総合福祉部会　第14回
H23.5.31
資料2
部会作業チーム（地域移行）議事要旨

１．日時：平成２３年４月２６日（火）１４：００～１７：００

２．場所：厚生労働省低層棟２階講堂

３．出席者
　　大久保座長、三田副座長、伊澤委員、岡部委員、小田島委員、河﨑委員、清水委員、
　　中原委員、山本委員

４．議事要旨

（１）	前回の議事録から

＊	障害のある人が、自分が望む生活を送ることを保障することが前提（徹
底的に本人中心に）
＊	「特定の様式を義務づけない」とは、本人の意志や希望、選択を無視し
たり、押し付けたりしないこと
＊	地域移行の取り組みはピアと共に進めることが重要
＊	地域生活のための基盤整備には選択肢が必要で、当事者の望むものが整
備されることが重要
＊	地域移行を考える際に、なぜ新たな入所が生まれるかを考え、分析する
ことが必要
＊	入所・入院を生む社会的要因への取り組みが必要
＊	地域住民が「障害者が地域で暮らす権利」を理解するための対策が必要
（法制化の中でそれを明記すべき）
＊	地域移行は障害者の権利擁護のシステムとともに推進することが必要
（安心・安全の仕組みが欠けている）
＊	重点的な基盤整備のための自治体の責任を明確にする
＊	地域での基盤整備を緊急に進めるために国の緊急措置が必要（時限立法、
特別法？）
＊	精神科医療の質を高めるためにも財源を確保すべき
＊	精神科病院も「入院中心」から地域で精神障害者を支える医療へシフト
することが必要
＊	地域移行は所得保障とセットで考える必要、経済的基盤が整わないと入
所施設は必要になる
＊	意見が分かれたもの
・ 新規入所を制限していく流れが必要か
・ 入所入院の有期限・有目的を明記すべきか
・ 入所施設の役割を見直すとは
・ 地域移行の数値目標を設定するか否か


（２）	障害の重い人、強度行動障害の人の地域移行について
・	重度の人、自閉傾向のある人、強度行動障害のある人、近隣とトラブルになりやす
い人等、地域に移行しづらい人も地域移行の対象に含めることはできないか。障害
程度ごとの数値目標ではなく、地域へ出たい人が地域へ出られるようにすべきであ
る。具体的には、重度訪問介護の対象となる知的障害者についても地域移行の対象
とすべきである。
・	施設から地域への移行に加えて、親元から地域への移行もある。親元にいる学齢期
に地域において必要な支援を行っていればよいが、その機会を得ることなく施設へ
入所すると、地域とつながる機会が奪われてしまう。
・	（提出資料を説明）地域の基盤整備が必要。また、施設の機能が必要。
・	入所施設でなければ生きていけない、という人はいない。入所施設ではなくても対
応できるものとして、入所施設の機能を転換していくべきである。
・	本人が望むように支援するべきであるが、そのための人的支援、箱的支援を行う財
源の裏付けをどうするのか。強度行動障害がある方は、これまで特別な環境でなけ
れば暮らしていくことができなかった。地域で暮らしていくためには、入所施設と
同程度のハードの整備が必要となる。
・	ハードはあってもいいが、それだけではない。逆にハードがなくても、支援者によ
る見守りがあれば生きていける。
・	入所施設に鍵を付けることには反対。地域では自分がやりたいことができるが、施
設では自由がきかず、まるで牢屋のようである。
・	強度行動障害の方に対する専門的な支援が圧倒的に不足している。始めから地域で
暮らすのではなく、施設において有期限で何らかのトレーニングをすることも必要
なのではないか。
・	入所施設を全否定するわけではないが、施設支援による二次障害もある。ヘルパー
を利用し、人と関わりながら地域で暮らす中で、専門的支援を行うこともできる。
・	パーソナルな支援を地域で実現する機能をどのように作っていくのかを考えるべ
きである。
・	地域で困ったことがあるとすぐに入所施設へ戻ってくる。入所施設に代わるセーフ
ネットとしての機能を持ったところが必要。
・	入所施設の職員には、利用者の話を全く聞かない人もいる。施設であれもこれもだ
めといわれるよりは、地域で暮らした方がいい。
・	入所施設の職員が地域移行した人をどのように支えて行くのかを具体的に考える
べきである。医療についても同様だが、入所施設のノウハウを地域へシフトするべ
きである。
・	まず入所施設が必要、ということではなく、地域で暮らすためにどうすればいいの
か、本人の意見をもとに考えていくべきである。

（３）	精神医療と地域支援との役割分化と連携について
・	精神障害者への医療と保護に関しては、保護の見直しが必要である。保護はヘルパ
ーや日中活動施設、ケア付き共同住居にて行うべきであり、医療として行うべきで
はない。
・	精神保健福祉法が医療と保護を主目的としていること、医療を提供する側が保護し
ているということが問題である。厚生労働省の保護者制度に関する検討会の議論を
見極める必要はあるが、保護をどう捉えるのかという議論が足りない。
・	入院でないとできない治療とは何なのか、入院の目的を明確化するべき。医療保護
入院ではなく、食事等のセルフケアができていないために入院しているのであれば、
入院せずにヘルパーが付けば済むのではないか。
・	精神病院へ入院している高齢者、認知症の方等の支援も含めて考えると、単純にヘ
ルパーでよいという訳ではない。
・	精神病院では退院促進しているが、地域での支援がないため、病院へ依存してしま
う。デイケアやナイトケア等全ての支援を病院が行っており、福祉サービスよりも
使い勝手がよいというのも事実。
・	医療へかける財源を福祉サービスへシフトするべきである。
・	医療の財源を減らすのではなく、医療も手厚くした上で、福祉サービスへの財源を
充実させるべきである。
・	精神病院は医療に特化し、福祉サービスを独立させて欲しい。
・	福祉サービスは事業所が行い、精神病院では必要な医療の提供のみを行うというこ
とで意見は一致するのではないか。

