは難し いだろうということで、不服審査会のきちんとした適用を含めて、権利をきちんと保障で きるシステムをつくり上げていきたいというふうに思っています。終わります。 ○佐藤部会長  奈良崎さん、お願いします。 ○奈良崎委員  奈良崎です。  3つあります。まず1つ目が、障害区分についてなんですが、今中西さんが言ったよう に4つだけじゃなく、本当に合った、例えば知的障害の方は大体この4つはできるんです。 知的は知的のような区分を変えてほしいし、もう一つは、例えば今私は自立支援法を何も 受けていないので、もしよかったら何が区分の1が何が受けられるよとか、2とか3とか、 その表をもしよかったら今度出してほしいなと思います。そうしないと多分、皆さんは多 分サービスを受けている人とか関係者は知っているかもしれないけれども、私みたいな人 は多分、最初にその区分といわれても資料がないので、何が受けられているのかも全然分 からないので、ぜひ出してほしいです。  それともう一つが、今障害手帳についてなんですが、中には手帳はもらえているけれど も、年金はもらえていないよと、その辺をもしよかったら1つに共通してほしいなと思い ます。  以上です。 ○佐藤部会長  ありがとうございました。  大濱さん、お願いします。 ○大濱委員  脊髄損傷者連合会、大濱です、ありがとうございます。  先ほどの希少疾患の話が出ましたが、この希少疾患、要するにほんのわずかしか患者が いない、200万人に1人ぐらいしかいない患者さんとか、例えば私たちの周辺で最近いろい ろ話しが出ている、これ病名ではFOPという名前がついているんですが、要は筋肉が骨 になってしまうと。50歳とか60歳ぐらいまでしか生きていられないとか、こういう特殊な 難病の方がいます。それ以外に難病でも名前がついていない疾患の方がかなりいるわけで す。そこら辺、例えばドクターはそういう人たちがどういうことで生活に本当に困ってい るのか、医師は具体的にそのことを分かっているわけです。したがって、その公平性とか いわゆるそういうことが言われていますが、ドクターの意見というのはかなりそれ客観的 であり公平的な意見がそこでは出されると。ドクターにかなり信頼性を置かないと、その 病名がついていない難病、これかなりあります。先ほどの200万人のうちの1人のこのFO Pという名前がついたのも、つい最近です。いずれにせよ生活の困難さに基づいて、難病 と言われる人たちを救済するという観点が今度の新しい総合福祉法の在り方ということで、 その客観性云々ということは、ある程度ドクター、一人のドクターで駄目だというんであ れば、難病専門の何人かのドクターに意見書を書いていただいて、その人にどのような困 難さがあるのでどのようなサポートが必要なのかとか、そういう手法になってくるのかと 思います。  以上です。 ○佐藤部会長  あと小野委員、増田委員、光増委員にお願いできればと思います。その順番でお願いし ます。 ○小野委員  じゃ、簡潔に。小野です。  今回の委員の意見を総じてみれば、もう9割以上、介護保険制度の要介護認定を基につ くった障害程度区分に問題があると。そこの出発点の制度設計に問題があったという指摘 が大半を占めていますから、そこはもうやめると。それで、ただし一定の尺度をつくると いう点では、先ほど何人かの方の意見が出ていたところで、生活実態に即した必要性、そ こをどう尺度としてスケールをつくるかというところに重点を置いていったほうがいいと。 そこで少し議論をしたいんですけれども、時間もないので、作業チームのところで、そこ を重点に詰めていくということでいいと思いますけれども。 ○佐藤部会長  増田委員、お願いします。 ○増田委員  増田です。  私は精神障害の人たちとずっと一緒に活動しているので、状態像が常に変わる、日々の 変化もある人たちにとって客観的で公明な尺度というのがあり得るんだろうかというふう に思うんです。ですから、その障害程度区分というのはまさに様々な問題で、精神の人に とっては百害あって一利なしという制度だったと思うんですけれども、つくり直すにして も、国が求めているような効果が測定できるようなものになっていくんだろうかという疑 問が一つあります。もしあるとすれば他の者との平等を指標にした障害の支援の必要性を はかる物差しでなくてはいけないというふうに思っています。  もう一つ、評価の指標の難しさのところは、障害の人たちは高齢者と違って年齢の幅も 広いですし、ニーズも障害の状態像も本当に百人百通りの状況があって、支援の必要度が あるので、百通りのものをはかる指標が本当にできるんだろうかということを改めて疑問 に感じます。それよりかは、その人のニーズをきちんと受け止められるような相談支援の システムや、相談支援に当たる人たちの力量のアップや拡充ということが求められていて、 本当に障害のある人たちに寄り添う支援が実現していくこと、本人がニーズと思わないこ ともニーズとしてきちんと浮かび上がらせていかれるような、そういう支援が拡充してい くことが重要なのではないかと。また、誤った数値化が進まないことを本当に希望してい るというか、危惧しています。 ○佐藤部会長  光増委員、お願いします。 ○光増委員  障害程度区分は廃止するという方向で決まっているので、どこが問題点だったかという ことをきちっと厚生労働省の担当者がデータで公表して、やっぱりお互いの相互理解はし たほうがいいと思うんです。様々な区分の問題や区分が報酬とリンクしているだとか、利 用するサービスが区分によって制限されるという問題もあるわけですので、問題点をもう 少し明確にしたほうがいいんではないかと思います。  それから、24年3月までに旧法の施設はみんな新法に移行するというのが厚生労働省の 考えだということを、先ほど山井さんも言っていましたけれども、じゃ、24年4月から25 年8月、新法ができるまでに現在の障害程度区分はこのまま生き続けるんだろうか、ある いは暫定的に2つの支給決定が考えられるんだろうかというところの論議というのは、そ うゆっくりはしていられないんじゃないかという気がします。  