総合福祉部会　第14回
H23.5.31
資料7
合同作業チーム（医療（その他の医療一般））議事要旨（４月）

１．日時：平成２３年４月２６日（火）１４：０５～１６：２５

２．場所：厚生労働省低層棟２階講堂

３．出席者
　　堂本座長、佐藤副座長、末光副座長、川﨑委員、佐野委員、関口委員、野原委員、
　　橋本委員、広田委員

４．議事要旨
（１）提出資料に関する議論
【重症心身障害児者と難病について】
・資料２に関する説明(重症心身障害児者について) 
・資料３と参考資料２に関する説明（難病について）
・難病は総合福祉法になじまないと言っているわけではなく、２０１３年までに結論を出す
ことが困難な部分もあるということを述べている。総合福祉法の検討の一つの結論とし
て、継続して検討する場を確保してほしい。難病に関してこれまでに行われた様々な検
討の結果を踏まえ、取り入れられるものは漸進的に総合福祉法制に取り入れていってほ
しい。
・難病について、どこかに位置づけは必要なので、実態を把握した上でどうやっていくの
か、という検討が必要だろう。
・医療的ケアの担い手を非医療職まで拡大していくことの必要性は、在宅、学校、通所、
ケアホーム、入所支援施設など、それぞれの場で増大している。病院での介護職による
医療的ケアの実施に反対の意見が国立医療労働組合から出されているが（参考資料２）
民間の重症心身障害児者（重心）施設では、国立系より多数の指導員等を配置し日常的
支援に当たっている。超重症準超重症児者をショートステイなどでさらに受入れていけ
るためには、看護師の業務がさらに増加することもあり、通常の入所児者の医療的ケア
について、必要に応じて指導員などにもできるようにしていくことが望ましい。国立で
も、さらに内部改革の余地があるのではないか。
・背景に労働問題もあるのかも知れない。この点をあまり対立点にしない方がいいのではな
いか。
・地域で医療ケアが圧倒的に少ない。療養病棟を３８万床から１５万床に削減するという医
療改革の中で、問題が起こっている。医療ケアを増やさないと地域で生活できないとい
うことは、同意見。しかし、経営合理化・自己改革ということだけで問題が解決するわ
けではない。本来、地域資源となる人材を育てていくことも国立の役割。しかし、そこ
ができていない。労働問題だけでなく、構造的問題もある。
・医療職以外が医療的ケアを行うことへの反対意見は、職能団体の立場が反映されている面
もある。必要な講習は受けつつ、行えることを決めていく際には、職能団体にも冷静な
議論ができるよう働きかけていくべき。
・議論の対象となっている医療的なケアについては、病院でも看護師だけでは足りない。地
域では、なおのことである。介護職が地域で暮らす障害者の医療的ケアにもかかわれる
ような制度としていくべき。
・難病と重症心身障害児者に共通して必要な支援と制度は、医療と福祉の一体提供と20歳
を境にして分断されることのない「児・者一貫」体制である。ただし重度知的障害を伴
う重症心身障害児者が難病と大きく異なる点は、本人の自己確認・意思確認・表出能力
の困難さにある。それらに対応するためにも、「重症心身障害児者施設」が「児・者一貫」
体制のもとに堅持されることが必要である。さらに今回の東日本地震の経験からも、地
域生活を安心・安全に確保するためには「重症心身障害児者通園事業」の法定化が求め
られる。