（４）	地域移行にあたって、保証人がいない人の公的保証人制度を含めた権利擁護のあり
方
・	保証人というのは、いわゆる身元保証人のイメージでよいのか。
・	家を借りる時の保証人。このテーマで権利擁護のあり方までいれると議論が混乱す
る。
・	施設を退所するにあたっても、そのプロセスの中で保証人探しなどの支援が必要で
はないかとのことで議題にしている。
・	各委員が、「保証人が必要だ」といいながらそのイメージはバラバラな気がする。
・	精神の場合は保証人協会に頼むのが一番気が楽。ただし、保証人協会に頼むのも緊
急連絡先の登録が必要となり病院長が緊急連絡先となるケースもある。
・	こういった保証人は、日常の関係性の中でその人の実情をよく知り得る人たちが担
うのが大変重要なことで、そこのところを第三者にまかせるような方向にもってい
かないでほしい。（関係性のない）第三者が保証人になるというのは、施設の代わ
りに別の管理者ができるようなもの。また、公的保証制度を作ることで結果として
利用者の生活のあり方をコントロールするようなことはあってはならない。それか
ら相談支援事業者がこういった機能を持った場合であっても、自分のところに定期
的に相談にくることが、こういった保証をすることの前提条件とならないように配
慮が必要。
・	セットでサービスを当事者に押しつけないこと。
・	制限されるようではなく自分で決めることが重要。その人が暮らしたいという生活
をサポートしていく仕組みをつくる。
・	住みたいという意志のある者を誰がサポートするのかは、いろいろな選択肢があっ
てよい。担い手を厳密に決める必要はないのではないか。
・	自治体の責任の中に入れるべきである。緊急連絡先も求められ、それを支援センタ
ーなどがすべて担うのもおかしい。それが移行のネックにもなる。
・	居住サポートとか緊急連絡先とかをいうのではなく、純粋に家の保証だけに特化さ
せて自治体保証と整理したらどうか。

（５）「施設待機者」「再入院・再入所」の現状にどう具体的に取り組むか。
・	再入所や施設待機者の数の問題が都市部において顕著になっている。都市部は在宅
の方が高齢になって医療的ケアが必要になったり、リタイアして経済的な問題が生
じたりといったケースにより、待機者が増えているのではないか。
・	現実に、厚生労働省のデータでも退所して、再入所している者がいる実態があるが、
その理由・背景が分からない。どのような理由で再入所してくるのか知りたい。
・	地域での住まいの支援が充実しない限り、いつまでも施設待機者の問題は生じる。
・	待機者問題にどのように取り組むかの前に、まず実態を知らなければいけない。待
機者調査が必要ではないか。待機者問題への対策は①施設を増やす、②施設の回転
率を上げる、③地域で支える、の３つしかない。
・	施設待機者の入所理由としては、保護者が支えきれなくなったというのが圧倒的に
多い。
・	精神科病院の入院待機者として近年問題になっているのは認知症の高齢者。ただ、
認知症高齢者に関しては認知症疾患医療センターが地域の入所施設等の空き状
況・待機状況を把握し、調整している。
・	現に地方自治体も待機者を実数として出して、その数をもとに障害福祉計画を策定
している。待機者というニーズがあるから、その分を整備しているという考えにな
ってしまう。「待機者」という存在意義は大きい。
・	しかし本当に待機しているのか？地域で「住み続けたい」と願っている人はそれよ
り遥かに多数いるのに把握しようとしていない。
・	地域での生活が困難となった者はすべて施設の待機者となり、一方で入所者が「地
域移行の待機者」という表現はしない。
・	障害福祉サービスの待機者として捉えるべき。
・	現実として、かなり親ががんばってきて加齢とともに不安になる。ショートステイ
やレスパイトサービスが地域にあれば、そういった不安に応えられる。
・	再入院についてはどうか。
・	再入院を防ぐには、医療の継続性が重要。精神障害者のアウトリーチ推進事業は1
つの方向性として重要。アウトリーチは、本来保健所が行うべきものをモデル事業
としてやっている。
・	再入院にも２種類あるのではないか。ショート的なおやすみ入院があるのではない
か
・	再入所と再入院の問題を同じ括りで議論するのはおかしい。医療が必要な時に再入
院するのは当たり前のこと。
・	入所施設の場合、現実に再入所してくる人なんかいない。希望しない。そもそも定
員がいっぱいで入所させていない。せいぜいショートステイ。

（６）今後の進め方
大久保座長
・たたき台がないと議論が進まないので、座長、副座長である程度の方向性を出す。次回は
簡潔に意見をまとめてそれをもとに議論する。

以上