第3回産業労働事情懇談会に係るヒアリング 議事概要 日 時 平成22年1月21日(木) 10:00〜12:00 場 所 中央合同庁舎5号館9階 厚生労働省議室 内 容 雇用機会の創造に向けた取組と今後の課題について 参加企業(業種):電気・ガス業 ○企業の概要について  まず、当社の事業概要、CO2削減など環境対応とエネルギー産業について、電力の需 要とかエネルギー供給の動向、いろいろ動きがございますので、これらが今後どうなって いくのか。それから、新たなエネルギー関連技術の見直し、あるいは産業面に対する当社 からのアプローチといった可能性。最後に、雇用創出に関して、どのような課題認識があ るのかを申し上げたいと思います。  事業概要ですが、典型的な当社の仕事の内容を、網羅的にみてみますと、その特徴は 全て線でつながっていることです。関東地域の大規模な電気の消費におこたえしなければ なりませんので、発電設備は大規模な水力、火力、原子力が主力でございまして、この上 にあえて言えば風力とか、それから今計画しております太陽光なども加わりますが、規模 的にはこれら3つの電源の比重が大きく、安定供給にこたえることで、水力、火力、原子 力の「発電」という仕事がございます。  そして、発電所でつくられた電気をお客さまのところまで持ってくるには、いったん 電圧を高くして消費地の近くで下げるようにしないとロスが出ますので、電圧を変えると いう変電設備がございます。これを建設し、保守をするのが「変電」部門です。例えば、 発電所から50万ボルトという高い電圧にして、しばらく長距離送電をして、関東地域の お客さまの近傍で、電圧を落としていくことになります。その間の電圧6万ボルトまでの 送電線で電気を送るのが「送電」部門。そして、電柱の上の電線のレベルになりまして、 6,000ボルトの電圧で電柱のところまで来て、一般家庭ですと100ボルト、200ボルトにな りますので、そこから100ボルトに落とす。これは「配電」部門。電気を配るという昔か らの用語でございますので、送電と配電で電気を送る点では同じですが、電圧で設備が相 当違いますので仕事の分担を分けております。お客さまに一番近いのが「配電」になりま して、ここまでが電気を送るネットワークになります。ただ、電気はつくった瞬間に消費 される特性があり、不足、あるいは過剰になると設備が壊れる恐れがあるため、給電所が 全体をコントロールしております。  以上が技術系の仕事になります。これに加え電気の契約をする、電気料金をいただく。 電気料金をお支払いいただけなければ、電気をお止めするという、その営業料金という仕 事が、コアの仕事になります。その他にも火力、原子力は燃料を使いますが、国内にはご ざいませんので、これを海外から持ってくる燃料調達という仕事があります。さらに、電 柱とか鉄塔の敷地を獲得しなければならない、これらの土地の取得交渉を行う仕事もあり ます。このように、業務が非常に幅広いという点が電力会社の特徴でございます。  サービス区域についてですが、電力会社は国内にブロック別に分かれて10社ございま す。関東地方が当社の地域ですが、厳密にいいますと関東地方プラス静岡の一部が入って おります。それから電源立地という点では、関東外の、柏崎、福島に原子力発電所があり、 猪苗代、信濃川、松本に水力発電所がございます。  当社の概要ですが、第二次大戦中に一時は発電、送電までと配電が別の国策会社と なっていましたが、戦後は地域ブロック別に分かれ、昭和26年5月に設立しております。  平成20年度は経常損益が連結で346億、単独で900億ぐらいの赤字が出ております。こ れは柏崎刈羽原子力発電所が地震の影響で止まったことで、火力発電所でその分を焚き増 ししましたので、燃料費の影響が出ていることに加え、リーマン以降の需要の落ち込み等 が重なったことによります。今年度は、第3四半期の決算が出ましたけれども、柏崎刈羽 原子力発電所で2基が営業運転開始になりましたので、黒字回復の見通しになっておりま す。  各電力会社を比較した販売電力量ですが、これで各電力間の規模が分かります。関東 は、全体の3割ぐらいの規模になっております。関西が関東の半分、中部がその次、それ に九州、東北が続きます。  グローバルに見た場合の当社の規模を最大電力で比較いたしますと、日本の最大電力 は全社集めますと1億8,000万kW、そのうち当社過去最大の6,430万kWは、イタリア、 イギリス一国の最大電力とほぼ同等の規模になりますので、世界的に見ても規模の大きい 電力会社でございます。  使命と役割ということで、経営方針といいましょうか、仕事の基本スタンスは、「3つ のE」という言葉で表すことができます。Environment 環境性と、Energy security 安 定供給と、Economicで経済性。環境性というのはCO2も含めまして、SOx、NOxの排出 量が少ないきれいな電力をつくること、安定供給は止めない、止まらないこと、経済性は 安くお届けすることという、3つが仕事の柱になります。その一つ一つが難解な3つの方 程式を解いていくことで、すなわちエネルギーサービスのトップランナーであり続けるこ とが当社の経営方針といえます。  この3つの役割をもう少し詳しく説明致します。発電の電源となる燃料がどのような 割合になっているかをみますと、1973年に多くを占めているのは石油です。