総合福祉部会 第15回 H23.6.23 資料16 合同作業チーム(障害児支援)議事要旨(5月) 1.日時:平成23年5月31日(火)13:30 〜 17:00  2.場所:厚生労働省低層棟2階講堂 3.出席者  大谷座長、宮田副座長、柏女委員、君塚委員、水津委員、長瀬委員      4.議事要旨 【障害者の権利条約について】 ・報告書の第一案を作成し、皆さんに提案した。それに対して皆さんからご意見を頂いたの で、それを踏まえて第二案を本日提案したい。この案をもとに、本日の議論を進めてゆ きたい。前回、議論することになっていた入所施設から始めたい。    その前に、国際的な流れを情報共有したいと思う。 ・障害者権利条約の国際モニタリングがはじまった。条約を締結した国は、2年以内に1回 目の報告をすることになっている。第1回目は、チュニジアの報告があった。18名の専 門家のうち、15名が障害者という構成で審査していた。障害者の権利委員会の所見が示 されているので、今後、日本が批准した際の参考となる。例えば、家庭での虐待につい て報告される率が少なく、深刻な問題となっていることが議論されていた。 ・国内での委員会はどこなのか。 ・障害者基本法改正案にある障害者政策委員会がなるのではないか。 【合同作業チーム報告書(障害児支援)(案)第2案について】 ・これまでの議事概要をもとに報告書案を作成した。第2案をメールでお送りしたので、こ れをベースに進める。第1案からの大きな修正点は、療育を項として立てたことだ。障 害者基本法の改正案を踏まえて、内容を記述した。この他、いわゆるつなぎ法で実現さ れたこと、その方向性の在り方について盛り込んだつもりだ。不十分であれば、指摘し て欲しい。  まず、障害児入所施設についてはどうか。 【障害児入所施設について】 ・論点整理にしたがって議論すると思い、資料を用意した。報告書案では主張していた部分 がかなり盛り込まれているので、提出した資料については、読んでおいて欲しい。 ・入所施設の位置づけとして、在宅支援とともに入所による支援は車の両輪であるという言 葉を入れて欲しい。 ・在宅生活、地域生活が柱になるのに、入所施設は車の両輪で良いのか。ならば、家族支援、 在宅支援のための両輪という言葉にして欲しい。 ・両輪とは違う。地域生活を支えるため、入所施設の役割も一時的にあるという理解だ。 ・入所施設も在宅への支援をしてきている。 ・入所施設も在宅支援をしているということは、報告書に取りいれた。地域ケア、家族ケア を支えるものとして、入所施設があるという内容だ。しかし、それを表現するために、 両輪という言葉を使うと、誤解が生じる。在宅生活を支えるという文言で良いのではな いか。 ・入所施設については、母子入園など多機能であるべきという言葉を入れて欲しい。福祉型 入所施設も多機能であるべきだ。 ・在宅の障害児の育ちをサポートするための社会的資源のストックとしての多機能という内 容は盛り込んである。 ・「児者一貫」の文言を報告書に入れてもらいたい。 ・「児者一貫」は処遇職員の継続なり、しっかりとした引き継ぎをして支援すべきであり、 すべての障害児に共通であるので、記載できないか。 ・「児者一貫」は、それぞれの立場で使っている意味が異なるため、報告書で使わなかった。 重症心身障害児に必要な支援は、本来、次のライフステージでも同じ支援が受けられる ことを保障することであるはずだ。ここで、言葉の意味を定義することは有意義ではな い。支援の方向性を示すべきで、「児者継続した支援」と言うべきではないか。 ・報告書案の重症心身障害児の地域移行の前に、「児者の継続した支援が必要とされる」と 加えればよいのではないか。 ・地域移行の流れは尊重するが、お金をかけた地域移行モデルは非現実的だ。サービスの組 み合わせで支えていく仕組みが必要で、社会資源の整備が重要である。 ・地域移行について、家庭復帰を目的にするのではなく、社会的資源の充実について盛り込 みたい。 ・実証的な地域支援という言葉が2回出てくるので、ここは整理したい。 ・自立支援計画についてだが、療育支援計画というのがある。児童養護施設の子どもは、比 較的障害が軽いが、全て自立支援計画になるのか。 ・児童福祉法最低基準では、乳児でも自立支援計画なので問題ない。現在、障害(措置)は 規定がないので、第2案にある「現行どおり」の文言は削除し、内容はこれで良いだろ う。 ・社会的養護では運営ガイドラインを策定することになっている。障害児施設でも考えてい いのではないか。 ・障害児入所施設の冒頭の結論だが、決定権限や寄宿舎に関する表現が含まれていないので、 結論を複数用意するべきではないか。 ・「障害児入所と障害児の最善の利益」については、オンブズパーソンはどうなのか。行政 処分に対し、不服申し立ての制度もある。 ・「入所期間」については、措置が有期限であることがおかしい、自立支援計画の見直しが 必要ではないか。 ・「家庭に近い療育の整備」については、題名に地域生活支援を追加すべきだ。また、障害 児入所施設の小規模化、ユニット化が必要だと加えて欲しい。 ・「入所施設の一元化」については、題名は「医療型の在り方」が適当ではないか。またこ こに、「生活の質の向上」の文言がが必要ではないか。医療型を更に区分することはな いため、細分化しないという表現はおかしいだろう。 ・「入所決定権限の市町村関与」について、「専門性の確保及び地域格差を生まないために 都道府県が入所を決定することとしても」の文言は、児童相談所の意見等を義務化すれ ば、市町村でも可能なので、削除すべきだ。削除しなければ、報告書を承認できない。 ・社会的養護でも施設長の資格化をはかっているので、福祉型の障害児入所施設でも施設長 の資格化または研修を追加するのはどうか。 ・医療型入所施設について、1案のような特性(重症心身障害や肢体不自由)を配慮すると いう文言を入れた方が良いのではないか。 ・肢体不自由児施設は治すための医療、重症心身障害児施設は命や生活を守るための医療で、 医療の内容が異なる。 ・子どもの状態よりも入所した施設によって、重症心身障害児か肢体不自由児かのラベルが 貼られるが、本来はアセスメントに基づき評価されるべきものだ。医療型をさらに細か くするべきではない。 ・専門性を設けても良いことになっているし、つなぎ法で区分される訳でもないので、「医 療型をさらに細かく区分するべきではない。」の文言は削除すべきだ。 ・家族支援については、NICUからの移行だけではなく、家庭での育児支援も位置づけた 方が良いのではないか。 ・了解だ。この部分に、家庭での育児支援を加えることにしたい。 ・専門職の配置の項目を設けてはどうか。第1案には入っていた。 ・通所施設でも必要なので、全体を通じたものとして専門職の項目を入れてはどうか。 【報告書 全体について】 ・「障害児の基本的権利と権利擁護」についてだが、障害者基本法改正の際に議論した内容 を入れた。オンブズパーソンについては、保護者との契約になるので、意見表明権との 関係で、チェックすることが必要なので入れた。内容について、問題が無ければこの部 分は文言修正で対応したい。 ・オンブズパーソンは否定はしないが、現行、児童福祉審議会や苦情解決システムがその役 割を担っている。厚労省のコメントにはそのように出てくると思う。既存の制度が機能 していないことを文面に盛り込まないと、新たに必要かどうか説得力を持たない。 ・文言修正をして、子どもの視点に立つ権利擁護としてオンブズパーソンを法定化するとい うという文言にしたい。 ・通所支援は、児童発達支援センターだけではないので、等を加えて欲しい。 ・医療型入所施設について、重症児の生活の質を保障するためにという文言にして欲しい。 ・障害程度区分について、客観性、透明性を担保するために、新たに障害支援区分が必要だ と考える。この点について、検討すべきだった。 ・障害程度区分は廃止の方向性が出ている。そういう流れであるのに、程度区分について書 くのはいかがなものか。 ・積み残しの課題になると思うが、どうか。障害児だけではなく、全体に関わる問題である。 積み残しという文言は、他チームとの調整をはかるべき事項として表題を変えたい。 ・経営にかかわる問題になるので、慎重に扱って欲しい。先ほどの意見、施設長について、 新たに規制を設けることは、不適切であると思う。入所施設に、心理職を配置するべき だ。 ・福祉型の施設については、施設長の資格に何か規制を設けても良いと思っている。 ・第2次案は、「児童一般施策から排除されることのないように、根拠となる規定を」とあ るが、法律上、阻害する規定を設けなければ利用はできる。法律に規定というよりも制 度の仕組みづくりの問題になる。語尾の文言を修正し、具体的な例示があったほうが分 かりやすい。 ・例示として、後段にある保育所等訪問支援事業の訪問対象に家庭を加えることも検討した い。 ・「保育所等での支援」と「放課後児童クラブでの支援」については、23年2月の「幼保 一体化ワーキングチーム」作成資料を引用しているが、5月に基本制度ワーキングチー ムを行っているので最新資料があるはずだ。その内容を確認して、記載内容を検討すべ きだろう。