もう一つ、厚生労働省の発表した29ページの資料の中で、非常に透明性、公平性という のはずっとうたってきていますけれども、自立支援法ができたときに、この説明をずっと しましたけれども、障害程度区分の1次判定の問題、市町村審査会の問題、あるいはそう いう問題を総括すると、本当に公明で透明な障害程度区分の制度ではないということをは っきりもう少しこのメンバーは確認したほうがいいと思うんです。29ページの線を引いて いる、安易な施設入所を防いでいるということがありますけれども、現在施設入所で新体 系に移行したところは半分弱です。旧法の施設にはどんな人でも施設入所はできている実 態というのがあるんです。ですから、安易な施設入所を防いでいるというのは、新体系に 移行したところの制限を設けて安易な施設入所を防いでいるという表現で使ったかも分か りませんけれども、しかし、実際養護学校卒業の行動障害の人が、周りにケアホームもグ ループホームもなくて、区分2でどこにも行けないという実態というのも隠れた問題とし てあるわけですので、文章表現はきちっと適切に直したほうがいいと私個人では思います。  以上です。 ○佐藤部会長  ありがとうございました。  まだいろんな言いたいことがあろうかと思います。提言があるんだろうと思いますけれ ども、特にあれば文書でいただいて、それを皆さんで共有できるようにするというふうに したいと思います。  それで……  野原委員。 ○野原委員  すみません、短く申し上げたいと思うんですが、今日の会議の問題で活動スケジュール 案が茨木先生のほうから説明されました。そのときに言葉として、ちょっと私もさっきク レームつけたんですけれども、新法を超えた分野として3つの分野で合同作業チームをつ くると。この新法を超えた分野という考え方が現段階でまだ新法が決まっていないのに、 こういうふうなことが、いわゆる三役のほうから出るということはちょっと理解できない ということもありまして、やはりこういう表現というのは適切さを欠くんじゃないかとい うことでご検討願いたいということが1つです。  それからもう一つは、いわゆる推進会議の第1次意見がありました。この中で難病に関 する充実に私たちは基本的に合意できないところがあります。こういう問題についての意 見の処理の方法というのはどうしたらいいか、ちょっとお聞きしたいということと同時に、 やはり大事な会議なものですから、どうしても当事者を抜きにしてこういう問題を決めて 進めていくということがいいのかということを改めて、すなわち難病当事者が関わってい ないところで難病に関する叙述がどんどんされていくということがあるとしたならば、こ れは非常に私は実態に合わないことになってしまうと。事実、例えば1次意見の35ページ の難病患者等居宅生活支援事業についての充実は、これは全く実態とは違っていますとい うことで、全く同意できません。こういう問題についての意見はどう処理したらいいのか、 ちょっとお聞きしたいというふうに思います。  以上です。 ○佐藤部会長  新法を超えたという表現が余りはっきりしないまま書かれているということは申しわけ なかったと思うんですけれども…… ○野原委員  言われたということです。書かれていないけれども、そういうふうな表現をされたとい うことです。 ○佐藤部会長  ええ、そういうふうにスケジュールの中では書いているんですけれども、推進会議でい ろんな分野で検討した中で医療とか雇用というのは福祉とはまた別に検討して絡むところ があるということで、児童についても福祉の中でも扱ったわけですし、障害児支援という 領域でも関係してくるので、福祉の部会だけのマターではないものは推進会議と合同のチ ームが必要だろうという、その程度で中身をどうするかというのはまだ作業チームや推進 会議のほうと協議をという段階です。 ○野原委員  その趣旨は賛成です、私も。ただ言葉として適切なのかどうなのかということです。 ○佐藤部会長  そうですね、ちょっと吟味が必要だったかと思います。 ○野原委員  はい。 ○佐藤部会長  推進会議の文章に対する意見、今からメンバーを増やすというふうなことはできないと 思いますけれども、推進会議のほうでももちろん、この部会のほうでもメンバー以外の意 見もいろんな形でメンバーを通じて提案をするという仕組みになっていますので、また第 2次意見書を推進会議のほうでは出しますので、そういう機会を活用していただくという ことなのかなというふうに思います。また、恐らく作業チームの運営の在り方の中で必要 に応じてヒアリングをすると、部会メンバー以外からも意見を聞くというようなことをこ れから検討させていただきたいと思いますけれども、そういう形でできるだけいろんな意 見が反映されるようにできればというふうに思っています。また、文章も含めて運営の在 り方についてご意見いただければと思います。  ここでもう5時5分になってしまいましたので、ひとまず討議を終了します。より詰め たものは作業チーム等で検討していただいて、また部会でも議論をするというふうにした いと思います。  次回の8月31日の部会では、論点表のうちのD、E、Fの3つの分野についてのご議論 をお願いしたいと思います。事前に十分なゆとりを持ってまた文書でご意見をいただいて、 それらを整理した資料を基に、できましたら議論のポイントを口頭でしゃべるだけでなく て、文字にもしてお示しして討議しやすくするというふうに心がけたいと思います。  そして、報告事項が3点あります。  1つは、6月の初めの部会で承認をいただきました当面の課題です。推進会議に提出し ました当面の課題の文書についてということと、2番目は皆さんから提出される関連資料 の取り扱いについてなんですけれども、これはちょっと整理をしまして、これから皆さん にお願いをする文書の中でこういう点、資料提出に当たって注意をしていただきたいとい うことを書かせていただくということで、これについては省略を、報告事項から省かせて いただいて、3番目に全国障害児・者実態調査ワーキンググループの報告を厚生労働省か らしていただくということにしたいと思います。  それで、当面の課題の文書について、その後推進会議のほうでどのように扱われたかと いうことを簡単に東室長から報告をしていただきます。 ○東室長  担当室の東です。  