当時、石油 はバーレル当り5ドルを切っておりましたので、非常に安い電源で安い電気をつくれたた め全体に占める割合が高かったのですが、1973年から1974年にかけてのオイルショック により、60%という過去最大の電気料金の値上げをせざるをえない状況となりました。 お客さまや社会に大変なご迷惑をおかけし、国会でも問題になる状況になったことは、電 力会社にとって大きな失敗事例として刻みこまれております。  この失敗を踏まえて、バランスのよい電源構成が必要ということで、2000年頃には、 石油は10%、原子力が42%、LNGが36%、石油は価格リスクが大きいということで10% とその割合を低くしております。2008年をみますと、柏崎刈羽原子力発電所が止まって いる関係で原子力が若干落ちていますが、理想としては原子力4割ぐらいが、3つの方程 式を高いレベルで解くカギになるという認識でございます。  1日単位で見た場合でも発電のバランスが必要になります。夜間から朝方までは電気 の需要が落ち込んでいきまして、その後だんだんと午前のピークと午後のピークとなり、 相当大きな変動があります。電気はつくった瞬間に使われていきますので、安くてCO2が 出ない3つの方程式を考えますと、原子力をベースに、夜間の電気を利用して汲み上げた 水を放出して発電する揚水式水力などをピーク時に使用して、変動する需要に合わせて、 電力の過不足が生じないようにバランスを取っているのが実態です。このコントロールを 発電所、変電所、給電所等で行うことで安定供給を確保しております。  結果として、停電がどれくらい起きているかですが、1軒当たりの年間停電時間で 2008年度は3分。イギリス68分、アメリカ86分に比べると停電は著しく少ない実態です。 これはお客さまからの要求レベルが高いことも影響しております。  それから、1軒当たりの年間停電回数で2008年は0.12回。年間0.5回もないのが関東地 域の平均値になり、お客さまにオール電化をお勧めする際の停電リスクの説明には、リス クはこのくらいなので大丈夫ですという説明をしております。  次はコストの話で、2つ目のEということになります。電気料金における電源のコス トは非常に大きな割合を占めていますが、原子力、石炭、LNGの順番にコストの低い電 源になっています。原子力は最もコストが低く、CO2も出ない電源だと言えます。コス トとCO2が少ないものでバランスをとることが重要になっております。   ○環境対応とエネルギー産業  次に、3つ目のEである環境について説明いたします。最初に温室効果ガスについて ですが、エネルギー起源のCO2に限定しますと、2007年度の日本主体の実績は12億トン ございます。そのうち当社は1億2,000万トンと、全体の約1割を占めています。これは 火力を中心にCO2が出る発電設備がありますので、その比重が非常に大きいのが実態で ございます。  それから、部門別のCO2の排出量ですが、電力が分類される工場などの産業部門では、 1990年を基準にしますと減っております。一方、電気を使っている側の需要サイドのほ うは、オフィスなどの業務部門にしても、家庭部門でも、4割以上増えている実態になって おります。電力会社としては、これからこれらの部門に対してどのように働きかけていく かということも考えていかなくてはならないと思っております。  次に低炭素社会の実現に向けた当社の取り組みについてですが、まず自分たちで CO2が少ない、きれいな電気をつくりましょうということで、非化石燃料の、原子力エ ネルギーをメインに活用することになります。それに太陽光等を組み合わせたり、火力は 熱効率を極力上げるなどにより、CO2発生量の少ない電気をつくります。さらに、炭素 クレジット獲得にも取り組みます。こうしてつくられたCO2発生量の少ない電気がオー ル電化を促進することで効率よく使えますので、需要サイドの低炭素化も実現できると考 えております。  これからCO2を減らすことが重要課題になりますので、当社だけでなく我が国全体を 見ても、電力側の対策としては、やはり原子力がメインになるかと思います。当社の場合 は日本全国53基の約4割の17基で、発電電力量のベースを構成しています。  今後も電力を安定的に供給するためには、やはり原子力が重要ということで、さらに 4基ほどの新設計画をしております。中越沖地震の関係で耐震対策を実施しておりますの で、若干遅れ気味の状況ですが、計画は進んでおります。  CO2削減のもう一つの核になる取組として、火力の熱効率を上げるという取り組みを 紹介いたします。飛行機のエンジンのようなガスタービンを、燃料を燃やして発生させた ガスの力で回すとともに、ガスタービンを回し終えた排ガスから熱エネルギーを回収して 蒸気タービンも回して発電を行う「コンバインドサイクル」という発電方式へのリニュー アルを順次導入しており、発電効率を高めた最先端の火力発電所が徐々に普及しておりま す。  このように、原子力を主力とし、火力の効率を上げるなどの取組をすることにより、 1970年からの推移でみると、販売電力量は右肩上がりに電化が進み経済活動も拡大した ため、3倍以上に伸びておりますが、その伸びに比べCO2の排出量の伸びは抑えられて います。これは、電気1kWh当たりのCO2排出原単位が右肩下がりになっているからで す。