ここに指導員の加配を加えて欲しい。 ・「要保護児童としての障害児」については、専門里親制度等に対し施設が支援する仕組み が必要ではないか。専門里親やファミリーホームを結論に加えて欲しい。 ・児童養護施設と入所施設について、「両施設の差異が少なくなっている」は、誤解が生じ かねないため、削除して欲しい。 ・「保育所等での支援」で財源を確保することとあるが、財源は他の項目にも関わるのでこ こで触れるのは少々違和感がある。 ・財源確保についてこの部分は削除し、「はじめに」のところに盛り込むことにしたい。 ・「障害児施策」についてだが、訪問系サービスの記述は、訪問チーム(地域生活の資源整 備)からの意見を受けて記述した。 ・きょうだい支援にある、異なる取扱いという表現は、誤解を生じさせるため、不利益が生 じない等の表現に修正すべきだ。 ・相談支援が作成するサービス利用計画は、障害児のサービスだけでなく、こども園などの 一般施策と共通の計画を作成し、代理申請扱いとすることが必要なので、表現を工夫す べき。 ・「ケアマネジメント」と「個別支援計画」の順番を入れかえたほうがよい。個別支援計画 とサービス利用計画の言葉を正確に使い分けるべきだ。 ・個別支援計画は福祉サービスの利用計画や教育計画を含んだライフスタイル全体に繋がる ようなものと考えている。 ・個別支援計画の中に医療の計画は盛り込みにくい。どのような医療を利用するのか、排除 せずに書いて欲しい。 ・医療については、手術は、予め予測できるかもしれないが、風邪等は、予測できるもので はないだろう。計画に盛り込むのは、難しいと内容もあるだろう。 ・全体を通じて、ここで挙げられている事項の他に盛り込むことはないか。 ・障害児相談支援専門員などの人材養成、専門職の確保。配置基準の向上も必要だ。保育士 の処遇改善や入所施設職員の配置基準の向上も書き込むようにして欲しい。 ・報酬については、現行の制度では地域移行を促進しておきながら、実際に入所者が外泊す ると報酬が減ってしまう。事務費は月払い、事業費は日払いなど制度設計次第で工夫す るべきだろう。また、未納問題についても、含めて書くべきだろう。 【修正内容の確認】 ・時間も迫ってきたので修正箇所を確認したい。  (1)「はじめに」に、財源保障について文章を加えることにしたい。以降にある財源確 保の文言は、削除する。  (2)オンブズパーソンについては、既に行われている各施策を整理した上で、子どもの 視点に立った権利擁護の仕組みを制度化することという文言にする。  (3)根拠となる規定を設けるという表現は、具体的な例示を明確にし、仕組みを作ると いう文言にする。  (4)個別支援計画とサービス利用計画の文言の使い方を整理する。  (5)放課後児童クラブに、指導員の加配するという内容を加える。 (6)要保護児童としての障害児に、専門里親やファミリーフォームの必要性を結論に加 える。「両施設の差異が少なくなってきているが、その連携の在り方は児童福祉法 に規定されていない」は、削除する。   障害児の重症化が進んでおり、重症度からみると差違が小さくはなってきていない。  (7)通所支援にある児童発達支援センターに等を加える。  (8)医療型入所施設では、重症児の生活の質を保障するためにと文言の順番を変える。  (9)入所期間にある「現行どおり」の文言は、削除する。  (10)家庭に近い養育の整備に、小規模化ユニット化を加える。  (11)入所施設に、社会資源として入所施設を活用するべきという文言を加える。  (12)NICUからの在宅移行に、家族支援の文言を加える。  (13)入所施設の一元化にある、「医療型を更に細かく区分すべきではない」を削除する。  (14)入所施設の多機能化、地域ネットワークについて、文言を加える。  (15)入所決定権限の市町村関与にある、「専門性の確保及び地域格差を生まないために 都道府県が入所を決定することとしても」を削除する。  (16)障害児入所施設の「入所決定権限の市町村関与」と「特別支援学校寄宿舎」につい ては、結論の文章を加える。  (17)保護者、きょうだい支援にある、異なる取扱いの文言は、不利益が生じないに修正 する。  (18)単価について、項を立て、月額単価の導入について加える。未納問題についても、 盛り込む。  (19)人材育成、専門職の確保について、項を新しく立て、加える。 ・これらの内容を踏まえて、修正したい。少なくとも6日には、メールで送付したいと思う。 報告書の締切は、9日だ。本日、主な修正については確認できたので、最後の文言調整は、 座長、副座長に一任して欲しい。 以上