6月29日に障害者制度改革推進本部が開かれまして、その席上で障害者制度改革推進会 議の議長をされている小川代表から第1次意見というものを本部長である総理に手渡しが ありました。そしてその中の資料として当面の課題というものが同時に本部に提出されて いるという状況で、閣議決定の中ではその意見を基に最大限努力するような、ちょっと文 書を持ちませんのであれなんですが、そういう趣旨のことが閣議決定の中で入っていたか と……。  第1次意見を最大限に尊重しという中に、その部分も含めてということで閣議決定の内 容になっていると、今理解しております。  一応報告としては、その程度にしておきたいと思います。 ○佐藤部会長  ありがとうございました。  斎藤委員。 ○斎藤委員  斎藤ですが、この基本的な方向についてという閣議決定文書の3行目ですか、この最大 限に尊重しということが、今のここの当面の課題についての意見を踏まえたということに なるんですか。 ○東室長  個別的には触れていなかったと思いますが、第1次意見の推進会議の意見という部分は 閣議決定の部分には入っていないわけです。しかし、その部分はこの第1次意見の中の推 進会議の認識の部分は最大限尊重するという形でここにおさまっているということです。 ○斎藤委員  でも、その当初の説明では、ここでそれを決めて来年度の概算要求に少しでも反映する ように働きかけられるものだという説明だったじゃないですか。でもこんなところにただ、 それも含まれていますよと言われたって、だれもそれを受け止める人なんかいないし、何 ら反映されないと思うんですけれども、そうじゃないんですか。 ○東室長  これは閣議決定ですので、その概算要求をどうするかこうするかということ、そういう ことまで一つの言葉として入れ込むということは非常に難しいわけですね。ですから、具 体的にはこの閣議決定を受けて厚労省サイドで概算要求に向けて頑張っていただくという ことになりますけれども、それが最大限尊重しろということにかかってくるわけです。 ○佐藤部会長  藤井委員と光増委員、お願いします。 ○藤井委員  東さんはお忙しいんで、当日小川議長と私と出向きました。実は懇談がありまして、全 大臣がいらっしゃって、総理、それから官房長官、私のほうでマイクが回ってきたもので すから、今日は第1次意見に加えて総合福祉部会として以下の緊急のこの当面の文書をお 持ちしましたと。これについては長妻厚労大臣の所管事項でありますので、ぜひともご配 慮をいただきたいと、こういうことを申し上げて、長妻さんもそこは理解したと思います。 ○佐藤部会長  光増委員。 ○光増委員  光増です。  多くの55人の委員の方は2カ月かかって当面の課題を出しましたよね。それで、皆さん が期待しているのは、じゃすぐにでもできるところはどこからやっていこう、来年4月か らはどこができるだろうか、あるいは予算項目はどうなのか、これは法律改正しないとで きないんだろうかという、それこそ当面の課題の工程表と、それから厚生労働省の中身も きっと論議していると思うので、これは法律に関係なく、例えば報酬構造の考え方を変え れば実現できるとかいろんなすぐできることはあると思うんです。それをきっと55人の委 員の方は早く示して実現できるところからやってほしいという思いだと思うんですよね。 閣議決定だけではなくて、じゃ実際に55人の委員の方が当面の課題で出したのを、じゃど こから実現していく。論議しなくてもできる事項もあるので、それをぜひ厚生労働省の立 場ですぐ実施できるところはやってほしいという思いがあります。  以上です。 ○佐藤部会長  ありがとうございました。  ニュースによると、今日の午後概算要求の基準が決まるということのようですので、そ れを踏まえて予算部分と今言われたような予算が要らないような部分もあるではないかと いうようなことで、そういうことをきちんと精査をしていただいた上で、当面の要求、特 に4つの項目が、全部とは言わなくてもできるだけ実現するように、こういう厚労省とし ての努力をしているということを、今日の午後のこの決定を見た上で部会のメンバーにお 知らせをしていただくと。そして部会のメンバー、障害者団体などは独自の団体として必 要なアクションを概算要求などに向けてやっていただくというようなことで、厚労省のほ うも今の何人かの意見をきちんと聞いていると思いますので、それを尊重した対応をして いただければというふうに思います。  それでもう一つ、この当面の課題について報告をしなければならないことがあります。 それは東京都からの申し入れの文書が文書番号がないものがついているかと思います。こ れは東京都から部会長の佐藤久夫宛てに、事実誤認があったので遺憾であるという指摘で す。それに対して、もう一枚のほうで7月27日付けの部会長、佐藤久夫名でこの当面の課 題の文書の一部改正についてということで、誤りがあったということのお詫びをするとと もに、今後このようなことが起きないよう細心の注意を払ってまいりますということで、 1つは、「東京都が国の指定基準とは異なる厳しい基準で事業所の指定を規制している」 という記述の誤りの部分を削除するという部分です。  それから2番目に、これは誤りというふうには必ずしも言えないわけですけれども、東 京都の名前を固有名詞を出して、反論しにくい、反論の余地のないような文章の中で書い たということで、必ずしも固有名詞は要らないということもありますので、「ある自治体 においては」という表現に換えるということと、それから、推進会議でも指摘されました 医療付きショートステイについて精神障害の部分を削除するという、これは事務的なミス で入ってしまったものですけれども、この削除をするというふうに部会長として手続をと るようにしたいと思います。ホームページ上の文章についても修正をするということで、 今後注意をしながらこういうことのないようにしてまいりたいと思いますという報告です。  それから、実態調査のワーキンググループの報告については、資料5に基づいて厚労省 から報告をお願いいたします。 ○藤井課長  それでは、資料5によりまして、全国在宅障害児・者実態調査(仮称)の基本骨格 (案)についてご説明をさせていただきます。