2002年だけ増えておりますが、原子力不祥事により原子力発電所を1年から2年止 めた時期があり、その代替で火力を使いましたのでCO2排出原単位が上がっております。 直近で上がっているのは、中越沖地震の影響を受け、柏崎刈羽原子力発電所が全号機停止 したためです。  平成19年の地震の影響では、このように環境のEへの影響はもちろん、安定供給のEで は原子力発電所だけで800万kWの供給力が減り、経済性のEでは代替として火力発電を増 やしたものですから燃料費が増えてしまいました。このように、3つのEのいずれに対し ても原子力の影響が非常に大きく、原子力をいかに安定的に運転させるかということが重 要となっております。  今後の展開の一つとして、再生可能エネルギーの開発がございます。これは全体での 取り組みに合わせ、電力として準備を進めている内容でございます。メガソーラーについ ては川崎と甲府、ウィンドファームは静岡に計画中でございまして、当社としては今後も 積極的に取り組む予定でございます。ただ、電気の物理的な量そのものは、原子力にはる かに及ばないのが実態でございますので、その中で極力どこまでCO2削減に貢献できる かという観点で取り組んでいる内容でございます。  次に電源計画ですが、これは今後どのような電源をつくっていくかという計画ですの で、採用などのベースになるものでもあります。発電所をつくるとなりますと、それを運 転・保守をするのに相当な人間を養成する必要がありますので、電源計画はそのベースに なります。これは3つのEを考えて、バランスよく電源配置をするということを念頭に計 画を組んでおりまして、原子力、石炭、CO2が比較的少ない火力のLNG、それからピー クを補う揚水式水力、それから新エネルギーということでは、メガソーラーや風力もござ います。これらを計画として持ちつつ、そこに採用を整合させていくことになります。  そのほか、CO2削減という点では炭素クレジットの話がございましたが、中国、タイ、 ベトナムなどにおいて、再生可能エネルギーの導入、バイオの火力を導入、水力発電をつ くる事業などを支援することにより、2008年度では、国内の実績ベースに加え、炭素ク レジットによりCO2の排出原単位を下げているという実態がございます。  次に、需要サイドのCO2削減の取組として、ヒートポンプのご説明をいたします。電 気エネルギーを1投入しますと、圧縮した冷媒で空気から熱を取り入れたり出したりする ことで、結果的に6倍のエネルギーがつくり出せるという優れものでございます。これが 需要サイドで使われてきますと、エネルギーの利用効率が向上し、結果としてCO2が減 るということになります。  ガス併用の住宅とオール電化の住宅のCO2排出量を比較すると、ヒートポンプにより 効率よく電気が使われることによって、家庭でも約3割のCO2が削減できるという試算 結果になります。  家庭内にヒートポンプを取り込んでいくことで、高いエネルギー効率で電気を使うこ とができ、それに太陽光、それから電気自動車などを組み合わせることで、家庭ベースで も非常に効率よくCO2削減ができるようになります。現在、「使う側」へのアプローチと してそれを販売戦略の中に掲げております。   ○エネルギー供給の動向と見通し  今後どのような周辺環境の変化があるかということで、世界の今後のエネルギー需要 を予測してみますと、2004年度ベースに比べて、2030年度ベースでは50%以上の伸び率 と予測しております。増加となる主要なところとしては、アフリカ、ラテンアメリカ、ア ジアが主になっておりまして、その他はそれほど伸びないという予測をしております。  国内の電力需要については当社の例になりますが、平成19年度、20年、21年を販売電 力量で見ますと短期的にはマイナスになっております。これはリーマンショック以降大口 のお客さまである工場の稼働が落ちたということもありまして、実績的には非常に悪く なっております。最大電力も当然ながら落ち、平成13年に記録した過去最大の6,430万kW という数値は、それ以降更新しておりません。また、省エネ化が進んでいることに加えて、 電力自由化の影響もあり、関東地域では電力会社以外の新たな新規参入の会社が現時点で 約300万kWをとって供給している状況でございます。  長期的に見ますと、電化のさらなる進展により、電力需要は1%ぐらいの伸びにとど まると想定しております。最大電力も、6,228kWということで過去最大よりも落ち、平 成19年度ベースで試算した長期の伸び率はそれほど伸びないと想定しております。  2つ目の変化は、既に進行中でございますけれども、電力小売の自由化でございます。 これは段階をふんで順に拡大されております。最初は、契約電力ですと2,000kW以上の お客さまが対象で2000年3月から、2004年4月からは中規模の500kW以上、2005年4月 からは50kW以上ということで、これまでに、販売電力量ベースで6割超は自由化の対象 になっています。当社の場合ですと、需要密度の高い地域でお客さまを取られており、現 時点では約300万kWにのぼっているのが実態です。  このような状況下でエネルギー間競争が盛んになっていまして、暖房系の熱源を電気 にするか、灯油、LPG、他のエネルギーにするか、あるいは台所、お風呂、暖房につい ては、電気対ガスという競合構造も激しくなっており、特にキッチンを巡って激しい戦い になっております。  