平成20年4月22日
照会先:厚生労働省健康局結核感染症課
感染症情報管理室長:難波(内線2374)
担当:梅田(内線2376)
直通:03-3595-2257


海外で注意すべき感染症について
-大型連休(いわゆるゴールデンウィーク)を前にして-

4月26日から5月6日までの期間(大型連休、いわゆるゴールデンウイーク)中は、海外へ渡航される方も多いことから、安全で快適に旅行し、帰国するために、現在、海外で注意すべき感染症について情報提供します。

特に、鳥インフルエンザの家きん等での発生が世界的に拡大し、ヒトでの発症事例も増加しておりますので、あらためて注意が必要です。

1 鳥インフルエンザ

鳥インフルエンザ(H5N1)は、東南アジアから欧州、アフリカと拡大し、ヒトへの感染事例も増加しています。2003年(平成15年)11月以降、現在までに、世界で378名の発症事例(うち死亡者数238人)が報告されています。

一般的に感染した鳥と濃厚に接触した場合にヒトが感染します。生きた鳥が売られている市場や養鶏場にむやみに近寄らないようにするとともに、手洗いやうがいの励行に心がけましょう。

また、各検疫所においてリーフレットの配布等により各国の発生状況について情報提供する(別紙1(1ページ(PDF:965KB)、 2ページ(PDF:836KB)、 全体版(PDF:1,148KB)))とともに健康相談にも応じておりますので、渡航の際の詳しい情報を入手したい場合や、帰国時に体調等に不安を生じた場合にはご相談下さい。

2 狂犬病

狂犬病は、犬だけではなく、他の哺乳動物(ネコ、アライグマ、キツネ、スカンク、コウモリなど)からも感染し、発病すると有効な治療方法はなく、ほぼ100%の方が亡くなります。我が国では昭和33年以降国内での発生はみられませんが、一昨年11月には、海外で犬に咬まれて狂犬病に感染し、日本国内で発病する事例(輸入感染症例)が2例続きました。海外では犬をはじめとする野生動物との接触を避けることが大切です。また、万が一、犬などの動物に咬まれた場合は、すぐに傷口を石けんと水でよく洗い、医療機関で、できるだけ早く傷の処置と狂犬病ワクチンを接種してください。また、帰国時には検疫所に申し出てください(別紙2(PDF:273KB))。

3 一般的に海外で注意しなければならない感染症(別紙3(PDF:138KB))

渡航先(国および地域)や行動内容によって、()患する可能性のある感染症は大きく異なりますが、最も多いのは食べ物や水を介した消化器系の感染症です。

(1) 食べ物、水を介した感染症

A型肝炎、E型肝炎、コレラなどは、発展途上地域では広く発生する感染症です。生水・氷・サラダ・生の魚介類等の飲食は避けるようにしてください。また、E型肝炎は近年、米国、ヨーロッパなどの先進各国でも加熱が不十分な生肉の摂取による散発的な発生例がみられますので注意してください。

ノロウイルスはカキなどの貝類による食中毒の原因になるほか、感染したヒトの糞便や嘔吐物、あるいはそれらが乾燥したものから出る塵埃を介して経口感染します。ノロウイルスによる集団感染は世界各地で散発的に発生しています。

(2) 蚊を介した感染症

マラリア、デング熱は熱帯・亜熱帯地域で広く流行している感染症です。

マラリアは全世界で年間3億〜5億人の患者、100万人以上の死者が報告されています。デング熱は通年、全世界で年間数千万人の患者が発生しており、昨年以降さらに流行地域が拡大しています。

黄熱は、熱帯アフリカ、中南米で流行している感染症です。昨年末から南米でサルとヒトの間で流行が拡大し、死亡者(ブラジル、パラグアイ、アルゼンチンで約30名)が出ています。

ウエストナイル熱は、アフリカ、ヨーロッパ、中東、中央・西アジアなどの広い地域で流行している感染症ですが、1999年に米国で発生し、またたく間に北米に拡大しました。昨年は、米国で感染者3,000名以上、100名以上の死亡者が確認されています。蚊を介してヒトに感染します。

予防法として、長袖・長ズボン着用や虫除けスプレーなど、蚊に刺されないための対策が必要です。

なお、各検疫所ではポスターの掲示等による注意喚起及び帰国時の健康相談を実施しています。(別紙4(PDF:173KB))。

4 正しい予防知識(別紙5(PDF:117KB))

海外で感染症にかからないようにするためには、感染症に対する正しい知識と予防方法を身につけることが必要です。特に、飲料水、虫刺され(蚊やダニなど)、動物との接触には注意が必要です。

感染症には潜伏期間があり、帰国後しばらく経過してから、具合が悪くなることがあります。その際は早急に医療機関を受診し、渡航先、滞在期間を必ず申し出ることが重要です。

空港や港の検疫所では健康相談を行っており、帰国時に具合が悪かったり不安に思うことがあった場合には、積極的に利用してください。

5 海外の感染症に関する情報の入手(別紙6

出発前に旅行プランに合わせた情報を入手しておくことが大切です。厚生労働省検疫所及び外務省では、ホームページにより海外各国の安全に関する情報を提供しています。また、空港内検疫所においても、リーフレット等を配置し、情報提供を行っておりますので、積極的にご利用下さい。

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