【精神障害について】
・資料１と参考資料１に関する補足説明(精神障害について) 
・　資料１について。災害時を含め緊急一時保護という案があり、「ACT（Asserted 
Community Treatment）の福祉型」を考えている。クライシスセンターで緊急一時保護
しても、そこに必ずしも医者がいる必要はない。入院するかどうかは、本人が主治医
と会って決めるべき。病床がない市区町村では、消防では警察を呼ぶように言われ、
そのとおりすると強制入院になってしまう。また、資料では被災地のことにも触れて
いる。厚労省が６月３０日時点で行った調査で、宮城、岩手、福島の入院、通院、手
帳それぞれの数をみてみると、入院は増えていないが、外来は増えている。突出して
福島県に入院が多い。人口に比例しているとは言えない。入院数が多いのは、認知症
の入院が多いからではないか。
・　参考資料１について。厚労省の今後の精神保健福祉のあり方等に関する検討会の資
料に問題点があげてあり、これらの問題点をひとつずつ、検討していく必要がある。
・医療的ケアと福祉的ケアの重なりあいの部分は、精神も関係する。精神の在宅のサービ
スは２種類。訪問看護（診療報酬）とヘルパー（介護等給付）があり、単価が全く違う。
福祉型アウトリーチといった場合に、もう少し効率よく在宅支援のためにお金をつかっ
ていけないか。訪問を嫌がる精神障害者もいるので、ある程度ガイドラインを定めては
どうか。グループホームやケアホームは、利用権の問題とされているが、本来は居住権
の問題であるべき。ヘルパーや訪問看護が使える制度にしてほしい。
・自立支援法で、精神が入って歴史が浅い。家族支援は精神も難病も入っていない。難病も
精神も地域で生活する上で医療は不可欠。医療と保健と福祉の連携は重要である。どの
ような形で連携しながら、在宅生活を支えていくか、考えるべき。
・駆け込み寺で一時保護をしている。一晩眠れないために、躁転してしまっては本人のため
にならない、そういう例をたくさん見ている。職員の質の改善が望まれる場合も多い。
判断能力や危機管理能力を精神障害者へ与えられるような力が身についていない。
・PSWやソーシャルワーカー以外は相談員になれないということでは問題が残る。ピアサポ
ーターにできることは大きい。ただ、研修を受けていただくようなことは必要だと思う。
家族も当事者も「専門家」だが、他の人の相談にのることについての学習は必要。「当事
者・家族による相談」が大切である。