今後CO2を削減するための技術にどのようなものがあるかということですが、一つは 安い石炭で、これをそのまま燃やすのではなく、ガスにして、先ほどのコンバインドとい うボイラー、ガスタービンを使い、排熱により蒸気をもう一回つくるという効率のよい発 電方式を開発しております。しかもガス化する過程で余分なものを除去するため、クリー ンなエネルギーといえます。試運転が2008年に終了しており、実証化という状況になって います。また、ヒートポンプについては、家庭用以外にも規模に応じて、空調に使うもの、 給湯・厨房で使うものなど、いろいろなタイプを開発しておりまして、これを通じて産業 用のお客さまにも電気をより効率よくお使いいただくための努力をしております。その他 にIHヒーターがございまして、電磁誘導で金属自体を発熱させ熱くする技術ですけれど も、その仕組みを大規模化することで、産業の乾燥系に使えるのではないかという応用に 取り組んでおりまして、今後の可能性としていろいろ出てくると思っています。  CO2を削減する技術として、太陽光、エアコン、ヒートポンプを使ったもの、そして IH、電気自動車などを組み合せることにより、さらにその効果が大きくなると考えてお ります。  運輸部門への取り組みということでは、電気自動車はガソリンから電気というトレン ドという点で、今後の可能性が非常に高くなっております。車体は自動車メーカーさんが つくられると思いますが、当社のような電力インフラ側では、急速充電器を開発しさらに その仕様を国際規格まで持っていきたいということで、海外での取組もしておりますし、 国内でも徐々に急速充電器を設置していただいて、まずは1日単位で使える電気自動車の 実績をつくっているところでございます。このような形での取り組みもCO2削減につな がるということで、当社が保有する8,500台の業務車両のうち、約3,000台を電気自動車 に替えることで、年間2,600トンのCO2削減となることから、まず自ら普及に努力したい と思っています。   ○今後の雇用創出への期待  最後に雇用創出への期待ということですが、これまで説明してまいりました事業を前 提とした平成22年度の採用計画ですが、特徴といたしましては、22年度の定期採用は21年 度の805名の実績から1,070名に拡大しております。その理由といたしましては、電源計 画により、これから発電所をつくる計画がありますので、それを運転・保守をする技術者 を、10年ぐらいの期間をかけて徐々に養成しなければならないためです。今の時点から 採用して10年後に働けるようになっていただくということです。それを勘案しますと 300名程度の要員増が必要になり、加えて退職者が続けて1,000人ぐらい出てくるという こともあり、これらを反映して採用を増やしている実態がございます。  求める人物像としては、ここでは3C(Change、Challenge、Communication)とい うことで、変革に耐えられる人材を求めた採用活動に取り組んでおります。  次に分野別ですが、やはり電気系が中心となり、それに発電所をつくることになりま すと機械系も重要になります。化学というのは水処理で、発電所系では必ず必要になって きます。原子力は原子炉の関係を中心に専門家が必要ということで、技術系が多いことが 特徴でございます。  それから、高齢者雇用について状況だけ簡単にご紹介させていただきます。当社の場 合には、平成19年に新しい継続雇用制度を導入しておりまして、60歳以降の就労を希望 する社員については57歳の時点で雇用選択をして切り替えをいたします。再雇用という 形になりますが、社内に残る、グループ会社へ転籍する、グループ外の一般会社へ出向す る、ボランティア活動での団体に派遣する、それが難しい場合には斡旋会社で職能開発を するという選択肢も用意し運用しております。  先ほど申し上げましたように、当社は団塊の世代のこぶが一時期にあるという人員構 造ではなくて、比較的断続的にピークが続いている構成になっておりますので、団塊の世 代が抜けたあとが困るという感じではありませんが、再雇用された方が徐々に増えてきて おりますので、現役と再雇用された方々を効率的に配置してどのように職場を運営するか ということが、課題となっております。   ○意見交換 Q01 社会全体が厳しい中で、会社の経営状況が厳しくても、計画的な採用をして いただくことは、我々としては非常にありがたいのですが、通年採用の枠だけでな く、随時採用できるような仕組みを社会的にもっと広げるべきではないかというこ とも言われております。その中で、通年採用、随時採用される方の人材の中身とい いますか、どのようなところをターゲットに採用をされているのでしょうか。  また、これから採用を拡大する可能性のある採用枠について、どのような条件が 整えば拡大していくことが考えられるのかをお伺いしたい。 A01 現在は、販売力強化につながるお客さまへのソリューション提案に必要な、 業務用設備・産業用設備に関する経験・知識を持つ人材や、技術開発分野における 最先端技術を持つ人材など、即戦力として活躍できる人材を通年で採用し、主に営 業や技術開発部門に配置しています。  エネルギー間の競争が一層激しくなることが予想される中、多様化するお客さま ニーズに沿った提案を常にしていかなければなりませんので、販売営業の分野で即 戦力となる人材は当社としても積極的に確保していく必要があると認識しています。 