ワーキンググループのほうで3回ほどご議 論をいただきまして、そこでの議論を踏まえて整理をしたものでございます。  初めに、調査の目的でございますけれども、自立支援法の廃止後の制度の谷間を生まな い障害者総合福祉法(仮称)の検討、あるいは施行準備の基礎資料とするために、在宅の 障害児・者、これはこれまでの法制度では支援の対象とならない方を含めてでございます が、その生活実態とニーズを把握をするということでございます。幾つかの注意書き的に 書いてございます。  まず1番目が、施設入所者の方あるいは入院患者等の在宅の障害児・者以外の方につき ましては、これはなかなか在宅の方と同一の調査で行うということは難しゅうございます ので、今回の実態の調査の対象とはせずに、むしろ2つ目にございますように、本総合福 祉部会のほうの構成員を初めといたします関係団体その他の関係者間で、またご議論をい ただきまして、その結果を踏まえて別途今後検討していってはどうかということでござい ます。  それから3番目に、この実態調査の名称でございますけれども、仮称ということで冒頭 タイトル、障害児・者実態調査としてございますけれども、障害児・者というタイトルを つけるのがどうかというところも議論がございますので、この名称につきましては今後ま たさらに検討をしていくということでございます。  それから4つ目に、今回の実態調査につきましては、障害福祉行政の企画・推進の基礎 資料となるものでございますので、今後も定期的に実施をするということを想定をしてお ります。  それから大きな2番目、調査の方法でございますけれども、調査員が調査地区内の世帯 を訪問をいたしまして、調査の趣旨等を説明して、調査対象の有無を確認する。それから、 調査対象者がいる場合は調査票を手渡しまして、記入それから郵送による返送を依頼する という、これは自計郵送方式というふうに言っておりますけれども、こんなやり方で調査 票は原則調査対象者本人が記入するということで整理をしております。ただし注の5番目 にございますように、記入に当たりまして支援が必要な方もいらっしゃるというふうに思 われますので、その記入の支援の方法等につきましては、今後検討していくということで ございます。  それから大きな3番、調査の内容でございますが、まず(1)が考え方でございますが、 今回の実態調査につきましては、新しい総合的な福祉制度の対象者が明らかでない、まだ これからの議論ということになってございますので、むしろその調査対象となる範囲は幅 広く設定をすることが適当ではないかと。したがいまして、障害の状況に対応したサービ ス提供の在り方の検討に資する調査とするためには、障害の状態、その他の調査対象者の 基本的な属性、それから必要とされる支援内容との関連につきまして分析が可能となるよ うな調査項目の設定が必要ではないかと、こういった考え方の基に2ページ、3ページで ございますけれども、(2)といたしまして、具体的な調査項目につきまして、その必要 性とともに整理をさせていただいております。  (1)が回答者の基本的属性に関する調査項目ということで、まず障害の状況、これは選択 肢を示しまして選択をいただく。それから2つ目が障害の原因等というところでございま すが、これも選択肢を示してご選択いただく。それから発作ですとか、そういった症状が 断続的に生じるものにつきましては、その頻度もお答えいただくとか、あるいは障害の原 因が生じた年齢ですとか診断を受けた年齢ですとか、そういったこともご回答いただけれ ばと思っております。それから3つ目に、日常生活又は社会生活上の支障の継続の期間、 どれぐらいの期間、そういった状態が続いているのか、それから日常生活又は社会生活上 の支障の発生頻度、それからあと年齢及び性別、それから居住形態、同居者の状況、それ から障害者手帳等の種類、それから3ページにまいりますと、収入の状況、それから課税 の状況等、それからまた支出の状況、それから日中の活動状況等、こういったところを調 査項目とすると。  それから(2)に現在利用しているサービスと今後利用を希望するサービスとございます。 まず、障害福祉サービス等の利用の現在の状況、それから障害福祉サービス等の希望とい うことで、利用を希望するサービスの内容ですとかあるいは量につきましてご記入をいた だくということでございます。  ただし、その下の注の6番目にございますように、調査項目につきましては、まださら に詰めてご議論をいただかなきゃいけないところだと思っておりますので、さらにご検討 をいただきたいということでございます。  それから(3)が調査対象者の範囲でございます。権利条約の第1条を踏まえまして、 今回の調査の対象者につきましては、以下のとおりとするということで、4ページの一番 上のところです。手帳の交付を受けている者又は交付を受けていないものの、以下、その 例にございますような(1)から(12)までございますが、こういった長期的な身体的、精神的、 知的又は感覚的な機能障害に伴い、日常生活又は社会生活が制限される状態に概ね6カ月 以上該当する者もしくは該当することが見込まれる者(明らかな改善状況にあるものを除 く。)こういった定義を立ててみております。  それで、例として(1)から(12)までございますが、これはその下に参考2とございます。こ の辺りの例示につきましては、いわゆるワシントングループが障害統計に関して国際調査 用等に作成した質問内容等を参考に例示をしております。  なお、ここのワシントングループと申しますのは、国連の障害測定に関する国際セミナ ーといったものが2001年6月にございましたけれども、ここで障害データが国際比較でき るような統計的・手法的作業が国際レベルで必要だとされたことから、非公式、それから 一時的に組織された市民の集まりでございました。会合はこれまでに9回行われておりま して、その概要が国連の統計委員会に報告をされております。こういったワシントングル ープが作成したものを参考にして(1)から(12)まで例示をしております。  それから最後に大きな4番、スケジュール等でございますが、これは5ページにちょっ と縦横が違っていまして申しわけありませんが、横にしてご覧いただきますと、本日こう やって骨格案を提示をさせていただいております。