総合福祉部会 第14回 H23.5.31 参考資料4 中原委員提出資料  報酬と人材確保について    日本知的障害者福祉協会  会 長  中 原  強      現在の報酬構造は、知的障害者の障害特性への配慮や社会参加への支援を担保するため の設定等がなされていません。  報酬と人材確保を考える場合、第一に利用者が安心して将来にわたって生活できるとい うことが前提であることはいうまでもありません。  その為には、事業者が継続して安定した運営が可能となるよう、また、職員が働きやす く将来に向けた展望を抱けるような環境づくりが大切です。 更にその報酬については、福祉従事者の給与水準が他産業に比べ著しく低いことから、福 祉現場の「社会的評価」を高めるための方策を考えるとともに、福祉従事者の待遇改善を図 る必要があります。 ○報酬の支払いについて  基本的には月額制にすべきですが、日額制とすることにより、利用者のニーズに応じ た日中活動の選択も可能となることや利用者負担を考えると、日額制もやむを得ないと 考えます。  但し、継続して安定したサービスを提供するための基盤として、事業運営の安定化は 欠かせないことから、事業の固定経費(人件費・事務費等)については、利用者の出欠 にかかわらず補償すべきです。  具体的には、契約に基づく利用日数に対し、利用者が欠席(入所型の場合には帰宅・ 入院・外泊等)した場合には、事業者に対し、人件費・事務費等の補償として、日額報 酬の80%を支給する。ただし欠席した場合の利用料負担等はないものとする。  これにより、事業運営が恒常的に安定し、利用者への質の高いサービス提供が保障で きます。   ○人材確保と報酬について   常勤換算方式は、さまざまな形態による勤務が可能となることから、人材確保の視点 からは一定の評価ができます。また、利用者支援の点からも、手厚い支援が必要な時間 帯に多くの職員を配置することができる、などのメリットもあります。  その一方で、極端な非常勤化は利用者へのサービスの質の低下を招く懸念もあること から、職員の専門性や支援の質を担保し、障害特性に応じた必要な支援を提供するため には、常勤・非常勤の配置割合等について一定の基準を定める必要があります(現在は、 常勤が1名いれば指定基準を満たすという極端な基準となっている)。現行の報酬単価が 低いため非常勤化を進めざるを得ない実情もあることから、報酬の引き上げをあわせて 行う必要があります。  なお、総合福祉部会では支援者の資格要件等の簡素化が提案されていますが、サービス の質の確保と専門的支援の観点から、安易に行うべきではないと考えます。