Q02 採用を募集される際のルートとしては、どのような所に求人を出されるので しょうか。 A02 希望する技術要件、応募要件に応じていろいろありますが、例えば、販売営 業の営業職の採用では、基本的に就職情報会社さんにお願いをして、募集の広告を していただきます。それから技術的な専門能力の場合は業界紙ですとか、学会の会 報を通じていわゆる大手の新聞に募集をかけるやり方があります。中でも、非常に 専門に特化した技術者につきましては、いわゆるエージェント系で個体をグリップ されている就職情報会社さんに求人を出しています。このように、募集を広くかけ て、たくさんの応募者の方を面接しながら採用するやり方と、かなりピンポイント の技術要件を絞って、ヘッドハンティングを含めた、そういう就職情報会社業者さ んが登録者から合致する技術条件の方を連れてきていただくという形の2種類を併 用しながら、募集をしているところです。 Q03 いろいろな環境の変化に対応して、通年採用に取り組んでおられるというこ とですが、専門的な技術を既に持っている人でなくても、一般の技能労務系の仕事 で採用する余地がありますでしょうか。あるいは、このような条件が整えば採用す るという条件などをお伺いしたい。 A03 当社においては新卒採用で優秀な学生さんが十分に採用できているため、通 年で採用するニーズがない状況です。  また、電力業界の技術は、特殊な技術・技能がありますので、現時点では新卒で 採用し、仕事を通じて技術・技能を高めていくところが基本となります。旋盤技術 とか溶接技術のような工場で必要とする技術が必要なわけではなく、電力はユー ザー技術になりますので、その育成のベースが仕事、OJTの中にあるのが原則だ と考えますと、新卒で採用して育成していくというスキームがメインの潮流になる ということです。 Q04 新エネルギーの電力供給量に占める割合は、原子力などに比べて発電コスト もかかり電力供給量もありませんが、今後は国の方向性としてエコに取り組んでい くことになりますので、いずれは供給コストも下がると考えますと、全体の電力供 給量の中で新エネルギーが占める割合が広がるスパンを、どのぐらいで考えておら れるのかお伺いしたい。 A04 現時点で、発電電力量構成比の中での新エネルギーの割合は非常に微々たる ものです。今後、それがどうなっていくかを考えていく上で、先ほど3つのEと申 し上げましたが、私ども電力会社は、明治のころから電気を送ってきている関係で、 電気が止まっていけないという、遺伝子のようなものを持っております。現に原油 高騰の影響を大きく受けていることもありますので、新エネルギーを検討していく 際には、研究の一環として見続けていき、どのようなコストレベルになっていくの か、どのような密度になっていくのかということを注意していくことになると思い ます。 エネルギーは展開を間違えた瞬間に大変なことになるという痛手をかつて経験して おり、この点は相当慎重に判断する必要があります。  新エネルギーにおいて解決できていないことは、自然エネルギーのため、密度が 非常に薄く、例えば山手線内を全部太陽光パネルで敷き詰めないと、原子力発電所 1基分にもまだ及ばないというエネルギー密度の問題と、発電原価が太陽光66円 (2001年データ:2008年データでは49円)、風力14円、原子力5.3円、石炭5.7円とい うコスト面の問題と、それと技術開発がどんなスピードで進んでいくのかという、 この3つをよく見きわめなければなりません。  さらに、特に太陽光の場合には当社が持つということではなく、不特定多数の方 がお持ちになっている余剰電気が潮流として電力会社の電線のネットワークに 入ってきた場合の系統安定化対策も必要となります。また、電気を止めたと思った ら、下流側から電気が入ってきて、作業者が感電してしまうというような、いろい ろな問題も存在しますので、それらへの対策やコストなども見ていかなければなり ません。  最終的には、エネルギー密度がどのくらいになるかということに限度があるのか もしれませんが、3元連立方程式にそれが加わりますので、今はまだその見通しは 立てられない状況だと思います。当社の中でも議論をしていますが、電気が安定供 給され、それが安くなければならないという中で、今後何ができるかを検討してい る段階ですので、まだ言い切れないというのが実態です。 Q05 エネルギーが大規模な発電所からの供給だけでなく、いろいろな形で動力に 組み込まれることにより、その動力源を必要とする産業がそれぞれ成り立っていく とすると、今後どのようなものがどこまで広がっていく可能性があるのかお伺いし たい。 また、新しい動力源が製造業の高度化につながり、日本国内で産業が発展する可能 性はあるのでしょうか。 A05 電力会社から一般のご家庭まで電気が送られるという、これまでの流れは変 わらないと思いませんが、電気の使われ方の効率がよくなることにより、電気がガ ソリンに代わり、車は電気自動車になっていくと思います。だだし、日本の車の台 数は飽和状態ですので、車の台数自体が増えていくのではなく、切替需要に合わせ てこれから電気自動車にどのくらい置き換わっていくかということがポイントにな ると思います。  