これが一番左側の時期というところで 申しますと、22年の夏というところでございます。本日いろいろご意見をいただきますれ ば、その真ん中のワーキンググループというところがございますが、部会の意見を踏まえ まして調査設計の骨格案を修正をしてまいります。そうやって修正をした骨格案に基づき まして、今度は一番右側、研究班のほうで調査票案を作成をしていき、またワーキンググ ループのほうに戻ってまいりますが、その調査票の案につきまして、当事者団体の皆様方 から意見をお伺いをすると。書面であるか、あるいは必要に応じてヒアリングもさせてい ただくようなこともあるのではないかと思っておりますけれども、そういったことでワー キンググループの中でその意見聴取の結果を踏まえまして、さらに調査票案をとりまとめ まして、これをまた本部会のほうに提示をして意見をいただくと。また、部会の皆様の意 見を踏まえまして、その調査票を修正し確定していって、何とか22年、本年の秋ごろには 試行調査を実施ができるようにお願いをしたいなというふうに考えておるところでござい ます。  以上でございます。 ○佐藤部会長  既に30分過ぎているんですけれども、二、三、ご意見をお伺いできればと思います。  伊澤さん、大濱さん、山本さん、それから三田さん、お願いします。 ○伊澤委員  伊澤です。  調査を実施していくところの大変さというのは今のご説明でもすごく響いてくるんです が、ただ大きく要素として欠いているのは、やはり施設入所者並びに入院患者さんの、そ ういう志向性なり希望なりを聞き取るということが今回ないという、これは非常に手弱い というか、もう大きな欠落部分じゃないかなというふうに思います。  今回の新しい法律がやはり地域移行、脱施設化を大きく進めていくという、それが非常 に大きな眼目なわけですから、そこを何とか担保していくということはしっかりと踏まえ てほしい。このスケジュールの中でどういうような形でやっていくのかというのは、非常 に難しさというのは感じますけれども、そこを外してはならないというふうに私は強く思 います。  以上です。 ○佐藤部会長  大濱さん、お願いします。 ○大濱委員  これ調査の中で地域で暮らしている医療ケアの必要な人たち、ここが数値で出てくるの かどうか、何人ぐらいいてどれぐらいのパーセンテージがいるか、それが1点目です。  それからあと2点目として、重度の障害のために長期的な入院をしている人とかいます。 現実問題として。それを病院のほうにデータ調査として行えるかどうか、この2点をお願 いしたいと思います。 ○佐藤部会長  山本さん。 ○山本委員  今のお2人の意見に調査の中身としては私も疑問がありますが、それ以前にこのやり方 は精神障害者を殺します。私ども病者集団は組織目的の第一に、命を大切にすることとい うのを挙げています。1人でこっそりとというか、ひっそりとアパートを借りて住んでい るところに、いきなり知らない人が来て、お前は障害者かどうかと問い詰められる、こう いう事態はとても私たちは認められません。73年に既にあなたたちは自殺者を出している んです。これについては病者集団としては、最低限このやり方は絶対認められないという 抗議文を出しますし、私は25日にも関係団体にこのやり方については抗議を出すように、 ともかく反対の声を厚労省に集中してくれと申し上げました。  自殺者や調査が怖いから病院に避難するというような事態を生んでは、総合福祉も障害 者制度改革もあり得ません。これについては、このやり方だけは私どもは絶対認められま せん。 ○佐藤部会長  三田さん、お願いします。 ○三田委員  すみません、質問と意見ですけれども、手短に。  今のとも少し関係すると思うのですが、ここに全然書かれていない、だれが調査をする のかというのがとても疑問に思いました。調査員というのはすごく重要で、要するに区分 認定でも当事者の声をなかなか聞き取れなかったという実態がある以上、やっぱり聞きに くいことをしかも適切に谷間に置かれている人に届くような調査をするための調査員の育 成をどう設定しているのか、試行的なことをやるんだったら、あるいは今度プランの中に 調査員をどういうふうに確保し、質を高めるかということを入れていただきたいと思いま す。 ○佐藤部会長  佐野さん、お願いします。 ○佐野委員  佐野です。  調査の例で(2)補聴器等の機器を使用しても、聞くことに困難を伴うというのは、これは 調査の対象とする方を補聴器を使用して、普通に聞こえる状態にあるかないかというのは、 それは本人の判断、感覚の問題ですよね。だから、こういう補聴器等の機器を使用してと いう限定を設けるのは反対です。これはぜひやめていただきたいと思います。 ○佐藤部会長  何点か大事な点が出たわけですけれども、調査のワーキンググループで検討してという テーマもあるだろうし、もうちょっと大きな問題もあろうかと思いますけれども、藤井課 長、よろしくお願いします。 ○藤井課長  いただきました意見を今この時点で一つ一つお答えするというよりも、むしろ意見とし ていただきまして、また私ども厚労省として、あるいはまたワーキンググループの先生方 にもご相談をしながら、さらにこれ議論をしていきたいというふうに思います。 ○佐藤部会長  増田委員。 ○増田委員  山本さんの危惧はとてもよく分かるし、調査によって被害者を出しては絶対にいけない と私も思います。ただ、この間、精神障害の人たちの実態がどれだけ社会の中に埋もれて きてしまっているか、支援に結びつかない人たちがどれだけ多くいるか、そういうことが きちんと把握されないと、やっぱり幾ら総合福祉法になっても精神障害者の人たちの施策 は進んでいかないというふうに思うんです。だから、どういう形でその調査をつぶすので はなく、どういう形だったらば精神障害の人たちが安心して調査を受けられるのか、やっ ぱりそういう提案を要望書を出していただきたい。調査をするなということにはしてほし くないと思います。 ○山本委員  別にそれは改革推進本部でも実態把握をということは出ておりますし、それについて反 対ではございません。調査一般をするなと言っているんではないんです。