（２）報告書作成に向けた議論
【まとめ方について】
・地域で医療を受け、福祉サービスを使いながら生活することは同じとしても、実態は、難
病、重心、精神それぞれで随分違う。それをどう報告にまとめるか。別の視点として、
歯科の視点も大事である。「噛める」ということが身体全体にかかわる。また、自立支援
法でやっと３障害が区別なく並んだ。精神では、自立支援法で初めて実現した施策もあ
る。しかし、市町村の能力不足で、補助金の執行にも余りが出ている状況である。それ
ぞれの領域で、地域医療の充実と、福祉との連携について、どうバランスがとれるか考
えて欲しい。
・横断的課題は、混在した福祉・医療をどうするか、慢性期疾患に力点をシフトすべきでな
いか等、いくつかピックアップして、概論的なものとして「はじめに」を置いてはどう
か。
・医療と福祉の連携、治す医療から支える医療へということを、総合福祉法に結びつくこの
医療作業チームの報告でどう書くのか。福祉サービスは、どのように医療の場で提供さ
れるべきか、といった具体的なことを、たとえば「医療と福祉の連携」という見出しの
下に、列挙していく、ということも大切だと思う。
・今の法律でも、医療と保健と福祉の連携とは書いてあるが、実態は必ずしもそうなってい
ない。総合福祉法のスケジュールは決まっているので、具体的な内容まで詰めるのは難
しいかもしれない。医療と福祉の連携のあるべき姿まで総合福祉法の制度設計の中です
べて解決することは不可能ではないか。しかし、基本法と整合をとりつつ総合福祉法の
内容への提言として、この作業チームで何を出すべきか、問題を整理し、メッセージと
しては伝えるという対応が必要ではないか。
・精神の分野で、コミュテニィ・メンタル・ヘルス・チームというのをよく聞く。人口１万
人あたりで１チームを組んで、地域で福祉と医療に対応している。こうしたものが精神
だけでなく難病でも必要ではないか。訪問看護や介助を自分自身でコーディネートでき
ない場合、どうするか。また、ケアマネジメントの強化の話があるが、介護保険のケア
マネと同じ構造だと当事者主権という観点から問題があるとすれば、制度化するにあた
ってどうするかを書き込むべきではないか。
・基本法で精神は特出しされなかった。今更、精神に特化した制度を総合福祉法でつくるこ
とができるのか。障害種別をこえた保健センターを自治体に設けるということも考えら
れる。
・いろいろな専門家がいてアドバイスするが、本当に必要なのは、当事者が求めているもの
にこたえること。本当に必要なところへお金をかけるべき。
【内容に関すること】
（自殺について）
・自殺についてはどうか。自分は、警察署で自殺未遂者をサポートした経験がある。今は、
家族との関係で悩んでいる人を家族のもとへ返しているのが実情だ。本来は総合病院で
精神科があれば、外科的応急処置→総合病院精神科→帰宅と行けばいいのだが、そのま
ま家族のもとに帰って自殺されてしまった例も知っている。また、身体合併症のある精
神障害者の医療確保も重要なテーマだ。
・医療を原因とする自殺もある。家族に重介護をさせたくなくて自ら死を選ぶ人もいる。自
殺を問題として取り上げることに賛成。福祉と医療が混在したサービスが必要とされる
中で、障害の種類ごとに独自の問題もあるという認識が共有化されたことはよかった。
（社会的入院について）
・社会的入院の根絶について、精神で議論があったが、医療一般に敷衍すると異論が出てく
る。老人医療でも社会的入院がある。医療が必要でなくても、家族が支えられず入院せ
ざるを得ないこともある。専門医療を受けるために雪国で２～３ヶ月は通院のための移
動ができず入院ということもある。一般的な場合も軽減すべきだが、慎重な議論も必要。
・精神の社会的入院については、「根絶」ではなく「開放」という表現のほうがよいのでは
ないか。
（保健医療について）
・予防が最大の経費削減。うつと認知症の予防、総合病院という観点を入れてほしい。
・「予防」について、先天性疾患に関しては、生命倫理の問題もあるので慎重に扱うべき。
・精神保健福祉法が医療と保護ということで、行動制限が正当化されている。地域主権改革
の流れの中で、地域の保健所が減っている。保健所への予算が一般財源となり、地域で
統合されて減った。保健所は必要なので、保健所の設置は自治体まかせにすべきでない。
今般の震災でも、被災地での安否確認は、自治体に情報はあるので、自治体がちゃんと
やってほしい。
・全体の枠組みをきちっとすべき。保健所のあり方や早期発見についてとか。着床前診断ま
で含めるのなら、倫理的問題もあり、そうした意味での早期発見には反対だ。
・難病は、難病の視点からまとめた素案が、「資料３」にある。
・今ある４項目の１の前に、「保健」の観点を加えてはどうか。
・突然、冒頭に保健所の話がでると、専門職の養成はどうするか、とかいろいろ出てきて、
まとめるのは難しい。
・被災県では保健師が不眠不休でやっている。通常から保健所のあり方は大事。
（医療に関する差別について）
・言語をもたない障害者のコミュニケーションの問題がある。ALS患者やその家族へのひど
い告知がなされている場合がある。傷ついて治療を断ることもある。当事者側と医療従
事者側のALS観がちがう。QOLが低くなる、家族が崩壊するとか、悲観的な話ばかりされ
る。本人は生きたくても、家族が離脱してしまう。呼吸器をつけることを家族が躊躇す
る。ことばができなくなった状態で入院すると看護師が忙しくて文字盤もとってもらえ
ないことがある。福祉と連携したコミュニケーション、情報提供をしてほしい。重度と
いうことを理由に治療を差し控えないでほしい。震災でもひどい目にあっている。避難
所へ行けず、孤立している。どこにいるかもわからない。アンビューバッグで手動で２，
３日家族の手で呼吸を確保していたという例もある。
【分担、進め方など】
・５月３１日が作業チームの検討の最後の会合。６月９日が作業チーム報告の事務局提出締
切。前回、座長が示した柱をもとに担当を決めてはどうか。１．経済的負担の軽減、２．
医療的ケアのあり方（たんの吸引など）、３．地域生活を容易にするための医療の在り方
（福祉との連携、支える医療、救急医療、歯科医療）、４．その他（障害を理由とした医
療面の差別禁止関係）。分量は資料を含めて１０ページ以内厳守。
・作業チームで出た意見を事務局で整理し柱建てしたものに、メンバーが書き込む。メンバ
ーから出た文章は事務局から全員へ送る。出てきたものを全員で練っていく。

以上