私どもは、電気スタンドをどのような形で普及するかを、国内だけでなく、国際 的にもどのような規格がいいのかという議論をしております。海外では、400Vの仕 様が主流ですが、当社でパテントを取っているやり方は、皆さんがご家庭で使って いる200Vという、安全で比較的簡易にできる仕様になっています。この仕様を国内 統一規格として広めることにより、日本車がその規格になりつつあることもあり、 日本の産業として海外に出やすくなるという面はあると思います。 Q06 関連会社、グループ企業全体として、いろんな産業とタイアップした形での 産業展開を何か考えておられるのかお伺いしたい。 A06 グループ会社にはいろいろパターンがありますが、やはり電気の仕事に直結 して、もともと当社の社員がしていた仕事をアウトソースしたような会社が多くなっ ております。  その中に、証券取引所などのシステムのデータを一手に引き受ける仕事を展開し ている会社もございまして、これは電力が電力機器をコントロールするときに通信 線を使いますので、その通信技術を固有で持っているという強みがある。それにデー タセンターは停電しないことが重要ですので、電力会社の安定供給技術の強みを活 かせます。両方の強みを生かして、電気に関わる新規事業を展開している会社もあ ります。その中には、先ほどの電気自動車の充電スタンドのように、変圧器メーカー などとタッグを組むということもあるかもしれません。  また、先ほどの風力発電でいきますと、風力と、先ほどのメガソーラーの部分も 含めて担う会社もございます。当社のビジネスの培ったノウハウということを、類 似の会社もしくは団体のところへ展開する事業もわずかながらございます。 Q07 御社には、契約社員とか派遣社員とかパートなど、いわゆる非正規社員とい う方はどのくらい抱えておられて、そのような分野に就業されているのかお伺いし たい。 A07 正社員38,000人に対し、非正規社員は2〜3%程度で推移しています。非正規 社員には、当社のコア業務をこれまでお任せしている実態になく、人材派遣は派遣 法の趣旨に則した業務に、パートは特別な技術、能力を必要としない単純・定型的 な業務に就いていただいております。 Q08 採用計画の内訳を見ますと大学、短大、高校等幅広く採用されておりますが、 そのような方のキャリアパスにはどのようなものを考えられているのかお伺いした い。 A08 当社ではいわゆる総合職・一般職といった仕組みは設けておりませんが、比 較的大学卒社員は本店支店を問わず、幅広い店所で職域を広げていくのに対し、高 校卒社員等は採用・配属された店所・部門をベースにしつつ、適性を踏まえたキャ リアを積んでいくことになります。 Q09 高齢者雇用についてですが、再雇用後に社内で働いた場合の職種ですとか、 勤務時間や賃金についてどのように変わるのかお伺いしたい。また、定年が今後70 歳までとなった場合の就業についてもお尋ねしたい。 A09 高齢者の方の再雇用後の職種ですが、人材育成とか若手の指導をしていただ くというような形で残っていただいて、その支援をしていただく形が多いと思います。  勤務時間については、再雇用前の社員と同一であることを基本としますが、高齢 期であることを踏まえ、短時間や週3,4日の多様な勤務形態を用意しています。  給与については、雇用切替により従来の契約は一旦終了することに加え、雇用切 替後の働き方には多様な選択肢を認めていることなども踏まえ、雇用切替前とは異 なる水準となるように設定しています。  なお、現在ではまず、新たに導入した65歳までの就労を定着させていくことを 第一に考えております。 Q10 事務系の方も元いた部門で指導などをするというイメージなのでしょうか。 A10 技術系、事務系の両方とも、基本はご自分の部門の中で働いていただいてい ると思います。  例えば、設備を巡視するという仕事があるのですが、そのときにどこに着眼し、 劣化や故障の兆候をどのように見つけるのかということなどがありますので、長年 にわたり、そういうお仕事を、いろんなポジションでやってきた方のノウハウを生 かすという意味では、むしろ技術系の方のほうがニーズはあるように思っています。  事務系は、多くの場合は、一部役割は変わりながらも、雇用切替前に経験のある 職域を踏まえ、類似した職務となります。例えば、営業ですと、顧客とのつながり のある人はそのつながりを活かす仕事を担当します。また、道路にある電柱を動か すということになりますと、官庁や地方公共団体の方々と法律や条令などに照らし た調整になるのですが、そのような仕事をされていた人は、ノウハウはすごくお持 ちですので、継続していただいております。そうしたノウハウを活かせる仕事をし て頂くことが多いです。  一般管理の総務ですと、例えば経理をされていた人は、支社の総務グループの中 で経理の仕事を担当していただくなどのパターンが多くなっております。 Q11 内閣でCO2の削減25%を目標に掲げておりますが、具体的な今後の雇用という 面で何か影響があるとお考えなのかお伺いしたい。  また、エネルギー需要を抑制することは、経済活動や雇用には不利な要素が働く と思いますが、その一方で、グリーンジョブという形で新しい産業なり雇用を期待 している面もあると思いますので、お考えをお聞かせいただきたい。 