ただ、今日は時 間がないので最低限このやり方では絶対駄目だと申し上げたので、例えばこういうやり方 があります。全ての精神病院と精神科クリニックにポスターを張って調査票を置く、そう いうやり方もあります。そして、例えば精神病院に10年以上いる方についてはぜひお話を 伺いたいと。話していただける方はここにお電話くださいと。あるいは施設でもそうです よ。そういうような調査でも十分私は実態は把握できると思います。  なぜこれほど副作用というよりもおぞましいやり方をしなきゃいけないのか、非常に大 体73年、83年、どう考えているのかということで私は怒っております。調査をするなとは 私は申し上げておりません。 ○佐藤部会長  三浦さん。 ○三浦委員  先ほど伊澤さんのご意見に賛成いたします。  1の注2の施設入所者等の調査は不可欠だと思っておりますが、ここに書いてあります けれども、この構成員を初めとする関係団体その他の関係者間で議論いただき、それをだ れがリードしてアレンジをするのか、具体的にはいつごろということをお尋ねしたいと思 います。 ○佐藤部会長  これは、厚労省、いかがでしょうか。 ○藤井課長  このたびの調査の在り方につきましては、また部会のほうでもというふうに、ここに限 らずですけれども。 ○佐藤部会長  その調査のワーキンググループでは主体的な力量等からいって、在宅障害者の実態調査 に専念せざるを得ないということで、ワーキンググループとして入所者、入院者の調査は できないというふうに考えています。しかし、新しい法律をつくるに当たって大事な部分 であるので、何とか調査が必要だろうなと、部会のメンバーの多くもそういうふうに考え ているなということは、正副部会長、認識しています。しかし、厚労省のほうでは特に予 算も予定もない状況で、そういう調査をするかどうかについてはもうちょっと必要だとい う部会の委員の意向をきちんと聞いた上でないと、厚労省としても検討のしようがないな というような状況だろうと思うんです。  それで、意見を聞くというふうにここの骨子の中に書いてあるんですけれども、それを だれの責任でどういうふうに進めるのかということの調整はまだついていません。  伊澤さん、藤井さんの順でお願いします。 ○伊澤委員  部会長の今のご発言ですけれども、調整をつけていくという方向を出すということは今 の時点で可能なのかどうかというところをちょっとお聞きしたいのと、それと、先ほど山 本さんのほうからアイデアもありました。そういうものを持ち寄って議論していく、そう いう俎上をつくるということはできるような気もするんですが、その辺の可能性をどう読 んでいるのかという辺りです。言ってしまえば、先ほどの議論にありましたところ、特定 の生活様式を余儀なくされている方々がたくさんいらっしゃるという事実ですよ。それと、 やっぱり先ほどありました選択権、それから要するに受給権、それが満たされていない人 たちがたくさんいるというその事実です。それをやっぱり我々はちゃんと見ていかないと いけないというところをしっかり肝に銘じなければならないと思います。でなければ部会 の意味がない、そこまで思います。よろしくお願いします。 ○佐藤部会長  藤井さん、お願いします。 ○藤井委員  日本国の秘境と言われている精神科病院だとかね、あるいは入所施設というふうに言わ れているんだけれども、したがって、その実態って大変大事なわけですよね。たしかこの 部会での最初の段階で、本調査は平成24年度であると、しかし24年度調査したんでは、や はり今度の事業にはもう間に合わないと。だから先行調査、24年度に向けての先行調査と いうふうなことの名前もかりながら、事実上22年度も状況把握をして、それを今回の事業 に反映していくと。だから23年度は本調査、つまり定時調査の本年度なんですよと。そう しますと、今の議論を併せますと、全体の2カ年調査ということがもしできるんだとした ら、伊澤さんだとか皆さんのご意見、とても僕も賛成なんだけれども、今回まず急ぐとい うことです。そして、本格的には23年度、本当は今回全部やり切りたいんだけれども、予 算問題もあれば時間もあると。だからほとんど手がつけられていなかった問題ですから、 ここはじっくりと若干議論とのタイムラグがあるんだけれども、23年度の本調査に万難を 排すということで私はどうかなと思うんです。  それで、山本さんが言った意見については、何らかやっぱり配慮していきながら、そう いうことがあっちゃいけないんで、ただ調査はやることはやぶさかじゃないとおっしゃっ ているわけですから、今度は配慮、工夫をし合うということで、ちょっと2カ年の全体の 調査スケジュールを頭に入れて、今のご意見を満足させるような方向を考えたらどうかと 思うんですが。 ○佐藤部会長  在宅の調査のほうについては、今の山本さんの意見も含めていろんな意見を聞きながら やっていくと、やれるかどうかも含めて検討するということで、それ以外の調査について、 だれがどんな調整をしながらやれるように進めるのかという三浦さんの意見ですけれども、 広田さん、いかがでしょうか。 ○広田委員  広田ですけれど、さっき20万の社会的入院の仲間を救出したいという話をしたんですけ れど、なぜ精神病院の調査ができないのかということなんです。それで、眞理ちゃんの話 は私もやっぱり危惧します。この間、この国は自殺の問題にとってもいろんなところが取 り組んでいますけれど、お金がなくて死んでいると思ったら、実際は生活保護をもらって いる人が自殺していると。それで私も生活保護制度を使っていますけれども、本当に人権 侵害というのが当たり前のように起こっているんです。ですから、行く側の姿勢で、来ら れた側が苦しくなったりしますから、さっき三田さんが言ったように、どういう人が行く のかということもとても大事なことですけれど、とかく行政の人って一般的には、私は民 間の営業出身ですけれど、とてもかたくて民間の営業が行ったほうがはるかに適切ににこ やかに終わるんじゃないかと思われることはたくさんあるんです。そういうことを十分配 慮した上で、私はやっぱり精神病院の中に入らなければ精神障害者の実態の調査にはなら ないというふうに思っていますことと、それから、私いつも言っているんですけれど、こ の国は富士山から灯油が降るわけじゃないんです。いろんなニーズを拾い集めて、結果的 にはサービスはこれしか出せませんよということになってしまうんではないかということ は危惧しています。障害者って、可能性があります。私の引っ越しは「障害者の障害者に よる障害者のための引っ越しだった」んですけれど、いろんな障害を抱えた人が本当に11 日間やってくれてすごい力を発揮したんです。障害者というのは何も社会からサービスを もらうだけではなくて、社会貢献できる力がいっぱいあるわけですよ。そういうところも きちんと、もし実態調査をやるなら入れないと、ただただお金を使いますということでは 納税者も納得できないし、これからの若い人にこれ以上の税負担はさせられないというふ うに私は思います。 ○佐藤部会長  もう大分時間が押していますので、どうでしょうかね……  中西さん、じゃ、お願いします。 ○中西委員  やっぱり施設の問題はこの新しい法律について非常に重要なんですよね。それで、藤井 さんがおっしゃるのも分かるけれども、やはりなぜ施設を望まなければいけなかったか、 施設待機を今しているのかという実態を踏まえないと、どのようにして地域サービスが今 不足しているかの実態が出てこないんですね。ですから、今の在宅者だけの調査というの はやめてもらって、やはり施設の入所者、待機者については何としても調査対象にサンプ ル調査にそれにしても入れるべきだというふうに思います。何とか工夫してこれを入れな いと、やはり我々は差別することになっていきますから、そしてやはりそれはどんな困難 があってもやるべきだというふうに思います。よろしくお願いします。 ○佐藤部会長  私の理解だと、いろんな施設の調査、部分的な調査報告は結構あるんだろうと思います。 入院患者の実態、退院したいという希望、どういう条件があれば退院できるかという報告、 あるいはピアがどういうふうにいつの時点からどんなふうに絡むと効果的なのかというよ うな報告とか、いろんな既存の情報を最大限集めて、しかしなおかつ新しい法律をつくる には、まだこういう情報が足りないと、決定的に大事な部分が足りないというようなこと があれば、恐らく厚労省も何とか予算をどこかから工面をしてこの部会のメンバーにも協 力を得ながら、施設調査、入院調査のプロジェクトを立ち上げるのかなという、そんなこ とを厚労省の了解もなしに言っていいかどうか分かりませんけれども、そういうのがない 中で、厚労省としても今のところ動きようがないという状況だろうと思うんです。そうい う意見を集める音頭を三役の正副部会長が、いつ皆さん集まってくださいというようなこ とをやるべきかどうか、それだけの力というか時間とエネルギーがあるかどうかというと、 大変三役もないので、何とか工夫をしていただけないものかというのが正直なところです。  斎藤さん。 ○斎藤委員  斎藤です。  今、予算が足らないというお話なんですが、この調査が最初提案されたときは、あくま で全国障害者実態調査という形で提案されたと思うんですけれども、4月のときでしたか、 だから、そのときは当然そういう全て施設や病院も含めて在宅の部分も含めてというふう に思っていたけれども、今日のこの資料を見ると要するに在宅調査というふうになってい るわけじゃないですか。その辺の変化というのは、初めはそれ想定しとったんじゃないん ですか。どこでどう変わったのかよく分からないので、そこら辺ちょっと説明してほしい んですが。 ○尾上副部会長  尾上ですけれども、その説明は事務局のほうにぜひしていただきたいと思うんですけれ ども、部会三役は、当然部会で当面の課題ということで、そういういろんな各種調査をや るべきであるという提案が部会の構成員から出ていると。したがって、この調査は今回出 ている全国在宅障害児・者実態調査のことだけではなくて、この総合福祉部会の下で総合 福祉法を検討していくというときに必要な各種調査、その調査全体像、つまり先ほど斎藤 さん言われた調査の全体像をやっぱり示した上で、その中のワン・オブ・ゼムというか、 かなり重要なワン・オブ・ゼムとして、これも提案がなければ、部会全体の議論としては 難しいですよということで何度も調査ワーキングの中では、部会三役としたら当然部会の 構成員からの意見としてはそういうのが出ていますよねという話をしていたんです。が、 ずっと1つは調査の方法論、入所や入院の人たちの調査がどういう形でできるのか、あと もう一つは先ほどの話の予算や何々だということで、なかなかそこの部分の調整がつかな いまま今日に至っているというのが率直なところなので、部会三役としてどう思うのかと 言われても、私たちとすればあえて言えば部会の皆さんから出されたというような形で調 査、これだけではなくて調査の全体像を含めてお示しをいただけないかということを、ず っとこの2回、3回言ってきたというのが実情なので、ここからあとはもう事務局に答え ていただくしかないかなというふうに思っています。 ○藤井課長  今、尾上副部会長おっしゃったんですけれども、もともと一番最初に説明したときから だったと思いますけれども、もともとがこれ5年に一回やっておりました身体障害者の実 態調査と知的障害者の実態調査を、それを引き継ぐというような発想があったことは間違 えありませんので、そういう意味では、在宅というのが一つ頭にあったということもござ います。ただその後、ワーキングでもいろいろご議論いただく中で、やっぱり先ほど尾上 副部会長がおっしゃったこととも重なりますけれども、手法の違いですとかいろいろ考え ますと、この在宅障害者実態調査という枠組みの中ではご在宅を中心にするべきではない かというような議論に整理をされていったと。  その一方で施設入所者とか入院患者の調査につきましては、それとは別途、何かやり方 を考えて検討するということなのかなというふうなことで、今日のペーパーは1ページの 調査の目的の中の2番に整理をしているわけでございます。  それで、ここの実際に施設入所者ですとか、あるいは入院患者の調査をどのようにやる のかというところにつきましては、これ正直なかなか難しいところがあるんじゃないかと いうふうには私どもも思っています。