A11 これは経営マターの話になりますので、労務人事部門の領域を超えるとは思 いますが、25%の目標には一定の前提がございまして、他の国がついてくるという 前提で受けているという認識でおります。  以前、江戸川で送電線をクレーン船が切断したために電気を止めてしまったこと があったのですが、それを1時間で復旧したことは、相当な訓練をした対応による もので専門家の間では評価されましたが、一般のお客さまから見れば厳しい評価と なりました。  そのため、さまざまな要因で電気が止まることに対する努力をしなければならな いという使命感が強いために、現実にはいろいろな取り組みをしております、その 中で25%といいますのは、電源のバランスを考えますと、相当チャレンジングな目 標だと思っています。実際に実務の中でこれを達成しようとする場合には、相当な ひずみが出てくる可能性もありますので、そこは正しくお伝えしていかなければな らないと思っております。  例えば、太陽光発電の余剰分の買取制度に関しては、買い取った費用はお客さま 全体でご負担をして頂くこととしております。とりあえず発電分は買い取って、た だ電気料金に上乗せすれば良いと簡単なイメージをお持ちになるかもしれませんが、 お客さまにご納得いただくためにはどのようにすればいいかということや、技術的 にも入ってきた電気が影響して電気が止まらないかということも含めて課題が多い と思っています。  ただ、ネガティブにそれを考えてしまうとそこで止まってしまうので、どこまで できるかということを議論して、それを現実に落とし込むということを、分かりや すい言葉でご説明してご理解をいだだくことが、電力会社サイドの役割分担だと 思っています。  雇用の面では、伸び率1%台とは言いながら電源という意味では伸びていきます。 これを必要な電源として確保することになりますと、太陽光などについては未知数 の部分もありますが、大電源の原子力、火力等が動き出すということを前提に採用 計画をしておりますので、たとえば、太陽光などの発電効率が高くなり発電コスト が安価になるなどすれば、電源構成の前提条件が変わってくるかもしれません。た だそれは、電気を供給する側では、採用が増えていくというよりもむしろ、エネル ギー間競争が続くなかで、人間が関与するところをシステムなどで合理化し、コス トパフォーマンスを高める方向になるのではないかと思います。  極端なことを言いますと、海外ではスマートグリッドまでいかなくても、検針な どを自動ですることもあるように、自動化・省力化の余地はあると考えております ので、そこに新エネルギー関係業務が入ってきたからといって、直ちに電力会社と して要員不足となり雇用が拡大するかということは個人的には何とも言えないとこ ろです。  経営課題にいち早く対応しなければならない一方で、エネルギー間競争の中、業 務効率化を一層推進しなければならない状況であることから、今後増加していく可 能性のある経営課題についても、今の人員でいかに対処していくか、という視点が まずは必要であると思います。どちらかといいますと、環境、エコというキーワー ドでの雇用とか、社員全体の増加というのは、短期的に見れば波はあると思います が、傾向として右肩上がりで増えていくというのは見込めない状況です。  なお、採用の現場で学生さんと対応している中では、学生さんも環境に興味を 持っているということはあります。当社に入ってくる学生さんは、安定供給、社会 貢献というキーワードが従前のトレンドでしたが、最近は10%のCO2排出事業者と して、環境CO2削減ということに取り組むには、他のところではなく、排出してい るところで取組ができるということで、環境をキーワードに当社を志望される学生 さんが非常に増えています。そして、彼らの思いを達成するための取り組みが原子 力発電の利用と、火力発電の高効率化によるクリーンな電気を、お客さま側でどう 効率よく使っていただけるかという提言を行う仕事につながっていきます。ただ、 これらの仕事も当社の本来事業そのものでありますので、省エネや環境ということ が出てきても、当社が行ってきた電気を正しく安くつくり、正しい使い方をお客さ んに訴求していくビジネスそのものの構造は変わらないと思っています。  また、私どもの海外事業はコンサルティングが中心であり、これまでに300件ぐ らいしております。国内の電気の需要が伸びなくなった場合には、いろんなことを 考えなくてはなりませんが、私どもの発電所を運転する技術を必要とする国があれ ば、そこに行って、技術を売るというビジネスチャンスが、しかも環境負荷を抑え る技術を持っているとすれば、そういうことに事業拡大の可能性があるのではない かと考えています。 Q12 25%削減ということを政権が言っている中で、電力事業の見通しそのものに ついて急激に落ちるということはあるのかお伺いしたい。 A12 そうですね。落ちることはないと思いますが、伸び率は悪くなると思います。 Q13 自由化されて、新しい会社が起きて、競争相手がでてきていますけれども、 一般的にはCO2排出係数が高いほうかと思うのですが。 A13 例えば、今は当社の原子力発電の稼働が落ちていますが、その間に他社が最 新鋭のコンバインドサイクルの火力発電所をつくられた場合には、相当良い係数に なりますので、入札などで競争になった場合には、その基準をクリアしてくる可能 性はあります。