確かに調査の必要性といったところは皆様方からご 指摘をいただいたり、これまでもしてまいりましたけれども、なかなか入院されている方 ですと疾病の状況によりまして、いろいろ処遇とか環境とか変化してまいるところもあり ますし、入所をされている方ですと、やっぱり入所されている方の生活実態というのがど うしても施設の処遇の在り方を反映したものになってまいります。それで施設の処遇の在 り方というのは配置基準とか報酬で結構枠が決まってきたりもしますので、そういう意味 では、これは調査の必要性、それから調査するとすれば一体どんな形で、先ほどちょっと 意見も出ましたけれども、だれがやればいいのかとか、どんなやり方でだれがどんなふう にしてやればいいのかというところを、ちょっと具体的にこれ詰めていかないと、本当に 私どもあるいは部会の皆様が必要とするようなデータが集まってこないんじゃないかとい うような、そういう危惧も持っておりますので、そこら辺のご意見をぜひ具体的な形で部 会の皆様方と議論ができればありがたいなというふうに思っています。まだ具体的な段取 りまで私どもも詰めてきておりませんけれども、また部会の三役とも相談しながら少し頭 の整理をしていきたいというふうに思っております。 ○佐藤部会長  部会の委員も含めていろんな関係者の意見を聞きながら検討してまいりたいということ で、その検討の仕方については厚労省のほうでも考えて皆さんの協力、参加で進めたいと いうことですので、もうちょっと事務的にいつどんな形でとかということは詰めていただ くとして、三役のほうでも参加しながら協議をして、ワーキングのほうでも在宅の調査の 在り方、山本さんの意見のことも含めて検討して、また皆さんと諮りながら進めていくと いうふうにして、とりあえずは引き取らせていただくということにしたいと思います。  どうも、長時間になってしまったんですけれども、以上で本日の…… ○小野委員  すみません。 ○佐藤部会長  はい。 ○小野委員  最後にちょっと1点だけ、すみません、超過しているところに。  今日の部会の冒頭で、参考資料の7−2で藤岡委員から、前回の基本合意をめぐる発言 の撤回の文書が補足意見として出されました。冒頭で淡々と説明をされたので、多分ご本 人は相当な思いでこれは出されたんだと思うんですが、この辺について私のほうからちょ っと補足を1点だけしたいと思います。  前回の議論のところで、確かに基本合意を立法府全体を含むというのは、これはやっぱ り解釈としては困難だなというふうに僕も思います。けれども、あの訴訟の解決をやろう ということで協議を開始した時点から基本合意を調印するまで、一貫して協議には政府・ 与党の担当議員が政務官を筆頭に出席をしてきました。むしろ政務官や与党と協議を詰め てきたというような感じもあります。そういう点では、この藤岡さんの文書にもあります けれども、少なくとも与党はこの基本合意を尊重するという立場は貫かなければいけない んじゃないかなと思います。  それと、藤井課長は国イコール厚労省だというふうなご説明をされたんですけれども、 多分意味合いとしては僕がこれから言わんとしていることも含んでいると思うんですが、 あの署名捺印というのは内閣を構成する国務大臣の権限と責任に基づく署名だと思うんで す。単に厚労省だけとの約束事ということではないと思うんです。例えば外務大臣が外国 に行って署名捺印をする、あれは外務大臣が勝手に署名したことだよということではない。 和解が成立して総理官邸に原告が行った際には、総理大臣自らが自立支援法の与えた影響 の陳謝をされる。これはやっぱり政府としてこの基本合意に合意をし、和解にたどり着い たというふうに解釈をしていますので、多分藤井課長の前回の発言の中には、それほど狭 い意味合いではないと思うんですが、国務大臣としての権限と責任に基づく署名捺印であ ったということは確認はされるんではないかなと思いますので、多分この藤岡委員の今日 の補足意見の中には、そういう意味合いのことも含めたかったかと思うんですけれども、 あえて今回はそこまでは触れていないので、私のほうから追加で言わせていただきました。 すみません。 ○佐藤部会長  じゃ、一言だけ、本当に。 ○野原委員  今の意見に関連してなんですけれども、もう政府はいろんな見解があるというふうなこ となんですけれども、少なくともこの総合福祉部会は、あの基本合意の精神を踏まえてい ろいろな課題に対応するということについては基本的には合意しているというふうに理解 していいのかどうか。すなわち本当に当事者の意見を最大限尊重しながら、いわゆる当事 者抜きにして当事者のことは決めないということを基本に尊重するという、そういうもの が基本合意には貫かれていると思うんです。そういう点を少なくともこの総合福祉部会で 確認して、今後も進めるというふうなことで理解をするというふうにしたいと思うんです が、その辺もぜひお願いしたいと思います。  以上です。 ○佐藤部会長  基本的にそういう合意で部会メンバー、部会の運営が進められるべきだし、そのつもり でやっていきたいと思います。  それでは、事務局より次回の部会についての説明をお願いします。 ○東室長  担当室の東です。  次回は、先ほど部会長がおっしゃいましたけれども、8月31日火曜日、第6回目という ことになります。テーマは、障害者総合福祉法(仮称)の論点、分野のD、E、Fという 辺りの検討です。会場はここですので、よろしくお願いします。  また、それ以降の日程につきましては、正式に会議を開くということまで決定している わけではありませんが、こちらの会場の仮押さえとしているのが9月21日火曜日、それと 10月26日火曜日ということで確保しておりますので、手帳をあけていただければありがた いかなというふうに思っているところです。  以上です。 ○佐藤部会長  本日はこれで閉会いたします。ありがとうございました。                                     (了) [障がい者制度改革推進会議総合福祉部会事務局]  厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課企画法令係  TEL 03−5253−1111(内線3022)  FAX 03−3502−0892