そうしますと、原子力発電の稼働が落ちている間は古い電源を使用 しているため効率が悪く、費用がかかりますので、負けるケースもあると思います。 競合相手も炭素クレジットの取得など努力していますので、必ずしも環境負荷が高 いというわけでもないですし、商社系のPPSなどでは電気を集めるときにグリーン 電力を意図的に仕入れてPRするなどということもありますので、なかなか手強いと 思います。 Q14 外国から炭素クレジットを買うということは、かなり電力料金などに影響す るものなのかお伺いしたい。 A14 目標を達成できない分については、当然コストとしてかかってきます。単純 にその分を電気料金に上乗せするという構造にはならないように経営努力で吸収す ることになりますが、やはり収支は圧迫してきます。 Q15 CDMによる技術援助から発生したクレジットを買っている部分もあるので しょうか。 A15 炭素クレジットのパターンとしては、そのような内容が多くなっております。 Q16 一般的に言われている話ですと、オイルピークの議論もありますし、日本の 交易条件も悪くなり、資源の調達がかなり難しくなっていますが、今後ますます対 外的な資源調達が難しくなると思われますので、エネルギー供給を長期的にお考え になるときに、どういう方向感でご覧になっているかをお伺いしたい。 A16 毎年の電源計画を出す際に、電源構成をどうするかということをお示しして おりますが、新エネルギーについては未確定で、規模的にも非常に小さいので、数 量化まではいかないと思います。ただし、競合するエネルギーのコストが上がって くれば、相対的に安くなるというケースもあり得ると思いますが、まだそこまでいっ ていないということで組み入れきれないと思います。  燃料確保の面では、原子力発電の場合、いったん原子炉の中に燃料を入れると長 持ちする点で、長期的な資源活用という点でも有利になります。このマイクの先ほ どの大きさで一般家庭8カ月分ぐらい電気をつくれるエネルギー密度があります。 やはり原子力発電の力は、エネルギーセキュリティの面でも大きいと考えておりま す。あとは安全・安心に運転していくことが大切だと思っております。  新エネルギーについては、このようなエネルギーセキュリティのバランスの中で 将来技術がどのようになっていくか、コストも併せて考えていく中で、見通しが 立った段階で電源計画に入ってくると思います。  そのときにやりにくいのは、太陽光のように当社側で保有するものと不特定多数 のお客さまが保有するものが出てくることです。まだイメージが分からないのです が、当社の電源計画は、電力全体の供給計画の中に、密度の高い、安い太陽光が入っ てきた場合に、どのように反映するかというのは考え切れていないと思います。 まだ検討段階で課題の方が多いので、電力側で今後どのように現実化していくのか というレベルと思います。 Q17 効率よく供給いただいたエネルギーのおかげで、社会がどう変わるのか、生 活がどう変わるのかということが、新しい事業の可能性に、どう影響するのかを教 えていただきたい。 A17 私どもは、オール電化住宅というイメージを持っていて、それをPR館等でご 紹介しています。一方、各メーカーさん、ハウスメーカーさんなども将来のイメー ジをお持ちになっていて、それは私どもと全く共有する部分ですので、タッグを組 んでイベントなどを実施しております。そういう中で、例えば、個々の商品をどう 組み合わせていって、新しくお家をつくった方が、夢に描いているクリーンな生活 をどう実現できて、コスト的にはこれぐらいになりますというような新しい分野が 広がってくると思っています。そして、そのエネルギーコストのところを私どもが バックアップするということになるのではないかと思います。  また、一般のご家庭の中でも、給湯と台所はガスと電気が競争する中で、新しい 機器の開発が進んでいます。東京都の関東首都圏ですと圧倒的に台所とお風呂はガ スを使っていらっしゃるところが多く、お客さまにとっては選択肢が増えるという ことになります。電気の側としては、お客さまにとってメリットがあるものを提供 し、ご理解をいただくことを通じて、エネルギーの有効利用という社会貢献ができ ると考えています。それは、新商品をできるだけ売りたいというメーカーさんたち と利害が一致しているので、今後も拡大していくと思います。 Q18 派遣とかパートの業務については限定的なものというお話でしたが、正社員 を使い続けることについてどのようなメリットがあるとお考えなのかお伺いしたい。 A18 たとえば、オール電化の営業では、お客さんとどう接触してどう交渉して、 ガスよりもクリーンな安い電源ということをどう説明して納得していただくという 非常に大事な仕事となります。また、支社の口にお客さまからお叱り等がきた際に は、最後まで社の責任者としてフォローしなければなりません。これは電気の供給 義務を負っているという電気事業特有の事情の中で、ある程度の雇用期間を通じて そういうマインドを養成して維持していかなければ、社員として必要なスピリット が育たないのではないかという面がありまして、そこは正社員で対応するべきでは ないかという考え方です。  停電事故が起きたときには、社内が「ごく当たり前」のように、一丸となって昼 夜を問わず、チームを組んで対応することになりますが、そういうマインドを養成 するためにも、長期の雇用を通じて育成が必要だと思っています。